戸倉山 (伊那市・駒ヶ根市)
戸倉山(とくらやま[3][4][5][6][7]、とぐらやま[8]、とぐらさん[9])は、長野県伊那市と駒ヶ根市[注釈 1][4] にまたがる伊那山地の標高1,681 mの山。別名が伊那富士[2]、袴腰(はかまごし)[8]。昔の信仰では十蔵山(とくらさん)と呼ばれていた[10]。 概要伊那山地の北部の赤石山脈の西側に位置し、周囲を凌駕して独立峰の様相をなす[8]。駒ヶ根市方面からの山容は富士山らしくはないが、北側の特に上伊那郡箕輪町からの山容が富士山のようであることから「伊那富士」と呼ばれ[5][8]郷土富士とされている[11]。山頂は東西に200 m程離れた、西峰と東峰の双耳峰の小ピークからなり、東峰(本峰)には一等三角点(点名「戸倉山」、標高1,680.97 m)[1] が設置されている[3]。西峰の頂上には日本一高所にあるとされる庚申塔が設置されている[7]。西峰と東峰との間には避難小屋と行者屋敷跡があり[5]、カラマツ、ブナ、ダケカンバなどが見られる[12]。西峰から南西に延びる尾根上にはカラマツが植林されていて[5]、ミツバツツジなどが見られる[6]。南西中腹には「差鴨居のミズナラ」の巨木がある[5][13]。山上では、ヤマツツジ、チゴユリ、ナルコユリ、マイヅルソウ、ギンリョウソウなども見られる[12]。南西尾根の上部には湧水があり「金明水」と呼ばれて、その広場には東屋が設置されている[7]。清水栄一による『信州百名山』の一つに選定されている[14]。また長野県山岳協会より、南信地方の駒ヶ根市を代表する山として『信州ふるさと120山』がの一つに選定されている[15]。 古くは信仰の山で、山頂には「不動明王碑」、「摩利支天碑」、豪雪に倒れた行者と狼の伝説に由来する「霊犬碑」[7] などが祀られている[8]。田畑の肥料用や家畜の飼料用の草木採集の場所として利用されていた[8]。南西尾根の中腹には、村人が山に芝刈りに行った時に馬をつなぎ止めた大木のアカマツがあり、「馬止の松」と呼ばれていて[7]、その上部にある巨木のアカマツは「猿の松」と呼ばれていて[6]、さらに上部には大岩があり「天狗伝説の岩」と呼ばれている[5]。1986年(昭和61年)8月2日にテレビアニメまんが日本昔ばなしで、東山麓の旧上伊那郡長谷村の昔話として『戸倉山の大鷲』が放送された。 中山 上の森1970年(昭和45年)4月24日に、駒ヶ根市中沢8076-イにある『中山 上の森』が、駒ヶ根市による天然記念物の指定を受けた。戸倉山の南西下部がある[12] に滝沢家所有の祝殿があり、「上の森(かみのもり)」と呼ばれる社叢がある[16]。社叢内にはコナラの巨木(幹周5.9 m、2011年7月時点)があり、幹周1 mが以上と思われるフジが幹に巻きついている[16]。その周囲には幹周3 mを超すアカマツや、モミ、サワラ、ケヤキ、カエデなどが混生している[16]。 地理山域の東側には中央構造線の谷を挟んで、赤石山脈が対峙し、西側に伊那谷を挟んで木曽山脈が対峙している[8]。南側に延びる尾根は、中沢峠と分杭峠を経て、赤石山脈の二児山を経てその主稜線に合流し[2]、赤石山脈北部の山として取り扱われることもある[17]。南側の伊那山地の大西山とは小渋川により分断されている[2]。 周辺の主な山伊那山地の南部の飯田市には、同名の戸倉山(標高1,168 m)がある[4]。 周辺の主要な山を以下に示す[2]。
周辺の峠
源流の河川天竜川水系の以下の支流の源流となる山で太平洋側の遠州灘へ流れる[2]。南西中腹の新宮川の支流には、日影滝と日向滝がある[5]。
登山日帰り登山の対象となる山で、陣馬形山と同様に登りやすい、展望が優れた山とされている[9]。山頂部の西峰と東峰との鞍部には、戸倉山避難小屋が設置されている[18]。 登山ルート各方面から以下の登山道が開設されている[12]。女沢峠ルートは竜東遊歩道と呼ばれていて、急斜面が多く、鎖が設置されている場所がある[12]。
周辺の主な施設
交通・アクセス東山麓に国道152号、西山麓に長野県道210号西伊那線が通り沿線には居住地となる集落と農地がある[2]。南山麓に長野県道49号駒ヶ根長谷線が通る[2]。北側の山域に女沢林道が通る[2]。南東山腹には林道長谷・高遠線が敷設されている[12]。東海旅客鉄道(JR東海)飯田線駒ケ根駅の東10.4 kmに位置する[4]。中央自動車道駒ヶ根インターチェンジの西北西 12.7kmに位置する[2]。 戸倉山からの眺望山頂からは間近に赤石山脈の仙丈ヶ岳などを望むことができ[3]、鋸岳から兎岳までの山並を見渡すことができる[5]。天竜川を隔てて木曽山脈、前衛の山越しに北東に飛騨山脈を望むことができる[8]。 ウィキメディア・コモンズには、戸倉山から眺望に関するカテゴリがあります。 脚注注釈出典
参考文献
関連項目
外部リンク |