八田 達夫(はった たつお、1943年3月23日 - )は、日本の経済学者。専門は、応用ミクロ経済学・公共経済学・都市経済学・法と経済学など。アジア成長研究所理事長。大阪大学名誉教授、政策研究大学院大学名誉教授、東京財団政策研究所名誉研究員。
大阪大学社会経済研究所所長、アジア成長研究所所長・経済同友会政策分析センター所長・政策研究大学院大学学長・経済産業研究所ファカルティフェロー・電力・ガス取引監視等委員会委員長を歴任。Ph.D.(ジョンズ・ホプキンス大学、1973年)。北九州市小倉北区出身[1]。
略歴
学外における役職
- 日本経済学会会長(2004.04 - 2005.03)
- 法と経済学会会長(2005.04 - 2006.03)
- International Institute of Public Finance, Board member (1997 - 2002)
- 日本不動産学会理事(2008.05 - 2016.04)
- 日本財政学会理事(1996.04 - 2005.08)
- 都市住宅学会理事(1993.03 - 2001.03)
受賞歴
主張
- 日本の電力自由化議論を先導し、発送電分離と電力リアルタイム市場創設の必要性を主張している[6]。
- 規制緩和について「日本経済の問題は権益集団がいたるところに存在し、さまざま産業に参入障壁を設けていることである」と述べている[7]。
- 原子力発電所政策について「原発はそれ自体、使用済み燃料処分の社会的コストや事故発生の危険性など大きな外部不経済を発生させる。それら全ての外部不経済が発生させる費用に課税(原発公害に対するピグー税[8])し、電源の利用者にその外部費用を負担させた上で、発電事業者に電源の一つとして原子力を選択するか否か決めさせればよい。原発を稼働させるには、フィルタードベントの欠如等の明らかな欠陥を全てなくすことは大前提である[9]」「事業者が原発事業の採否に関する判断を、政府による救済補助への期待無しに出来るように、政府は使用済み核燃料の処分費用と具体的処分プロセスの提示をすべきである[10]」と述べている。
著書
単著
- 『直接税改革--間接税導入は本当に必要か』(日本経済新聞社、1988年)
- 『消費税はやはりいらない』(東洋経済新報社、1994年)
- 『日本の構造改革と東京、大阪の再生』(関西経済研究センター、2001年)
- 『ミクロ経済学Ⅰ 市場の失敗と政府の失敗への対策』(東洋経済新報社、2008年)
- 『ミクロ経済学Ⅱ 効率化と格差是正』(東洋経済新報社、2009年)
- 『電力システム改革をどう進めるか』(日本経済新聞社、2012年)
- 『ミクロ経済学 Expressway』(東洋経済新報社, 2013年)
共著
- (中谷巌・本間正明)『税制改革で変わる日本経済』(東洋経済新報社、1988年)
- (岡本祐三・一円光弥・木村陽子)『福祉は投資である』(日本評論社、1996年)
- (小口登良)『年金改革論--積立方式へ移行せよ』(日本経済新聞社、1999年)
- (岩田規久男)『日本再生に「痛み」はいらない』(東洋経済新報社、2003年)
- (高田眞)『日本の農林水産業』(日本経済新聞社、2010年)
編著
- 『東京一極集中の経済分析』<シリーズ・現代経済研究(7)>(日本経済新聞社、1994年)
- 『都心回帰の経済学--集積の利益の実証分析』<シリーズ・現代経済研究(24)>(日本経済新聞社、2006年)
- 『地方創生のための構造改革』編著(時事通信出版局、2018)
- 『待機児童対策』編著(日本評論社、2019年)
- Economic Challenges Facing Japan's Regional Areas. (Palgrave Pivot, 2018)
共編著
- (八代尚宏)『「弱者」保護政策の経済分析』<シリーズ・現代経済研究(10)>(日本経済新聞社、1995年)
- (八代尚宏)『東京問題の経済学』(東京大学出版会、1995年)
- (岩田規久男)『住宅の経済学』<シリーズ・現代経済研究(14)>(日本経済新聞社、1997年)
- (八代尚宏)『社会保険改革--年金・介護・医療・雇用保険の再設計』<シリーズ・現代経済研究(16)>(日本経済新聞社、1998年)
- (田中誠)『電力自由化の経済学』<RIETI経済政策分析シリーズ(8)>(東洋経済新報社、2004年)
- (田中誠)『規制改革の経済分析―電力自由化のケース・スタディ』(日本経済新聞社、2007年)
- (吉川洋)『「エイジノミクス」で日本は蘇る』共著(NHK出版、2017)
- (大内伸哉)Severance Payment and Labor Mobility. (Springer, 2018)
分担執筆
- 大阪大学教授グループ『日本経済のこれから』(有斐閣、1997年)
主要な論文
- Hatta, T. 1975. "Radial Change in Distortion and Choice of Numeraire." Econometrica, 43, no. 3: 519–520.
- Hatta, T. 1976. “The Paradox in Capital Theory and Complementarity of Inputs.” The Review of Economic Studies 43, no. 1: 127–42.
- Hatta, T., 1977., "A Recommendation for a Better Tariff Structure." Econometrica, 45, 1859-70.
- Hatta, T., 1977. "A Theory of Piecemeal Policy Recommendations." Review of Economic Studies, 136, 1-21.
- Hatta, T. and T. Fukushima., 1979. "The Welfare Effect of Tariff Rate Reductions in the Multi-National World." Journal of International Economics, 9, 503-511.
- Hatta, T. 1980. “Structure of the Correspondence Principle at an Extremum Point.” The Review of Economic Studies 47, no. 5: 987–97.
- Hatta, T and J. Haltiwanger. 1982. "A Decomposition of the Harberger Expression for Tax Incidence." Journal of Public Economics 19, Issue 3: 353–366.
- Bhagwati, J. N., R. A. Brecher, and T. Hatta. 1983. “The Generalized Theory of Transfers and Welfare: Bilateral Transfers in a Multilateral World.” The American Economic Review 73, no. 4: 606–18.
- Hatta, T. 1983. “Competition and nationally optimum resource allocation under the presence of urban traffic congestion.” Journal of Urban Economics 14, 145–167.
- Hatta, T., J. N. Bhagwati., Richard A. Brecher., 1985. "The Generalized Theory of Transfers and Welfare: Exogenous (Policy-Imposed) and Endogenous (Transfer-Induced) Distortions." Quarterly Journal of Economics, 697-714.
- Bhagwati, J. N., R. A. Brecher, and T. Hatta. 1985. “The Generalized Theory of Transfers and Welfare: Exogenous (Policy-Imposed) and Endogenous (Transfer-Induced) Distortions.” The Quarterly Journal of Economics 100, no. 3: 697–714.
- Hatta, T, and J. Haltiwanger., 1986. "Tax Reform and Strong Substitutes." International Economic Review 27, no. 2: 303–15.
- Hatta, T., 1986., "Welfare effects of changing commodity tax rates toward uniformity." Journal of Public Economics 29, Issue 1: 99–112.
- Hatta, T., J. N. Bhagwati., R. A. Brecher., 1987. "The Global Correspondence Principle: A Generalization." American Economic Review, 77 , 124-132.
- Hatta, T. and T. Ohkawara. 1993. “Population, employment, and land price distributions in the Tokyo metropolitan area.” The Journal of Real Estate Finance and Economics 6, 103–128.
- Akai, N., T. Fukushima, and T. Hatta. 1998. “Optimality of a Competitive Equilibrium in a Small Open City with Congestion.” Journal of Urban Economics 43, 181–198.
- Hatta, T. and Y. Ogawa. 2007. “Optimal Tariffs Under a Revenue Constraint.” Review of International Economics 15, No. 3: 560–573.
- Hatta, T. 2017. “Competition policy vs. industrial policy as a growth strategy.” China Economic Journal 10(2): 162–174.
- Hatta, T. 2018. “Revenue-Constrained Combination of an Optimal Tariff and Duty Drawback.” Frontiers of Economics in China 13(1): 52‒67.
脚注
- ^ “【第4部 どうみる「地方創生」 1票の前に】<3>アジア成長研究所長 八田達夫氏(72) 高齢者の誘致に活路を”. 西日本新聞 (西日本新聞社). (2015年12月8日). https://www.nishinippon.co.jp/item/n/211816/ 2020年1月27日閲覧。
- ^ 日本学士院会員の選定について
- ^ 八田達夫のブログ
- ^ “日本不動産学会, 論文賞・論説賞・著作賞・湯浅賞(研究奨励賞), 1995年度受賞一覧”. 日本不動産学会. 2024年2月20日閲覧。
- ^ “『日経・経済図書文化賞』 受賞図書一覧” (PDF). 日本経済研究センター. 2014年11月29日閲覧。
- ^ 復興予算の使い道は地元に委ね、首都圏の規制緩和を急げ = 八田達夫教授 Reuters 2012年3月12日
- ^ 安倍首相は規制緩和に関し後退していない = 戦略特区作業部会の八田座長 WSJ.com 2013年11月20日
- ^ エネルギー源対策、ゼロエミッション補助から炭素税へ Global Energy Policy Research 2013年2月18日
- ^ 「リアルタイム精算」が電力市場を開放に導く原発は緊急時の電源として位置づけるべき--八田達夫・大阪大学招聘教授/学習院大学客員研究員 ダイヤモンド・オンライン 2012年3月16日
- ^ 改革迫られる電力政策 NIRA 総合開発研究機構 2011年7月
参考文献
書評
関連項目
外部リンク
住宅宅地審議会長、社会資本整備審議会住宅宅地分科会長 |
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住宅宅地審議会長 |
- 初代 円城寺次郎(日本経済新聞社社長) 1968-1978
- 第2代 大槻文平(三菱鉱業セメント会長、経団連副会長) 1978-1988
- 第3代 亀井正夫(住友電気工業会長) 1988-1998
- 第4代 大賀典雄(ソニー会長) 1998-2001
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社会資本整備審議会住宅宅地分科会長 |
- 第5代 八田達夫(東京大学教授) 2001-2005
- 第6代 小林重敬(横浜国立大学大学院教授) 2006
- 第7代 越澤明(北海道大学大学院教授) 2007-2011
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社会資本整備審議会住宅宅地分科会 |
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