2008年の気象・地象・天象(2008ねんのきしょう・ちしょう・てんしょう)に関する出来事を記述する。
2007年の気象・地象・天象 - 2008年の気象・地象・天象 - 2009年の気象・地象・天象
概要
天候
- 日本
- 年初の冬(前年12月~2月)の気温は北日本~西日本で平年並み、南西諸島はやや暖冬となり、前年より寒い冬となった。12月は東日本以西、1月は西日本と南西諸島で暖冬となったが、2月は一転して低温となった地域が多く、北日本を除いて3年ぶりに寒い2月となった。この冬は爆弾低気圧や極低気圧の出現が多く、北海道から本州日本海側では暴風、高波、大雪による被害が発生した他、南岸低気圧の影響で関東地方から西日本の太平洋側でも積雪に見舞われたが、強い寒気の流入が少なかったため日本海側の降雪量は平年を下回った。
- 春(3月~5月)の気温は北日本~西日本で平年より高く、南西諸島では平年並みであった。特に北日本では平年を大きく上回る高温で4年ぶりの暖春だった。台風や低気圧の影響を受けた関東地方から西日本では降水量が平年を上回ったが、北日本と北陸地方では降水量は少なく、平年の半分以下となった地域も多かった。5月は太平洋高気圧の勢力が弱かったため、台風が日本の南海上を通過して東日本に接近するなどした。
- 夏(6月~8月)の気温は北日本で平年並み、東日本以西は平年を上回る猛暑となった。梅雨入りは東日本以西では早く、北陸地方と北日本では遅くなったが、梅雨明けは西日本では7月上旬と早かった一方で、北陸地方と北日本では8月上旬まで梅雨明けが遅れた。7月は梅雨明けの早かった東日本と西日本で顕著な高温となり、西日本では7月としては歴代3位の高温となるなど、前年2007年7月の気温を大幅に上回る猛暑となった。この猛暑は8月上旬まで続いたが、中旬は積乱雲の影響で集中豪雨、突風、雷などが多発し、西日本と東日本では豪雨による水難事故や浸水被害が発生するなどした(平成20年8月末豪雨)。また、下旬以降は寒気の影響で全国的な低温で涼しくなり、8月の気温は2002年以来の平年並みとなった。
- 2008年夏の局地的荒天続発も参照。
- 秋(9月~11月)は全国的に気温が高めで2001年及び2003~07年ほど顕著ではないが暖秋だった。9月下旬までと10月は高温で推移していたが、9月末に寒気が南下し関東以西の太平洋側でも最高気温が15℃以下となり肌寒い陽気となった。特に11月中旬からは一転して真冬並みの寒波が南下し、東日本から九州の日本海側で荒れた天候となり、新潟沖と石川県沖では竜巻が観測された。11月18~21日にかけて本州日本海側の広い範囲で初雪が観測され、西日本の太平洋側でも平年よりかなり早く初雪を観測した。特に、福岡や広島などでは観測史上4番目に早い初雪を観測し、2002年以来6年ぶりに冬の訪れが早かった。
- 初冬(12月~)の気温は北日本~東日本で高温、西日本で平年並み、南西諸島はやや高温となった。北・東日本や南西諸島は高気圧の影響で高温・少雨・少雪となった一方、東日本の太平洋側や西日本の日本海側などでは低気圧の影響で多雨傾向となった。
なお、5月に観測史上最多となる3つの台風が接近、9月に台風13号や15号が日本列島に接近した。南西諸島では台風の被害がたびたび発生したが本土への被害は少なかった。なお、この年日本への台風上陸は2000年以来8年ぶりに無く、1951年以降3度目。
- 世界
1月から2月はじめにかけて、南アジアや西アジア東部の山岳地帯で低温・寒波に見舞われ甚大な被害が発生した。低温・寒波は2月に入ると東アジアに移動してまた被害を出した。2月上旬にアメリカ合衆国南部では竜巻群により記録的な被害が発生した。1月から3月ごろには、南米太平洋岸のボリビア・エクアドル・ペルーなどで大雨により洪水が各地で発生し被害が出た。また、同時期には、東南アジア、ブラジル、アフリカなどで雨季の大雨により散発的に被害が発生した。東南アジアやオセアニア北西部ではラニーニャなどの影響で降水量が多かった。2~3月はアフリカ南東部やインド洋南西部でサイクロンの被害が多発した。中東や東アジアでは3~5月に断続的な高温に見舞われた。
オーストラリア東部では2~5月、7月に低温となったが、10月以降高温や少雨となった。東南アジアや東アジアの沿岸部では、6月~9月に梅雨や台風による大雨が相次いだ。ヨーロッパでは1月と3月~5月に低気圧が良く通過したが、5~6月になると北アフリカも含めて各地で高温や大雨となった。8月~9月にも地中海沿岸や南欧で高温や大雨に見舞われた。アメリカ南部や中米・カリブ海では、8月から9月にかけて相次いでハリケーンの被害が発生した。8月~10月にかけて、南米東部では高温となった。11~12月は南米各地で高温、ヨーロッパ・極東・北米では寒波と高温が交互にやってきた。
