Microsoft Windows 2000
Microsoft Windows 2000(マイクロソフト ウィンドウズ 2000)は、マイクロソフトによってWindows NT 4.0の後継として開発されたオペレーティングシステム[7][8]。1999年12月15日(米東部時間)に製造工程向けリリース (RTM) が発表され[1]、2000年2月18日(日本時間)に一般リリースが発売された[3]。 概要Windows 2000はWindows 9x系に比べて安定性・堅牢性に優れた NTカーネルを基に開発された。当初の正式名称は「Windows NT 5.0[注釈 1]」として発表されていたが、後に現在のものに変更された[9]。Windows NTチームのデーブ・トンプソンによると、ジム・オールチンがコードネームを嫌っていたため、Windows 2000にはコードネームがなかった[10]。Windows 2000は主に業務用として位置付けられている。しかし、開発当初からWindows NT系とWindows 9x系の統合が計画されていたためNT 4.0以前のWindows NT系と幾分異なり、一般(個人)のパワーユーザーへも十分に対応できるようにWindows 9x系のユーザーインターフェイス(特にWindows 98 Second Editionが顕著)も取り込まれている[注釈 2]。 当初の製品版では65000件以上の問題を抱えていた[11]と揶揄されたが、4回に渡ってリリースされたサービスパックや数度のロールアップの適用により、安定性や信頼性、使い勝手なども登場当初と比較して格段に向上した。登場当初はWindows 9x系に対して各種デバイスドライバ類がかなり少なく、特にマルチメディア関連機器の多くに非対応という弱点を抱えていた。しかし次第にWindows 2000専用、およびWindows XP互換(共通)のデバイスドライバが順次開発された。 Windows NT系は移植性を高める設計が行われており、前バージョンのWindows NT 4.0ではPowerPCやDEC Alphaなどの複数のプラットフォームに向けて販売されていた。しかしIA-32以外のプラットフォームが事実上消滅してしまったため、Windows 2000ではβ3までは複数存在していたものの、結局IA-32以外の発売は取り止めとなった。ただし後述の「Windows Advanced Server, Limited Edition」についてはIA-64(Itaniumシリーズ)用が後にリリースされた。また、PC-9800シリーズの対応もWindows 2000を最後に終了した。 Windows 2000はサーバー用とクライアント用が同一の製品名として発売された最後のWindowsではあるが、後期のサーバエディションである「Windows Datacenter Server Limited Edition」や「Windows Advanced Server, Limited Edition」からは「Windows 2000」の名称が外れている。これ以降のWindowsのリリースでも同様に、サーバー用とクライアント用が別のバージョンや別の製品名で別けて発売されている。 2022年1月更新の規定において、Windows 2000は企業・法人向けのボリュームライセンス契約者に限定したダウングレード権としてライセンスのみ[注釈 3]提供が継続されている[12][13]。その他のサポートとしては、それまでに提供された修正モジュールがダウンロードできる「オンラインセルフヘルプサポート」[注釈 4]があるほか、企業等の契約者に対する有料の「カスタマーサポート」にて新たなOS環境へ移行するための手助けを受けることも可能だったが実際は延長サポートが終了済みとなっていたため、当然、新たな修正モジュールも既に開発済みとなった。その後もいくつかの更新プログラムが提供されている[注釈 5]が、無論すべてのhotfixが対応しているわけではなく、Windows 2000では延長サポート中でさえ開発困難なパッチは対応が見送られるケースも少なくなく[14]、また、充分な動作検証が行われていない場合もある[注釈 6]。 Windows 2000は主に企業を中心に多く用いられていたため、資金難等の理由からシステム更新の遅れた企業で需要が残るケースが少なくなかった[15]。実際、後続OSであるWindows XPのサポートも終了した2014年4月時点ですら、XPを利用して構築されたサーバは世界で6000件程度なのに対し、(サーバエディションの存在する)Windows 2000については50万台ものサーバがなおも稼動しているという[16]。さらに、組み込み向けの"Windows 2000 Professional for Embedded Systems"は延長サポートの終了が2010年7月13日(日本時間7月14日)までで、ライセンス搭載製品出荷提供可能期間終了の2015年3月31日(日本時間4月1日)までサポートされるという事情もあった[17]。こうした問題に目を付けた一部のセキュリティソフトベンダでは独自サポートを継続する動きも見られ[注釈 7]、企業向けのセキュリティソフトでは2016年3月31日(日本時間4月1日)までサポートされていた例[注釈 8]もある。ただし、そうしたセキュリティベンダでも基本的には新しい環境への移行を推奨している。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)も、根本的な解決ではないとしながらもシステム更新までに時間が掛かる場合のつなぎとしてセキュリティツールの使用を指導している。またIPAはこうしたサポートの終了した旧OSのセキュリティ上の危険性を指摘しており、なるべく、ネットワークに接続しない単独の専用システム(スタンドアローン)にしたうえでUSBメモリやFD、MO、外付けHDD等の外部補助記憶装置でデータ交換しないことを呼びかけている[19]。
特徴Windows 9x系統からの機能
Windows 2000での新機能
そのほかにも
などの機能追加及び強化が図られた。 エディション
サービスパックサービスパックではないがそれに準ずるものとしてロールアップも複数回登場しているため、時系列上これも併記する。サービスパックはOSバージョンに準ずる扱いであり、それぞれにサポート期間が設定されている。またWindowsコンポーネント追加の際にもサービスパック適用済みのファイルからインストールされる。これに対しロールアップは単に修正プログラム集であり、後からWindowsコンポーネントを追加した際にはそのファイルに対してロールアップは適用されていない[25]。またサポート期限も対象サービスパックの期限に依存する。
システム要件
