ケンジントン・アンド・チェルシー王室特別区 (ケンジントン・アンド・チェルシーおうしつとくべつく、英 : Royal Borough of Kensington and Chelsea 、しばしばRBKC と略称する)は、イングランド のロンドン 中心部の西寄りに位置する、王室特別区 (Royal borough) の地位を有するロンドン特別区 の一つである。区の面積がロンドン自治区の中で最も小さく、人口密度はイズリントン区 に次いでロンドンで2番目に高い。
ロンドンの中心部であるシティ・オブ・ウェストミンスター とは東側で隣接しており、西側ではハマースミス・アンド・フラム区 、北側ではブレント区 、テムズ川 を挟み南側ではワンズワース区 と境界を接する。通称アルバートポリス にはヴィクトリア&アルバート博物館 などの大型博物館の他、劇場や大学等があるほか、ナイツブリッジ にはハロッズ やハーヴェイ・ニコルズ などのデパート が旗艦店を構え、ナイツブリッジとベルグレイヴィア 、ケンジントン・ガーデンズ の各地区周辺には多くの大使館が立ち並んでいる。ノッティング・ヒル 地区で開催されるノッティング・ヒル・カーニバル は欧州最大のカーニバル である。 中心部はロンドンの高級住宅地 としても知られる。一方で、イングランド で最も貧しい10%にあたる地域と最も豊かな10%にあたる地域が混在しており、貧富の差 が非常に大きい地区でもある[ 2] 。
区の自治主体はケンジントン・アンド・チェルシー・ロンドン自治区議会 で、区のモットーはラテン語でQuam Bonum in Unum Habitare であり、大まかに訳すと「仲良く暮らすことは良いことだ」である。
また、サウス・ケンジントンには在英フランス人 のコミュニティ があり、界隈は「リトル・パリ」 (Little Paris) と呼ばれている[ 3] 。フランス政府認可の幼〜高のリセ も置かれている。フランス政府の統計によると1991年以来増加基調にあり[ 4] 、2006年には8716人余りに跳ね上がった。ちなみに、ケンジントンから東側にあるナイツブリッジには在英フランス大使館 がある立地になる。
歴史
1965年 に1963年ロンドン政府法 の規定に基づき、旧ケンジントン区 と旧チェルシー区 が合併して誕生した。ケンジントン区は、現存する4つの王室特別区の中の一つになり[ 5] 、王室特別区の地位は新しい区により引き継がれた。新しい区は当初はただ「ケンジントン」と呼ばれていたが、地元の支持により「チェルシー」も含められるようになった[ 6] 。
地区
Sloane Square, Chelsea, 2013/11/29
Sloane Street looking North (looking towards Knightsbridge), 2011/6/4
Sloane Street looking towards Knightsbridge, 2011/6/4
Brompton Road in the district of Knightsbridge
ロンドンの主要商業地区ケンジントン・ハイ・ストリート (
en ) 沿いのビル屋上にある
Kensington Roof Gardens
Onslow Gardens, South Kensington
区の中央から南の界隈。紫の点線が区境。中央の緑地は西から
ケンジントン・ガーデンズ と
ハイド・パーク
画像をクリックして拡大
名所・旧跡・主要施設など
ケンジントン&チェルシー区内の典型的な通りであるミュース(アールズ・コート地区にある、車に取って代わられる20世紀前半まで馬車 などの厩 として用いられた中庭路地スピア・ミュース〈Spear Mews 〉)。
公共交通
ロンドン地下鉄
区内にはロンドン地下鉄 の全12路線のうち計6路線が通っており、地下鉄駅が12駅ある:
人口統計
2011年の国勢調査によると、区の人口は158,649人で、そのうち71%が白人、10%がアジア系人、5%が多様な民族グループ、3.4%がアフリカ系黒人、2%がカリブ系黒人だった。上述のようにフランス人 の人口が多いことから、ケンジントン・アンド・チェルシー区はパリの21区 という、非公認の称号を長い間保持している[ 7] 。
2004年10月時点で英国国家統計局 より発表された統計によると、女性の平均寿命 は2001年から2003年の間で84.8歳で、イギリス全国で最も高かった。男性の同時期の平均寿命は79.8歳で、イギリス全国で3番目に高かった。1991年から1993年の時期には、男性が73.0歳(全国順位にして301位)、女性が80.0歳(全国順位129位)と、著しく低かった。
2006年12月、スポーツ・イングランドはケンジントン・アンド・チェルシー区の住民がスポーツと他のフィットネス活動において、イングランドで4番目に活発だという調査を発表した。この調査によれば、区人口の27.9%が少なくとも週に3回は30分の運動をしている。
宗教
ケンジントン&チェルシー区には以下のキリスト教会がある:
経済
ベルグレイヴィア からナイツブリッジ を中心にケンジントン 界隈にかけて、ルイ・ヴィトン 、シャネル 、エルメス 、カルティエ 、グッチ など世界的ハイブランド が集中している。
イギリスで最も古いタブロイド 紙デイリー・メール グループ (Daily Mail and General Trust ) が、ケンジントン デリー・ストリート (2 Derry Street) のNorthcliffe House 内にある。元々は100年来、シティ の国内新聞の代名詞"フリート・ストリート (Fleet Street )"界隈にあったが、1988年現在地に移転。
Daily Mail and General Trustの中間持株会社 ・DMG Media の子会社各紙各媒体には、i 、inews.co.uk 、デイリー・メール (Daily Mail ) 、Mail on Sunday 、Evening Standard 、フリーペーパー のメトロ (Metro )、Metro.co.uk などがあり、また子会社ではない独立系のインデペンデント (The Independent ) も含め、それぞれ同Northcliffe Houseに入居している。
