福島競馬場(ふくしまけいばじょう/ 英: Fukushima Racecourse)は、福島県福島市松浪町にある中央競馬の競馬場である。
概要
開設は1918年(初開催は同年6月28日)で、1997年にリニューアルされた。
毎年4・7・11月の3開催・20日間に渡って開催される。このうち、夏(7月)の開催は東日本地区の主場開催として開催される。
中央競馬を開催する競馬場では最も小さく、レースの大半を1勝クラス(旧500万円以下)条件戦と未勝利戦が占めている。ドイツ連邦共和国のバーデンバーデン競馬場と提携しており、交換競走も行われている (バーデンバーデンカップ = 3勝クラス (旧1600万下)特別[1][2]、2019年[3]までオープン特別)。
薄暮競走は行われていない(2011年以後、薄暮開催は省エネ対策の一環で実施していない)が、2013年から第2回相当の7月の開催について、最終競走の発走を16時半に繰り下げて開催している。
歴史
静岡県の藤枝競馬倶楽部から移転の形で公認競馬を誘致した福島競馬倶楽部が使用する競馬場として、1918年に建設され同年6月に初の競馬が開催された。1937年の秋季開催からは主催が日本競馬会に移行されたが第二次世界大戦のため1943年限りで競馬開催が休止。終戦後には食糧難対策として農場として使用された。国営競馬移管後の1949年9月に競馬開催が再開。1954年からは日本中央競馬会に移管され現在に至っている。
- 1923年から1937年の春季開催には帝室御賞典が施行された。日本競馬会移管以降は重賞に相当する競走は施行されなかったが、1965年にオープン特別として施行されていた七夕賞・福島記念が格上げされる形で創設された。
- 1929年6月8日 - 現在までに史上唯一となる全頭落馬による不成立レースが発生。
- 1972年は前年からの馬インフルエンザ騒動の影響で1・2月の中央競馬関東開催が中止された振替として急遽春季開催が組まれ、例年正月競馬重賞として組まれている日刊スポーツ賞金杯が当競馬場で4月30日に施行された。
- 1931年春季開催には日本で初めての複勝式馬券を発売、1999年第3回開催にはワイド(拡大馬連)の先行発売、2002年第1回開催には馬単・3連複の先行発売と全国導入に先駆けて新種の馬券を導入することが多かった。
- 1947年8月17日 - 昭和天皇の行幸(昭和天皇の戦後巡幸)[4]。競馬場に奉迎場が設営され、天皇は約3万人の市民による万歳三唱に応えた[5]。
- 1987年6月 - 大型映像ディスプレイ竣工。
- 1995年8月6日 - この日の開催を最後にスタンド改築工事による休催期間に入った[6]。
- 1997年6月15日 - スタンド改築工事による休催期間が終わり、競馬を再開した[7]。
- 2003年 - 日程の見直しが行われ、前年までの夏1開催・秋2開催から春・夏・秋各1開催に変更。これに伴いカブトヤマ記念が秋から春に移行したが、この年の開催を以て廃止となり、2004年よりこれに替わる重賞競走として福島牝馬ステークスが創設される[8][9]。
- 2007年に行われた競馬法施行規則の改定で、全10競馬場年間288日間の開催日程の範囲であれば原則8日間の1開催の日程を調整したうえで増減できるようになったことから、2008年以後「馬場保護と競走馬の安定した出走サイクル確保」の観点という名目で4月の第1回開催を6日間、10-11月の第3回開催を10日間にそれぞれ変更している(これに付随して、中京競馬場での開催も3月の第1回を10日間、12月の第3回を6日間にそれぞれ変更している)。
- 2010年4月17日に前晩からの降雪で開催中止となった。福島競馬場において競馬開催が降雪で中止になったのは初めて。また、福島を含むJRAの全競馬場(中央競馬)において、4月に競馬開催が降雪で中止になった前例もない[10]。
- 2011年
- 2012年
- 4月7日 - 一連の東日本大震災発生により1年間にわたり休止になっていたが、原発事故の影響による放射性物質の除染を目的とした芝コースの一部張替えやダートコースの砂入れ替え、施設復旧工事を終え、この日より「福島復興祈念競馬」として約1年半ぶりの競馬開催を再開した[14]。
- 4月21日 - 福島競馬再開後初の重賞、福島牝馬ステークス (GIII)が施行。
- 2013年
- 4月21日 - 降雪により開催中止となった。福島競馬場での降雪による中止は2010年4月17日以来3年ぶりであり、積雪による中止の最も遅い日の記録を更新した。代替開催は4月29日に施行されたため第1回の最終週は3日間開催となった。
- 2020年の第1・2回開催全日はCOVID-19の流行により客を入れずに「無観客競馬」として開催。
