東方緋想天 〜 Scarlet Weather Rhapsody.
『東方緋想天 〜 Scarlet Weather Rhapsody.』(とうほうひそうてん スカーレット・ウェザー・ラプソディ)とは、同人サークル黄昏フロンティア及び上海アリス幻樂団製作の対戦型格闘ゲームである。本作品は東方Projectの二次創作ではなく、上海アリス幻樂団との共同開発作品であり、公式に東方Project第10.5弾と呼ばれている。 本項では、以降は『緋想天』と称することとする。その他の本項で使用されている東方Project関連の略称については、東方Project#凡例を参照。 概要本作は東方Projectの登場人物を起用した対戦型格闘ゲームである。ゲーム制作は黄昏フロンティアが担当し、シナリオ・技名・新キャラ設定・デザインや一部楽曲・一部画像などをZUNが担当している。登場人物は『萃夢想』の10名(パッチで追加された紅美鈴を除く)に加え、『花映塚』に登場している鈴仙・優曇華院・イナバ(初出:『永夜抄』)、射命丸文、小野塚小町の3名と新規の2名が追加され、合計15名が登場する。原画はalphesによる。 本作品は2006年から開発が始まっており、当初東方Project第9.8弾として制作発表され、第4回博麗神社例大祭(2007年5月20日)のアフターイベントにおいてデモプレイが行なわれた。2007年8月15日に第10.5弾へと変更になったことが発表され、コミックマーケット72(2007年8月17日)で体験版CDが頒布されている。2008年4月29日に事件の数日前を描いたストーリーのWeb体験版が公開され、第5回博麗神社例大祭(2008年5月25日)に製品版を頒布、同日に同人ショップでの委託販売も開始された。 あらすじこの物語は、『風神録』の約1年後の夏の出来事である[1]。 博麗神社は、神社だけに大地震が発生して倒壊するという不可解な出来事に見舞われた。それとほぼ同時に、幻想郷で緋色の雲が観測され、また、各人の周辺だけ特定の天候になるという謎の異常気象が発生した。博麗神社の巫女の博麗霊夢や、魔法の森に住む魔法使いの霧雨魔理沙ら幻想郷の住人たちは、それぞれ調査に出かけた。 全ての事件の犯人は、天人の比那名居天子だった。天界での退屈な生活への不満と、妖怪が起こした異変を巫女が解決するという楽しそうな騒ぎへの憧れが動機で、「異変解決ごっこ」として異変を起こして、それを解決しようとする者と戦おうと考えていた。つまり、暇つぶしである。博麗神社の局地地震は、天子が自分の能力で起こしたものだった[2]。 また、緋色の雲や異常気象も、天子によるものだった。緋色の雲には大地を目覚めさせ地震を起こす可能性があり[3]、放っておけば60年に1度クラスの大地震が起きるはずだった[4]。 最終的に天子は出会った皆々から「退治」され、その後いつものように敵味方入り混じっての宴会が行なわれたところでこの物語は終わる。 基本システム本作は弾幕対戦型格闘ゲームというジャンルの違いから、システム面では大幅な違いが見られる。 自機まず、性能の異なる複数の登場人物のうち1人を選択。所有するカード(後述)は対戦開始前にコンフィグで設定することができる。ストーリーモードでは初めは3人しか選択できないが、条件を満たすことで選択可能な人物が増えていき、最終的には15人が選択可能となる。フリーモードやプラクティスモードでは最初から13人使用可能で、新登場人物も一度対戦して勝利すれば使用可能になる。 特殊動作
パラメータ関係
カードシステムカードシステムも、他の作品と比較すると大幅な違いが見られる。 カードシステム概要
カードの使用カードを使用するには「手札」が必要で、これを所有していれば「カード使用」を行う事ができる。カードを使用すると即座に効果が発動するが、発動までに隙があるため、攻撃を受けるとカード使用は中断される。 カードは3種類あり、システムカード、スキルカード、スペルカードに分かれている。ストーリーモードや対戦モードなどをプレイすることで新たにカードを入手できる。
ストーリーモードでのスペルカードストーリーモードの場合、敵が使用するスペルカードはアクションゲームのボスキャラのような状態となる。発動すると制限時間が表示され、時間内に敵のライフを規定以下にすれば取得となる。ただし、制限時間が過ぎても次の攻撃に移ることはなく、突破するまでは攻撃は続く。なお、このときの敵の体力は原則通常以下である。 天候戦闘中に天候が変化することがある。戦闘画面で天候と気質値が表示されており、気質値が100%となったときに表示されている天候に空模様が変化する。天候は気質値が0%となるまで続き、その天候に応じて双方の登場人物に何らかの効果が付加される。ストーリーモードでも天候が変化するが、それはあくまでも見た目の変化のみである。 登場人物→「東方Projectの登場人物」および「幻想郷」も参照
