『べらぼう 〜蔦重栄華乃夢噺〜』(べらぼう つたじゅうえいがのゆめばなし)は、2025年(令和7年)1月5日から放送されているNHK大河ドラマ第64作[1]。
主人公は蔦重(つたじゅう)こと蔦屋重三郎。脚本は森下佳子[1]。主演は横浜流星[1]。
制作
2023年4月27日に制作発表が行われた。主演を横浜流星が、脚本を森下佳子が担当し2024年夏にクランクイン予定であることが発表された。横浜は、NHKドラマおよび大河ドラマ初出演となる[1]。
本作は、大きな戦が全くなかった18世紀後半を舞台としており、この時代が描かれるのは大河史上初である[2]。
出演者発表は、第一弾が2023年10月5日に[3]、第二弾が2024年2月19日に[4]、第三弾が2月21日に[5]、第四弾が4月15日と4月16日に[6][7]、第五弾が4月30日に[8]、第六弾が6月10日に[9]、第七弾が7月15日に[10]、第八弾が8月27日に[11]、第九弾が9月19日に[12]、第十弾が9月27日に[13]、第十一弾が2025年1月11日に[14]行われた。
2024年6月7日、題字が発表された[15]。10月26日、音楽・指揮者の発表と、グローバルVer.のビジュアルならびに特報動画が公開された[16]。11月12日、「放送100年企画」と冠したメインビジュアルが公開された[17][18]。
2024年12月12日、劇中の語りをかつて吉原遊廓内に存在した九郎助稲荷という設定で綾瀬はるかが担当することが発表された[19]。
タイトルの『べらぼう』とは「たわけ者」「バカ者」、転じて「甚だしい」「桁外れな」という意味[20]。制作統括の藤並英樹は「蔦屋重三郎はきっと『べらぼう奴()!』と罵られていた」と想定し、それが時代の寵児になっていくという様に、「親しみと尊敬を込めた言葉として『べらぼう』と名付けました」と説明している[21]。
国際放送での英語タイトルは、「とらわれない」「縛られない」などを意味する『UNBOUND(アンバウンド)』。なお、Unboundには「未製本」の意味もあり、出版に携わる蔦重を暗喩している[16]。
登場人物
吉原
蔦屋と駿河屋
- 蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)
- 演:横浜流星(幼少期:高木波瑠〈柯理〉[22])
- 主人公。茶屋「蔦屋」を事実上経営しつつ貸本業を営む青年。通称は蔦重(つたじゅう)・重三(じゅうざ)、別名は蔦唐丸(つたのからまる)[注釈 1]。
- 7歳の頃に両親に捨てられ駿河屋に拾われるが、他の孤児たちにいじめられる。その頃に寄り添ってくれた朝顔に恩義を感じており、彼女の死をきっかけに女郎たちを飢えさせないよう吉原に客を呼び戻そうと奔走するようになる。
- 駿河屋市右衛門(するがや いちえもん)
- 演:高橋克実
- 引手茶屋「駿河屋」の主人。重三郎の養父。
- 吉原の孤児を拾っては大人になるまで育て奉公に出すなどしている。
- ふじ
- 演:飯島直子
- 駿河屋の女将。重三郎の養母。
- 蔦屋次郎兵衛(つたや じろべえ)[注釈 2]
- 演:中村蒼
- 駿河屋市右衛門とふじの実子。重三郎の義兄。
- 蔦屋の主人だが駿河屋の跡取り息子だからか仕事熱心ではなく・蔦屋を重三郎に事実上経営させている。
- 唐丸(からまる)
- 演:渡邉斗翔
- 重三郎の仕事を手伝う少年。
- 明和の大火の際に一人で火の方へ行こうとしていたところを重三郎に保護される。親も自分の名前も覚えていないことから、重三郎の幼名に因んで唐丸と名付けられ、蔦屋に引き取られる。
- 丁稚
- 演:石塚陸翔[23]
松葉屋
- 花の井(はなのい)
- 演:小芝風花(幼少期:前田花[23]〈あざみ〉)
- 重三郎の幼馴染。女郎屋「松葉屋」の呼出花魁。のちの五代目・瀬川[4]。
