辰部()は、漢字を部首により分類したグループの一つ。
康熙字典214部首では161番目に置かれる(7画の15番目、酉集の15番目)。
概要
辰部には「辰」を筆画の一部として持つ漢字を分類している。
単独の「辰」字は十二支の第5位を意味する。十干との組み合わせた六十干支で日を記録し、漢代以後では年も記述した。単独では方位や月・時刻を記述し、方位は東方偏南(南方偏東の巳と合わせて東南を指す)、月は旧暦3月、時刻は午前7時から9時の間を表した。
また朝を意味する。また十二辰・十二時辰というように十二支体系の総称として使われ、『周礼』秋官「以方書十日之号、十有二辰之号」の鄭玄注に「『日』とは甲から癸をいい、『辰』とは子から亥までをいう」とある。ここから引伸して日時の総称、「とき」の意味にも使われる。また、星を意味することがあり、星では「北辰」で北極星、二十八宿では心宿(さそり座)を意味し、「星辰」で星々の総称、「三辰」で太陽・月・星の総称としても使われる。また天文暦学においては朔における太陽と月の交点を意味する。
字源としては、「辰」字は雑草を刈るときに用いる農具の形を象る象形文字である。なお、貝を象る象形文字という説があるが、信頼できる説ではない。[1][2][3]
「辰」は農作業に関する文字に含まれることがある。
部首の通称
- 日本:しんのたつ(十二支に配当された獣が龍(たつ)であることから)
- 韓国:별신부(byeol sin bu、星の辰部)
- 英米:Radical morning
部首字
辰
- 中古音
- 現代音
- 日本語 - 音:シン(漢音・呉音)
- 朝鮮語 - 1.音:신 訓:별(byeol、星)・2.音:진 訓:다섯째 지지(daseotjjae jiji、五番目の地支)
例字
脚注
- ^ 裘錫圭 (1992), “甲骨文中所見的商代農業”, 古文字論集, 北京: 中華書局, pp. 165–167, ISBN 7-101-00979-4
- ^ 蘇建洲 (2020), 新訓詁学, 上海: 上海古籍出版社, p. 206, ISBN 978-7-5325-9582-2
- ^ 葛亮 (2022), “説干支――基礎漢字之二”, 漢字再発現――従旧識到新知, 上海: 上海書画出版社, pp. 118–119, ISBN 978-7-5479-2884-4