新規の登場人物
ここでは、『緋想天』が初出の登場人物を解説する。なお、以下の内容は、作中における会話と「キャラ設定.txt」、および『東方求聞口授』における各キャラクターに関する記述による。
龍の世界と人間界の狭間に住む、龍宮の使いと呼ばれる妖怪。 普段は雲の中を泳いで暮らし、龍神の様子を見守っている。龍の言葉を理解し、重大な内容だけ人間や妖怪に伝えるといわれるが、本当に「伝えるだけ」である。本人はいたって温和な性格であり、争いを起こすのも巻き込まれるのも好まない性格だが、幻想郷に大きな地震が発生することを感知してそれを伝えるために幻想郷に現れたときは、幻想郷の住人の一部からは地震の原因と誤解され、戦闘になってしまった。 『緋想天』作中における彼女の発言によれば、彼女の地震予知は地震そのものを無条件で察知するのではなく、緋色の雲の空気を読むことで地震発生を予測するというものである。そのため、比那名居天子の起こした人為的な局地的地震には気づいておらず、「これから起こるであろう大地震」に関しては前準備として気質が集められていたため察知はできたものの、人為的なものとは気づいていなかった。 身につけている長い緋色の羽衣は振り回して武器にできる。単純に勢い良くぶつけるほか、腕に巻きつけてドリル状に変形させることも可能。 天子のことを「総領娘様」と呼び、上下関係のようなものがあるため基本的には天子に逆らうことは無い。しかし、わがままな性格の天子に手を焼いており、八雲紫に「お灸を据えてやってくれ」と頼んだり[5]、自らも天子を少し懲らしめようとした[6]。
天界に住む天人。比那名居一族の娘である。比那名居一族は、天人になる前は地震を鎮める要石を護る役目を担う神官であり、幻想郷の地震を担っていた神官である名居(なゐ)一族の部下であった。名居一族が死んで名居守(なゐのかみ)という神霊として祀られると同時に、部下であった比那名居一族も功績を認められ、天人として天界に住むことが許された。しかし天人になったといってもあくまで名居一族に仕えた功績によってであり、天人としての格を備えるための修行を積んだわけではないので、比那名居一族は他の天人から不良天人と呼ばれている。加えて天子は、親が名居一族に仕えていたという理由だけで天人になっており、さらに幼い頃から裕福な家庭で育ったためかなりわがままな性格であり、不良の名に磨きをかけてしまっている。 元は「比那名居 地子(ちこ)」という名前であり、現在の天子(てんし)という名前は天人になった際に改名したものである。永江衣玖からは「総領娘様」と呼ばれている。 天界での退屈な生活に不満を感じており、「緋想の剣」を使って幻想郷に異常気象による異変を発生させ、犯人を突き止めて自分の元を訪れた者たちと戦うことで、退屈しのぎをしようと試みた。また、博麗霊夢を確実に出動させるために「大地を操る程度の能力」を用いて博麗神社に局所的な地震を発生させ、神社を倒壊させた。 対戦時は、要石や緋想の剣を使った大地を揺るがす攻撃を使用する。地震を操るために要石を幻想郷に抜き差しすることができるのは比那名居一族のみである。「気質を見極める程度の能力」を持つ緋想の剣は、天人にしか扱えない剣であり、気質を集めたり、確実に相手の弱点をつく能力を持つ。作中でもこの剣の力によって気質を集めており、彼女の一部のスペルカードにのみ「気質を全て消費し天候を強制終了させる」という特徴が持たされている。天子は地を操る要石と天を操る緋想の剣を用いることで天・地・人の全てを操ることができると思っている。 会話イベントでは最初は敬語を使い穏やかな物腰で接してくるが、少しでも思い通りに行かないことがあるとすぐに自分以外の全ての存在を見下している地の性格を出す。一見短絡的で無計画のように見えて実はしたたかな一面を持ち、一連の事件を通して密かに博麗神社に比那名居一族との縁を結びつけようとしたため、八雲紫の怒りを買った。 以下は設定上存在するものの、作中に実際の登場は無い。
既存の登場人物
→詳細は「東方Projectの登場人物」を参照
ここでは、『緋想天』が初出ではない登場人物を解説する。 鈴仙・優曇華院・イナバ、小野塚小町、射命丸文の3名と、先述した永江衣玖と比那名居天子を合わせた計5名は、東方Projectの対戦型格闘ゲームシリーズとしては初登場となる。『萃夢想』の追加登場人物である紅美鈴は、『緋想天』には登場していない。
自機ではないが、一部の技(スペルカード)やストーリーモードのエンディングでは以下の人物が登場する。
音楽
関連作品
出典外部リンク
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