天晴爛漫!
『天晴爛漫!』(あっぱれらんまん、APPARE-RANMAN!)は、P.A.WORKS制作による日本のテレビアニメ作品。2019年10月に制作が発表され[1]、2020年4月から9月までAT-Xほかにて放送された[2][3]。 明治後期(19世紀が終わり20世紀の始め)にアメリカに漂着した日本人二人組が、帰国資金稼ぎのためアメリカ大陸横断カーレースに挑む。 概要アメリカ大陸を横断する自動車レースをテーマとした作品である。KADOKAWAからオファーが来た当初はゴルフで大陸横断するというプロットだった[4]。 あらすじ第一話 - 第五話時は明治。日本の小さな港町に住む商人の次男坊空乃天晴は、家業も手伝わずにカラクリ作りに明け暮れるトラブルメーカーだった。そんな彼のお目付け役を上役より押し付けられた士族の下級役人一色小雨は、成り行きで天晴の出奔に巻き込まれ、蒸気船天晴号に乗って漂流する羽目になる。なんとかアメリカの船に救助された彼らは、そのままロサンゼルスへと上陸することになった。当面の住処と生活費は確保したものの、日本に帰る資金の当てがない彼らだったが、3大自動車連合(BIG.BOSS)が新たな時代の到来をアピールするためにロサンゼルスからニューヨークへのアメリカ大陸横断カーレースを行うことを知り、天晴号を蒸気自動車に改造してその賞金で日本へ帰ることを思い立つ。 父の仇である「首に蛇のタトゥー」のある男を捜すネイティブアメリカンの少年ホトトを道先案内人として仲間に加えた天晴と小雨は、レーサー志望の中国系移民の少女景・夏蓮(ジン・シャーレン)、ヨーロッパの自動車メーカーBNW社長の御曹司アル・リオンと友人兼ライバルの関係を築く。 更に、伝説のアウトロー「サウザンドスリー」と呼ばれる3人ディラン・G・オルディン、TJ、ギル・T・シガーも参加を表明し、それぞれの目的を胸に秘めた一癖も二癖もあるレーサーたちの戦いの火ぶたが切られることになる。 第六話 - 第七話最初の補給地ランカスターをゴールとしたプレレースがディランの勝利に終わったレース1日目の夜。ディランより蛇のタトゥーが「虐殺のギル」の部下の証「ギルズスネーク」だと教えられたホトトは、父の仇の手掛かりを求めてギル一味の野営地の偵察を行う。そこでホトトは、ギルの副官として一行を統率する男チェイス・ザ・バッドが、翌日にコースとなるデスバレーの「絶望の谷」入り口を瓦礫で封鎖して他のレーサーを足止めし、突破力に優れた自分たちの車で瓦礫を破壊して通過した後は爆薬で谷を封鎖する作戦を立てているのを耳にするが、捕まって行方不明となってしまう。天晴号のスタート時間が来ても戻ってこないホトトを心配して町に残って捜すという小雨に、折れた天晴はスタートを遅らせてエンジンの改良を続けることにする。 町はずれに放置されていた木箱の中から自力で脱出に成功したホトトは、ギル一味の企みを天晴たちに伝える。搭載された蒸気機関とガソリンエンジンによるハイブリッドエンジンを始動して、ギルの車に追いつく天晴号。冷却装置が未完成のため長時間発動できないハイブリッドエンジンを温存し、このままギルと共に谷を抜けるのが一番合理的と言う天晴に対して、シャーレンとアルが危ないと告げる小雨とホトト。天晴は多少悩んだ後に、再びハイブリッドエンジンを始動してギルの車を追い越し、瓦礫で立ち往生していたレーサーたちにギルの罠を告げる。その結果、車内で寝ていたTJと谷上にいたギルの部下を尋問していたディラン以外のレーサーは谷の突破に成功するが、無理をしすぎた天晴号は谷の出口で走行不能になってしまう。 そんな天晴号を次の補給地イーリーまで牽引するために引き返してきたシャーレンとアルの助けを受け、野営をする一行。天晴は自分も含めて仲間たちがライバルを助けるために合理的ではない行動をとったことに悩むが、小雨は「人はからくりじゃない。理屈に合わんことだらけなんだ」と告げ、理屈家の天晴にもそんなところがあったことに安心したと語る。 翌日、イーリーをスタートする直前のギルに追いついた一行はギルの行った妨害行動を周囲に告げるが、「谷を爆破してはいけない」とルールで明記されていない以上問題ないと強弁するチェイスに、ギルを恐れる運営責任者セス・リッチ・カーターは口を出すことができない。そんなギルの車の前に一人で立ちふさがったホトトは、父の仇のことを教えろと涙ながらに告げ、その言葉に反応したギルは車を降り仮面を脱ぐ。実は彼らは本物のギル一味ではなく、その悪名を利用してレースを有利に進めようとしたアウトロー「バッド兄弟」で、仮面の男はチェイスの弟トリスタン・ザ・バッドだった。