石和温泉駅
石和温泉駅(いさわおんせんえき)は、山梨県笛吹市石和町松本にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)・日本貨物鉄道(JR貨物)中央本線の駅である[1]。駅番号はCO 41[2]。 歴史明治期の中央線敷設に際して、山梨県では上野原 - 鳥原間に12か所の停車場の設置が内定していたが、このうち笹子トンネルを越えた初鹿野から甲府間の停車場は未定であった。笹子以西の予定路線は盆地北縁を北西に迂回し、上万力で笛吹川を渡河し、青梅街道と平行して西南へ進み東山梨郡岡部村松木付近で屈曲し、さらに西進し甲府へ至る東山梨郡・西山梨郡を通過するルートが想定された。 石和は江戸時代に甲州街道の宿駅である石和宿を中心とする宿場町として発展し、石和代官所が置かれ、鎌倉街道や秩父往還など脇往還が分岐し笛吹川を利用した舟運も行われており、峡東地域における一中心地であった。明治期には石和村に東八代郡の郡役所が設置されていた。一帯では養蚕蚕糸業が盛んで、ブドウ等の果樹・瓦等の特産物を産出していた。 中央線の予定路線が東山梨郡を通過しないことが判明すると、地元では特産物や製糸工場への石炭輸送の必要性から、予定路線が石和村に最も近接する岡部村に停車場を誘致する運動が起こり、石和村や岡部村を始め関係する東山梨・東八代両郡の諸村が合同で上申書を提出した。なお、東八代郡でも勝沼と関係の深い東部の諸村では運動に参加していない。 石和駅として開業した当時には笛吹川流路が駅舎のある岡部村(現駅舎と同位置)と甲州街道石和宿(現在の国道411号)の中間地点(現在の第二平等川付近)を東西に流れており、石和宿から笛吹川を北に渡った対岸の石和駅と言う名称は、駅舎の位置が石和宿に近いことから名付けられたものであった。開業から4年後の1907年(明治40年)には東郡地域を中心に県下に多大な被害を及ぼした明治40年の大水害が発生し、笛吹川は石和宿南側を東西に流れる現流路に変わっている。 中央線開通は石和を始め山梨県内の各地域へ大きな影響を与えるが、石和駅の開業による鉄道輸送の開始は養蚕・蚕糸業の更なる発展を促し、桑畑や製紙工場が増加し、果樹栽培も拡大した。一方、鉄道輸送の増加は陸上輸送や舟運、旧宿場での旅宿業の衰退を及ぼしている。また、中央線開通は甲府を中心とする商業圏を確立させ、石和は峡東の一中心地としての役割が低下すると共に、甲府商業圏との関係を強めることになった。 戦後には養蚕業が衰退し、果樹栽培と石和温泉を中心とする観光業への依存を強め、石和温泉駅周辺も観光都市の玄関として道路整備が行われ、旅館街となっている。 2014年まで使われていた駅舎は木造2階建てで、駅舎内部には駅事務室と待合所があり、待合所には自動券売機(指定席券売機も含む)や出札窓口、自動改札機や有人改札通路の他、土産物なども売るコーヒーショップや売店等があった。この駅舎は築78年を経過しており、またバリアフリー化及び駅北側からのアクセス改善を図る目的もあって、2014年3月から駅舎橋上化工事が行われ、その間は仮駅舎での営業となっていた[7]。 2015年(平成27年)3月25日に橋上駅舎のうち南口の駅舎部分および西側の出入口、南北自由通路の南口側の部分の工事が完了し、使用開始となった[8]。翌2016年(平成28年)2月12日には北口広場および自由通路の北口側も供用を開始した[9]。 年表
駅構造相対式ホーム2面2線を有する地上駅である。駅舎は鉄骨造り2階建ての橋上式で、敷地面積は約3,288平米、延床面積は約1,740平米ある。上下ホームそれぞれ1基のエレベーターが設置され、またホーム上に待合室がある。改札内に多機能トイレを備える[8]。指定席券売機、話せる指定席券売機[6]が設置されている。JR東日本ステーションサービスが駅業務を受託している甲府駅管理の業務委託駅[4][5]。以前は直営駅で管理駅として春日居町駅を管理していた。 南北自由通路は幅が約6 m、全長約40 mあり[15]、北口開設前はこのうち約33 mが供用されている。南口にエレベーター1基とエスカレーター2基と多機能トイレ、北口にエレベーター1基を備える。 特急列車は「あずさ」朝夕2往復と「かいじ」の全てが停車する[16]。かつては「スーパーあずさ」や、休日に運行される横浜線直通の「はまかいじ」も停車していた[19]。2019年3月のダイヤ改正で「あずさ」は全て通過となったが[16]、2020年3月14日から再び停車するようになった[17]。 のりば
(出典:JR東日本:駅構内図) かつては3番線が存在し、上り待避線として使用されていたが2012年頃には使用されなくなり、2014年2月9日の仮駅舎移転をもって廃止された。
発車メロディ1番線は武田節歌い出し、2番線は武田節のサビの発車メロディが使用されている。[20]
貨物取扱JR貨物の駅は車扱貨物臨時取扱駅となっており、貨物列車発着は無い。 かつては駅の側線から分岐し、駅西側にある日本セメント甲府サービスステーションへ至る専用線があった。この専用線はセメント輸送に使用されていたが、1999年(平成11年)に廃止された。また、駅北側の平等川を渡った先にあった秩父セメント石和サービスステーションへ続く専用線もあり、同様にセメント輸送に使用されていた。また、国鉄分割民営化前までは、駅舎の西側に有蓋車用の貨物ホームが設置されていた。 利用状況JR東日本2023年度(令和5年度)の1日平均乗車人員は2,701人である[旅客 1]。 2000年度(平成12年度)以降の推移は以下の通り。
JR貨物
駅周辺石和温泉郷への最寄り駅と同時に笛吹市の中心駅。2004年(平成16年)の合併までは駅名と同じ石和町の中心駅であった。 北口北口は2016年(平成28年)2月12日より供用開始。 南口駅開業時から存在。改修前はタクシー駐車場などがあったが2008年(平成20年)4月1日に整備が行われロータリー化している。
バス路線石和温泉駅のロータリー内や山梨県道302号、国道411号沿いにバス停がある。いずれも南口側であり、北口側には存在しない。以下石和温泉駅から近い順に記載する。 ロータリー内南口駅前のロータリー内に「石和温泉駅」停留所が設置されており、栄和交通・笛吹市営バス(芦川バスの運行は富士急バスに委託)・富士急バス・山梨交通の路線が発着する。なお、のりばは行先とは無関係に、「路線バス乗降場」「市営バス乗降場」と言う分け方がされている。
山梨県道302号沿い南口駅前より南に延びる山梨県道302号沿いに山梨交通の「石和温泉駅入口」停留所がある。下記の富士急バスの同名のバス停とは場所が異なる。
国道411号沿い一般路線バスのバス停がある。停留所名は山梨交通と一宮循環バスが「石和八幡宮」、芦川バスを含む富士急バスが「石和温泉駅入口」となっている。 また、上記のバス停より東の国道411号沿いに高速バスが停車する「石和」停留所がある。
隣の駅脚注記事本文注釈出典
利用状況
参考文献関連項目外部リンク
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