『荒野のストレンジャー』(こうやのストレンジャー、High Plains Drifter)は、1973年に公開されたアメリカの西部劇である。監督・主演はクリント・イーストウッド。イーストウッドは町の護衛を依頼される西部のガンマンを演じた。また、イーストウッドの師でもあるセルジオ・レオーネとドン・シーゲルからの影響を受けている作品でもある[3]。
この映画の撮影はカリフォルニア州、モノ・レイクの岸辺で行われた。脚本はアーネスト・タイディマンとディーン・レイスナー[4]。タイディマンは小説版も執筆した。音楽はディー・バートンが作曲した。また、本作は超自然の要素を含んでいる。
概要
この映画はマルパソとユニバーサルの共同製作である。脚本は『フレンチ・コネクション』でアカデミー脚色賞を受賞したアーネスト・タイディマン[5]。作品の中に見られるブラックユーモアはセルジオ・レオーネの影響である[5]。
イーストウッドは撮影場所を探すため、オレゴン州、ネヴァダ州、カリフォルニア州を回り[6]、最終的にモノ・レイクでの撮影が決まった。舞台となる町のオープンセットは、40人以上の技術者と10人以上の建設関係者によって18日かけて建設された。また、ネヴァダ州、リノのウィネマツカ・レイクとカリフォルニア州、イニョー・ナショナル・フォレストで追加撮影も行われた[7]。最終的にイーストウッドは、本作をわずか6週間で撮り終えた。
ストーリー
鉱山によって成り立っている小さな町(ラーゴ)に、ある日正体不明の流れ者(ストレンジャー)がふらりと立ち寄る。彼は、からんできた3人のならず者をまたたく間に撃ち殺してしまうが、臆病な町の住人たちは、流れ者を咎めもせず、ただただ困惑してしまう。実は殺された3人は、1年前に町で捕まえて刑務所に送っていた3人の無法者の復讐に備えて、住人たちが雇っていたのだった。
時間も当てもない町にとって残された手段は、この流れ者を雇って3人の無法者に備えることしかない。彼は当初は渋っていたが、「何でも言う事をきく」との申し出に、この何やらいわくありげな町の護衛を引き受けることにする。
一安心した住人たちだったが、彼の出し始めた命令は、住人たちの当惑するとんでもないものばかりであった…。
流れ者は、正義を、貫こうとして非業の死を遂げた元保安官の墓標が建ったことを見届けながら、町を去って行く。
キャスト
評価
レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは30件のレビューで支持率は93%、平均点は7.70/10となった[10]。Metacriticでは10件のレビューを基に加重平均値が69/100となった[11]。
アメリカでは1973年8月に公開され、当時800万ドルの興行収入を得た。これは1970年代に制作された西部劇で11番目に多くの興行収入を得た作品である[12]。当初、出演のオファーを受け、脚本も受け取っていたジョン・ウェインは映画公開後、イーストウッドに本作を評価した手紙を送っている。ただし、その内容は「映画の町民たちは、実際のアメリカ先駆者達の精神を持っていない。アメリカの偉大なる精神をだ」というもので、本作に難色を示している[13]。評論家からは賛否両論の評価を受け、『サタデー・レヴュー』のアーサー・ナイトはイーストウッドについて「シーゲルとレオーネの作り方を吸収し、レオーネと彼の独特の社会観が融合している」と述べた。
脚注
- ^ Box Office Information for High Plains Drifter. The Wrap. Retrieved April 4, 2013.
- ^ Box Office Information for High Plains Drifter. Box Office Mojo. Retrieved April 4, 2013.
- ^ Kaminsky, Stuart. Clint Eastwood, Signet Books, 1975. ISBN 978-0-451-06159-1
- ^ クレジットなし
- ^ a b McGilligan (1999), p. 221
- ^ Gentry, p. 63
- ^ Hughes, p. 28
- ^ “川名完次の映画作品”. 2021年11月1日閲覧。
- ^ 2020年7月17日放送分
- ^ “High Plains Drifter”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2022年9月26日閲覧。
- ^ “High Plains Drifter Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2022年9月26日閲覧。
- ^ Hughes, pp. 30–31
- ^ Schickel, p. 291
関連項目
外部リンク
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