|
この項目では、北海道の自治体について説明しています。その他の用法については「下川町 (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
下川町(しもかわちょう)は、北海道上川地方の天塩国上川郡にある町。北見山地と天塩山地に囲まれた名寄盆地に位置する[1]。北海道内では道北に位置付けられる。
概説
かつては農林業および鉱業(銅などを産出した下川鉱山、金や銀が採れた珊瑠鉱山)で繁栄し、人口はピーク時の1960年(昭和35年)には15,555人に達した。鉱山の閉鎖など産業構造の変化とともに過疎化が進んで人口が減少し、現在の人口はピーク時の5分の1を下回っている。
2000年代に入って「持続可能な地域社会の実現」を掲げて、バイオマスを含む森林資源の活用とそれによるエネルギー自給率の向上、集住によるコンパクトタウン化などに取り組んだ。2017年には、国際連合が提唱した持続可能な開発目標(SDGs)に基づく「ジャパンSDGsアワード」第1回で総理大臣賞を受賞した[2]。
スキージャンプが有名で、郊外にはミディアムヒル(K点65m)、スモールヒル(K点40m、26m)、ミニヒル(K点8m)と4つのジャンプ台がある。出身者や北海道下川商業高等学校の卒業生からは、スキージャンプやノルディック複合競技において、ワールドカップ大会やオリンピックの日本代表選手が選抜されている。
近年は移住促進も盛んで、下川町内の移住者起業も増えている。主な移住サポートはtanoshimo(タノシモ)というサイトから発信されている。
移住を伴う起業サポートとして、起業型地域おこし協力隊「シモカワベアーズ」も設立された。
町名の由来
当地で名寄川に「パンケヌカナン(panke-nukanan)」(下流の・ヌカナン川)、「ペンケヌカナン(penke-nukanan)」(上流の・ヌカナン川)の2本の支流が流れ込んでおり、このうち前者を「下の川」と意訳し「下川」としたとされている[3]。
なお「ヌカナン」の意味は現在では分からなくなっている[3]。
キャッチフレーズ
おいでよ 森林(もり)と人が輝く町 しもかわ
地理
北海道北部を流れる天塩川の支流名寄川の上流部、名寄盆地の東縁にある。北見山地の斜面が大部分を占める。
- 山:ピヤシリ山(989m)、札滑岳(993m)、ウェンシリ岳/ウエンシリ岳(1142m)、幾山岳(1030m)、柵留山(852m)、砥割山(798m)、糸魚岳(アイヌ語名イトイヌプリ、914m)、奴可難山(777m)、三角山(346m)、矢文山(アイヌ語名シプンオトチシ、422m)、前田山(560m)、札天山(596m)、蕗の山(718m)、班毛山(722m)
- 河川:天塩川支流名寄川、名寄川支流下川パンケ川(20.5km)、サンル川(33.2km)、下川ペンケ川(16.0km)、モサンル川(14.0km)、シカリベツ川(14.5km)
隣接している自治体
気候
真夏には30℃、真冬には-30℃に達し寒暖の差が大きく、四季の変化に富む[4]。
下川のアメダスは1977年10月に統計を開始した。最高気温の極値は37.3℃(2021年7月28日)で、猛暑日はこれまでに5回観測されている。最低気温の極値は-36.1℃(1978年2月17日)。平年値で冬日の年間日数は181.9日、真冬日86.2日。夏日47.1日、真夏日5.1日、猛暑日0日、熱帯夜0日。熱帯夜は最低気温25.0℃(2010年8月6日、1994年8月7日)を2回観測した。
降水量は7月から10月にかけて多く、10月から1月にかけて雪または雨の降る日が多い。平年値で年間降雪量820cm、年間の最深積雪は116cm(1983年10月統計開始)。最深積雪の極値は175cm(2013年3月12日)。日照時間は11月から1月にかけて少なくなっている(1987年6月統計開始)。最大風速の極値は16.0m/s(風向:南西、2010年3月21日)、最大瞬間風速の極値は25.9m/s(風向:南西、2010年3月21日、2009年9月統計開始)
下川(1991年 - 2020年)の気候
|
月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
|
最高気温記録 °C (°F)
|
6.4 (43.5)
|
13.6 (56.5)
|
15.1 (59.2)
|
26.6 (79.9)
|
31.9 (89.4)
|
34.0 (93.2)
|
