鹿児島市交通局1000形電車(かごしましこうつうきょく1000がたでんしゃ)は、2002年に営業運転を開始した鹿児島市交通局(鹿児島市電)の路面電車である[1]。愛称はユートラム[1]。
概要
アルナ工機および同社から事業を継承したアルナ車両の設計・製造による、日本初の国産超低床路面電車である[2]。アルナ工機で「リトルダンサーA3」と発表されていた形式で、客室車体(C車体)を運転室車体(A・B車体)の間にフローティングした3車体連接構造である[3]。台車は車端に寄せられたうえ、運転室車体に固定されており、独自に回転しない固定構造となっている[3]。行先表示器は鹿児島市電初の[要出典]LED式を採用した[1]。車内は片持ち式ロングシートとなっており、うち2カ所を折り畳み式座席として車椅子スペースを確保できるようにしている[3]。また、液晶テレビもとりつけられており、広告映像などを放映している[1][4]。運転台機器は、右手操作式ワンハンドルマスコンである。パンタグラフは、9700形で採用したシングルアーム形が1基、C車体に搭載されている。制御装置は2140形以来のVVVFインバータ制御となり、素子は従来のGTOサイリスタに代わってIGBTを鹿児島市交通局の車両としては初めて採用した[1]。通常は床下に搭載される制御機器などは、C車体が超低床構造になっていることから、屋根上に搭載されている[1]。
なお、車体は連接構造であるが登録上は3車体で1両である。
2001年冬、1次車の 1011 - 1013 が登場した。翌2002年1月15日から運行を開始する[1]。2003年には、鹿児島市交通局の車両初の鉄道友の会ローレル賞を受賞した。2004年には定員を1次車の55人から58人に増やした増備車(2次車)の 1014 - 1016 が登場した。
1000形の乗降口は車体の端にそれぞれ位置しているという構造から、特に乗車口に関して混み合っているとき乗りにくく、利用客から改善を求められていた。これを受け、乗車口を1mほど中央寄りに移す改良がされた3次車の 1017 - 1019 が2005年に登場している。
2007年からは、5車体連接車の7000形が登場したため、1000形の投入は終了した。
なお2010年からは、1015に初の全面広告車も登場している。
現在の運用
7000形・7500形と共に固定運用となっており、各停留所の時刻表に表記されているほか、ホームページでも確認することができる。2014年4月22日に1014がバスと接触・脱線する事故が発生し、修繕のため運用から外れていたが、現在は運用に復帰している。2018年6月26日から7月18日まで100形の代走として観光電車の運用に就いた[5]。
愛称について
愛称のユートラムは、優トラム・悠トラム・遊トラム・友トラム・YOUトラムからとったものであり、一般公募で選出されたものである。
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1011(1次車)
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車内(1次車)
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1017(3次車)
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脚注
参考文献
- 市田利廣(鹿児島市交通局電車事業課車両係長); 田島辰哉(アルナ工機株式会社車両事業部尼崎工場設計課長) (2002-04-01). “国産初の超低床路面電車 鹿児島市交通局1000形”. 鉄道ジャーナル2002年4月号 (鉄道ジャーナル社) 36 (4).
外部リンク