城 新子(じょう しんこ、1950年3月18日 - )は、日本の女優である[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10]。本名は不明[1][6]。
人物・来歴
映画と演劇の時代
1950年(昭和25年)3月18日、福岡県、現在の行政区分(1963年以降)でいうところの北九州市に生まれる[1][6]。
1965年(昭和40年)4月、地元の高等学校に進学したが、その後、中途退学して東京に移る[1]。モデル、クラブの受付係といった職業に就いていたが、満22歳のときに女優に転身、1972年(昭和47年)4月に公開された高見由紀の主演作『女高生の週末夫婦』(監督渡辺護)に出演し、映画界にデビューする[1]。『日本映画俳優全集・女優編』の城の項を執筆した小田克也は、「ミニスカートのよく似合うプロポーションの良さと新鮮さで人気を呼ぶ」と城の登場を表現した[1]。翌5月27日に公開された白川和子の主演作『真昼の情事』(監督藤井克彦)にも助演し、以降、『おんな天国 子だね貰います』(監督小原宏裕)、『㊙女郎市場』(監督曾根中生)、『女子学生 セクシー・ダイナマイト』(監督林功)、『新・色暦大奥秘話 やわ肌献上』(監督林功)、『女子大生 SEX方程式』(監督小原宏裕)、『団地妻 奪われた夜』(監督遠藤三郎)、『色道講座 のぞき専科』(監督武田一成)、『女子大生SEX方程式 同棲』(監督小原宏裕)といった日活ロマンポルノに助演した[1][3][4][5][6][7][8][9]。
その一方で、軸足は渡辺護や山本晋也の東京興映・大東映画、小川欽也(小川卓寛)の大蔵映画といった独立系成人映画にあり、デビュー作を手がけた渡辺護は『好色 旅枕百人斬り』(1973年1月公開)や『16才愛と性の遍歴』(同年3月公開)、『同棲三角時代』(同年5月公開)で主演に起用した[1][3][5][6][7][8][10]。『16才愛と性の遍歴』では、1972年12月に起きた大阪「クラブ・ジュン」ホステス強姦絞殺事件に題材をとり、城は主人公の殺されたホステスを演じ、その際に小学生時代も城本人が演じたという[11]。渡辺護は「写真うつりのいい女優」と評した[1]。1973年(昭和48年)11月に公開された、栗原幸治が栗原甲の名で監督した『女肌は愛に濡れた』に主演[10]して以降、一時、映画界を離れている[1][3][4][5][6][7][8][9][10]。その間は、演劇に出演しており、同年末に発行された『出演者名簿 49年度版』の城の項には、出演ジャンルを「映画・演劇」とし、目黒区三田の住所が記載されたほか[12]、1975年(昭和50年)9月には、石森史郎作、菜川作太郎(1918年 - 、小説家としての筆名は榊原直人)演出、脇田愛二郎美術による『六本木伝説 濡れにぞ襦れし物語』の公演に東てる美、東郷健、玉川みどり、谷幹一、柴俊夫とともに出演した記録が残っている[13][14]。
1976年(昭和51年)5月29日に公開された『新怪談色慾外道 お岩の怨霊四谷怪談』(監督小川卓寛)に出演して映画界に復帰、同年、東映東京撮影所が製作した2作の一般映画、『暴走の季節』(監督石井輝男)、『新女囚さそり 701号』(監督小平裕)に助演して以降、満26歳で引退した[1][3][4][5][6][7][8][9][10]。以降の消息は知られておらず、存命であれば2014年(平成26年)には満64歳である。
再評価
2010年(平成22年)1月9日 - 同29日にシネマヴェーラ渋谷で行われた「消えゆく曽根中生!?」の特集上映で、出演作『㊙女郎市場』(1月24日・27日・29日)が上映された[15][16]。同作は2007年(平成19年)9月21日にジェネオンがDVDを発売している[7]。同年7月31日に上野オークラ劇場で行われた同館のクロージングイベント(閉館後は上野スタームービー跡地に新装開館)で、出演作『新怪談色慾外道 お岩の怨霊四谷怪談』が上映された[17]。東映ビデオは、城の出演作である『暴走の季節』『新女囚さそり 701号』のDVDを2012年(平成24年)11月1日、2011年(平成23年)3月21日にそれぞれ発売している[7]。
フィルモグラフィ
クレジットはすべて「出演」である[1][3][4][5][6][7][8][9][10]。東京国立近代美術館フィルムセンター(NFC)等の所蔵・現存状況についても記す[4][18]。
1972年
1973年
- 『喜劇 女湯騒動』 : 監督山本晋也、共演真湖道代、製作東京興映、配給東京興映・新東宝興業、1973年1月公開(成人映画・映倫番号 17450) - 主演、上映用プリントをNFCが所蔵[18]・『痴漢女湯騒動』題で大陸書房がVHSビデオグラム発売
- 『好色 旅枕百人斬り』 : 製作新井肇・門前忍、監督渡辺護、共演青山リマ・林美樹、製作わたなべぷろだくしょん、提供大東映画、配給OP映画配給、1973年1月公開(成人映画・映倫番号 17459) - 主演、71分の上映用プリントをNFCが所蔵[4]
- 『女子大生 SEX方程式』 : 企画伊地智啓、監督小原宏裕、脚本田中陽造、主演田中真理、製作・配給日活、1973年1月13日公開(成人映画・映倫番号 17427) - 出演・「みどり」役
