北上尾駅
北上尾駅(きたあげおえき)は、埼玉県上尾市原新町にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)高崎線の駅である。 歴史以前は、西口駅前に「これでいいのか北上尾」といった大きく書かれたメッセージを確認する事ができた(イチコー興産が設置、西口広場の再整備の際に撤去)[3]。当駅は旧国鉄民営化後きわめて早い時期に開業した駅の一つであり、その誘致にあたっては、地域住民はもちろん地元各界に様々な議論を呼んだ経緯がある。 当駅に隣接する埼玉県立上尾高等学校は、駅開業に合わせた開発の際に、はじめは駅に隣接したテニスコート2面を移転する案が出されたが、やがて全校を移転する計画が持ち上がった。高校側は強硬な反対運動を行い、テニスコートのみの移転案も拒絶し、移転を前提とした西口開発は頓挫した。市は止む無く駅を桶川側に20メートル移転した[4]。また、線路脇の市道の廃止を巡って市民団体による取り消し訴訟も起こされた。 埼玉県立上尾高等学校教諭、埼玉高等学校教職員組合委員長の田島俊夫らは、反対運動の先鋒に立ち、開業式典では黒い風船に「疑」という文字を書き込んで、空に向けて放なった[5]。なお、学校移転の反対運動は駅の開業後も継続された。 1988年2月に執行された上尾市長選挙では駅建設推進派である現職市長が敗れ[6]、市民団体が擁立した駅建設見直し派が当選したため、駅の建設は1988年5月に一時中断することとなったが、程なくして早期開業へ方針を転換し、同年11月開業を目標に7月に建設が再開され[7]、予定よりやや遅れた12月17日に開業した。 また、駅新設に当たっては、地元企業と市役所の間で贈収賄事件が発生し、市から大量の懲戒処分及び懲戒免職者を出していた[8][9]。このため、西口は暫定ロータリーのまま20年間放置されていたが、東口の区画整理の進展により合わせて西口も再整備され、2008年(平成20年)に完成した(完成と共に先のメッセージは撤去された)。
開業時からエスカレーターやエレベーターは長らく設置されていなかったが、2006年(平成18年)度より上尾市のバリアフリー化事業の一環として、駅舎南側階段をエスカレーター・エレベーターに転換する工事を行い、2007年(平成19年)2月3日に使用が開始された[10]。なお当駅はホームが狭いため、工事期間中は工事帯となる階段周辺を外側に仮拡幅し、工事を行った。続いて東西両側の駅前広場整備に合わせ、駅舎と駅前を結ぶ階段にエスカレーター・エレベーターと公共トイレを増設する工事が行われ、2008年(平成20年)に完成した。この工事で、西口は駅舎の形状が大きく変更され(工事前は東口に似たデザインで有るものの、北向き階段のみ建設され[注釈 1][11][12]、民有地を避けるようにそれに直角に接続する簡素な造りのひな壇状の階段があるだけだった)、東口もデザインが変わっている(画像を参照)。 橋上駅舎内には、開業時にキヨスク(旧・鉄道弘済会北上尾店)とそば屋(旧・高鉄開発北上尾そば店)があったが[注釈 2]、現在はNewDaysミニ北上尾1号店になっている。 年表
駅構造相対式ホーム2面2線を有する[1]地上駅で、橋上駅舎を有している。鉄骨構造で延床面積は596 m2である。ホームの延長は310 m、幅員は3.5 - 5.5 mである[12]。相対式ホームの駅は高崎線では唯一である。自由通路の幅員は6 mである[12]。海抜は18.749 mである。 プラットホーム及び東西改札外にはエスカレーターとエレベーターが設置されている。改札内には車椅子対応トイレ(多機能トイレ設置)がある他、東口・西口両駅前広場には公衆トイレも設置されている。多機能トイレ設置とともに音声案内が開始された。 高崎支社所属熊谷統括センター管轄上尾駅管理で、JR東日本ステーションサービスが業務を受託する業務委託駅で、指定席券売機、Suica対応自動改札機が設置されている。2016年3月10日より、始発から午前6時30分までの間は遠隔対応のため改札係員は不在となり、一部の自動券売機のみ稼働する[25]。また、駅舎内(改札外)にはコンビニエンスストアのNewDaysミニ北上尾1号店が設置されている。 みどりの窓口は2014年(平成26年)11月30日をもって営業を終了した[26]。 のりば