教育
初等学校・中等学校・特別支援学校
対外関係
姉妹都市・提携都市
関係者
出身者
居住その他ゆかりある人物
脚注・出典
^ 2011 Census: Ethnic group, local authorities in England and Wales , Office for National Statistics (2012). 2011年の国勢調査に使われた設問などについては、英語版Classification of ethnicity in the United Kingdom を参照。
^ ロンドン火災「労働階級が無視されている BBC, 2017年6月16日
^ a b "Where to Find London’s Hidden French Side" , Vogue , 7 January 2019.
^ IHT – the French making themselves at home in London
^ 他の3つの王室特別区は、キングストン・アポン・テムズ区 、グリニッジ区 、ウィンザー とメイデンヘッド を合わせたウィンザー・メイデンヘッド王室特別区 (Royal Borough of Windsor and Maidenhead)。
^ "Chelsea Name Retained: New Decisions on Three Boroughs." The Times . 3 January 1963
^ Global Business. “High earners say au revoir to France ”. The Daily Telegraph . 2015年9月21日 閲覧。
^ https://www.rbkc.gov.uk/newsroom/kensington-and-chelsea-deepens-ties-motomiya-city-japan
^ “George Eliot's home on Cheyne Walk, Chelsea ”. victorianweb.org . 21 April 2021 閲覧。
^ Grynbaum, Michael M. (27 July 2015). “Former Mayor Bloomberg Buys London Mansion for $25 Million” (英語). The New York Times . ISSN 0362-4331 . https://www.nytimes.com/2015/07/28/nyregion/former-mayor-bloomberg-buys-london-mansion-for-25-million.html 21 April 2021 閲覧。
^ Frege, Gottlob. 1980. Philosophical and Mathematical Correspondence . Oxford: Blackwell. pp. 147–155. ISBN 0 631 19620 X
^ Addison Avenue, W14 , The London Encyclopaedia , Pan MacMillan / Britain Express .
^ “David Lloyd George's house at 2 Addison Road ”. Historic England. 12 December 2022 閲覧。
^ “Chelsea Walk - Cheyne Walk 1-30 ”. Rbkc.gov.uk (18 May 2006). 6 July 2017 閲覧。
^ Rennison, Nick (31 August 2010). The Book of Lists: London . Canongate Books. p. 218. ISBN 978-1-84767-666-5 . https://books.google.com/books?id=HWBquVNVZMUC&q=ts+eliot+glentworth&pg=PA218
^ Morgan, Janet P. (1984). Agatha Christie: A Biography . London: HarperCollins . p. p.p.73-74. ISBN 978-0-00-216330-9 . オリジナル の12 May 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210512060208/https://books.google.com/books?id=w4paAAAAMAAJ 25 May 2020 閲覧。
^ a b c d e Celebrities Who Died in London (And Where to Pay Your Respects) Free Tours by Foot 2018
^ Faithfull, Marianne (1995). Faithfull . Penguin. p. 223. ISBN 0-14-024653-3
^ Guy, Jack (9 February 2019). “Albert Finney, five-time Oscar nominee, dead at 82” . CNN . https://www.cnn.com/2019/02/08/entertainment/albert-finney-dead-scli-intl-gbr/index.html
^ Cowell, Alan (8 February 2019). “Albert Finney, 'Angry Young Man' Who Became a Hollywood Star, Dies at 82” . The New York Times . https://www.nytimes.com/2019/02/08/movies/albert-finney-dead.html 8 February 2019 閲覧。
関連項目
外部リンク