クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!
『クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!』(クレヨンしんちゃん でんせつをよぶ おどれ!アミーゴ!)は、2006年4月15日に公開された『クレヨンしんちゃん』の劇場映画シリーズ14作目。上映時間は96分。興行収入は約14億円。 概要本物の人間がコンニャクローン技術で作られたクローン人間に襲われて姿を消したり、クローン人間が所々でダンサーや怪物に変身するなど、従来の『クレヨンしんちゃん』の映画にはないホラーでショッキングでサスペンスな描写が続くが、終盤はギャグで締められる。本作の舞台はしんのすけたちが住んでいる春日部のみで、広範囲にわたって展開されている例年の劇場版作品と比較すると規模が小さい。しかし、ジャッキーが「最初に事件が起こったのはアメリカ・カリフォルニア州のサンタモナカ。次はメキシコ、カナダ…、春日部シティは6番目の町」と発言しているので、事件の中核となる“世界サンバ化計画”は世界的なものである。サンタモナカで起きた最初の事件(サンバ・カーニバル)はニュースで中継され、物語の序盤で野原一家がそのニュースを見るシーンがある。この時、中継映像のニュース・キャスターの後ろにジャッキーがチラリと映っている。 本作の脚本は記念すべき第1作『アクション仮面vsハイグレ魔王』以来となる、もとひら了が手がけた。もとひらはこれを置き土産にアニメ業界を去り、僧侶となった。 作中に「ツンデレ」という言葉がでてくるなど、劇場版ならではの監督の趣味要素が見られる。監督自身が溺愛しているという風間トオルの出番も特に多く描写されている。本作では、しんのすけたちがいつも着用している私服姿の描写が少なく、幼稚園のスモックで行動するのが、非常に多く描写されている。また本作の特徴の一つとして、他の劇場版では殆ど出番のない、地上波アニメ版の脇役を務めるキャラの活躍が多めに描かれるという異例の展開が見られる。 劇中に登場する組織「SRI」は、1968年に製作された特撮ドラマ「怪奇大作戦」を始め、いくつかの円谷作品に登場する架空の組織のパロディ。ただしこちらは、科学捜査研究所(Science Research Institute)の略称。「ジャクリーン・フィーニー」の名は、本作がジャック・フィニイの小説「盗まれた街」(The Body Snatchers)[1]にヒントを得ていることを示している。 本作ではまつざか梅先生(ばら組担任)の「自分を犠牲にし、園児(かすかべ防衛隊の野原しんのすけ、風間トオル、桜田ネネ、佐藤マサオ、ボーちゃんの5人)を守る」という勇敢なシーンが描かれた。前述どおり、脇を固めるキャラの活躍頻度が高めな本作であるが、まつざかが劇場版でこういった活躍を見せるのは初めてのことである(もっとも彼女は元々、根は園児想いの義理人情に厚い性格である)。 もえPと葉月が劇場版に初登場している。 本作以降の鳩ヶ谷ミッチー役は第11作『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』まで担当した草地章江に代わり、2004年6月から同役を引き継いだ大本眞基子が担当する。 第5作目『暗黒タマタマ大追跡』以来となる、出演者によるタイトルコールが復活した。 本作は、劇場版『クレヨンしんちゃん』シリーズとしては最後のVHSビデオ版発売作品となった。 あらすじよしながみどり、まつざか梅、上尾ますみの三人は居酒屋で話をしていた。まつざかは幼稚園のお遊戯会の出し物としてサンバを踊ろうと提案するが、他の二人は難色を示す。やがて三人は解散してそれぞれの家路に着いたが、人気のない夜道を一人歩いていたよしながは途中で何者かにつけられていると感じ走り出す。そして踏切を渡ったところで、自分そっくりの人間に捕まってしまう。 ある朝、しんのすけはいつものように幼稚園のお迎えバスを待たせていた。すると、バスからやけにノリの良いよしなが。しんのすけは不思議に思いながらもバスに乗り、幼稚園に向かう。幼稚園の休み時間、マサオは「あいちゃんの様子がおかしい」と語る。確かに酢乙女あいは、いつもは無関心なはずのマサオに対しやけに優しかった。マサオが「本物そっくりだけど、本物じゃない」と力説すると、ボーちゃんは「そっくりなニセモノが出没し、本物の人間はいつのまにか姿を消してしまう」という“カスカベ都市伝説”を語り一同を怖がらせた。 