スズキ・GSX-RR
スズキ・GSX-RR(ジーエスエックス - ダブルアール)は、スズキがロードレース世界選手権のMotoGPクラスに参戦するために開発した、1,000 cc (61 cu in)4ストローク並列4気筒エンジンを持つ競技専用オートバイ。2012年から開発が行われ、2014年9月30日にGSV-Rの後継として正式に発表された。 2020年にはジョアン・ミルが本マシンでMotoGPのシリーズチャンピオンを獲得するなど活躍したが、2022年一杯でスズキがMotoGPから撤退するのに伴い開発・製造が終了した。 歴史開発初期 (2012–2013)世界的な経済危機を理由に、スズキは2011年シーズンをもってMotoGPでの活動を停止した。しかし、2012年からプロトタイプのテストを各地で行った[1][2]。当初メディアはそのプロトタイプを前作同様にGSV-Rと呼称した。 2013年にランディ・ド・プニエと青木宣篤をテストライダーとして公式テストに参加し始めた。当時のコードネームはXRH-1であった。 デビューレース (2014)2014年の最終戦、バレンシアグランプリにランディ・ド・プニエがワイルドカード参戦する。しかしながら、12周でリタイアとなりレースの半分も走行することは無かった[3]。 20152014年9月30日、インターモトにおいてスズキは2015年シーズンにアレイシ・エスパルガロとマーベリック・ビニャーレスを起用し、MotoGPクラスに復帰することを発表した[4]。また、プロトタイプがGSX-RRと名付けられたことも発表した。 2015年シーズン開幕前の3月6日、スズキはMotoGPに参戦するチーム名を「チームスズキ・エクスター」と発表した[5]。 2015年のインディアナポリスグランプリで、GSX-RRはアクラポビッチ製の新型エキゾーストを装着した。 20162月26日、スズキは2016年スペックのGSX-RRを公表した。新型は改良されたエンジンを搭載し、馬力は7 kW (9.4 hp)増加、マニエッティ・マレリ製のECUを搭載する一方、ディメンションは前年型から変更は無かった[6]。チームはまたPTスズキ・インドモービル・モーターの「Satria F150」「Nyalakan Nyali」ブランドのスポンサードを受けることとなった。 前年まで他メーカーに比べて技術的欠点であったギアボックスは完全シームレスシフト化され戦闘力が向上した。ビニャーレスにより第12戦イギリスGPに於いて優勝、3位表彰台3度の好走を見せた。 特徴開発ライダーの青木宣篤によれば、開発にあたっては初期の頃から一貫して「アクセルの開け始めから中間域の過渡特性を扱いやすくする」ことをテーマとしている。ストレートでのアクセル全開時間はサーキットを一周するうちの約1割に過ぎないことから、それよりはコーナーでライダーが安心してアクセルを開けられるマシンを目指しており、地味な開発を継続して進めてきた[7]。 フレームについても「高品質低反発マットのような絶妙なしなり感」を重視している[7]。ちなみに、一時MotoGPで流行した「アルミフレームにカーボンを巻く」スタイルを最初に導入したのも本マシンだが、実は「開発費を抑えるための苦肉の策」であった[7]。ただ結果として最適な剛性バランスが見つかったことから、2020年型ではカーボンは巻かれていない[7]。 主要諸元
世界選手権 記録世界タイトル獲得回数:1:
脚注
外部リンク |