『死刑にいたる病』(しけいにいたるやまい)は、櫛木理宇による長編サスペンス小説。2015年7月刊行の『チェインドッグ』を改題の上、2017年10月19日にハヤカワ文庫JAにより文庫化された[1]。
ストーリー
東京の二流大学に通う筧井雅也は全てに消極的で根暗な男だった。教育者一家の一人息子でありながら有名大学の受験に失敗した雅也は、一家の恥と疎まれているのだ。勉強漬けだった中学生の頃、塾に行く途中のイートインのできるベーカリーで、優しい店主の榛村大和と会話したことが、雅也にとって唯一の温かい思い出だった。しかし、榛村は実は24人の高校生を残虐に殺し、死刑を言い渡された稀代の連続殺人鬼だった。
榛村から会いたいと手紙で請われ、拘置所に面会に行く雅也。榛村は罪は認めていたが、最後の1件だけは冤罪なので雅也に調べてほしいと依頼した。担当弁護士の事務所のバイトという待遇で裁判資料に目を通す雅也。高校生ばかり殺した榛村の犯行の中で、最後の根津かおるだけは26才と年齢が高く、遺体を隠さず放置した犯行状況も異なっていた。
調査を進めるうちに、榛村が子供時代に親から虐待を受け、支援する女性の養子となったこと。更には雅也自身の母親も同じ女性の養子であり、榛村と親しかったことが判明した。自分の本当の父親は榛村ではないかと疑う雅也。榛村も否定はしなかった。殺人鬼の息子だと思うと逆に自分に強さを感じて、因縁をつけてきた会社員を半殺しにし、中学時代の同級生で大学で再会した加納灯里(あかり)と交際を始める雅也。
榛村が根津かおるの事件で有罪になったのは、犯行時に近くで榛村を目撃した証人がいたためだった。目撃者の金山一輝は10才の頃から榛村の「友達」で、会社員となった今でも榛村に逆らえない精神的に不安定な男だった。根津かおるの殺害現場で雅也と出くわし、「僕が殺した」とつぶやく一輝。
榛村と面会して推理を語る雅也。榛村は子供の「遊び友達」となり、精神的に支配して、将来的に苦しめて殺す「獲物候補」としていた。逮捕が近いと察した時、榛村は候補の一人だった根津かおるを最後のターゲットに選び、不安定な一輝に殺人の片棒を担がせて罪の意識で苦しませ、雅也に冤罪事件の調査を依頼したのだ。二つ返事で榛村のために飛び回った自分も洗脳に染まっており、榛村を楽しませていたと知る雅也。そんな雅也に榛村は「父親ではない」と告げた。
榛村と決別して学生生活に戻る雅也。雅也の恋人となった加納灯里は、自分も榛村のベーカリーに通い、好きだった雅也へのアプローチの相談にも乗ってもらったと呟いた。
登場人物
- 榛村大和(はいむら やまと)
- 稀代の連続殺人鬼。24件の殺人容疑で逮捕され、そのうち9件で立件・起訴・死刑判決を受ける。かつてはパン屋を営んでいた。
- 筧井雅也(かけい まさや)
- 大学生。理想とはかけ離れた大学に通い、鬱屈した日々を送る中で榛村からの手紙を受け取る。
書誌情報
映画
2022年5月6日に公開。監督は白石和彌、主演は阿部サダヲと岡田健史(現:水上恒司)[3][4]。PG12指定。
237館と公開範囲は中規模ながら、1週目の着席率はTOP10の中でもトップクラスの数字を記録し上位スタートなった。
週末興行収入ランキング6週連続トップ10入り。
6月22日時点で興行収入10億972万4660円を突破し、クロックワークス歴代興行収入ランキング5位を記録した
(クロックワークス単独配給としては歴代1位の記録)。
2022年公開の映画で興行収入が10億を超えた邦画実写作品の中では、唯一のインディペンデント配給邦画作品となった。
キャスト
スタッフ
受賞歴
脚注
外部リンク