- 幼い頃は朝顔付きの禿であったため、朝顔を慕い続け、食事や薬を重三郎に届けさせるなど気にかける。
- 松葉屋半左衛門(まつばや はんざえもん)
- 演:正名僕蔵
- 松葉屋の主人。
- いね
- 演:水野美紀
- 松葉屋の女将。
- うつせみ
- 演:小野花梨
- 松葉屋の座敷持花魁。
- 松の井(まつのい)
- 演:久保田紗友
- 松葉屋の呼出花魁。
- とよしま
- 演:珠城りょう
- 松葉屋の番頭新造。
- まさ
- 演:山下容莉枝
- 松葉屋の遣り手。
- さくら / あやめ
- 演:金子莉彩 / 吉田帆乃華
- 花の井付きの禿。
- はなぞの / はなさと
- 演:平尾菜々花 / 齋藤さくら
- 振袖新造(はなぞの)[23]。
大文字屋
- 大文字屋市兵衛(だいもんじや いちべえ)
- 演:伊藤淳史
- 女郎屋「大文字屋」の主人。
- 女郎に安いカボチャを食べさせて成り上がった。
二文字屋(にもんじや)
- きく
- 演:かたせ梨乃
- 浄念河岸の女郎屋「二文字屋」の女将。
- 朝顔(あさがお)
- 演:愛希れいか
- 二文字屋の女郎。
- 元は松葉屋の花魁であったが、優しい性格が災いし、きつい客を引き受けたり食事を周囲に分け与えたりしていた結果、体を壊して二文字屋に行きつく。重三郎の見舞いを楽しみにしていたが、飢えと胸の病から亡くなり、身ぐるみを剝がされて他の死んだ女郎たち(演:吉高寧々 / 藤かんな / 与田りん[25])と共に投げ込み寺に打ち捨てられる。
- ちどり
- 演:中島瑠菜
- 二文字屋の女郎。
- 空腹にあえいでいた時に朝顔に弁当を譲られて食べ、その後まもなく朝顔が死去してしまったことを気に病み、重三郎と花の井に朝顔の死を伝える。
- 春風(はるかぜ) / 音羽(おとわ) / 歌浦(うたうら)
- 演:青山美郷 / 大田路 / 馬渡綾
- 二文字屋の女郎。
その他(吉原)
- 半次郎(はんじろう)
- 演:六平直政
- そば屋「つるべ蕎麦」の店主。
- りつ
- 演:安達祐実
- 女郎屋「大黒屋」の女将。
- 扇屋宇右衛門(おうぎや うえもん)
- 演:山路和弘
- 女郎屋「扇屋」の主人。
- 丁子屋長十郎 / 長崎屋小平治 / 桐屋伊助 / 伊勢屋九平治 / 玉屋庄兵衛 / 万字屋半四郎 / 泉屋与市 / 井筒屋孫兵衛 / 山口巴屋平助
- 演:島英臣(丁子屋) / 千葉清次郎(長崎屋) / キンタカオ(桐屋) / 会田泰弘(伊勢屋) / 岡山和之(玉屋) / 岡けんじ(万字屋) / 車邦秀(泉屋) / 佐藤政之(井筒屋) / 真木仁(山口巴屋)
- 吉原の大店の主人たち。
- 志津山(しづやま) / 亀菊(かめぎく) / 勝山(かつやま) / 常磐木(ときわぎ) / 玉川(たまかわ) / 嬉野(うれしの)
- 演:東野絢香(志津山) / 大塚萌香(亀菊) / 平館真生(勝山) / 椛島光(常磐木) / 木下晴香(玉川) / 染谷知里(嬉野)
- 『一目千本』にて花に見立てられた花魁たち。
江戸市中
出版人たち
- 鱗形屋孫兵衛(うろこがたや まごべえ)
- 演:片岡愛之助
- 重三郎と知り合いの地本問屋。
- 長兵衛(ちょうべえ)
- 演:三浦獠太
- 鱗形屋孫兵衛の跡取り息子[11]。
- 藤八(とうはち)
- 演:徳井優
- 鱗形屋の番頭[11]。
- 小泉忠五郎(こいずみ ちゅうごろう)
- 演:芹澤興人
- 吉原細見の改めの担当者[8]。
- 徳兵衛(とくべえ)
- 演:山本圭祐
絵師・文人・学者
- 平賀源内(ひらが げんない)
- (厠の男→平賀源内)
- 演:安田顕
- 重三郎と知り合いになる炭売り。正体は平賀源内。
- 重三郎が奉行所に岡場所の警動を依頼するも取り合ってもらえず、文句を言っていたのを偶然聞き、田沼意次に訴え出ることを提案する。