そんな騒動が起きている隙に、天晴は「他人の車を分解してはいけない」ルールはないとバッド兄弟の足止めを行い、これでお互い様として双方は和解する。 第八話 - 第九話バッド兄弟を残してイーリーを出発した五台の先頭集団は何者かによって襲撃され、後のレーサーへの伝言役として残されたというリチャード・リースマン以外は全員殺されていた。襲撃者のリーダーの首にギルズスネークがあったというリチャードの言葉を聞いたホトトは小雨が止めるのを無視して父の仇を取るために後を追うと宣言し、仲間たちもこれ以上レースの妨害をさせないために同行することになる。 襲撃者が向かった痕跡がある小さな宿場町で聞き込みをするホトトたちだが、住民は非協力的で、無視するかすぐに町を出るようにと言うだけだった。そんな中、ついに見つけたギルズスネークを持つ男たちと対峙するが、協力するふりをしていた保安官こそが「首に蛇のタトゥーがある男」であり、仇を討とうとして無謀に突っ込んだホトトを助けるために戦った天晴、シャーレン、アルは善戦をしたものの、小雨が剣を抜けずに戦わなかったこともあり結局全員倒されてしまう。ギル一味はそんな小雨を臆病者として敢えて放置し、4人は日没時に見せしめとして縛り首にされることになる。 小雨は、9歳の時に目の前で母が自分をかばって斬殺された過去があり、その影響で修練を積み免許皆伝となった今でも実戦では身が竦み剣が抜けない状態にあった。過去と同様に何もできなかった自分を責める小雨に、町の酒場の女主人は「どんなに強くなっても過去は変えられない」と発破をかける。過去を変えることはできなくとも、自分に今できることがあると気付いた小雨は、処刑寸前の天晴たちのもとへ向かい、銃弾をかわしつつ4人の手下たちを無力化して仲間を救出。残った保安官も、ホトトの手を血で汚さないために一騎打ちで切り捨て、代わりに仇を討つのであった。 多数の犠牲者を出した結果、次の補給地デンバーへと到着できたレーサーは、デイラン、TJ、バッド兄弟、シャーレン、アル、天晴、リチャードの7チーム。セスたち運営側の判断により、安全のために鉄道路線沿いにコースを一部変更して、棄権したリチャードを除く6チームのみでノースプラット(英語: North Platte, Nebraska)から仕切り直しでレースを再開することが決定。その準備期間でできた余裕を利用して、天晴号のハイブリッドエンジンもついに完成した。だが、彼らはリチャードこそが鉄道会社より依頼を受けてレースを妨害する本物のギルであることをまだ知らない。 第十話 - 第十一話鉄道の町ノースプラットから列車の発車時刻と同時にスタートした6台のレーシングカー、それは期せずして鉄道と自動車の競争としての構図を演出することに繋がっていた。並走する列車の中から、乗客たちに自動車の時代の到来をアピールするセス。だが、ギルは列車内の部下たちに指示を出し、依頼人だった鉄道会社重役を含む多数の乗客を殺害して列車を制圧し、付近で唯一渡河ができる鉄橋をふさぐ形で停車する。 列車の異常に気付いて停車したレーサーたちの前に現れたリチャードが、本物の虐殺のギルであったことに驚く一同。ギルにとっては鉄道も自動車も関係なく、自分が生きている限り強者が暴力ですべてを奪い取る「無法者の時代」が続くと世間に示すことが真の目的だった。アル、小雨、天晴、シャーレンの4人の攻撃を簡単に躱し、同じサウザンドスリーのTJ、ディランも圧倒するギル。そしてレースの賞金総額151万ドルをアルに要求し、レースの終了を宣言する。レーシングカーの破壊を始めたことに異を唱える天晴に苛立ったギルは銃を撃つが、とっさに間に入った小雨が代わりに弾を受け、大量出血となる。アルの秘書であり幼馴染でもあるソフィア・テイラーを含むBIG.BOSS関係者3名を人質に取ったギル一味は、鉄橋を破壊して河の向こうに去っていった。 全ての車両が走行不能で、小雨をどうすることもできないと思われたその時、列車襲撃当初に客車の爆発に巻き込まれていたバッド兄弟の車両がようやく到着する。彼らの車で何とかノースプラットの病院に運び込まれた小雨は意識不明で生死の境をさまよう。車を直し自分一人でもソフィアを救いに行くというアルは天晴に協力を頼むが、自身の無力さを痛感した天晴は人が変わったかのように弱気となり、町を無為に彷徨うだけだった。 ホトトから小雨が意識を取り戻したと聞いた天晴は病室に戻り、小雨が日本に帰るための船を造ると告げるが、小雨はそれを拒否する。自分の知っている天晴は、たとえレースが中止になったとしても自分一人で勝手にゴールまで走る奴だと。