(出典:JR東日本:駅構内図)
利用状況2023年度(令和5年度)の1日平均乗車人員は14,207人である[JR 1]。 1989年度(平成元年度)以降の1日平均乗車人員の推移は以下の通り。
駅周辺東口東側は住宅地の中に後から駅を建設したため、開業からしばらく、駅東口から埼玉県道164号鴻巣桶川さいたま線(旧中山道)に通じる道路の幅員は、乗用車がようやくすれ違えるほどしかなく[28]、路線バスの乗り入れができない事から、乗り換えには旧中山道まで徒歩で移動しなければならなかった。駅前も三角形の狭小な駅前広場にタクシーが数台停まればいっぱいのロータリーがあるだけで、周囲に民家が立ち並んでいた[12]。 このため、上尾市は東口の原新町を区画整理することを決定、1991年(平成3年)度より2002年(平成14年)度を予定して施行されたが、事業はかなり遅れ、地区計画の決定は1998年(平成10年)度であり、完成は2012年(平成24年)11月となった。 区画整理により、2008年(平成20年)3月に歩道付き2車線の道路(北上尾東口線・幅員22 m[29])とロータリーを有する新たな駅前広場が開設された。東口の南側階段付近に「上尾市原新町土地区画整理事業竣功記念」と記された記念碑が設置され、北上尾駅竣工当時の狭い駅前広場や、ロータリー新設工事の様子の写真も掲載されている[30]。旧中山道の向かいには、2000年(平成12年)11月16日に上尾公園(上皇明仁の婚礼を祝し1963年に民有地を借用して開園した公園で、「プリンス公園」の通称で親しまれた。1998年に上平公園の開園に伴って閉園し、現在も記念碑が残る[31])跡地に大型ショッピングモール「P・A・P・A上尾ショッピングアヴェニュー」が開業しており、駅前通りは旧中山道と交差し、ショッピングモールの中央部を通って国道17号(中山道)へ至り、さらに市道緑丘南線(幅員18 m)と一体化している。旧中山道も道路幅員が16 mと狭いため、区画整理に合わせて拡幅された。また駅前には上尾中央総合病院の施設である「中央腎クリニック」が開業した。駅周辺には他に歯科や皮膚科などが開業しており、医療地帯の様相を呈している。一方、駅開業当初から、駅前に広い市営駐輪場が置かれおり、区画整理によってやや位置を変えつつ、現在も営業している。市制施行65周年を記念して、東口駅前ロータリーに「アッピーガーデン」と称される市のマスコット「アッピー」を模した花壇が2023年5月23日に整備された[32]。
西口駅西口は埼玉県立上尾高等学校に隣接しており、開業当初から通学利用者が多い様である。昭和40年代の浅間台土地区画整理事業は、新駅設置を想定して実施されたため[12]、開業当初から片側一車線の道路(北上尾西口線)が通じており、ロータリーも暫定的ながら確保されていた[12]。その道路は将来的に西宮下中妻線(並木通り)までの区間を、幅員22メートルに拡幅する計画がある[29]。西口広場は2008年(平成20年)3月[23]まで駅バリアフリー化工事と同時に再整備され、駅舎とバス停が一体化した。 路線バスは、上尾市内循環バス「ぐるっとくん」が乗り入れる(東口も同様)。
バス路線北上尾駅西口ぐるっとくんの路線バスが発着する。
北上尾駅東口ぐるっとくんの路線バスが発着する。以前はけんちゃんバス(丸建自動車)も2010年2月11日より発着していたが、2012年3月31日限りで廃止された(詳細は当該記事を参照)。
北上尾駅入口国際興業バスの深夜急行バスが発着する。
隣の駅脚注記事本文注釈出典
広報資料・プレスリリースなど一次資料
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参考文献
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