タルボス [ 6] (Saturn XXI Tarvos) は、土星 の第21衛星 である。順行 軌道で土星を公転する不規則衛星 で、ガリア群 に属する[ 4] 。
発見と命名
2000年 9月23日に、ブレット・J・グラドマン らの観測チームにより発見された。観測にはカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡 や新技術望遠鏡 などが用いられた[ 7] 。発見は同年10月25日に国際天文学連合 のサーキュラーで公表され、S/2000 S 4 という仮符号 が与えられた[ 7] [ 8] 。その後2003年 8月8日に、ケルト神話 に登場する牡牛、タルヴォス・トリガラヌス (英語版 ) に因んで命名され、Saturn XXI という確定番号が与えられた[ 9] 。
特徴
タルボスの直径は、アルベド を 0.06 と仮定すると 15 km と推定される。5,000年以上の時間スケールによる数値積分 で平均化された土星からの軌道長半径 は 18,215,100 km であり、およそ 926 日かけて土星を一周している。ガリア群に分類される衛星の中では最も軌道離心率 が大きい楕円軌道で公転しており、2023年6月時点で確認されている土星の衛星の中では9番目に軌道離心率が大きい[ 3] 。
タルボスが属しているガリア群の衛星は軌道要素や物理的特徴が類似しているため起源が共通していると考えられており、共通の母天体が破壊された結果として、現在のガリア群に属する衛星が形成されたか[ 1] [ 10] 、あるいは一番大きいアルビオリックス の破片から形成された可能性がある[ 11] 。2002年 には北欧光学望遠鏡 を用いてタルボスを含む土星の小さい不規則衛星の観測が行われており、色指数 は B-V=0.77、V-R=0.57、V-I=0.88 と測定されている[ 1] 。
脚注
注釈
^ 密度が 1.0 g/cm3 で、直径 15 km の完全な球体であると仮定したときの質量となる。
出典
^ a b c d e f Grav, Tommy; Holman, Matthew J.; Gladman, Brett J.; Aksnes, Kaare (2003). “Photometric survey of the irregular satellites”. Icarus 166 (1): 33–45. arXiv :astro-ph/0301016 . doi :10.1016/j.icarus.2003.07.005 . ISSN 00191035 .
^ NASA (2017年12月5日). “In Depth | Tarvos – Solar System Exploration: NASA Science ”. アメリカ航空宇宙局 . 2018年12月17日 閲覧。
^ a b c d e f g h i Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters ”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics . ジェット推進研究所 . 2018年12月17日 閲覧。
^ a b Scott S. Sheppard . “Saturn Moons ”. Carnegie Science . 2019年11月2日 閲覧。
^ Denk, T.; Mottola, S. (2019). Cassini Observations of Saturn's Irregular Moons (PDF) . 50th Lunar and Planetary Science Conference. Lunar and Planetary Institute.
^ “衛星日本語表記索引 ”. 日本惑星協会 . 2019年3月14日 閲覧。
^ a b Daniel W. E. Green (2000年10月25日). “IAUC 7513: S/2000 S 3, S/2000 S 4 ”. Central Bureau for Astronomical Telegrams . 国際天文学連合 . 2018年12月19日 閲覧。
^ “土星に4個の新衛星 ”. 国立天文台・天文ニュース (388) . 国立天文台 (2000年10月26日). 2018年12月19日 閲覧。
^ Daniel W. E. Green (2003年8月8日). “IAUC 8177: Sats OF (22); Sats OF JUPITER, SATURN, URANUS ”. Central Bureau for Astronomical Telegrams . 国際天文学連合 . 2018年12月19日 閲覧。
^ Gladman, Brett; Kavelaars, J. J.; Holman, Matthew; Nicholson, Philip D.; Burns, Joseph A.; Hergenrother, Carl W.; Petit, Jean-Marc; Marsden, Brian G. et al. (2001). “Discovery of 12 satellites of Saturn exhibiting orbital clustering”. Nature 412 (6843): 163–166. doi :10.1038/35084032 . ISSN 0028-0836 .
^ Grav, T; Bauer, J (2007). “A deeper look at the colors of the saturnian irregular satellites”. Icarus 191 (1): 267–285. arXiv :astro-ph/0611590 . doi :10.1016/j.icarus.2007.04.020 . ISSN 00191035 .
関連項目