37.3 (99.1)
|
36.2 (97.2)
|
31.5 (88.7)
|
26.7 (80.1)
|
19.8 (67.6)
|
12.4 (54.3)
|
37.3 (99.1)
|
平均最高気温 °C (°F)
|
−3.9 (25)
|
−2.7 (27.1)
|
1.7 (35.1)
|
9.3 (48.7)
|
17.1 (62.8)
|
21.3 (70.3)
|
24.7 (76.5)
|
25.0 (77)
|
21.0 (69.8)
|
13.9 (57)
|
5.2 (41.4)
|
−1.7 (28.9)
|
10.9 (51.6)
|
日平均気温 °C (°F)
|
−8.8 (16.2)
|
−8.2 (17.2)
|
−3.3 (26.1)
|
3.6 (38.5)
|
10.2 (50.4)
|
14.8 (58.6)
|
18.8 (65.8)
|
19.4 (66.9)
|
14.7 (58.5)
|
7.9 (46.2)
|
1.3 (34.3)
|
−5.4 (22.3)
|
5.4 (41.7)
|
平均最低気温 °C (°F)
|
−15.7 (3.7)
|
−15.8 (3.6)
|
−9.8 (14.4)
|
−2.4 (27.7)
|
3.3 (37.9)
|
8.8 (47.8)
|
13.8 (56.8)
|
14.7 (58.5)
|
9.1 (48.4)
|
2.4 (36.3)
|
−2.7 (27.1)
|
−10.7 (12.7)
|
−0.4 (31.3)
|
最低気温記録 °C (°F)
|
−35.1 (−31.2)
|
−36.1 (−33)
|
−32.3 (−26.1)
|
−15.8 (3.6)
|
−6.0 (21.2)
|
−2.1 (28.2)
|
1.5 (34.7)
|
2.7 (36.9)
|
−1.0 (30.2)
|
−7.5 (18.5)
|
−20.9 (−5.6)
|
−31.7 (−25.1)
|
−36.1 (−33)
|
降水量 mm (inch)
|
36.8 (1.449)
|
28.2 (1.11)
|
37.3 (1.469)
|
42.8 (1.685)
|
62.9 (2.476)
|
64.1 (2.524)
|
126.8 (4.992)
|
143.6 (5.654)
|
147.0 (5.787)
|
118.8 (4.677)
|
95.8 (3.772)
|
60.7 (2.39)
|
964.8 (37.984)
|
降雪量 cm (inch)
|
184 (72.4)
|
150 (59.1)
|
139 (54.7)
|
40 (15.7)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
3 (1.2)
|
82 (32.3)
|
204 (80.3)
|
820 (322.8)
|
平均降水日数 (≥1.0 mm)
|
14.3
|
11.8
|
12.9
|
10.8
|
10.9
|
9.8
|
12.3
|
12.1
|
14.8
|
16.4
|
18.7
|
18.8
|
163.6
|
平均月間日照時間
|
64.9
|
88.7
|
124.4
|
151.3
|
181.9
|
161.4
|
157.4
|
148.2
|
150.2
|
119.2
|
55.5
|
41.7
|
1,443.6
|
出典1:Japan Meteorological Agency
|
出典2:気象庁[5]
|
歴史
町名は、アイヌ語の「パンケ・ヌカナン」(川下の・ヌカナン川)に由来する。町内に存在する最も古い遺跡は最終氷期の終期頃のものと推定されている。
行政
特別豪雪地帯、過疎地域、振興山村、山間農業地域に指定されている。2008年(平成20年)には環境モデル都市に、2011年(平成23年)には環境未来都市に選定された。
歴代首長
下川村
下川町
- 初代 末武次郎吉(1949年12月 - 1951年4月)
- 二 - 四代 宮地誠次(1951年4月 - 1963年4月)
- 五代 村上貞次郎(1963年4月 - 1967年7月)
- 六 - 九代 川原満(1967年4月 - 1983年4月)
- 十 - 十三代 原田四郎(1983年4月 - 1999年4月)
- 十四 - 十七代 安斎保(1999年4月 - 2015年4月)
- 十八 - 十九代 谷一之(2015年5月 - 2023年4月)
