大谷實
大谷 實(おおや みのる、1934年10月25日 - )は、日本の法学者。専門は刑事法。茨城県出身。 同志社大学名誉教授。法学博士(同志社大学、1972年)(学位論文「人格責任論の研究」)。 同志社大学法学部教授、同法学部長、同大学総長を歴任。 人物・来歴大学・大学院とも同志社で学んだ。指導教員は秋山哲治[1]。キリスト教徒。 学歴職歴
学説もともと大谷は、犯罪の本質を法益侵害に求め[2]、違法論に関しては平野龍一らと同じく結果無価値論をとっていた(中義勝編『論争刑法』では、不能犯に関し客観的危険説を採り、藤木英雄編『過失犯ー新旧過失犯論争ー』では旧過失犯論を採っていた)。 しかし、後掲『医療行為と法』のような医事刑法を研究していく過程で法益侵害のみでは違法の実質を明らかにすることはできないと考えるようになり、団藤重光と同じ行為無価値論に改説した。本人曰く 団藤、大塚仁、福田平らと同様に形式的犯罪論を採り、実質的犯罪論を採る前田雅英から攻撃を受けている(形式的犯罪論・実質的犯罪論の語は前田の命名による)。 『エキサイティング刑法総論』で前田と対談し、前田の影響を受けて、故意論において因果関係の認識不要説に改説し、さらに、共犯論では、最小限従属性説に接近した。 社会的活動同志社大学の教員となり、イギリス留学後、日本において早くから犯罪被害者の支援活動に取り組んだ。「被害者補償制度を促進する会」を結成した後、1974年に横浜市を中心に活動していた「殺人犯罪の撲滅を推進する会」(代表:市瀬朝一)と合流[3]。全国組織化して犯罪被害者等給付金支給法の制定に結び付けた。この過程が木下恵介監督の映画『衝動殺人 息子よ』に描かれている。この映画のなかで大谷は中谷教授(配役は加藤剛)として登場する。 その後も被害者支援に奔走。その熱意は、電話相談や給付金申請補助を行なう社団法人京都犯罪被害者支援センター設立に結実した。現在も同法人の理事長、その他、全国被害者支援ネットワーク特別顧問を務めている。その他に、法務省司法試験考査委員(1982年 - 1995年)、日本学術会議会員(1991年 - 2000年)、法務省法制審議会刑事法部会部会長、法務省人権擁護推進審議会委員、日本被害者学会理事長。アマースト大学名誉博士。2001年第17代同志社総長に就任した。大谷が中心となって1998年5月に発足した民間の犯罪被害者支援団体。活動内容は、犯罪や犯罪に類する行為、交通事故、災害などの被害者およびその家族に対する精神面での支援。なお同センター設立に動こうとした際、刑事被告人の権利確立を優先させるべきであるとする団藤重光に「大谷君、10年早い。」と言われ、言葉どおり10年を待って設立したという逸話がある。 著書単著
共著門下生脚注
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