マクロス7 (ラジオドラマ)
『マクロス7』のラジオドラマは、1995年から1996年までTBSラジオ・MBSラジオ・CBCラジオのラジオ番組『アニメExpress〜ギャラクシー・ネットワーク〜』内で放送された作品。 概要『超時空要塞マクロス』をはじめとする「マクロスシリーズ」の一作品であり、1994年から1995年にかけて毎日放送を製作局としてTBS系列で放映されたテレビアニメ『マクロス7』は、放映中から漫画、CDドラマなどの媒体でメディアミックスが行われており、本シリーズもその一環として、『マクロス7』テレビシリーズのヒロイン、ミレーヌ・ジーナス役を演じる桜井智(現・櫻井智)がパーソナリティを務める番組『アニメExpress〜ギャラクシー・ネットワーク〜』の後半パートで毎週放送された。 本シリーズではドラマCD『マクロス7 ドッキングフェスティバル 歌は銀河を救う』などとは異なり、テレビシリーズに参加していない脚本家が起用されている。テレビシリーズ放映中に放送された分は北条千夏が脚本を務め、作品の舞台となるマクロス7船団において新たに構築された民間向けのコンピューター・ネットワーク「パソクラ」をめぐる騒動が描かれる。テレビシリーズ終了後に放送された新シリーズでは首藤剛志が脚本を務め、音楽によって発展してきた高度な宇宙文明「オーダ音楽帝国」が開催する「全宇宙音楽コンクール」で他文明の歌手と対決するという物語となっている。 ビクターエンタテインメントより、本シリーズを収録した「CDシネマシリーズ」全5枚が発売された。各巻台本つき。『CDシネマ1』『CDシネマ2』は小学館からも同内容のCDブックが発売された。
本項目では便宜上、『マクロス7 CDシネマ1 Mellow Heart Beat』収録分を「Mellow Heart Beat」、『マクロス7 CDシネマ2 Melodious Illusion』収録分を「Melodious Illusion」、『マクロス7 CDシネマ3 GALAXY SONG BATTLE 1』から『マクロス7 CDシネマ5 GALAXY SONG BATTLE 3』までの収録分を「GALAXY SONG BATTLE」と呼称する。「GALAXY SONG BATTLE」は作品内のタイトルコールでは「オーディオ・マクロス7」と呼ばれている。 「GALAXY SONG BATTLE」は小説化も予定されていたが、音楽の文章化という問題で版権を有する会社と脚本家との間で折り合いがつかず、実現されなかった[1]。 あらすじMellow Heart Beatマクロス7において新たなコンピューターネットワークサービス「パソクラ」が開設され、熱気バサラやミレーヌ・ジーナスたちのバンド「Fire Bomber」もパソクラ上で「ファイアーボンバーズルーム (FBR)」をオープンすることになる。ミレーヌは乗り気だが、バサラはこれに興味を示そうとしない。バサラの大ファンである「少女A」は接続に必要なターミナルキットをバニー佐藤が店長を務める「バニーの店」で購入するが、FBRへのアクセスができず四苦八苦する。オープンから3週間後、少女Aは再三の試みでようやくアクセスに成功するも、どうしても制限時間内にメッセージを伝えられない。いろいろなことを試みた挙句、バサラのストレートな歌のように自分の思いを伝えればよいと気づいた少女Aは、迎えた月に一度のチャットアクセスタイムの日、ファンからのアクセスが殺到する中、ついに自分のメッセージを伝えることに成功する。 Melodious Illusion都市艦シティ7の気象システムに本来は設定されていない「嵐」が起こり、同時にパソクラからFBRが突如抹消される。原因解明のため呼び出された科学者パニー田中博士は、この現象に人知を超えたものを感じる。夜が明けると、少女Aの持つターミナルキットがひとりでに作動してFBRにアクセスし、「Ding Dong」と口にする少年がアクセスしてくる。