- 二十代 田村泰司(2023年5月 - 現任)
経済
産業
農業
酪農が盛んである。稲作の北限地帯に近く、かつての水田は減反政策により大部分が転作された。主な農産物は、地元で加工されるジュース用や高糖度栽培のトマト、絹さやえんどう等の野菜、小麦、ソバ、もち米などである。
林業
町の面積の約9割を森林が占め、その8割以上を国有林が占める。木材の搬送は、開拓当初は流送に頼ったが、鉄道の開通で輸送効率が改善され、関東大震災の復興材需要の急増で繁栄した。その後、1954年(昭和29年)の洞爺丸台風では約280万石の風倒木被害が発生し、その処理による特需があったが、森林資源の減少、輸入材の台頭などで徐々に衰退している。一方、町では1953年(昭和28年)より本格的な町有林経営を開始し、2003年(平成15年)には4,300haを超える町有林を有し、法正林思想に基づき年間50ha程度ずつを伐採・栽植する「循環型林業経営」に取り組んでいる。また、町内の民有林や国有林を含めて森林認証を取得し、森林の適正管理を推進している。
鉱業
金・銀を産出した珊瑠鉱山と、銅・亜鉛を産出した下川鉱山は、いずれも現在は休山し、事実上廃鉱となっている。これらの他にマンガン、砂チタン、亜炭等の鉱床が確認されている。
工業
商業
農協
金融機関
郵便局
宅配便
公共機関
警察
消防
姉妹都市・提携都市
国内
海外
公共施設
国
町
- 公民館
- 町民会館 - 図書室、児童室を併設
- 桜ヶ丘公園
- 万里長城
- 土間運動場「桜ヶ丘アリーナ」
- 山村広場
- 野球場
- ふるさと交流館 - 毛綱毅曠設計
- 万里長城パークゴルフ場
- センターハウス「ガーデニング・フォレスト フレペ」
- 総合福祉センター「ハピネス」
- 町民スポーツセンター(第1ホール、第2ホール、柔道場、弓道場)
- B&G海洋センター(プール)
- 町民総合グランド
- スキー場(ロッジ、シャンツェ、スキーハウス)
- 多目的宿泊交流施設「アイキャンハウス」
- 幼児センター「こどものもり」
- バスターミナル合同センター - 旧下川駅跡地
- 地域間交流施設「森のなか ヨックル」
- 下川町環境共生型モデル住宅「エコハウス美桑」
- 下川町共生型住まいの場「ぬく森」
- 木質原料製造施設
- 農村活性化センター「おうる」 - 旧上名寄小学校
- 郷土資料展示保存施設「札天山収蔵館」 - 旧一の橋小学校
- 下川営林署旧庁舎「恵林館」
- まちおこしセンター「コモレビ」
医療施設
地域
人口
|
下川町と全国の年齢別人口分布(2005年)
|
下川町の年齢・男女別人口分布(2005年)
|
■紫色 ― 下川町 ■緑色 ― 日本全国
|
■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
|
下川町(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
|
11,568人
|
|
1975年(昭和50年)
|
9,275人
|
|
1980年(昭和55年)
|
7,173人
|
|
1985年(昭和60年)
|
5,730人
|
|
1990年(平成2年)
|
5,065人
|
|
1995年(平成7年)
|
4,747人
|
|
2000年(平成12年)
|
4,413人
|
|
2005年(平成17年)
|
4,146人
|
|
2010年(平成22年)
|
3,775人
|
|
2015年(平成27年)
|
3,547人
|
|
2020年(令和2年)
|
3,126人
|
|
|
総務省統計局 国勢調査より
|
消滅集落
2015年国勢調査によれば、以下の集落は調査時点で人口0人の消滅集落となっている[6]。
教育
高等学校
中学校
小学校
交通
空港
鉄道
町内を通る鉄道路線は存在しない。現在の最寄りの駅は宗谷本線名寄駅である。
かつて存在した鉄道路線
- 北海道旅客鉄道(JR北海道)
バス
道路
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
文化財
- 毘沙門天立像 - 下川町指定有形文化財第1号(1959年指定)、大福寺。平安時代初期の作とされ、1956年(昭和31年)に岡山県倉敷市勝福寺より勧請する。2012年8月大福寺廃寺により指定解除。
- 上名寄郷土芸能 - 下川町指定無形文化財第1号(1964年指定)、上名寄郷土芸能保存会。麦や節、郡上節、小大尽を保存する。