- 2021年
- 2月13日に発生した福島県沖地震により、天井パネルやスプリンクラーが破損するなどの影響が出て翌14日のパークウインズとしての営業を中止した[15]。4月10日からの福島競馬開催を目指して復旧作業を急いでいたが、当初の予想よりも被害が大きく開催を断念。新潟競馬場で代替開催が行われることが決まった[16][17]。
- 第1回開催(当初の第2回日程)全日は前述の地震の影響による来場者エリアの復旧に時間を要するため、客を入れずに「無観客競馬」として開催[18]。
- 2022年
- 3月16日に発生した福島県沖地震により、パークウインズに一部破損が認められるため19日から21日の営業を中止。また、施設の点検調査への時間所要が考慮され、第1回福島競馬の第1日・第2日となる4月9日・10日の開催を中止することになった[19]。その後、復旧箇所が広範囲にわたるという理由で、パークウインズとしての営業休止を3月27日まで延長(ただし3月26日・27日は払い戻しのみ実施、3月28日の平日払い戻しは休止)し、4月2日から利用エリアの一部制限を加えたうえで営業再開とすること、また4月9日開幕予定とした第1回福島開催の開幕を実質順延し、4月16日から5月1日までとしたうえで、無観客開催とすることが発表された[20]。
コース概要
周回コースで芝コースが外側、ダートコースが内側に配置されており、ともに平地競走では右回りでレースが施行される。1997年に完成したスタンド改装工事と同時に馬場の全面改修も行われた。
芝コース
決勝戦残り170 m から50 m までの位置に1.2 m [21]の登り坂がある。コース全体の高低差は1.9 m [21]。障害競走が行なわれる時はレース開始前に芝コース上に非常設の竹柵障害が5つ設置され、終了後に撤去される。
- 1周距離: Aコース1600.0 m, Bコース1614.4 m, Cコース1628.1 m[22]
- 直線距離: Aコース292.0 m, Bコース297.5 m, Cコース299.7 m[22]
- コース幅員: Aコース25 - 27 m, Bコース22.5 - 25 m, Cコース20-23m[22]
- 距離設定: 1000 m, 1200 m, 1700 m, 1800 m, 2000 m, 2600 m[22]
- 出走可能頭数(フルゲート): 1200 m, 1800 m (A/Bコース), 2000 m, 2600 m (A/Bコース)は16頭、その他は14頭[23]
ダートコース
2004年に同コースの改修が行なわれた際に、第2コーナー方向にポケット地点が設けられ1,150 mの発走地点が新たに設定された。JRAで唯一、100 m 単位で割り切れない同距離はスタート後に約100メートルほど芝の上を走りその後ダートに入るコースとなっており、中山競馬場ダート1,200 mに似た形態となっている。また同時に向正面のコース幅が20 mから25 mに、正面スタンド前のコース幅が20 mから23 mに拡幅され、出走可能頭数(フルゲート)の増加を実現した。
- 一周距離: 1444.6 m[22]
- 直線距離: 295.7 m[22]
- コース幅員: 20 - 25 m[22]
- 距離設定: 1000 m, 1150 m, 1700 m, 2400 m[22]
- 出走可能頭数(フルゲート): 1000 mは12頭, 1150 m・2400 mは16頭, 1700 mは15頭[23]
障害コース
新潟競馬場、中京競馬場と同様に、障害競走実施時は芝コースの一部を使用する。第3コーナーから第1コーナーには馬場を斜めに横切る形で、障害競走に使用される襷コースが設けられており、山型のバンケットが配置されている。バンケットの馬場側にはツツジで「FKC」の文字が施されているが、これは福島競馬倶楽部(福島競馬場創設時の主催団体)のローマ字表記の頭文字である。1996年の馬場改修工事の際に撤去する方針であったが、地元からの要望があり残すこととなった。障害競走の場合、発走地点から襷コースに入るまでは逆回りで走り、同コースを通過後は順回り(右回り)となる。
過去には第2コーナーから第4コーナーにかけての襷コースも存在し、生垣障害が3つ配置されていた(1989年の走路改修工事の際に廃止)。現存する襷コースと合わせてクロス状に襷が走っている構成だった。2007年までは埒が設置されておらず、植え込みでコースを区切っていたが2008年開催より内外ともに埒が設置されるようになった。以前の襷にあった2号障害は水壕だったが、その後人工竹柵障害に変更。さらに2008年よりグリーンウォールに変更となった。オープン戦と未勝利で高さを変更できるユニット式である。
