『ミシシッピー・バーニング』(Mississippi Burning)は、1964年に米ミシシッピ州フィラデルフィアで公民権運動家3人が殺害された事件[2]をモデルにしたアメリカ合衆国の社会派映画。1988年公開。アカデミー撮影賞受賞作品。
あらすじ
時は公民権法制定前の1964年。
ミシシッピ州フィラデルフィアで3人の公民権活動家が行方不明となる。それを調査するために、ベテランFBI捜査官2人(ウォードとアンダーソン)が公民権運動家の失踪した田舎町に捜査に行く。ところが、その町では人種差別が公然と行われており、さらに事件の捜査を開始した二人に対し町のKKKや保安官等が捜査の妨害を図ろうとする。しかし、2人は失踪した3人の行方を究明しようと試みるのと同時に、人種差別主義者も追いつめていく。
キャスト
批判
映画では、ウィレム・デフォー演じる米北東部出身のFBI捜査官が、ロバート・ケネディの命により人種差別の根強く残る南部の田舎町へ救世主のごとく現れて孤軍奮闘するが、これは史実に反するとハワード・ジンなどに批判された。
ハワード・ジンは、1963年まで7年間、ジョージア州アトランタの黒人学校で教師をしていた経験から、「歴史や公民権運動を少しでも知っている人なら、この映画の描写には戦慄を覚えるだろう」と述べている。彼によると、当時FBIは公民権運動には非協力的で、まったく当てになるような存在ではなかった[3]。現に、ミシシッピーを含む南部における黒人や公民権運動家たちが受けている暴力や不当逮捕などを司法省に何度通報しても、FBIが捜査するようなことはなく、政府が何か動きを見せるのは、テレビが黒人問題を取り上げてアメリカの失態が世界に報じられたときだけだったと言う。このミシシッピー事件を直接知る公民権運動スタッフのメアリ・キングの著書『Freedom Song』を挙げ、3人がミシシッピーから戻らないことを彼女が何度も司法省などに連絡したがなしのつぶてだったことを指摘し、さらに、この事件の半月ほど前に、ミシシッピーの危険な状況は公聴会などで政府に十分伝えられていたほか、ロバート・ケネディには文書を手渡したうえで、制圧部隊派遣の要請をしたにもかかわらず、政府は何もしなかったと述べている。また、映画には黒人のFBI捜査官が登場するが、1964年当時黒人の捜査官は一人もいなかったことを指摘している[4]。
脚注
- ^ “Mississippi Burning (1988)” (英語). Box Office Mojo. 2011年3月31日閲覧。
- ^ なお、この事件から40余年が過ぎた2009年、フィラデルフィアにもついに黒人市長が誕生した。奇しくもバラク・オバマが黒人初のアメリカ合衆国大統領となった同年である。
- ^ 当時のFBI長官エドガー・フーバー自身が、公民権運動を左翼運動と関連づけて敵対視していた
- ^ http://www.historyisaweapon.com/defcon1/zinnfbi.html Federal Bureau of Intimidation by Howard Zinn
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