アトラス [ 6] [ 7] (Saturn XV Atlas) は、土星 の第15衛星 である。
アトラスは、ボイジャー1号 が撮影した写真の中から Richard Terrile によって1980年 に発見され、S/1980 S 28 という仮符号 が与えられた[ 8] 。その後1983年 9月30日にギリシア神話 に登場するアトラス にちなんで命名され、Saturn XV という確定番号が与えられた[ 9] 。
アトラスは土星の環 のA環 の明瞭な外縁に非常に近い軌道を公転しており、長い間A環の羊飼い衛星 としての役割を果たしていると考えられてきた。しかし現在では、A環の外縁はアトラスによってではなく、遠方を公転しているがアトラスよりも重い衛星であるヤヌス およびエピメテウス との 7:6 の軌道共鳴 によって維持されていることが知られている[ 10] 。2004年 には、土星探査機カッシーニ の観測によってアトラスの軌道に沿った薄く細い環が発見されており、環の仮符号としてR/2004 S 1 が与えられている[ 11] 。
2005年 6月にカッシーニによって撮影された高分解能の画像によって、アトラスの詳細な形状が明らかになった。これによると、アトラスの形状はほぼ球形の中心部のまわりに、滑らかな赤道面のエッジを持つ構造をしている。この形状が形成された原因としてもっともらしい理由は、環の物質がアトラスの表面に降り積もったというものであり、環の分布が非常に薄いためにアトラスの赤道上に選択的に降り積もったために円盤のような特殊な形状になったと考えられている。実際にアトラスのリッジ構造の大きさはこの衛星のロッシュ・ローブ の大きさと近い[ 10] 。
アトラスはプロメテウス から大きな影響を受けており、またパンドラ からも弱く影響を受けている。このため、およそ3年の周期で歳差運動をするケプラー軌道から最大で 600 km (~0.25°)の経度の偏差を起こす。プロメテウスとパンドラの軌道はカオス的であるため、アトラスの軌道も同様にカオス的だろうと考えられている[ 1] 。
2006年 6月8日 に撮影したカッシーニが撮影したアトラス
出典
^ a b c d e Spitale, J. N.; Jacobson, R. A.; Porco, C. C.; Owen, W. M., Jr. (2006). “The orbits of Saturn's small satellites derived from combined historic and Cassini imaging observations” . The Astronomical Journal 132 (2): 692–710. Bibcode : 2006AJ....132..692S . doi :10.1086/505206 . https://iopscience.iop.org/1538-3881/132/2/692/pdf/1538-3881_132_2_692.pdf .
^ a b c Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters ”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics . ジェット推進研究所 . 2018年11月24日 閲覧。
^ a b c d e Thomas, P. C. (July 2010). “Sizes, shapes, and derived properties of the saturnian satellites after the Cassini nominal mission” . Icarus 208 (1): 395–401. Bibcode : 2010Icar..208..395T . doi :10.1016/j.icarus.2010.01.025 . http://www.ciclops.org/media/sp/2011/6794_16344_0.pdf .
^ a b NASA (2017年12月5日). “By the Numbers | Atlas – Solar System Exploration: NASA Science ”. アメリカ航空宇宙局 . 2018年11月24日 閲覧。
^ Jet Propulsion Laboratory (2015年2月19日). “Planetary Satellite Physical Parameters ”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics . ジェット推進研究所 . 2018年11月24日 閲覧。
^ 『オックスフォード天文学辞典』(初版第1刷)朝倉書店、6頁。ISBN 4-254-15017-2 。
^ “太陽系内の衛星表 ”. 国立科学博物館 . 2019年3月9日 閲覧。
^ Brian G. Marsden (1980年11月13日). “IAUC 3539: 1980q; 1980 S 28 ”. Central Bureau for Astronomical Telegrams . 国際天文学連合 . 2018年11月24日 閲覧。
^ Brian G. Marsden (1983年9月30日). “IAUC 3872: GX 1+4; Sats OF JUPITER AND SATURN ”. Central Bureau for Astronomical Telegrams . 国際天文学連合 . 2018年11月24日 閲覧。
^ a b Lakdawalla, Emily (2007年6月13日). “Funny little Atlas ”. The Planetary Society weblog . 2011年12月30日 閲覧。
^ Daniel W. E. Green (2004年9月9日). “IAUC 8401: S/2004 S 3, S/2004 S 4,, R/2004 S 1; 2004eg, 2004eh,, 2004ei ”. Central Bureau for Astronomical Telegrams . 国際天文学連合 . 2018年11月24日 閲覧。
外部リンク