- 『団地妻 奪われた夜』 : 企画武田靖、監督[[[遠藤三郎 (映画監督)|遠藤三郎]]、主演宮下順子、製作・配給日活、1973年1月13日公開(成人映画・映倫番号 17409) - 出演・「女店員よし子」役
- 『肉体の秘技』 : 監督小川卓寛、主演林美樹、製作・配給大蔵映画、1973年1月公開(成人映画・映倫番号 17424)
- 『女高生花ひらく17才』(『花開く十七才』[5][8]) : 監督山本晋也、共演乱孝寿、製作東京興映、配給東京興映・新東宝興業、1973年2月公開(成人映画・映倫番号 17497) - 主演
- 『性愛秘術』 : 監督小川卓寛、主演林美樹、製作大蔵映画、配給OP映画配給、1973年2月公開(成人映画・映倫番号 17467)
- 『16才愛と性の遍歴』[1][5][10](『十六才愛と性の遍歴』[8]) : 監督渡辺護、共演大月麗子・高見由紀、製作大東映画、配給OP映画配給、1973年3月公開(成人映画・映倫番号 17529) - 主演
- 『色道講座 のぞき専科』 : 企画松岡明、監督武田一成、脚本田中陽造、主演二条朱実、製作・配給日活、1973年4月25日公開(成人映画・映倫番号 17575) - 出演・「町子」役
- 『女子大生SEX方程式 同棲』 : 企画伊藤亮爾、監督小原宏裕、主演梢ひとみ、製作・配給日活、1973年5月5日公開(成人映画・映倫番号 17592) - 出演・「亜矢」役
- 『同棲三角時代』 : 監督渡辺護、共演可愛すみ子・久保新二、製作大東映画、配給OP映画配給、1973年5月公開(成人映画・映倫番号 17606) - 主演
- 『合鍵で?どうぞ』 : 監督小川卓寛、主演泉ユリ、製作大蔵映画、配給OP映画配給、1973年6月公開(成人映画・映倫番号 17646)
- 『性楽の交叉点』[5][10](『悦楽の交叉点』[8]) : 監督門前忍、主演島江梨子、製作大東映画、配給OP映画配給、1973年6月公開(成人映画・映倫番号 17644)
- 『性愛秘伝』 : 監督小川卓寛、主演林美樹、製作大蔵映画、配給OP映画配給、1973年7月公開(成人映画・映倫番号 17665)
- 『ピンクの巨塔』 : 監督門前忍、共演有沢正子・青山リマ、製作大東映画、配給OP映画配給、1973年7月公開(成人映画・映倫番号 17673) - 主演
- 『パンティ大作戦』 : 監督久我剛、主演谷ナオミ・青山リマ、製作六邦映画、1973年7月公開(成人映画・映倫番号 17683)
- 『実録記録 同居雑婚』 : 監督栗原幸治[19](原良輔とも[20])、脚本原良輔、製作東京興映、配給東京興映・新東宝興業、主演松浦康・青山リマ、1973年7月公開(成人映画・映倫番号 17687) - 出演・「青田の妻」役[19]、上映プリントをNFCが所蔵[18]
- 『スケバン 女門の体験』 : 監督小川卓寛、製作大蔵映画、配給OP映画配給、1973年8月公開(成人映画・映倫番号 17706) - 主演
- 『華麗なる性遊』 : 監督渡辺護、主演武藤周作・花園恵子、製作・配給大蔵映画、1973年9月公開(成人映画・映倫番号 17721)
- 『浮気寝室』[5][10](うわきねま、『浮気寝屋』[8]) : 監督山本晋也、共演国分二郎、製作大東映画、配給OP映画配給、1973年9月公開(成人映画・映倫番号 17747) - 主演
- 『処女喪失絵日記』 : 監督影山明文、製作ワールド映画、1973年10月公開(成人映画・映倫番号 17809) - 主演、『私処女 初めから教えて』題で1991年ワールド映画がVHS発売
- 『競馬狂列伝 穴を狙え 秘部の性典』[8](『秘部の性典』[5]) : 監督・脚本西原儀一、共演並木洋子・泉ユリ、製作・配給葵映画、1973年10月公開(成人映画・映倫番号 17831) - 主演
- 『不倫の交情』 : 監督渡辺護、主演谷ナオミ・国分二郎、製作大東映画、配給OP映画配給、1973年10月公開(成人映画・映倫番号 17796)
- 『性とSEX』 : 監督小川卓寛、共演泉ユリ・国分二郎、製作・配給大蔵映画、1973年11月公開(成人映画・映倫番号 17804) - 主演
- 『女肌は愛に濡れた』 : 監督栗原甲、共演乱孝寿・椿ジュン、製作大東映画、配給OP映画配給、1973年11月公開(成人映画・映倫番号 17830) - 主演
1976年
ビブリオグラフィ
国立国会図書館蔵書等にみる書誌である[2]。
- 「性の全告白 城新子の大胆なY談・欲情から歓喜へのプロセス」 : 『成人映画』第82号所収、現代工房、1972年発行
- 「新・魅力体験 明るく可愛い現代っ子 城新子」 : 『成人映画』第91号所収、現代工房、1973年発行
- 「思い出のアイドル 犯されるスター城新子」 : 『映画セクシカ封切館 ラブスター』昭和50年7月号所収、東京三世社、1975年7月発行
- 「あの艶技をもう一度」大月麗子・城新子・小島マリ・青山美沙 : 『映画エロトピア'78 CINEMA SPOT』6月号所収、サン出版、1978年6月発行
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク