冒険者たち ガンバと15ひきの仲間
『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』(ぼうけんしゃたち ガンバとじゅうごひきのなかま)は、斎藤惇夫の児童文学作品で、ドブネズミ「ガンバ」とその仲間たちの冒険を描く[1]。挿絵は薮内正幸。 1972年に牧書店(のちアリス館牧新社)で刊行された。岩波書店で新版再刊している。累計発行部数は44万部[1]。 概要前作『グリックの冒険』に登場し、脇役ながら強い印象を残したガンバを主人公としたスピンオフ作品。ガンバの最初の冒険であり、最後でガンバが冒険者として生きていく決心をする。時系列的には『グリックの冒険』よりも前の出来事である。 『グリックの冒険』を執筆していた当時、斎藤は福音館書店への出勤途中、ドブネズミが道路に飛び出してきて危うくトラックに轢かれそうになり、道路の真ん中できょとんとした後に引き返すのを見て面白く感じたのがガンバ誕生のきっかけとなった[1]。『グリックの冒険』でもガンバには主人公にできそうな魅力を感じており、刊行後に読者の子供達からもガンバを主人公とする新作の希望が寄せられたが、「いつか書く」と返事したものの本当に執筆するとは当時思っていなかった[1]。しかし、仕事で八丈島に行った際に四、五匹のイタチを目撃し、そのうちの一匹が斎藤の方を向き、陽光を受けて白く見えたことに驚き、挿絵担当の薮内に話した[1]。そして八丈島のイタチがネズミ退治のために栃木県の養殖所から連れてこられたことを教えられた。それでイタチがいる島で生き残った島のネズミから助けを求められてガンバたちが向かう物語が一挙にできあがり、執筆意欲が湧いたという[1]。 ストーリー第1部町に住む町ネズミのガンバは、幼馴染みのマンプクに誘われて海を見る旅に出る。2匹は港でネズミのパーティに参加するが、そこへ全身傷だらけの忠太が現れて助けを求めた。忠太によると夢見が島でイタチのノロイ一族に襲われてネズミ仲間たちが激減しているという。 船乗りネズミのガクシャやヨイショはノロイに会ったが逃げるしかなかった過去を語り、ほとんどのネズミは忠太とともに島に渡ることを拒んだ。ガンバだけがネズミたちの情けなさを嘆き、忠太と共に夢見が島行きの船に乗り込んだ。しかし、ガンバに心を動かされたガクシャやヨイショたちも別経路で船に乗り込んで総勢16匹になった。その中にオイボレもいた。 途中、忠太は一行に状況説明をした。年中温暖で過ごしやすい夢見が島は、ネズミ達にとって快適な島だった。1年前にイタチが現れてネズミが激減、今年の春には100匹ほどになってしまったネズミ達は今後の対策を相談した。忠太のおじのトキだけが、島から逃げる事を提案したが大反対されて1匹だけで港の方へ逃げた。残りの100匹はイタチに囲まれてしまい、散り散りに逃げた。山の中腹の洞穴に辿り着いたのは17匹だけ。食料も少なく8匹が別行動を取り北の山の裏に向かった。痩せ細る家族を置いて忠太は助けを求めて船に乗ってきたのだった。 一行はガンバをリーダーに選び出し、今後の事を話し合った。 第2部島に着いた一行は、イタチに注意しながら忠太の家族のいる北の山を目指して荷馬車に乗ったり、海岸を走っていった。 一行が忠太の家族のいた洞穴に着くと、イタチの痕跡があり誰もいなかったため絶望した。しかし、忠太の家族はイタチから身を隠すように海岸の岩山の穴に避難していただけだった。ガンバたちは、たまたま洞穴を確認しにきた忠太の姉の潮路に会い、共に海岸へと逃げる事になった。そこへさらにイタチの襲撃を受けた高倉ネズミ達も合流し、海岸から少し離れた所にある岩山の穴で忠太の家族と合わせて100匹のネズミ達がイタチを迎え撃つ準備をした。その夜はイタチの襲撃は無かった。 翌日、月が穴を照らすと数の上で優位な高倉ネズミの七郎が、ガンバに代わって全体のリーダーとなりガンバ達を追い出そうとした所、海岸にイタチが現れた。 第3部イタチを前にして弱腰になった七郎に代わり、再びガンバがリーダーになった。宴会の準備をしてネズミたちを招待するというノロイに対し、ガンバやヨイショ、ガクシャ、イカサマ達が舌戦を繰り広げた。ノロイの誘惑に負けそうになるネズミ達が穴から出ようとしたが、潮路の叫びに一同は正気を取り戻し穴に戻った。ノロイは、昼間手出ししないで次の晩に来る事を宣言して去った。 翌朝、ガクシャは祭りの踊りの歌から、年に1度、満月の夜に潮が引いて近くの小島まで泳いで渡れる距離になる事に気付いた。