この謎の声の主と意気投合した少女Aは、相手を「Ding Dong」と呼ぶことにして、ターミナルキットに向かってこの言葉を口にする。この少年の正体はパソクラのネットワーク内に発生した「コンピューター・ゴースト」であり、「Ding Dong」とは現実世界とコンピューター・ゴーストが住む世界をつなぐパスワードであった。身勝手なメッセージを送受信するだけの存在であることに辟易し、自由を欲したコンピューター・ゴーストは、気象システムを暴走させ、パソクラの通信回線を遮断するといった行動に出る。最終的にシティ7の電気系統をすべて遮断し、少女Aとバサラだけを自分の空間に取り込もうと試みるが、自分の体を消されながらも歌い続けるバサラの歌に満たされ、永遠の眠りにつく。 GALAXY SONG BATTLE何事もなく平和な航海を続けるマクロス7船団の中では、バサラは一向に新曲を作ろうとせず、バサラファンの「DJの少女」が自分のラジオ番組でバサラの歌だけを飽きずに流し続けている。その歌の音楽エネルギーを感じ取った「オーダ音楽帝国」の調査用戦闘集団が突如マクロス7に攻撃を仕掛ける。バサラらサウンドフォースが出撃し敵は退却するが、後日マクロス7船団は重力嵐に巻き込まれ、その中から聞こえてくる謎の歌声に引き寄せられていく。航行不能となる損害を受けたマクロス7内部に、オーダ音楽帝国才能収集艦隊のデーオとイデデーオが現れ、Fire Bomberの歌が全宇宙でヒットする曲の候補にノミネートされたことを告げ、帝国が開催する全宇宙歌謡コンテストで1位になれば、音楽の著作権を買い取る代わりに居住可能な惑星を提供するという条件を提示する。条件を飲まざるを得ない状況に追い込まれたマクロス7はコンテストに出ることになり、バサラは謎の歌声の主であるオーダ音楽帝国の国民的歌手、ラーク・スカイビューティーの歌に興味を抱く。 マクロス7船団はコンクールの会場となるカーネギー星に到着し、地球の環境を再現した第三十四番人工衛星アースに停泊することになる。バサラはそこで、自分の「希望」の歌とはまったく異なる「怒り」の歌を持つスト星雲ジャブ星出身の歌手パンサー・レオポード・タンク、「悲しみ」の歌を持つラークと出会う。3人の歌を聞いた他の多くの船団は棄権を表明して離脱を始めるが、開催本部長のテービスはこれを許さず離脱する船団をすべて消し去り、バサラたちに会場で歌うよう命じる。ラークはバサラとパンサーをひそかにカーネギー星へと招き、二人に逃げるよう促すが、三者それぞれの歌に触れたバサラとパンサーは、コンクールで自分の歌を聞かせることを決意する。敗北した船団も次々に消え、ついにバサラたちの出番が回ってくる。 決勝戦にはバサラとパンサーが残り、帝国は歌の効果を確認するため互いの相手の船団に歌を流す。マクロス7船団には怒り、ジャブ船団には希望の感情が満ち溢れ、ついには互いに戦闘の準備を始める。それに気づいたバサラとパンサーは、コンクールの開催本部に歌を向ける。帝国の支配者である皇帝は、彼らに力尽きるまで歌わせてその魅力を突き止めて巨大なヒット曲を生み出し、自らその歌を歌うと言い出す。ラークとテービスはその傲慢な態度に反抗し、戦いをやめさせようとするラークの歌が二人の歌と混ざり合い、会場の音楽制御装置が暴走を始め、カーネギー星は会場を残して爆発を起こす。「究極の歌」を求める皇帝に対し、そのようなものはないというバサラたちはそれぞれ自分の歌を歌う。それに加えて、船団の人々の歌や、敗れて消え去った人々の残した音楽エネルギーが混じりあって帝国総本山に直撃し、オーダ音楽帝国はその歴史に終止符を打つ。 設定パソクラ「Mellow Heart Beat」「Melodious Illusion」において物語の中核をなすコンピューター・ネットワークサービスの通称。正式名称は「銀河移動通信回路網情報資源活用体 (Galaxy personal communication network client-server system)」。