- はるにれ - 下川町指定天然記念物第1号(1964年指定)、下川小学校校庭。北海道100年記念名木、北海道自然保護条例に基づく下川小学校開校記念保護樹木に指定される(1974年3月30日指定)。
- 下川鳴る石 - 下川町指定天然記念物第2号(1982年指定)。中新世の火山噴出物で、振ると球体の空洞内に晶出する石英がサラサラと鳴る。
名所
祭事
催事
- 万里長城クロスカントリー大会(5月) - 1989年(平成元年)より開催
- 全道ノルディックスキー競技大会(12月)- 1985年(昭和60年)より開催
温泉
ゆかりのある人物
脚注
参考文献
- 下川町『下川町史』1968年。
- 下川町『下川町史(第2巻)』1980年。
- 下川町『下川町史(第3巻)』1991年。
- 下川町『下川町史(第4巻)』2002年。
- 下川町『下川町の地質および環境地質』1975年。
- 下川町教育委員会『下川町の文化財(第2集)』1987年。
- 佐藤正克『闢幽日記』日本庶民生活史料集成(4)、1969年。
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
下川町に関連するカテゴリがあります。
外部リンク
|
---|
北海道地方 |
- 北海道(北海道価値を生かした広域SDGsモデルの構築)
- 札幌市(次世代の子どもたちが笑顔で暮らせる持続可能な都市・「環境首都・SAPP︶RO」)(北海道)
- ニセコ町(環境を活かし、資源、経済が循環する自治のまち「サスティナブルタウンニセコ」の構築)(北海道)
- 下川町(未来の人と自然へ繋ぐしもかわチャレンジ2030)(北海道)
|
---|
東北地方 |
- 東松島市(全世代グロウアップシティ東松島)(宮城県)
- 仙北市(IoT・水素エネルギー利用基盤整備事業)(秋田県)
- 飯豊町(農村計画研究所の再興『2030年も「日本で最も美しい村」であり続けるために』)(山形県)
|
---|
関東地方 |
- つくば市(つくばSDGs 未来都市先導プロジェクト)(茨城県)
- 神奈川県(いのち輝く神奈川 持続可能な「スマイル100歳社会の実現」)
- 横浜市(SDGs未来都市・横浜 〜"連携"による「大都市モデル」創出〜)(神奈川県)
- 鎌倉市(持続可能な都市経営「SDGs 未来都市かまくら」の創造)(神奈川県)
|
---|
中部地方 |
- 富山市(コンパクトシティ戦略による持続可能な付加価値創造都市の実現)(富山県)
- 珠洲市(能登の尖端"未来都市"への挑戦)(石川県)
- 白山市(白山の恵みを次世代へ贈る「白山SDGs未来都市2030ビジョン」)(石川県)
- 長野県(学びと自治力による「自立・分散型社会の形成」)
- 静岡市(「世界に輝く静岡」の実現 静岡市5大構想×SDGs)(静岡県)
- 浜松市(浜松が「五十年、八十年先の『世界』を富ます」)(静岡県)
- 豊田市(みんながつながる ミライにつながるスマートシティ)(愛知県)
|
---|
近畿地方 |
- 志摩市(持続可能な御食国の創生)(三重県)
- 堺市(「自由と自治の精神を礎に、誰もが健康で活躍する笑顔あふれるまち」)(大阪府)
- 十津川村(持続可能な森林保全及び観光振興による十津川村SDGs構想)(奈良県)
|
---|
中国地方 |
- 岡山市(誰もが健康で学び合い、生涯活躍するまちおかやまの推進)(岡山県)
- 真庭市(地域エネルギー自給率100% 2030"SDGs"未来杜市真庭の実現〜永続的に発展する農村村のモデルを目指して(私がわたしらしく生きるまち)〜)(岡山県)
- 広島県(SDGsの達成に向けて平和の活動を生み出す国際平和拠点ひろしまの取り組みを加速する〜マルチステークホルダー・パートナーシップによるSDGsの取り組みの強化〜
- 宇部市(「人材が宝」みんなでつくる宇部SDGs推進事業〜「共存同栄・協同一致」のさらなる進化〜(山口県)
|
---|
四国地方 |
- 上勝町(SDGsでSHLs(Sasutenaburu Happy Lives)持続可能な幸福な生活)(徳島県)
|
---|
九州地方 |
- 北九州市(北九州市SDGs未来都市)(福岡県)
- 壱岐市(壱岐活き対話型社会「壱岐(粋)なSociety5.0」)(長崎県)
- 小国町(地熱と森林の恵み、人とのつながりがもたらす持続可能なまちずくりを目指して)(熊本県)
|
---|
関連項目 | |
---|