17世紀の終わりになると、天文学者はこれらの4衛星とタイタンをあわせ、Saturn I から Saturn V というように番号で呼ぶようになった。ディオネとテティスの発見前はレアは Saturn I と呼ばれており、発見後には Saturn III と呼ばれるようになった。1789年にミマスとエンケラドゥスが発見されるとこの命名方法は Saturn VII まで拡張され、古い5衛星の番号を押し上げる形で番号が振り直された。これによりレアは Saturn V と呼ばれるようになった。この方式が続いたのは1848年にヒペリオンが発見されるまでであり、この時はイアペトゥスの番号が Saturn VIII に変更された。
これらの衛星に現在知られている名前を与えたのは、天文学者のジョン・ハーシェルである。1847年に発表した『Results of Astronomical Observations made at the Cape of Good Hope』の中で、7つの衛星に対して命名した。レアの名前は、ギリシア神話の巨神族(ティーターン)であるレアーに由来する[11][12][14]。
カッシーニによる観測が行われる前は、レアは中心に岩石の核を持つ分化した構造であると考えられていた[15]。しかしカッシーニによるレアのフライバイ観測によって得られたデータからは、この考えは正しくない可能性が指摘されている。2007年に行われた研究では、レアの慣性モーメントの値はおよそ 0.4 kg m2 であると推定されている[16]。中心に岩石の核が存在する内部構造を持つ場合、慣性モーメントは 0.34 kg m2 程度の値になることが予想されるが、推定された値からは、レアの内部はほとんど一様で、中心付近でやや圧縮された氷が存在するという内部構造であることが示唆された。しかし同じ年の異なる研究では、慣性モーメントは 0.37 kg m2 と推定された。この結果は、レアは完全に分化しているか部分的に分化しているかのどちらとも取れる値である[17]。その翌年には、レアは静水圧平衡の状態になく、そのため重力データのみから天体の慣性モーメントは決定できないとする論文も発表されている[18]。2008年になって、これらの異なる結果を統一することを目指した研究が行われた。その結果、解析に用いられたカッシーニの電波ドップラーデータに系統誤差が存在することが判明し、さらに探査機がレアに最も接近した際に得られたデータのみに限定して解析を行うと、レアは静水圧平衡の状態にあり、慣性モーメントは 0.4 kg m2 程度であると推定された。そのため、レアの内部は一様であることが示唆される[19]。
レアの表面の特徴はディオネと類似している。どちらも公転の先行半球と後行半球で異なる特徴を示しており、両方ともに似た組成で似た経緯を辿ってきたことを示唆している。直射日光が当たる部分の温度は 99 K (-174℃) であり、影となる部分は 53 K (-220℃) から 73 K (-200℃) の間の値を取る。
レアの表面は非常にクレーターが多いが[22]、後行半球にはディオネに見られるようなカズマ地形や破砕地形がいくつか存在し[23]、さらに赤道には環から降り積もったと思われる非常にかすかな線状の地形がある[24]。レアは2つの非常に大きな衝突盆地を持っており、共に土星の反対側の半球に存在する。直径は 400 km と 500 km である[23]。北側にありあまり風化が進んでいない方のクレーターは Tirawa と名付けられており、テティスに存在するクレーターであるオデュッセウスと概ね同程度である[22]。西経112度には直径が 48 km のクレーターがあり、明るい光条が広がっている[23]。このクレーターは Inktomi と命名されているが、「The Splat」[注 2]というニックネームも付けられており、土星の内部衛星群に見られるクレーターの中では最も形成年代が新しい[23]。またレアの表面では何らかの内因性の活動を示す兆候は発見されていない[23]。
レアの表面は、クレーター密度の違いによって地質学的に異なる2つの領域に分けることができる。一方は直径が 40 km を超えるクレーターが存在しているが、もう一方はそれよりも小さいサイズのクレーターしか存在しない。極域や赤道領域は後者である。このことは、形成のどこかの段階で大規模な表面の更新があったことを示唆している。公転の先行半球は多くのクレーターが存在し、一様に明るい表面を持つ。カリストと同様に、レアに見られるクレーターには月や水星に見られるような大きな起伏は見られない。このクレーターが多く存在する平原の年齢は、平均で40億歳だと考えられている[4]。後行半球には、暗い表面の上に明るい帯が網目状に走っている地形が発見されている。これらの明るい筋状の構造は、レアがまだ若く内部が液体であった頃の氷火山から噴出した物質からなっていると考えられてきた。しかしディオネに見られる類似した地形の観測からは、筋状の構造は堆積物ではなく破砕した氷の崖であることが分かっている。表面が暗くなっている領域は、複雑な有機化合物の混合物であるソリンが堆積していると考えられる。ソリンは、炭素、窒素と水素を含む単純な化合物が氷の上で熱分解と放射線分解を起こして生成されると考えられる[25]。
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