秋山 虔(あきやま けん、1924年1月13日 - 2015年11月18日)は、日本の文学者。専門は、国文学・中古文学。東京大学名誉教授。紫綬褒章受章。日本学士院会員、文化功労者。勲二等瑞宝章受章。
国士舘短期大学助教授、東洋大学助教授、東京大学文学部教授、東京女子大学教授、駒沢女子大学教授、紫式部学会会長などを歴任した。
概要
岡山県出身の国文学者であり、主として中古文学を専攻した。『源氏物語』の成立論をはじめ、構造論、人物論、さらには作者である紫式部に関する作家論など、多彩な方法論を展開した[1]。その結果、『源氏物語』研究の指導的存在となり、学界に大きな影響を与えた。また、平安時代の和歌をはじめ、物語、説話文学、さらには漢文学に至るまで、作品成立時の社会的環境の下での作者の心理、意識、表現などを解明した[1]。国士舘短期大学、東洋大学、東京大学、東京女子大学、駒沢女子大学などで教鞭を執り、多数の後進を育成した[1]。
来歴
生い立ち
岡山県出身。1941年、東京府立第六中学校(現・東京都立新宿高等学校)卒業。旧制第三高等学校卒業。東京帝国大学国文科卒業。
研究者として
1953年、国士舘短期大学助教授。1954年、東洋大学助教授。1957年、東京大学文学部助教授。1969年教授。1984年定年退官。名誉教授、東京女子大学教授。1993年、駒沢女子大学教授。1999年退職。1989年、紫綬褒章受章。2000年、日本学士院会員。2001年、文化功労者、勲二等瑞宝章叙勲。2015年11月18日、肺炎のため91歳で死去[2]。
研究
『源氏物語』の研究で知られる。校訂、事典、入門書の編纂多数。2006年には「源氏物語千年紀」のよびかけ人となり、「古典の日」推進呼びかけ人に名を連ねた[3]。また1996年には、皇居での講書始の進講者を務め、2001年の愛子内親王の命名時に勘申者を務めた。
著書
共編著
- 『源氏物語必携』学燈社 1967
- 『日本文学の歴史 第3巻 宮廷サロンと才女』山中裕共編 角川書店 1967
- 『中世文学の研究』東京大学出版会 1972
- 『源氏物語の研究』東京大学出版会 1974
- 『日本古典文学史の基礎知識 文学的伝統の理解のために』神保五弥、佐竹昭広共編 有斐閣 1975
- 『日本文学史 2 中古の文学』藤平春男共編 1976 有斐閣選書
- 『源氏物語』至文堂 1978 講座日本文学
- 『日本文学全史 2 中古』学燈社 1978
- 『王朝文学史』東京大学出版会 1984
- 『標準日本文学史』三好行雄共編著 文英堂 1985 シグマベスト
- 『源氏物語必携 2』学灯社 1986
- 『和文古典 2 王朝の文学』編著 放送大学 1986
- 『王朝女流日記必携 蜻蛉日記/和泉式部日記/紫式部日記/更級日記』学灯社 1989
- 『源氏物語事典』学灯社 1989
- 『源氏物語図典』小町谷照彦共編 小学館 1997
- 『新・源氏物語必携』學燈社 1997
- 『源氏物語を行く』中田昭写真 小学館 1998
- 『源氏物語必携事典』室伏信助共編 角川書店 1998
- 『王朝語辞典』東京大学出版会 2000
- 『三省堂詳説古語辞典』渡辺実共編 三省堂 2000
- 『源氏物語を読み解く』三田村雅子共著 小学館 2003
- 『紫式部日記の新研究 表現の世界を考える』福家俊幸共編 新典社 2008
- 『平安文学史論考 武蔵野書院創立90周年記念論集』武蔵野書院 2009
- 『源氏物語大辞典』室伏信助共編 角川学芸出版 2011
- 『日本古典読本』桑名靖治・鈴木日出男共編 筑摩書房1988
校訂など
栄典
脚注
参考文献