三ノ宮駅
三ノ宮駅(さんのみやえき)は、兵庫県神戸市中央区布引町四丁目にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)東海道本線の駅である[1]。駅番号はJR-A61。「JR神戸線」の愛称区間に含まれている。 JR西日本の兵庫県内の駅の中では最大の利用者数を誇る。三宮駅および神戸三宮駅が隣接する。 概要神戸市の都心である「三宮」に位置しており、神戸を代表するターミナル駅である。私鉄・地下鉄・新交通の各線の三宮駅・神戸三宮駅と接続する交通の要衝となっており、兵庫県内及び神戸市内で最も利用客が多い(JR西日本管内では天王寺駅に次ぐ4番目の利用者数を持つ。[3])。当駅周辺は市内最大の繁華街であり、当駅から西側の元町駅にかけては神戸市の中心市街地が広がっている。1874年、国内2番目の鉄道路線である大阪駅 - 神戸駅間の開通と同時に開業した[注 1]。当駅が立地する付近の地域の正式名称(三宮町)は当駅名とは異なって「三宮」となっており、「ノ」が入らない。 名目上の神戸市の代表駅[注 2]や特定都区市内制度の神戸市内中心駅は「神戸駅」であり、新幹線の営業キロ計算においても新神戸駅は(最寄の在来線駅である当駅ではなく)神戸駅と同じ扱いになっている。しかし、当駅は市内最大の繁華街である三宮の中心部に位置し、複数の私鉄や地下鉄との乗り換え駅であることから実質的な神戸の玄関口としての役割を担っている。また、各社高速バスの神戸におけるバスターミナルも神戸駅前ではなく当駅前に位置している。特急を含む全列車(下りの「サンライズ瀬戸・出雲」を除く)が停車する当駅に対して、夕通勤時間帯を除く「スーパーはくと」と「サンライズ瀬戸・出雲」は神戸駅に停車せず、1970年の新快速登場時には当駅は停車駅であったが、神戸駅は通過していた(現在は神戸駅にも停車する)。JR西日本各駅構内の方面案内でも「三ノ宮・姫路方面[注 3]」というように、神戸駅よりも当駅の扱いが優先されている。 県内最大の利用者数を誇るターミナル駅であるが、所属路線は東海道本線(JR神戸線)のみでホームも2面4線とコンパクトな駅であり[注 4]、分岐器や絶対信号機を持たないため停留所に分類されている[注 5]。通常は当駅発着の電車は設定されていない。ただし、神戸ルミナリエやみなとこうべ海上花火大会(下りのみ)の開催時などの多客時やダイヤが乱れた場合は当駅を始発とする電車が運転されることがある。 当駅は駅長が配置された直営駅であり、管理駅として六甲道駅- 灘駅間の各駅と元町駅・新神戸駅を管轄している。アーバンネットワークエリア(京阪神地区)に属しており、ICOCA利用可能駅である(相互利用可能ICカードはICOCAの項を参照)。 接続路線当駅は下記の路線との乗り換えが可能となっている。
山陽新幹線への乗り換え特例神戸市内における山陽新幹線の駅として新神戸駅がある。新神戸駅は新幹線単独駅であり、在来線に直接乗り換えることができない。そのため、特例で当駅が乗り換え最寄り駅とされており、神戸市内発着の乗車券により当駅で途中下車後、新神戸駅へ再入場することが可能である。ただし、当駅から新神戸駅への移動費用(地下鉄運賃およびタクシー料金など)は別途支払う必要がある。 歴史→「三宮駅 § 歴史」も参照
1874年、大阪駅 - 神戸駅間の開通と同時に開業した[4][注 6]。当時は宇治川を挟んで東が神戸町(神戸港)、西が兵庫津(兵庫港)で、海運との連絡や荷捌き場が必須となる神戸駅は海に面する広大な土地を必要としたが、神戸町の沿岸部には既に余地が無く、兵庫津の沿岸部には宇治川 - 湊川(旧河道)間に余地があった[注 7]。厳密には宇治川河口西岸に福原遊廓が置かれていたが、これを湊川東岸の代替地(新福原)へ移転させ、また、西国街道沿いの兵庫津相生町の人家を山側の坂本村南部(仲町部)へ移転させ、兵庫津の相生町および東川崎町に神戸駅が設置された。