レオナード・アルバート・クラヴィッツ(Leonard Albert Kravitz、1964年5月26日 - )は、アメリカ合衆国出身のシンガーソングライター、ミュージシャン、俳優。
特定の音楽ジャンルにこだわらないマルチプレイヤーで[2]、同国を代表する世界的なギタリストの一人。デビュー当時彼を紹介する時「黒いジョン・レノン」というキャッチコピーがよく使われた。代表曲に「イット・エイント・オーヴァー・ティル・イッツ・オーヴァー」「自由への疾走」「フライ・アウェイ」など。
来歴
1964年、ニューヨークに生まれる。父親は東欧系ユダヤ人の血を引くNBCテレビのプロデューサー、母親はマイアミ出身バハマ系で、後に女優となるロキシー・ローカー (Roxie Roker)。
1974年に母親の仕事の都合で一家はロサンゼルスに移住、その後ビバリーヒルズ高校 (Beverly Hills High School) に入学する(同窓生にはスラッシュやマリア・マッキー、そして俳優のニコラス・ケイジがいた)。当時からすでに音楽的才能を発揮していたレニーは、やがてセッションミュージシャンを志すようになり、高校を中退。その後はセッション・ミュージシャンをこなす傍ら、自身のデモテープを制作してレコード会社へ売り込む生活を続けていた。
1989年にアルバム『レット・ラヴ・ルール』でヴァージン・レコードからデビューを果たす。その後、マドンナとの共作「ジャスティファイ・マイ・ラヴ」のプロデュースで注目を集め、1991年に発表した2枚目のアルバム『ママ・セッド』のヒットによってブレイクした。
1992年にはヴァネッサ・パラディのサード・アルバム『ビー・マイ・ベイビー』をプロデュースした。パラディとは交際の噂も立った。
1998年、アルバム『5』を発表。クラヴィッツは同アルバムの収録曲「フライ・アウェイ」でグラミー賞最優秀男性ロック・ヴォーカル・パフォーマンス賞を受賞し、初のグラミー賞受賞を果たした[3]。
2009年、映画『プレシャス』に出演して本格的に俳優デビューを果たす。その演技が評価されて、NAACPイメージ・アワードおよびブラック・リール賞(英語版)で助演男優賞にノミネートされた[4]。
その後、クラヴィッツはロードランナー・レコード/アトランティック・レコードに移籍して[5]、2011年8月に移籍第一弾のアルバム『ブラック・アンド・ホワイト・アメリカ』を発表した。しかし、ロードランナー/アトランティックとの契約はアルバム1枚で終了し、2014年には自身のレーベル「ロキシー・レコーズ」からの第1弾アルバム『ストラット』を発表した[6]。同年、ケイティ・ペリーのスーパーボウル・ハーフタイムショーにゲスト出演。
2015年、スウェーデンの音楽フェスに出演した際、衣装トラブルによってレニーの男性器が露わになるハプニングに見舞われる[7][8](#衣装トラブルによるハプニング)。
2024年3月12日、ハリウッドの殿堂入りを果たした[9]。
音楽性
幼い頃から音楽好きの両親の下で、音楽に親しむ生活を送ってきた。少年時代に好きだったミュージシャンは、カーティス・メイフィールド、ジェームス・ブラウン、ジョン・レノン、レッド・ツェッペリン、ジミ・ヘンドリックス、ジャクソン5など。
マルチプレイヤーであり、レコーディングにおいて自ら全ての楽器を演奏することもある(「ロックンロール・イズ・デッド」など)。近年の作品では長年のパートナーであるクレイグ・ロスがリードギターを録るケースが多い。多くの楽曲においてリズムギター/ベース/ドラム/コーラスワークに関してはキャリア初期から一貫して本人による録音である。
使用機材
アナログ機材の愛好者である。ヴィンテージに関してはコレクターといえる質と量の機材を所有しており、ステージでも使用することがある。所有ギターはフライングVやレスポールのようなギブソン社製のものが中心。
1960〜1970年代の音楽への愛着を強く打ち出していた初期は、楽器、コンソール、テープに至るまで全てアナログ機材を使用してのレコーディングという、当時の流行とは逆行するような拘りを見せていたが、アルバムを発表していくに連れ、次第にPro Toolsを中心としたPCでの編集作業にも力を入れ始めた。現在では、豊富なヴィンテージ機材をデジタルで録音し、編集する折衷したレコーディング形態へと移行している。
人物
- 2008年4月1日にヴェルヴェット・リヴォルヴァーを脱退したスコット・ウェイランド(ストーン・テンプル・パイロッツのボーカル)に替わり、新ボーカリストの候補に挙がっていたが、「メンバーとは友好的な関係だが、加入は出来ない」と明確に否定している。
- 2002年に「LENNY WORLD TOUR」、2008年に「LOVE REVOLUTION JAPAN TOUR」、2015年に「STRUT Japan Tour 2015[10]」 の一環で来日する予定だったが、いずれも体調不良で延期、中止になっている。
衣装トラブルによるハプニング
2015年8月3日、スウェーデン・ストックホルムの音楽フェスティバルに出演した際、演奏中に勢いよく屈んだレニーのレザーパンツが破れて男性器が丸出しになるハプニングがあった[7][11][12]。この時、レニーは下着を全く身に着けていなかったため、何千もの観客の前で自身のペニスを晒してしまうこととなった[8]。その後は素早くズボンを替えてステージを続けた[13]。ペニスが丸出しになった時の様子はソーシャルメディアなどでも拡散された[12]。