- 小田新之助(おだ しんのすけ)
- 演:井之脇海
- 源内と共に行動する浪人。
- 平沢常富(ひらさわ つねまさ)
- 演:尾美としのり
- 吉原の客。源内の知り合い。
- 瀬川菊之丞(せがわ きくのじょう)
- 演:花柳寿楽[注釈 3]
- 歌舞伎役者。源内の亡き恋人。
- 北尾重政(きたお しげまさ)
- 演:橋本淳
- 重三郎が『一目千本』の作画を依頼した絵師。
その他(江戸市中)
- 和泉屋三郎兵衛(いずみや さぶろべえ)[注釈 4]
- 演:田山涼成
- 花の井の馴染客。
- 田沼屋敷に出入りしており、田沼意次に会おうとする重三郎に利用される。
- 八五郎(はちごろう) / 熊吉(くまきち)
- 演:阿部亮平 / 山根和馬
- 吉原の客。
- 湯屋の主人
- 演:ジェームス小野田
- 重三郎が『一目千本』の見本を配った湯屋の主人。
江戸幕府
徳川一族と関係者
- 徳川家治(とくがわ いえはる)
- 演:眞島秀和
- 江戸幕府第10代将軍。
- 知保の方(ちほのかた)
- 演:高梨臨
- 家治の側室。
- 高岳(たかおか)
- 演:冨永愛
- 大奥老女。
- 一橋治済(ひとつばし はるさだ)
- 演:生田斗真
- 家治の従兄弟。一橋家当主。
- 豊千代(とよちよ)
- 治済の嫡男。
- 大崎(おおさき)
- 演:映美くらら
- 豊千代の乳母。
- 田安治察(たやす はるあき)
- 演:入江甚儀
- 家治の従兄弟。田安家当主。
- 田安賢丸(たやす まさまる)
- 演:寺田心
- 治察の弟。のちの松平定信。
- 宝蓮院(ほうれんいん)
- 演:花總まり
- 治察の母。
- 清水重好(しみず しげよし)
- 演:落合モトキ
- 家治の弟。清水家当主。
幕閣とその関係者
- 田沼意次(たぬま おきつぐ)
- 演:渡辺謙
- 江戸幕府老中。
- 商人から賄賂を受け取る一方で町人の話も聞き届ける度量を持つ。不躾に岡場所の警動を訴え出てきた重三郎の話を聞いた上で吉原のために国益を損なわせることはできないと説き、まずは自ら客を呼ぶ工夫をすべきと指摘する。
- 田沼意知(たぬま おきとも)
- 演:宮沢氷魚
- 意次の嫡男。
- 屋敷の来客用に用意されていた料亭製の弁当を下女(演:景井ひな[26])にこっそり分け与えるなど心優しい青年。
- 松平武元(まつだいら たけちか)
- 演:石坂浩二
- 江戸幕府老中首座。
- 松平康福(まつだいら やすよし)
- 演:相島一之
- 江戸幕府老中。
- 松平輝高(まつだいら てるたか)
- 演:松下哲
- 三浦庄司(みうら しょうじ)
- 演:原田泰造
- 田沼家用人。
その他の幕臣とその関係者
- 長谷川平蔵宣以(はせがわ へいぞう のぶため)
- 演:中村隼人
- 旗本。明和の大火の放火犯を検挙した火付盗賊改め・長谷川平蔵宣雄の息子。のちに鬼平と称される。
- 当主になって間もなく訪れた吉原で、花魁道中をしていた花の井に一目ぼれする。吉原のしきたりを何も知らない振る舞いから重三郎に「世間知らずの鴨」と見なされ、利用される。
- 磯八(いそはち) / 仙太(せんた)
- 演:山口祥行 / 岩男海史
- 長谷川平蔵の腰巾着。
その他
- 九郎助稲荷(くろうすけいなり)
- 演:綾瀬はるか
- 本作の語り手。狐の像の化身として登場し、スマートフォンを用いるなど現代的な観点からの解説も交えつつ物語を案内する。
登場予定の人物
スタッフ
紀行
放送
放送時間
ダイジェスト
放送日程
- 視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。
ドラマ舞台地の対応と関連イベント
- 幟を立てるなどの対応をとる蔦重ゆかりの地