それは明後日の朝なので、泳ぎが上手いイタチの追跡を逃れて渡るためにツブリ達に助けを求めようとガクシャは提案した。日中、イタチは海岸に食料を積んでネズミ達を誘惑し続けた。夜になるとノロイは他のイタチを下がらせて、イカサマとガンバを海岸に招待し食べさせた。安心させて他のネズミ達も呼ぶ作戦だったが、岩陰にイタチ達が潜んでいる事に気付かれ失敗した。失敗続きのノロイはリーダーの座を追われ、イタチ達が小賢しい事はやめて一緒に食べようと提案した。誘いに乗りかけた高倉ネズミ達を抑えてオイボレがイタチの元へ向かった。オイボレの正体はトキという事に忠太の父親が気付いたが、オイボレの決心は変わらず、単身で海岸に乗り込み、イタチの残虐さを身をもって証明して死んだ。 夜が明けてイタチとの闘いが始まり、ガンバとイダテンはツブリの所へ向かった。日のある内にイタチ達は海岸に戻って休んだ。ネズミ達は疲れ切っていたが、いつも通り呑気なボーボによって場が和み、元気を取り戻していった。この日、ノロイは現れなかった。 次の朝、冷たくなっていたボーボの体は海に沈められた。ノロイの監視を逃れながら一行は泳いで小島へ向かったが、途中で見つかってしまったので、ガンバの仲間の11匹が殿を務め、イタチ達に向き合った。ガンバがいない事に気付いたノロイは、ガンバを殺した事にしてネズミ達を揺さぶった。ガンバを信じる潮路が舌戦を繰り広げたものの、ノロイの爪で胸を抉られた。ネズミ達は奮闘の甲斐なく一か所に集められ、絶体絶命の危機に晒された。そこへ、ガンバ達が 50羽のオオミズナギドリとともに戻り形勢逆転、泳ぎが得意なイタチ達も空からの攻撃にはなすすべも無く全滅した。そしてネズミ達はツブリ達によって元の島に運ばれた。 忠太が島に残ることを決めた一方、どうしても同行したいという島のネズミが3匹ガンバ達の仲間に加わることになった。ガンバは潮路に告白しようとするも、潮路は息を引き取った。 潮路を埋葬した2日後、ガンバ達は元の港に帰るために船に乗り、ガンバは仲間達とともに冒険者として生きていく事にした。 キャラクター
テレビアニメガンバの冒険→詳細は「ガンバの冒険」を参照
1975年4月7日から同年9月29日まで日本テレビ系列で放送された。全26話。 BABYGAMBA2014年7月19日から同年10月11日放送。読みは「ベビーガンバ」。 『冒険者たち -ガンバと15ひきの仲間-』のキャラクターを原案とした2分間のショートアニメ。映画『GAMBA ガンバと仲間たち』のスピンオフ作品。 キャスト(ショートアニメ)スタッフ(ショートアニメ)劇場アニメ冒険者たち ガンバと7匹のなかま1984年3月4日公開。テレビアニメ『ガンバの冒険』の総集編。 →詳細は「冒険者たち ガンバと7匹のなかま」を参照
GAMBA ガンバと仲間たち2015年10月10日に公開された3DCGアニメ映画[3][4]。白組が構想15年、総製作費20億円をかけて制作した。キャラクターデザインはテレビアニメの物とは別物である。また、原作にはいるがテレビアニメ版で登場しなかったマンプク等が登場する一方、原作・テレビアニメ共に登場したシジン等は登場しない。 公開初週土日2日間の全国映画動員ランキング(興行通信社調べ)では初登場7位、全国596スクリーン公開で、動員5万8,740人、興収7,505万3,900円にとどまった[5]。これは1スクリーン当たり観客動員が2日で100人弱であり[6]、最終興収は3億円[7]で、製作費の7分の1程度という結果になった。 あらすじ(映画)主人公・ガンバとその相棒・マンプクは都会に住む町ネズミ。ある日、ガンバは町での窮屈な暮らしに飽きてしまい、海に向かおうとする。その途中、ガンバたちは船乗りネズミによるパーティに飛び入り参加する。そこには船乗りネズミのリーダー・ヨイショやその仲間たちがいた。ガンバ達は彼らと親しくなる。ところが、そこへ傷ついたネズミの少年・忠太がノロイ率いるイタチ軍団に仲間を半殺しにされ、船乗りネズミたちに助けてほしいと頼む。しかし、ネズミ達はノロイを恐れていた。それでも放っておけないガンバはノロイを倒すため、忠太の故郷を救うためマンプクやヨイショ、ガクシャ、イカサマ、ボーボを連れて忠太の故郷の島へ向かった。 キャスト(映画)
スタッフ(映画)
受賞
ゲーム
漫画
ミュージカル
オーディオブックデフォルメキャラクター
関連作品脚注
外部リンク |