また、パキスタン、インド、バングラデシュなどでは、モンスーンの大雨によって各地で洪水などが発生し、死者は合計2,000人以上となったことが伝えられた。5月にバングラデシュを襲ったサイクロン・ナルギスは大洪水により10万人以上の死者を出し、大きく報道された。ハイチは、8月下旬から9月上旬の間にグスタフ・ハンナ・アイクの3つのハリケーンに連続して被害を受けた。
地震・火山
南米のエクアドル、コロンビア、チリのほか、インドネシアなどでは複数の火山の噴火が相次いだ。南米では泥流や降灰、雪崩などによる被害も発生した。
特に大きく報道されたのが四川大地震だった。四川大地震はこの年、地震としては規模・被害ともに最大で、死者は8万人以上に上った。この地震の後、中国南部や西部では相次いで強い地震が発生し被害を出すなど、地震活動が活発化している。キルギス、イラン、インドネシアやオセアニア、日本でも地震の被害が発生した。ギリシャやアフリカ中部でも地震被害が発生した。南米では地震被害が比較的少なかった。
日本国内では東日本太平洋側での活動が活発であった。
- 2008年の地震も参照。
その他
2008年はじめ、十数年周期の太陽活動が第24周期に入ったが、それ以降も太陽の活動は低調で、黒点数の低い状態が続いた。この年の無黒点日数は266日であり、311日だった1913年以来、95年ぶりの少なさだった(ベルギー SIDCによる)。また、黒点数が極小となってから次に極小になるまでの期間も現在長引いており、12年を超えて、直近約150年間では最長クラスとなっている[1]。
できごと
1月
- 上旬
- 2007年前半から極小期に入っていた太陽について、新しい周期の始まりを示す、磁極が反転した高緯度の黒点が観測され、太陽活動は第24周期に入った。
- 2007年12月下旬から続く寒波により、インド北部では凍死などでこれまでに約50人が死亡した。
- 1月1日 - チリ中部の火山ジャイマ山(en:Llaima)が13年ぶりに噴火。
- 1月7日
- オーストラリア東部で洪水、数日間にわたって3,000人以上が孤立した。
- フィリピン ルソン島南部で雨季の大雨、1人が死亡し、3万人以上が被災した。
- 1月8日 - イラン北部やアフガニスタンで寒波、大雪や低温、交通事故などにより両国でそれぞれ約20人が死亡。
- 1月9日 - エクアドルのトゥングラワ山が噴火、以後16日にも噴火するなど、断続的な火山活動が観測されている。
- 1月12日 - ブラジル リオデジャネイロ州で洪水、4人が死亡、5万人が被災した。
- 1月15日 - インドネシア パプア州で地滑りが発生、10人が死亡した。
- 1月17日 - コロンビア南西部のガレラス山が噴火、周辺の住民約8,000人が避難した。
- 下旬
- マラウイでは、ここ数週間の大雨により14の地域で被害が発生、7万人以上が影響を受けたとされ、更に被害が拡大する恐れがあると報告された。
- 1月26日~2月上旬 - 中華人民共和国の東北、華北、華中などで大雪。春節を前にした帰省の時期と重なり、鉄道や道路などの交通が各地でストップして大きな混乱が発生した。中部ではおよそ100年ぶりの大雪で、死者は約130人、影響を受けた人は1億人を超え、経済損失は2兆円以上に達した。(2008年の中国雪害)
- 1月28日 - エクアドルで大雨。洪水などにより、4月2日までに死者・行方不明者は40人以上、被災者は30万人に達した。また、隣国ペルーでも1月から大雨が続き、4月8日までに死者・行方不明者70人以上、被災者60万人以上に達した。
- 1月28日~2日 - サイクロン・ジーンがフィジーやバヌアツに接近。5人が死亡、被害額3千万USドルの被害[2]。
- 1月30日 - 2007年11月20日に発見された小惑星2007 WD5がこの日に火星に衝突する可能性があると、一時期予想されていた。火星への衝突確率は、2007年12月28日に最大の1/25に達したが、その後2008年1月9日には1万分の1程度まで下がり、衝突の可能性はほぼなくなった。
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
脚注
出典