2013年までは、年間の障害競走数は主場扱いとなる夏季の6レースのみであった。2014年からは、障害競走の開催が第3場を基本とすることに伴い、基本的に全ての開催で行われるようになる。
- 距離設定: 2750 m (Aコース), 2770 m (Bコース), 2800 m (Cコース), 3350 m (Aコース), 3380 m (Bコース), 3410 m (Cコース)[22]
- 出走可能頭数(フルゲート): 14頭 (距離・コース問わず)[23]
アクセス
- 公共交通機関
- 車
スタンド
スタンドは6階建てで、1階から3階までは一般席・シニア席、4階が指定席・シニア席、5階が馬主・貴賓席、指定席、6階は業務区域となっている。2階以上はガラス張りである。道路を挟んで向かい側に立体駐車場がありスタンド2階とは連絡通路で直結している。
指定席はA指定席(4階559席、1500円・入場料別)とB指定席(4階608席、1000円・入場料別)C指定席(5階616席、500円・入場料別)がある。
パドックはスタンド2階にある。土地を有効活用するためにこのような形式がとられた。パドックの下はファストフードコーナーとなっている。
地方競馬の場外発売
1998年から、スタンド1階の一部エリアに岩手競馬(盛岡競馬場・水沢競馬場)の場外発売所が設けられ、福島競馬開催日(JRAの場外発売日を含む)に岩手競馬が開催されている場合は場外発売が行われていたが、2011年3月6日をもって閉鎖された[24]。このほか、盛岡競馬場でダートグレード競走が施行される場合は、その当日にも場外発売が行われる場合もあった。
通常は岩手競馬以外の地方競馬の競走は発売されないが、2003年11月3日には大井競馬場で施行されたジャパンブリーディングファームズカップ(JBC)の馬券が発売された。また、全国規模でJBCの馬券を中央競馬の施設で発売するための対応として、同日の中央競馬の開催は福島競馬1か所のみの変則日程となった。
岩手競馬の最終競走発走時刻が中央競馬よりも遅いことが多く、発売所の滞留者数は最終競走時に最も多くなっていた。
場内ミニFM
場内ではミニFM放送で各放送局の音声を送信している。周波数は以下のとおり。
重賞競走
- GIII
- 廃止
レコードタイム
出典:JRA公式サイト 中央競馬レコードタイム 福島競馬場
芝コース(2歳)
芝コース(3歳以上)
ダートコース(2歳)
距離 |
タイム |
競走馬 |
性別 |
斤量 |
騎手 |
記録年月日
|
1000m |
0:59.1 |
ベガスカラノテガミ |
牡 |
53kg |
菊沢隆徳 |
1997年10月25日
|
1150m |
1:07.4 |
ニシノミズカゼ |
牝 |
54kg |
田辺裕信 |
2020年7月12日
|
1700m |
1:45.1 |
コトホドサヨウニ |
牡 |
54kg |
城戸義政 |
2023年11月18日
|
ダートコース(3歳以上)
障害
福島競馬場でデビューしたGI級競走優勝馬
イベント
担当レース |
レース名・条件 |
担当アナウンサー
|
7R |
3歳以上500万円以下 |
樋口忠正
|
8R |
3歳以上500万円以下 |
蜂谷薫
|
9R |
3歳以上500万円以下 |
馬場鉄志
|
10R |
福島2歳ステークス |
長岡一也
|
11R |
福島記念 (GIII) |
高橋雄一
|
12R |
相馬特別 |
白川次郎
|
その他
- 福島市と防災協定を結んでおり、災害時の緊急避難場所の指定を受けているほか、災害時の飲料水を確保する大型貯水槽を持つことで知られる。東日本大震災の際には避難者を受け入れていた。
- 中央競馬の競馬場で、開催日数に比して重賞競走が最も少ない。2012年まで施行していた障害競走の福島ジャンプステークスや、2歳馬限定競走の福島2歳ステークス (11月に芝1200m競走として開催)も、新潟や小倉と異なり、重賞の格付けがないオープン特別となっている。
- グレード制施行以来、唯一GII格以上の重賞が行われていない(他競馬場の振替・代替開催含む[注 1])ダートによる重賞は競馬場開設から実施された実績がない。
- 元騎手の増沢末夫は現役時の通算勝利数2016勝のうち、福島で671勝している。
- ゴール板の上には、福島県郡山市西田町高柴デコ屋敷の伝統工芸品・郷土玩具である三春駒が飾られている。
競馬場前バス停
本施設至近の国道4号上に福島交通路線バス競馬場前、高速バスの福島競馬場の各バス停が設置されている。
- 1番ポール
- 2番ポール
脚注
注釈
出典
外部リンク
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