マイティリー文字 またはティルフター文字 は、かつてインド のビハール州 および隣接するネパール でマイティリー語 およびサンスクリット の表記のために使われていたブラーフミー系文字 。
基本的な文字の見た目はベンガル文字 に似ているが、子音字と母音記号を組みあわせたときの形や結合子音に大きな違いがある[ 1] 。左から右に書かれるアブギダ である。
概要
マイティリー文字は原ベンガル文字(ガウディー文字)から派生した[ 2] 。主にミティラー 地方(ビハール州北部)のバラモン によって使用された[ 3] 。ビハール州とネパールの寺院に残された碑文のうち、最古のものは13世紀にさかのぼる[ 1] 。
20世紀なかばにはデーヴァナーガリー の使用範囲が拡大し、他の多くの北インドの文字とともにマイティリー文字はデーヴァナーガリーにとってかわられた[ 4] 。
文字の名称としてはマイティリー、ミティラークシャル(ミティラーの文字)、ティルフターが使われる。マイティリー語が歴史的に他の文字でも記されてきたことから、Unicodeでは他の文字と区別するためにティルフターの語を使用する[ 1] 。
Unicode
2014年のUnicode バージョン7.0で、追加多言語面 のU+11480..U+114DFに追加された[ 5] [ 6] 。
Tirhuta [ 7]
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A
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U+1148x
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U+1149x
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U+114Ax
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U+114Bx
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𑒽
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U+114Cx
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𑓇
U+114Dx
𑓐
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𑓔
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𑓘
𑓙
脚注
^ a b c Anshuman Pandey (2011-05-05), N4035 Proposal to Encode the Tirhuta Script in ISO/IEC 10646 , https://www.unicode.org/L2/L2011/11175r-tirhuta.pdf
^ Salomon (1998) p.41
^ 田中(1981) p.204
^ Masica (1993) p.144
^ Supported Scripts , Unicode, Inc., https://www.unicode.org/standard/supported.html
^ Unicode 7.0.0 , Unicode, Inc., (2014-06-16), https://www.unicode.org/versions/Unicode7.0.0/
^ Tirhuta , Unicode, Inc, https://www.unicode.org/charts/PDF/U11480.pdf
参考文献
田中敏雄 著「インド系文字の発展」、西田龍雄 編『世界の文字』大修館書店 、1981年、181-210頁。
Masica, Colin P (1993) [1991]. The Indo-Aryan languages (paperback ed.). Cambridge University Press. ISBN 0521299446
Salomon, Richard (1998). Indian Epigraphy: A Guide to the Study of Inscriptions in Sanskrit, Prakrit, and Other Indo-Aryan Languages . Oxford University Press. ISBN 0195099842
外部リンク