『カラーパープル』(The Color Purple)は、1985年のアメリカ合衆国のドラマ映画。監督はスティーヴン・スピルバーグ、出演はウーピー・ゴールドバーグとマーガレット・エイヴリーなど。原作はアリス・ウォーカーの同名小説。
概要
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第58回アカデミー賞で、作品賞を含む10部門で候補(助演女優賞で2人あがったので11候補)にあがった。しかし、無冠に終わっている。スピルバーグの監督賞候補入りにも至らなかった。一説には、娯楽映画を一貫して作り続けていたスピルバーグが賞狙いに走ったことに対する会員の拒否反応や、「黒人の心を理解していない黒人映画」という反感があったのでは…と言われている。しかし、映画の完成度は前述のアカデミー賞候補にあがったことからも見られるように、非常に高い。
ウーピー・ゴールドバーグはこの作品で映画デビュー。アリス・ウォーカーがサンフランシスコの舞台に立っていた彼女を見て主役に大抜擢した。明るく陽気なイメージとは正反対の静かな演技を披露し、演技力の高さと器用さを見せ、映画デビュー作にしてアカデミー賞の候補となった。また、司会者として知られるオプラ・ウィンフリーもこの作品が映画デビューである。
音楽はクインシー・ジョーンズが担当。その理由は、本作ではブラックミュージックが重要な要素となっているためである。スピルバーグは『E.T.』が大ヒットした後、次回作について問われると、ジョーンズと一緒にミュージカルを作る構想があると語っており、このことは『E.T.』のサントラ盤のライナーノートに記されている。その企画がこの映画に変わったという経緯もある。スピルバーグは劇場映画デビュー作『続・激突!/カージャック』以降、音楽はジョン・ウィリアムズが手がけてきたが、そのなかで本作は別の作曲家が手がけた例外となった。他に例外は『トワイライトゾーン/超次元の体験』のジェリー・ゴールドスミスだが、これはオムニバス映画の一挿話だけ監督したものである。
当初アリス・ウォーカーは白人であるスピルバーグに監督を任せることに難色を示していたが、クインシー・ジョーンズがスピルバーグを推挙したことで了承したという。
ストーリー
1909年のアメリカ。南部ジョージア州に住むアフリカ系アメリカ人のセリーは14才だが、父親の子を2度も出産し、生まれた子はその日のうちに父親が、子供のいない牧師夫妻に売り渡した。醜いと言われるセリーに対して妹のネティは美人で、求婚に来る“ミスター”ことアルバート。だが、父親が嫁に出したのはセリーだった。
アルバートの家は荒れ放題で、先妻との3人の子供は躾けもろくに出来ていない。結婚式も挙げずに“ミス・セリー”のままで、家事に追われるセリー。そこへ、父親に体を求められ怯えたネティが逃げ込んで来た。最愛の妹との再会を喜ぶセリー。だが、アルバートにも迫られたネティは、手紙を書くと言い置いて去って行った。ネティからの手紙を待ち続けるセリー。
1916年。アルバートの息子でろくでなしのハーポがソフィアと結婚した。次々と子供が生まれたが、気が強く生意気なソフィアはハーポを見限り、子供たちを連れて出て行った。
ある日、病気のシャグを家に連れ込むアルバート。シャグは酒場の人気歌手でアルバートが長年、入れ込んで来た恋人だった。看病をするうちに、シャグと奇妙な友情を育むセリー。
ソフィアと住んでいた家を酒場に改造するハーポ。禁酒法時代ながらシャグが歌うことで店は繁盛した。シャグにアルバートとの別れを勧められるが勇気がないセリー。シャグ自身は実は地元の牧師の娘で父親との和解を望んでいるが、話すことも拒否する牧師。
酒場の仲間とメンフィスに移る事を決めるシャグ。一緒に行こうと誘われたセリーは、一度は旅立ちを決意するが、アルバートが恐ろしくて実行はできなかった。
白人市長の妻とトラブルを起こし、市長を殴るソフィア。8年間も投獄されたソフィアは1930年に釈放されたが、市長夫人のメイドになることを強要され、家に帰る自由も与えられなかった。
1936年。結婚して夫と共にセリーに会いに来るシャグ。アルバートに無断で郵便ポストを開けたシャグは、セリー宛のネティの手紙を見つけた。長い年月、アルバートがネティからの手紙を隠し続けていた事を知り、家探しして大量の手紙を見つけるセリーとシャグ。
ネティは、セリーの生んだ赤ん坊たちを引き取った牧師夫妻と共にアフリカに伝道に赴いていた。セリーの子供たちの世話を焼き、結婚もしたが、白人の横暴な道路建設で教会も家も破壊され、アメリカへ帰る手段を模索していると手紙で伝えるネティ。
我慢の限界でアルバートを殺しかけ、シャグに止められるセリー。今度こそ家を出る決意を固めたセリーはアルバートに逆らい、シャグと共にメンフィスに旅立った。市長夫人から解放された後、廃人のように塞いでいたソフィアも、セリーの出発を目にして以前の生気を取り戻した。
1937年。セリーの父親が死に、実の父ではなかった事実が判明した。実の父親は母親の最初の夫で、遺産としてジョージア州で家と店舗を相続するセリー。その店舗でセリーは流行のパンツ(男女共用のズボン)を売り出し、自立した。後悔し、復縁したげなアルバートの姿を見かけても、声をかけないセリー。
セリーが相続した家に同居したシャグは、牧師である父の教会の日曜礼拝のゴスペルを聞きつけ、酒場の人々を引き連れて礼拝に押しかけた。ゴスペル聖歌隊と声を合わせて歌うシャグを抱きしめる牧師。その頃、子供たちも去り荒れ果てた家に一人ぼっちでいるアルバートの元に、セリー宛の移民局からの郵便が届いた。
移民局の知らせは、ネティの帰国に必要な手続きの通達だった。そうと知り、なけなしの金を手に密かに移民局を訪れ、交渉するアルバート。そんな日々の末、ある日突然にセリーの家を訪ねて来るネティ。彼女にはセリーの子供であるアダムとオリビア、それにアダムの妻までが同行していた。再会を喜ぶ家族を見届けたアルバートが黙って立ち去る姿を、シャグが静かに目で追っていた。
キャスト
その他キャスト:石田彰/鈴木勝美/小島敏彦/星野充昭/さとうあい/牛山茂/金野恵子/松本梨香/安永沙都子/辻親八
テレビ初回放送日:1991/12/21(土) TBS 土曜シネマシアター 12:00~14:54(3時間拡大枠)
演出:福永莞爾 翻訳:岩佐幸子 日本語版制作:東北新社/TBS
評価
レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは126件のレビューで支持率は73%、平均点は7.60/10となった[2]。Metacriticでは7件のレビューを基に加重平均値が78/100となった[3]。
舞台化
こちらも評価は高く、トニー賞の有力候補と言われている。
リメイク
ブロードウェイでミュージカル化された作品を基にミュージカル映画としてリメイク。本作を監督したスティーヴン・スピルバーグや本作でソフィア役を演じたオプラ・ウィンフリー、本作で音楽を担当したクインシー・ジョーンズが製作している。
出典
外部リンク
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フィルモグラフィ |
監督作品 |
1960年代 |
- Firelight(1964、兼脚本)
- Slipstream(1967、兼脚本)
- Amblin(1968、兼脚本)
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