そして、ギルは誰も自分は止められないと言っていたが、発見されたばかりの血液型のおかげで輸血を受けた自分は生きている。それは新たな時代の技術が無法を止めたということではないかとも。それを聞いた天晴に、見失っていた自分が蘇ってくる。 レースの中止もやむなしと沈んでいたセスとレーサー達だが、そこに現れた天晴は全ての車を修理し、ギルを倒してレースの再開をすると宣言する。あんな奴に大切なものを傷つけられ奪われても平気な奴は残ればいい。それを聞いて、レーサーたちの闘志に火が灯る。そして、エンジニアとしてのプライドを刺激されたセスも、部下であるGM社のエンジニアたちにチームに関係なく協力し、全ての車両を修理しろと指示するのだった。 第十二話 - 第十三話全ての車両の修理が終わり、病院を抜け出した小雨と身代金を持参するセスを加えた10人の勇士たちは、約100名のギル一味が潜伏するシカゴの隣にあるゴーストタウン「ストーンヒル」へと向かう。ソフィア以外の2名の人質は、ギルの戯れに惑わされ殺されていた。 町の正面から堂々と攻め込むディランとTJを囮として、4組に分かれて町に潜入した天晴&小雨、アル&シャーレン、トリスタン&ホトト、チェイス&セスの8名は、途中でギルの部下と遭遇するもそれぞれの能力を活かして打ち破り、ギルがいる教会跡へとたどり着く。だが、そこにはソフィアの姿は無かった。ギルの真の計画は、火薬を満載した暴走列車をシカゴの町に弾丸として打ち込むことで自分たちを討伐に来る州兵や住民を殺戮し、暴力の支配する世界の象徴とすることだった。ソフィアはその列車に乗せられたという。 戦う能力を持たないセスを除く7人は、果敢にギルに挑む。以前と同様に圧倒するギルだが、誰も闘志を失うことはない。そこへ、手下たちを全員片づけたディランとTJが現れる。ギルを彼らに任せ、天晴たち、アル、シャーレンは列車を追う。車を捨てて列車に乗り移ったアルとシャーレンはギルの部下を倒したものの、ブレーキが壊されているため列車を止めることも鎖で繋がれたソフィアを降ろすこともできない。天晴は最終手段として天晴号を機関車に正面から連結し、新たに搭載した緊急加速ブースターによるパワーでブレーキをかける。車止めに突っ込む寸前で列車は何とか止まるも、天晴号は再び壊れてしまう。 一方、ストーンヒルでの戦いはかつての息の合ったコンビネーションを取り戻したディランとTJが、ギルを打ちのめしていた。とどめを刺そうとするTJだが、ディランはここで彼を殺すのは、ギルが言っていた暴力の時代と同じとして、警察に引き渡して法の裁きを受けさせるべきと説得し、不承不承ながら納得するTJ。 それから一か月後。再開されたレースはゴール地ニューヨークまでたどり着いていた。半日遅れのバッド兄弟を除く5台の車は激しいデッドヒートを繰り広げ、僅差で天晴号が優勝する。 レースが終わり、故郷に帰るアルとシャーレン。アルはBNW社の豊富な資金で好きな車を作らないかと天晴を誘うが、天晴は蒸気船、自動車の次は飛行機の開発をしたいとしてそれを断る。日本に戻るつもりだった小雨だが、悩んだ末に天晴のいるアメリカに残ることにする。彼らのアメリカ珍道中はまだ続く。日本で兄の手紙を読む小雨の妹ふみと天晴の姉綾音は、アメリカで彼らが無事に過ごしているのを知り、笑いあうのだった。 登場人物チーム天晴
大陸横断レース参加者と関係者
スタッフ
主題歌
各話リスト
放送・配信第1・2話の先行上映が2020年3月21日にdアニメストア、3月27日にAbemaTV、3月30日にAT-X、4月3日にニコニコ生放送にて行われた[11]。 同年4月10日よりAT-Xほかにて放送・配信を開始したが、新型コロナウイルスの感染拡大による制作への影響により、4月21日の第3話は通常通り放送したのち第4話以降の放送・配信を延期し[12][13]、放送時間枠の変更を経て7月3日より改めて第1話から順次放送が再開された[14]。
BD / DVD
Webラジオ空乃天晴役の花江夏樹と一色小雨役の山下誠一郎によるWebラジオ『「天晴爛漫!」Radio Here we go!!!!!』が2020年4月2日より10月1日まで音泉にて隔週木曜に配信[18]。 漫画キャラクター原案のアントンシクによるコミカライズ作品が、『ヤングエース』(KADOKAWA)にて2020年5月号から2022年2月号まで連載された[19][20]。
出典
外部リンク
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