数日後、野原一家は大型スーパーマーケットに出かける。迷子になったしんのすけは、みさえとひまわりが2組いるという奇妙な光景を目撃する。しんのすけはニセモノのみさえにお菓子をたくさん買ってあげると言われ捕まりそうになるが、「ツンデレ」と書かれたジャージを着た女性に助けられる。しんのすけが本物のひろしとみさえの元に戻ると、二人も「もう一人の自分に見られているような気がする」と思い始めていた。 そしてその気のせいはついに現実のものとなる。幼稚園で前々から様子のおかしかったよしながと園長先生が、お遊戯会の出し物でサンバを踊ろうと言いだし、曲が流れた途端に踊り出した。どうやらこれはニセモノの習性らしく、あいや黒磯、他の園児達も踊っている。自分たち以外の先生や園児が全員ニセモノに成り代わられていた事を知ったまつざか、上尾、かすかべ防衛隊は危機を察知し幼稚園から逃げ出そうとするが、上尾はニセモノの黒磯の誘惑に負けて捕まってしまい、まつざかはしんのすけたちを逃がすために囮になり捕まってしまう。
その頃、本物のしんのすけとかすかべ防衛隊のメンバーは公園に集まっていたが、まつざかと上尾が自分達の眼前で捕まったのを目撃したにもかかわらず、現状を断固として信じない風間は帰宅。他の隊員も、親たちの様子がおかしければもう一度公園に集まる事を約束して解散する。そして、風間は自宅でニセモノの風間とママに捕まってしまう。 野原家はニセモノの川口に再び見つかり、家に籠城しようとするも、ニセモノのひろしとニセモノの川口に阻止されてしまう。敵に囲まれて絶体絶命になったそのとき、1台の車が野原宅に突っ込んでくる。車には本物のしんのすけと、以前彼を助けたジャージの女性が乗っていた。女性は SRI(Sambano Rhythm Iine:「サンバのリズムいいネェ~」の略)という組織の特捜員で、名前を「ジャクリーン・フィーニー」・通称「ジャッキー」という。しんのすけたちは車に乗り込み、公園でニセモノの風間と謎の人物達に捕まりそうになっていたネネ、マサオ、ボーちゃんを間一髪で助け出した。 しかしその後、ジャッキーの分析で野原一家とネネ・マサオ・ボーちゃんを除く春日部の住人は既に全員ニセモノに成り代わられていたことが判明する。更にニセモノたちは虎視眈々としんのすけやジャッキーが乗ったSRIの車を狙っていた。そこで一同は春日部を脱出して隣町に逃げ込もうと考えかすかべ山の山道を通って脱出を図るが、その途中でヨシりんやミッチーに襲われ、なんとか逃げられたが、その後、バーのママたちに襲われついに捕まってしまう。近くの小屋に連行されたしんのすけたちは、その中がコンニャク工場であり、ここで生産されているコンニャクこそがニセモノの正体だったことを知る。ニセモノの正体はバイオテクノロジーの権威・アミーゴスズキが作り出した「コンニャクローン」という技術によって生み出されたコンニャクを素材とするクローン人間で、この工場で大量のニセモノが生産され、行方不明になっていた本物の人々はアミーゴスズキが放ったコンニャクローンたちに捕まっていたのだった。 アミーゴスズキと対峙し、危機一髪となったしんのすけ一行だったが、そこへジャッキーたちSRIがシロの助けをかりて突入。ジャッキーを殿にアミーゴスズキから逃げ出した一行は、地下室で強制的にサンバを踊らされていた本物の春日部の仲間や市民達を発見し、救い出す。一方ジャッキーは、アミーゴスズキとのダンス対決に苦戦していたが、その場に駆けつけたしんのすけの「おしりさんば」によって、自分だけのサンバを踊るよう勇気づけられたジャッキーは、再びペースを取り戻し、それら見ていた春日部の市民達も踊りだし、しんのすけたちが春日部音頭を踊り始めたことから形勢が逆転、アミーゴスズキは春日部市民たちの音頭の前に圧されてしまう。「みんなと」踊ることへの楽しさに目覚めかけたアミーゴスズキだったが、部下のチコが独断でジャッキーを狙撃してしまう。応戦するかたちでSRIの隊員が放った弾丸によって、アミーゴスズキのサンバステージは崩壊する。ステージの残骸にあゆみよるジャッキーらの前に立ち上がったのはジャッキーそっくりの顔をもつアミーゴスズキだったが、直後彼女の身体はコンニャクに覆われる。コンニャクが流れ落ちた後に現れたのは果たしてジャッキーの父で、本来の姿の「アミーゴスズキ」であった。 アミーゴスズキとジャッキーは和解を成し遂げ、父娘としんのすけたちはサンバを踊るのだった。 登場人物
登場する兵器等
キャスト
スタッフ
主題歌
DVD・Blu-rayテレビ放送
その他
脚注
外部リンククレヨンしんちゃん映画作品 |