ドーグリー文字またはドーグラー文字は、インドのジャンムー一帯で話されるドーグリー語を表記するために用いられていたブラーフミー系文字。タークリー文字を改良したものである。
現在ドーグリー語はデーヴァナーガリーで表記される。
概要
ドーグリー語はジャンムー一帯で話されるインド・アーリア語派の言語である。かつてはパンジャーブ語の「方言」と考えられていたが、パンジャーブ語よりも西パハール語群に近いとも言われる[1]。音声的にはパンジャーブ語と同様に声調があるが、パンジャーブ語と異なって有声帯気音が消滅していない[2]。政治的にはパンジャーブ地方と独立しており、宗教もヒンドゥー教徒が多数を占める[3]。
ドーグリー語はタークリー文字で表記されていたが、ジャンムー・カシュミール藩王国の支配者であったランビール・シングによって1860年代にデーヴァナーガリーやグルムキー文字の影響を受けて文字の改良が行なわれ、公式の文字として制定された。これがドーグリー文字である。1872年にはこの文字による最初の書籍が出版された[4]。
現在ドーグリー語の公式の表記にはデーヴァナーガリーが採用されている[5]。
Unicode
2018年のUnicodeバージョン11で、追加多言語面のU+11800..U+1184Fに追加された[6][7]。
Unicodeではドーグラーの語を採用している。この文字を公式に制定したジャンムー・カシミールのドーグラー朝の名前に通ずること、現代のドーグリー語がもはやこの文字で書かれていないことを理由としている[4]。
Dogra[8]
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U+1181x
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脚注
- ^ Masica (1993) pp.19-20,454,460
- ^ Masica (1993) p.102
- ^ Shackle (2007) p.585
- ^ a b Anshuman Pandey (2015-11-04), Proposal to encode the Dogra script in Unicode, https://www.unicode.org/L2/L2015/15234r-dogra.pdf
- ^ Masica (1993) p.144
- ^ Supported Scripts, Unicode, Inc., https://www.unicode.org/standard/supported.html
- ^ Unicode 11.0.0, Unicode, Inc., (2018-06-05), https://www.unicode.org/versions/Unicode11.0.0/
- ^ Dogra, Unicode, Inc, https://www.unicode.org/charts/PDF/U11800.pdf
参考文献
- Masica, Colin (1993) [1991]. The Indo-Aryan languages (paperback ed.). Cambridge University Press. ISBN 0521299446
- Shackle, Christopher (2007) [2003]. “Panjabi”. In George Cardona; Dhanesh Jain. The Indo-Aryan Languages. Routledge. pp. 581-621. ISBN 9780415772945
外部リンク