シノティラヌスのホロタイプ標本KZV-001は、中国・遼寧省西部に位置するカラチン左翼モンゴル族自治県で発見された[3]。産出層準は熱河層群に属する九佛堂層(英語版)で、記載論文であるJi et al. (2009)によれば層序年代は下部白亜系とされる[3]。なお、グレゴリー・ポールは著書『グレゴリー・ポール恐竜事典 原著第2版』において層序年代をより細かく下部あるいは中部アプチアン階と指定している[2]。
Ji et al. (2009)はシノティラヌスをティラノサウルス上科の属として分類し、また前眼窩孔と窓の位置関係からティラノサウルス亜科との類似性を指摘してティラノサウルス科に属する可能性を示唆した[3]。しかし、後続研究においてシノティラヌスの系統的位置はティラノサウルス科でなくむしろ同じくティラノサウルス上科に属するプロケラトサウルス科として扱われている。
リトロナクスの記載・命名とテラトフォネウスの再評価を行ったLoewen et al. (2013)は、系統解析においてシノティラヌスをプロケラトサウルス科に位置付け、ジュラティラントとストケソサウルスの2属からなる分岐群との姉妹群とした[4]。以下はLoewen et al. (2013)に基づくクラドグラム[4]。
ティラノサウルス上科全体の系統解析を実施したBrusatte and Carr (2016)は、ジュラティラントとストケソサウルスをプロケラトサウルス科から除外し、シノティラヌスをプロケラトサウルス科内におけるユウティラヌスとの姉妹群とした[5]。Brusatte and Carr (2016)のデータマトリックスを継承・編集した系統解析を実施したDelcourt and Grillo (2018)においてもこれは同様である[6]。以下はDelcourt and Grillo (2018)に基づくクラドグラム[6]。
^ abcdefghijklmJi, Q.; Ji, S.-A.; Zhang, L.-J. (2009). “First large tyrannosauroid theropod from the Early Cretaceous Jehol Biota in northeastern China”. Geological Bulletin of China28 (10): 1369–1374.
^ abDelcourt, R.; Grillo, O. N. (2018). “Tyrannosauroids from the Southern Hemisphere: Implications for biogeography, evolution, and taxonomy”. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology511: 379–387. Bibcode: 2018PPP...511..379D. doi:10.1016/j.palaeo.2018.09.003.