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバム
※フジテレビ系列で深夜に放送されていた音楽番組『BEAT UK』では、UKシングルチャートNo.1を獲得
- 『サーカス』 - Circus (1995年) オリコン最高位1位
- 『5』 - 5 (1998年)
- 『LENNY』 - Lenny (2001年)
- 『バプティズム』 - Baptism (2004年)
- 『ラヴ・レヴォリューション』 - It Is Time For A Love Revolution (2008年)
- 『ブラック・アンド・ホワイト・アメリカ』 - Black and White America (2011年)
- 『ストラット』 - Strut (2014年)
- 『レイズ・ヴァイブレーション』 - Raise Vibration (2018年)
- 『ブルー・エレクトリック・ライト』 - Blue Electric Light (2024年)
コンピレーション・アルバム
フィルモグラフィ
- 『ズーランダー』 - Zoolander (2001年)
- 『潜水服は蝶の夢を見る』 - The Diving Bell and the Butterfly (2007年)
- 『プレシャス』 - Precious (2009年)
- 『ハンガー・ゲーム』 - The Hunger Games (2012年)
- 『大統領の執事の涙』 - Lee Daniels' The Butler (2013年)
- 『ハンガー・ゲーム2』 - The Hunger Games: Catching Fire (2013年)
日本公演
- 1990年 GREENING OF THE WORLD CONCERT IN JAPAN JOHN LENNON 50TH BIRTHDAY
- 1991年
- 1993年
- 1994年
- 1995年
- 1998年
- 2012年
※2002年と2008年にも予定されていたが、どちらも中止となっている。
日本でのタイアップ
関連項目
脚注
- ^ a b c d e f g h Prato, Greg. Lenny Kravitz Biography, Songs, & Albums - オールミュージック. 2022年4月27日閲覧。
- ^ “『レイズ・ヴァイブレーション』レニー・クラヴィッツ(Album Review)”. billboard-japan (2018年9月11日). 2020年9月21日閲覧。
- ^ Lenny Kravitz | AllMusic - Awards
- ^ Lenny Kravitz - Awards - IMDb.com
- ^ Lenny Kravitz to Team Up With Roadrunner / Atlantic to Release 9th Studio Album
- ^ Graff, Gary (2014年9月22日). “Lenny Kravitz on His 'Grit'n'Glamour' - Filled New Album 'Strut' and Starting His Own Indie Label”. Billboard. 2017年11月8日閲覧。
- ^ a b Zaragoza, Alex (2020年8月4日). “Happy Anniversary to Lenny Kravitz’s Dick Flopping Out of His Pants (NSFW)”. Vice. 2024年12月6日閲覧。
- ^ a b Lynch, Joe (2015年8月4日). “So… Lenny Kravitz’s Penis Popped Out On Stage in Sweden”. Billboard. 2024年12月6日閲覧。
- ^ “米歌手レニー・クラヴィッツ、ハリウッド殿堂入り”. AFPBB news (2024年3月13日). 2024年3月26日閲覧。
- ^ レニー・クラヴィッツ STRUT Japan Tour 2015 公演中止のお知らせ H.I.P レニー・クラヴィッツ 来日公演特設サイト 2015年2月27日付
- ^ Stevens, Annie (2015年8月5日). “Should we have looked at that pic of Lenny Kravitz’s penis?”. ELLE. 2024年12月6日閲覧。
- ^ a b Talarico, Brittany (2015年8月4日). “Lenny Kravitz Rips Leather Pants on Stage, Accidentally Exposes Himself to Fans (and the Internet!)”. People. 2024年12月6日閲覧。
- ^ Trendell, Andrew (2015年8月4日). “Lenny Kravitz suffers 'wardrobe malfunction'”. Gigwise. 2024年12月6日閲覧。
外部リンク