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新吉原花園池(弁天池)跡
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九郎助稲荷神社を合祀する
吉原神社
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【関連イベント】
- 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」展
- 2024年12月20日 - 2025年2月16日 / 台東区立中央図書館に併設されている郷土・資料調査室にて、蔦重が出版した『吉原細見』に関する企画展「吉原細見の世界3 後編」を開催(2014年の「吉原細見の世界」、2019年の「吉原細見の世界2」、2024年6月「吉原細見の世界3 前編」に続く企画)[34]。
- 2024年12月23日 - 2025年1月24日 / 台東区役所のアートギャラリーにて、「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」パネル展in台東区を開催[35]。
- べらぼうフェスティバル[36]
- 2025年1月11日 - 13日 / 渋谷スクランブル交差点に面したQFRONTにて、NHK公式の「べらぼうフェスティバル」が開催。吉原の通りを再現した空間での衣装展示が行われた。隣接する渋谷蔦屋書店ではべらぼうの世界観や江戸の風情を感じるオリジナル商品の販売も実施[37]。
- 2025年1月24日 - 2月2日 / 同企画を高松駅のイベントスペースにて開催。
- 2025年2月15日 - 24日 / 同企画を福島県のこむこむ(福島市 子供の夢を育む施設 こむこむ館)にて開催。
- 2025年3月1日 - 2日 / 同企画をNHK横浜放送局(NHK横浜フェスタ会場)にて開催。
- 2025年3月2日 / 同企画をみなとみらい線日本大通り駅のイベントスペースにて開催。
- 2025年1月18日 - 2026年1月12日 / 蔦重が吉原で開業した貸本屋の耕書堂を模した観光案内所と土産物屋を開設[38]。
- 2025年1月26日 - 2026年1月12日 / 田沼意次ゆかりの静岡県牧之原市史料館で「田沼意次の新時代展」と「大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』展・静岡まきのはら」が開催される[39]。
- 2025年2月1日 - 2026年1月12日 / 東京都立産業貿易センター台東館のうち台東区民会館の9階ホールを「べらぼう 江戸たいとう 大河ドラマ館」として開設[40]。
- 2025年4月22日 - 6月15日 / 東京国立博物館において特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」開催[41]。
関連商品
書籍
- 公式ガイドブック
-
- ノベライズ
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脚注
注釈
- ^ 第1回放送より。
- ^ キャストクレジットは次郎兵衛。
- ^ 所作指導を兼任。
- ^ キャストクレジットは和泉屋。
- ^ BSプレミアム4Kは同日放送回の再放送
- ^ 有難山の鳶烏 コトバンク
出典
参考文献
外部リンク
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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関連項目 |
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