スズキ・ジェンマジェンマ(英: Gemma )とは、スズキが製造販売していたスクーターである。この項では、その派生車種も扱う。 概要ヤマハ発動機のパッソル(1977年(昭和52年)発売)、本田技研工業のタクト (1980年(昭和55年)発売)の成功を受け[1]、鈴木自動車工業(当時)が1981年(昭和56年)に日本市場で発売したのが、同社にとって初のスクーターとなった[2]ジェンマ50である[3]。やがて、排気量を拡大したジェンマ90、別設計のジェンマ125がラインナップに加わった。これらは、英国及び豪州にRoadieの名で輸出され、オーストリアでは鈴木自動車工業と資本提携していたシュタイア・ダイムラー・プフが、プフ・リドの名で現地組立し販売された[4]。1986年(昭和61年)に全面改良され[5]、名称もジェンマ・クエストとなったが[5]、1990年(平成元年)に生産終了となり[5]、2008年(平成20年)発売のマキシ・スクーターの名称として用いられるまで[6]、ジェンマを名乗る車輌は一旦途絶えることとなった[6]。 ジェンマ501981年(昭和56年)3月、「ジェンマ50」が日本市場で発売された[9]。当初のグレードは[3]、キックスタータで電装が6Vのスタンダード、セルフスタータで電装が12Vのデラックス、キー付のセンターボックスが備なわるスーパーデラックスの3種であったが、1982年(昭和57年)3月に燃料タンク容量を増やすなどされたカスタムが追加された[10]。1984年(昭和59年)に最高出力を3.5psから5.0psに向上させるなどの一部改良が行われた[5]。後述のジェンマ・クエスト50の発売(1986年(昭和61年))まで販売され[5]、開始車台番号はCS50-100001。
ジェンマ125
鈴木自動車工業は、1981年(昭和56年)10月に開催された第24回東京モーターショーでジェンマ125を世界初公開した[18]。ジェンマ50とは別設計で、名称とイタリア製スクーターに酷似した外観だけが共通点だった。1982年(昭和57年)9月16日に日本市場で発売され[19]、「ダブルシート(2人乗り用)」のスズキCS125Dと「タンデムシート(ビジネスユース用)」のスズキCS125Sの2種があった[20]。名称及び形式はスズキCF41A、開始車台番号はCF41A-100001、日本国運輸省型式認定番号はll-1446だった。1987年(昭和62年)に販売終了となり、このクラス[注 2]の鈴木自動車工業製スクーターの日本国内販売は、1998年(平成10年)発売のアドレス110まで途絶えることとなる[2]。
ジェンマ80
ジェンマ50のエンジンを79ccに拡大し、2名乗車可能とした。1983年(昭和58年)3月に日本市場で発売され、後述のジェンマ・クエスト90の発売(1986年(昭和61年))まで販売された[5]。商品呼称はスズキCS80、名称及び形式はスズキCC11A、開始車台番号はCC11A-100001だった。
Roadie
鈴木自動車工業は英国および豪州に、1982年からジェンマ50を[26]、1983年からジェンマ80及びジェンマ125を、Roadieの名で1988年まで輸出販売した。開始車台番号はCS50Z及びCS50DZがCC11A-290164、CS50D、CS50DD及びCS50GDがCC11A-321315、CS80CD及びCS80LDがCC11A-100001 、CS125DがCF41A-100001、CS125D(E22)がCF41B-100001だった。 Lido
鈴木自動車工業と資本提携していたオーストリアのシュタイア・ダイムラー・プフ((独: Steyr Daimler Puch)は、1982年からジェンマ80、1983年からジェンマ125及びジェンマ50を、プフ・リド((独: Puch Lido)の名[注 3]で現地組立しオーストリアと西ドイツで販売した[4]。 ジェンマ・クエスト50
1986年(昭和61年)2月3日、鈴木自動車工業はジェンマ50を全面改良し、ジェンマ・クエスト50として日本市場で発売した[29]。商品呼称はスズキCS50DC-2、名称及び形式はスズキA-CA1AA、開始車台番号はCA1AA-100001。1991年(平成3年)まで販売された[2]。
ジェンマ・クエスト90