軍事用フォールド通信網の隙間帯域を民間のコミュニケーションに利用するという趣旨のシステムである。自宅から専用のターミナルキットを使ってアクセスするほか、ゼネラル・ギャラクシー社が提供するコミュニケーションボード「レボード」を用いて街中の「情報自動配信機(自配機)」からの接続もできるとされている[2]。 オーダ音楽帝国「GALAXY SONG BATTLE」に登場する、地球の存在する天の川銀河よりも宇宙の中心に近い位置に栄えているとされ、音楽により発展を遂げてきたという宇宙文明。惑星の環境を再現した巨大人工衛星や、「人体瞬間移動装置」「携帯音響増幅補正装置」「対戦闘バリア」「内心動揺分析機」など、地球よりもはるかに進んだ科学力を有している。 オーダ音楽帝国暦25025年、全宇宙でヒットする音楽を求めて全宇宙音楽コンクール(全宇宙歌謡コンテスト)を開催するが、先に述べた理由によりこの年、帝国はその歴史を終える。なお、支配者である皇帝はその後も存命であることが描かれている。 作品解説「GALAXY SONG BATTLE」は、制作にあたってアイデアの枯渇に苦しんでいたテレビ版の監督であるアミノテツローよりジーベックの佐藤徹を通じて首藤に打診された[1]。首藤は『マクロス7』に関する詳しい知識はなかったが、歌で戦争を収拾するという初代『超時空要塞マクロス』と基本は同じであることから、佐藤との電話口での15分ほどの会話で大まかなストーリーが作られた[1]。脚本の完成には「1週間もかからなかったと思う」としており、音楽については「怒りの曲」「希望の曲」「悲しみの曲」をベスト3とし、作曲家にすべて任せたと語っている[1]。 登場人物・キャスト→詳細は「マクロス7の登場人物一覧」を、本シリーズオリジナルの登場人物については同項目の「ラジオドラマ版の登場人物」を参照
「Mellow Heart Beat」「Melodious Illusion」のキャスト
「GALAXY SONG BATTLE」のキャスト
CDシネマ特別付録本ラジオドラマシリーズを収録した「CDシネマシリーズ」には「CDシネマ特別付録」として短時間のCDドラマが収録されている。『CDシネマ1』収録分は本編の後日談的な内容で、『CDシネマ2』収録分は本編のパロディ的な内容。『CDシネマ3』から『CDシネマ5』までの収録分は「熱血!!歌番長バサラ」(ねっけつ うたばんちょうバサラ)というタイトルで、学園コメディ的な内容の3話連続作品となっている。 熱血!!歌番長バサラ脚本は山口宏。パラレルワールド的な世界に迷い込んだ『マクロス7』の登場人物たちが高校生活を送るという内容。ラジオドラマ本編の内容とは無関係。
挿入曲太字で記したものは本シリーズが初使用となる新曲。それ以外はテレビ版からの流用。「恋のバナナムーン」「死のうた」は『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』から流用されている。テレビ版と同じく、使用される曲はすべて「劇中曲」であり、背景音楽は存在しない。 新曲のうち、「Mellow Heart Beat」「Melodious Illusion」の挿入曲はアルバム『SECOND FIRE!!』(1995年10月21日発売)に、「GALAXY SONG BATTLE」「熱血!!歌番長バサラ」の挿入曲は『MUSIC SELECTION FROM GALAXY NETWORK CHART VOL.2』(1996年3月23日発売)に収録されている(「夢の道〜Disillusion」のみ未収録)。 →Fire Bomber名義の曲の詳細については「Fire Bomber」を参照
「Mellow Heart Beat」の挿入曲
「Melodious Illusion」の挿入曲
「GALAXY SONG BATTLE」の挿入曲
「熱血!!歌番長バサラ」の挿入曲
トラックリスト
スタッフCDシネマ1・2
CDシネマ3 - 5
脚注関連項目外部リンク |