プライドフィッシュプライドフィッシュ(PRIDE FISH)は、全国漁業協同組合連合会(全漁連)が中心となり、各都道府県の漁業協同組合連合会(漁連)・漁業協同組合(漁協)が選定した、漁師が自信をもって推奨する魚介類[1][2]。都道府県を単位として季節ごとに旬を迎える魚介類を選定し、消費者へ訴求している[1]。 経緯21世紀初頭の現今、日本では鮮魚店の減少などを背景に[1]消費者が「本当においしい魚」に接する機会が減少している[1][2]。実際に魚介類の1人当たり消費量は2001年の110 g/日をピークに2013年には74 g/日まで減少している[3]。これに対して水産庁では2012年に「魚の国のしあわせ」と銘打ったプロジェクトを企画し、学校教育を活用した魚食普及や「ファストフィッシュ」と称する手軽に食べられる魚の認定活動を開始した[4][5]。全漁連では、水産物の真価を知ってもらおうとする主旨でプライドフィッシュプロジェクトを開始した[1][2][5]。ファストフィッシュが家庭での簡便な魚食を推進するのに対し、プライドフィッシュはおいしい魚を食べることによる感動体験を推進しており、ファストフィッシュとプライドフィッシュの取り組みは表裏一体の関係にある[5]。 プライドフィッシュプロジェクト企画委員会の初代会長には料理評論家の服部幸應が就任した[1][5]。これまでの魚食普及活動とは異なり、プライドフィッシュサポート協議会を設立し、漁業・水産業関係者だけでなく、小売業・外食産業・生活協同組合・調理師養成施設・観光業の協力をも得ている[5]。2014年6月3日に全漁連がプライドフィッシュプロジェクトの公式サイトを開設し、情報発信を開始した[2]。ここで発信される情報には、プライドフィッシュそのもののだけでなく、プライドフィッシュを販売する店舗や食べることのできる店舗も含まれる[5][6]。PRイベントして、2014年8月7日に東京・六本木の「HAL YAMASHITA東京」にて青森県のマグロや三重県のアワビなど夏のプライドフィッシュ8種を使った「プライドフィッシュPR試食会」が開催された[1]。また同年11月2日には築地市場まつりで全漁連主催の「Fish-1グランプリ」を開催し、プライドフィッシュとファストフィッシュを使った料理コンテストを開催した[7]。初代グランプリには、「伊豆の地キンメ」を使った静岡県のいとう漁業協同組合「金のだし茶漬け」が選ばれた[7]。 プロジェクト開始から1年が経過した2015年7月には34都道府県が110種のプライドフィッシュを制定していた[6]。また京北スーパー[8]や魚喜では一部の店舗でプライドフィッシュの取り扱いを開始し、おいしい魚を求める消費者から評価を得た[3]。しかしながらこれまでの販売店舗は中小事業者が中心であったため、「プライドフィッシュ」の語の認知度はまだ低かった[5]。そこで2015年11月15日からイオンが本州と四国の全店でプライドフィッシュの販売を開始することになったことで認知度の向上が期待された[5]。イオンはその後も2018年の恵方巻商戦に「千葉のつりきんめ」などの7種のプライドフィッシュを使用した「日本のPRIDE海鮮太巻き」を投入するなど販売に努めている[9]。 選定基準プライドフィッシュという名称であるが、魚類に限定せず、海藻類など魚介類全般を対象に選定している[6]。消費者に選択の目安を示すことが目的であるため、数ある「おすすめの魚」の中から魚種数をあえて絞っている[6]。選定作業そのものは管轄する都道府県の漁連・漁協が行い[2]、全漁連が情報を発信するという体制を取っている[6]。選定基準は以下の通りである[5]。
都道府県によってはすべての季節のプライドフィッシュをまだ選定していない場合がある[10]。また、内陸県でプライドフィッシュを制定しているのは滋賀県のみである[10]。佐賀県では海域別のプライドフィッシュを、福岡県は県域のプライドフィッシュと有明海のプライドフィッシュを制定している[10]。 選定に当たっては地元での知名度や消費量、観光客が気軽に食べられることを重視している[8]。例えば、静岡県ではサクラエビやカツオなどの日本国内での認知度の高い魚種が選外になった[11]一方で、あえて他の産地の方がよく知られている「仁科のヤリイカ」を選定した[8]。中には現地でしか入手できないものを選定している場合があり[3]、消費者に対し現地訪問を促している[8][3]。 一覧2024年10月現在[10]。
脚注
関連項目
外部リンク
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