社会主義インターナショナル(しゃかいしゅぎインターナショナル、英語: Socialist International[2][4]、略称: SI[1])は、民主社会主義[6]や社会民主主義を掲げる政党の国際組織である[2][3][5][8]。本部はロンドン[2][3][8]。
イギリスの労働党、フランスの社会党、ドイツの社会民主党、イタリアの社会党、オーストリアの社会民主党など欧州の社会民主主義政党を中心にして1951年に創設された[2]。2023年現在、議長はペドロ・サンチェス。日本は社会民主党が加盟している。
概説
コミンテルン
社会主義者の国際組織である第二インターナショナルが崩壊後、第三インターナショナル(コミンテルン)と社会主義インターナショナルがそれぞれ結成された。
1889年設立の第二インターナショナルは1914年の第一次世界大戦勃発に際し、「城内平和」路線を取って自国の戦争行為を肯定する祖国防衛派が多数派となったことで自壊的に崩壊。1919年に共産主義者が第三インターナショナル(コミンテルン)を結成した。
社会民主主義者は1923年に労働社会主義インターナショナルを結成し、第二次世界大戦後の1951年6月に現在の社会主義インターナショナルに再結成された。
社会主義インターナショナルは、反共主義、反新自由主義と、自由、人権、民主、平等、博愛などのフランス革命やアメリカ独立革命の精神、および複数政党制、市場経済、社会的連帯、働く者の権利(労働基本権)、富の再分配などを提唱している。著名な行動には、5月1日を国際労働者の日(メーデー)とした1889年の宣言や、3月8日を国際婦人デーとした1910年の宣言があるが、これらは正確には第二インターナショナル時代のものである。
社会主義インターナショナルの関連組織には、1953年から段階的に創立された、ヨーロッパ各国の社民主義政党によって構成される欧州規模の政党の欧州社会党(PES:The Party of European Socialists)などがある。
共産党の受け入れ
第二次世界大戦後、スペインとポルトガルで独裁政治が民主主義に取ってかわった時、社会民主主義政党の再建を援助した。反共主義の立場をとっていたため、加盟政党と共産主義国との接触を長く禁じていたが、1974年には個別に接触をしてもよいこととなった。
社会主義インターナショナルは、加盟政党として新たに旧イタリア共産党が社民主義に転換した左翼民主主義者(PDS)、モンゴル人民党(MPP)やモザンビーク解放戦線(FRELIMO)などの旧共産主義政党も受け入れた。南アフリカのアフリカ民族会議のような党内の執行委員会に共産党が存在する政党も例外的に加盟している。
2006年のスペインで開催された世界大会には、アメリカ民主党のリベラル派議員として知られ、2004年アメリカ合衆国大統領選挙の候補者にもなったハワード・ディーン(民主党全国委員会委員長)が来賓として招かれた。
独裁政党との関係
2012年、いくつもの非民主的な国の独裁政党が社会主義インターナショナルに加入していることを批判していたドイツ社会民主党が、社会主義インターナショナルへの10万ポンドの会費の支払いを停止した[9]。これを契機として2013年にはドイツ社会民主党が中心となってドイツ・ライプツィヒにおいて新たな社会民主主義の国際組織進歩同盟が設立される[10]。社会主義インターナショナルは進歩同盟から挑戦を受け、国際社会民主主義運動は分裂状態になっている[11]。
歴史
世界大会
- フランクフルト 1951年
- ミラノ 1952年
- ストックホルム 1953年
- ロンドン 1955年
- ウィーン 1957年
- ハンブルク 1959年
- ローマ 1961年
- アムステルダム 1963年
- ブリュッセル 1964年
- ストックホルム 1966年
- イーストボーン 1969年
- ウィーン 1972年
- ジュネーヴ 1976年
- バンクーバー 1978年
- マドリード 1980年
- アルブフェイラ 1983年
- リマ 1986年
- ストックホルム 1989年
- ベルリン 1992年
- ニューヨーク 1996年
- パリ 1999年
- サンパウロ 2003年
- アテネ 2008年
- ケープタウン 2012年
- カルタヘナ 2017年
- マドリード 2022年
歴代議長
- 出典:“FORMER PRESIDENTS of the SOCIALIST INTERNATIONAL(社会主義インターナショナルの過去の議長)”. 社会主義インターナショナル. 2013年3月10日閲覧。
加盟政党
2019年10月時点
アジア・オセアニア
アフリカ
南北アメリカ
ヨーロッパ
- 出典:“MEMBER PARTIES of the SOCIALIST INTERNATIONAL”. SI(社会主義インター). 2015年4月26日閲覧。“SI Member Parties in Government” (PDF). SI (2015年3月). 2015年4月26日閲覧。
諮問政党
2019年10月時点
オブザーバー政党
2024年7月時点
かつて加盟していた主な政党
脚注
- ^ a b デジタル大辞泉 コトバンク. 2018年10月16日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 コトバンク. 2018年10月16日閲覧。
- ^ a b c d e f 百科事典マイペディア コトバンク. 2018年10月16日閲覧。
- ^ a b c 世界大百科事典 第2版 コトバンク. 2018年10月16日閲覧。
- ^ a b c d e f 日本大百科全書(ニッポニカ) コトバンク. 2018年10月16日閲覧。
- ^ a b c ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - コミスコ コトバンク. 2018年10月16日閲覧。
- ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - 国際圧力団体 コトバンク. 2018年10月16日閲覧。
- ^ a b c d e 大辞林 第三版 コトバンク. 2018年10月16日閲覧。
- ^ “SPD will Sozialistischer Internationale den Geldhahn zudrehen und den Mitgliedsbeitrag nicht zahlen – SPIEGEL ONLINE”. Der Spiegel. (2012年1月22日). http://www.spiegel.de/spiegel/vorab/a-810543.html 2013年5月23日閲覧。
- ^ “Social Democrats Seek Revival on 150th b-day – The Local”. Thelocal.de (2013年5月22日). 2013年5月23日閲覧。
- ^ “Socialist International, facing uncertain future, meets in Colombia”. Peoples World. 2019年10月17日閲覧。
- ^ 山田俊雄・吉川泰雄編 『角川新国語辞典』 角川書店、1990年(94版発行)、1474頁。ISBN 4-04-011600-3。
- ^ “Member Parties”. Socialist International. 2021年4月6日閲覧。
- ^ For a new course in Egypt 29 January 2011。社会主義インターナショナル
- ^ SI Presidium addresses situation in Côte d'Ivoire 19 March 2011。社会主義インターナショナル
- ^ SI decision on Tunisia 17 January 2011。社会主義インターナショナル
- ^ XXIV Congress DECISIONS ON MEMBERSHIP 30 August - 1 September。社会主義インターナショナル
- ^ “Decision regarding membership of A Just Russia-Patriots-For the Truth Party” (英語). Socialist International (7 March 2022). 2022年3月24日閲覧。
関連項目
外部リンク