旧バージョンからのアップグレード / アンインストールWindows 2000 Professionalは本来、Windows NT 3.51 WorkstationとWindows NT 4.0 Workstationからのアップグレードを想定しているが、Windows NT系列のOSと、Windows 9x系列のOSはWin32という共通のAPIを備えている為、Windows 95、Windows 98(Second Edition含む)、Windows Meからでもアップグレードは可能。ただし、どのバージョンからアップグレードしても、旧バージョンに戻す事(アンインストール)はできない(Windows 2000には元々アンインストール機能が備わっていないため)。なお、Windows 2000 Professional 期間限定アップグレードパッケージ(Windows 95/98/98SEからのアップグレード)もあった。また、Windows MeはWindows 2000よりも後にリリースされているので本来ならアップグレード対象になっていないはずだったが、Microsoftから2001年2月に正式にWindows MeもWindows 2000のアップグレード対象OSとして認められた。ただし、アップグレードインストールはサポートされておらず、フォーマットしての新規インストールのみがサポートされている。一応、Windows MeからWindows 2000にアップグレードインストールする事自体はできるが、Windows Meからアップグレードすると、Windows Meに備わっていた一部の機能(システムの復元など)が利用できなくなる。また、通常パッケージ版ではWindows 3.1及びそれ以前のOSからはアップグレードできない。 Windows 2000 ServerとWindows 2000 Advanced Serverへは、Windows NT Server 3.51と4.0からのみアップグレード可能。また、Windows 2000の異なるバージョン間でのアップグレードはサポートされていない(Windows 2000 ProfessionalからWindows 2000 Serverにアップグレードする事はできず、その逆もできない。ただし、新規インストールは可能)。 アカデミックパックでは「優待アップグレード版」という形態が取られており、上記に加えWindows 3.1も正式なアップグレード対象に含まれた。さらに他社OSもアップグレード対象であり、パッケージのシールでは具体例としてUNIX、OS/2およびMacintoshが挙げられている。すなわちコンピュータシステムごと乗り替える「アップグレード」も想定されている。無論これらはライセンスの話であり、インストールについては通常版と同様に(Windows 95/98/98SE/NT以外からの)アップグレードインストールはサポートされておらず新規インストールしかできない。ちなみにこの「優待アップグレード版」CDから新規インストールを開始すると、アップグレード版であるにもかかわらず、旧バージョンのインストールメディアの挿入を要求されない(通常のアップグレード版から新規インストールを開始すると、途中でアップグレード対象製品のCDの挿入を要求されるはずである)。 ボリュームライセンス版ではクライアントOS(Windows 2000の場合はProfessional)について、最新OSへのアップグレードライセンス(に付随するWindows 2000へのダウングレード権)として提供されている。そのアップグレード対象は契約内容によって異なり、場合によっては一部の他社OSがアップグレード対象になることもある。やはりWindows 95/98/98SE/NT以外からのアップグレードインストールはサポートされていない。 新しいバージョンへのアップグレード / アンインストールWindows 2000がアップグレード元OSの場合、そのバージョンによってアップグレード先が異なるのが特徴である。Windows 2000 Professionalからアップグレードする場合と、Windows 2000 Server及びWindows 2000 Advanced Serverからアップグレードする場合とでアップグレード先が変わる(Windows 2000 ServerとWindows 2000 Advanced Serverは基本的にアップグレード先が共通だが、Windows 2000 Advanced Serverからアップグレードする場合、Windows Server 2003の下位エディション(Standard)にはアップグレードできないので注意)。 Windows 2000 ProfessionalからはWindows XP ProfessionalかWindows Vistaにのみアップグレードする事ができる。ただし、Windows Vistaへは直接アップグレードする事ができず、新規インストールを行う必要がある。Windows 2000からアップグレードによって(環境を引き継いで)Windows Vistaにしたい場合、間にWindows XP Professionalを挟む必要がある。Windows XP Home Editionにはアップグレードできない(セットアップ開始時に強制終了してしまうので、CD-ROMから起動しないと新規インストールも行えない)。故にWindows 2000 Professionalから直接アップグレードできるのは、Windows XP Professionalのみとなる。なお、日本語版のみ、Windows 2000 Professionalのみからアップグレード可能の、Windows XP Professional 期間限定特別アップグレード版もあった。 一方、Windows 2000 Server及びWindows 2000 Advanced ServerからはWindows Server 2003かWindows Server 2008にのみアップグレード可能。ただし、Windows 2000 ProfessionalからWindows Vistaにするのと同様、Windows 2000 Server及びWindows 2000 Advanced ServerからいきなりWindows Server 2008にする事はできない。間にWindows Server 2003を挟むか、新規インストールをする必要がある。 また、両バージョン間に互換性は無い為、Windows 2000 ProfessionalからWindows Server 2003にアップグレードしたり、Windows 2000 ServerやWindows 2000 Advanded ServerからWindows XP Professionalにアップグレードする事はできない(いずれもの場合もそのバージョンからセットアップを起動しての新規インストール及び、CD-ROMから起動しての新規インストールは可能)。 Windows 2000がアップグレード元OSの場合、基本的にどのバージョンからどのバージョンにアップグレードしても、新しいバージョンをアンインストールしてWindows 2000に戻す事はできない。 脚注注釈
出典
外部リンク
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