1986年(昭和61年)9月20日、鈴木自動車工業はジェンマ・クエスト50の排気量を82ccに拡大し、2名乗車可能としたジェンマ・クエスト90を日本市場で発売した[31]。商品呼称はスズキCS90DC、名称及び形式はスズキCD13A、開始車台番号はCD13A-100001。1991年(平成3年)まで販売された[2]。
ジェンマ
スズキは、2007年(平成19年)10月に開催された第40回東京モーターショーで、参考出品車として250ccのスクーター「Gemma[注 8]」を世界初公開[55]、その後2008年(平成20年)3月開催の第35回東京モーターサイクルショーでの展示を経て[54]、同年7月28日にジェンマ(UL250)として日本市場で発売した[36]。2人乗りのためのデザインにしたとされ、同排気量のスカイウェイブと差別化をはかられた[46]。 フロントからリヤにかけて弧を描く流線型のデザイン、運転席と後部席との段差が少ないフルフラットシート、車体色と同色のマフラーカバーなどにより、新しい大型スクーターのスタイリングを実現した[56]。しかし、その独特のリヤ周りの形状が海外市場の規定に適合せず、日本市場専用となった[46]。 エンジンは249cc水冷DOHC4バルブエンジンを搭載し、リンク式リヤサスペンションや、フロント14インチ、リヤ13インチの大径タイヤを採用した[56]。 車体色はマジェスティックゴールドメタリック、パールミラージュホワイト、スモーキーシルバーメタリック、ソリッドブラック及びソリッドスペシャルホワイトNo.2の5色とされ、そのうちソリッドブラック塗装車は同年8月下旬、スモーキーシルバーメタリック及びソリッドスペシャルホワイトNo.2塗装車は同年9月中旬と、少し遅れての発売とされた[36]。 価格は、ソリッドブラック塗装車及びソリッドスペシャルホワイトNo.2塗装車が消費税込670,950円、マジェスティックゴールドメタリック塗装車、パールミラージュホワイト塗装車及びスモーキーシルバーメタリック塗装車が消費税込681,450円であった[注 7][36]。 同年8月から3か月間をかけて、日本国内5都市で「ジェンマ体験試乗会」が数十回開催された[57][58]。 2009年(平成21年)、4色目[59]となる新色「パールミラレッド」を追加設定し、同年4月24日から発売した。価格は消費税込681,450円であった[注 7][60]。この新色の追加設定にあわせて、同年3月1日から同年6月14日まで間、「ジェンマキャラバン2009」と称した展示会を日本国内主要都市で開催した[60]。 2009年(平成21年)1月開催の東京オートサロンで、後部シート部を収納付きシートカウルに換装した「ジェンマコンセプト[61]」を展示した[62]。 2009年(平成21年)3月開催の第36回東京モーターサイクルショーで、フルフェイスを収納できる「トップケース」をリアシート後部に取り付けた「ジェンマトップケース仕様車」を参考出品された[59][63]。 スズキ二輪は直営店舗スズキワールド全30店舗にて、ジェンマの独自塗装車の受注を2011年(平成23年)9月から始めた[51]。ライムグリーンメタリック、ターコイズブルーメタリック及びイエローメタリックと称する3色で、各色限定10台とされ、価格は塗装料金として消費税込31,500円を上乗せした消費税込712,950円だった[注 7][37]。 2012年(平成24年)3月開催の第36回東京モーターサイクルショーでは、カラー提案モデルとして3台のジェンマが参考出品された[64]。それぞれ、夜明け前の海のような限りなく黒に近い蒼をイメージした「Gentle×Naughty」、オペラハウスの舞台幕のベルベットのような質感の赤「Elegant×Avant-garde」、英国のクラシックな戦闘機のような無骨さと気品を併せ持つ緑「Military×Traditional」と名付けられた塗色を纏っていた[64]。 2012年(平成24年)8月11日、塗色を大幅に変更し「再発売[39]」された[65]。既存のパールミラレッド塗装車に、新色となるサンダーグレーメタリック/フォックスオレンジメタリック塗装車、パールグレッシャーホワイト塗装車及びマットステラブルーメタリック塗装車を加え全4色とした[39]。価格は消費税込681,450円[注 7][65]。 生産終了は2013年(平成25年)[注 4]。 リコール
関連項目脚註註釈
出典
外部リンク
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