一方、神戸町側では旧来の町場(元町)と神戸外国人居留地の境界となる鯉川筋付近、現在の元町駅の位置に当駅が設置された。駅名は「神戸」を使用できないことから、駅の東方に鎮座する三宮神社から採られた。 1899年に居留地が返還された後も、日本の商社や銀行が多く進出するビジネス街として発展し、阪神電気鉄道(阪神電車)が1905年に現・三ノ宮駅付近に阪神本線のターミナル駅・三宮駅(現神戸三宮駅)を設けたことなどにより、中心市街地は東へ移り変わっていた。昭和に入ると神戸市の都市計画に絡み、市街を分断する形になっていた鉄道省線(国有鉄道線)を地下線とする案が市から出された。鉄道省は費用の問題もあり高架化することとなったが、市の都市計画の一環で現・三ノ宮駅付近に新たな街を形成する指針が示されており、1931年、高架化とともに現在地に移転開業した[注 8]。なお、移転元の位置には1934年に請願を受けて元町駅が開業している。1945年の神戸大空襲で旧市街地が甚大な影響を受けたことや、1957年神戸市庁舎が旧居留地東側に完成したことなどにより、兵庫駅でも神戸駅でもなく三ノ宮駅が中心市街地となった。 駅名は、開業当時の駅位置近くにあった三宮神社が由来である[5][注 9]。地名や他の交通機関の駅名などはすべて「三宮」であるのに対し、JRのみ「三ノ宮」と“ノ”の文字を含んでいるのは、開業が最も早く、駅創設時からあえて“ノ”をつけることによって地名の読み違いをさせないよう配慮していた名残であると考えられている[6]。「三ノ宮」という駅名は、今ではJRと他交通機関の駅名を区別するのに役立っている[独自研究?](一方で、近隣の類似事例であり当駅と同日に西宮町(現在の西宮市)に開業した西ノ宮駅は、市の長年の要望もあって2007年3月18日、さくら夙川駅の開業と同時に“ノ”を省いた「西宮駅」に改称された)。駅名については、#駅名改称構想の項も参照のこと。 長らくプラットホーム上屋(屋根)は8両編成分のみ設置されていたほかホームの嵩上げもなされていない状態が続き、新快速が平日ラッシュ時や土曜・休日に12両編成での運転を開始して以降も大阪側の4両編成分には屋根がないほか、ホームと車両の床面が揃わず水平ではなかった。この部分は2005年3月1日のバリアフリー化工事完成と同時に整備されたが、それ以降もさらに大阪側(12両編成以上)の部分には上屋が設置されていない。また2007年4月1日にホームの電光掲示板が高輝度のものに、2010年8月18日には、改札口の電光掲示板が高輝度のものに交換された。駅設備については、#リニューアル構想の項も参照のこと。 かつては客車寝台列車が停車していたが、2008年3月15日のダイヤ改正をもって最後の停車列車であった九州方面の寝台特急「なは・あかつき」が通過となったことにより、定期客車寝台列車の停車は無くなった。なお、客車ではなく電車寝台列車については、現在でもサンライズ瀬戸・出雲(両列車は併結運転)の東京行き上り列車が停車している。 年表
駅構造東西方向に伸びる島式ホーム2面4線を持つ高架駅。フラワーロードを跨ぐ形でホームがある。1・4番のりば(外側線)は15両編成対応で、2・3番のりば(内側線)は12両編成対応になっている。改札口は、西口・中央口・東口があり、中央口と東口の改札内は駅中央で繋がっている。西口コンコースは阪急神戸三宮駅の東改札口と改札外で直結している。西口高架下にはJR西日本アーバン開発運営の「プリコ三宮」がある。 のりば
駅ビル→「JR三ノ宮新駅ビル」も参照
2018年3月まで、駅南側に、地上11階、地下2階建ての「三宮ターミナルビル」があり、三宮ターミナルホテルや三宮オーパなどが入居していた。このビルは1972年より市から国鉄に対し「駅ビルを建設してほしい」との要望書を提出していたことをうけ、1981年3月、神戸ポートアイランド博覧会の開催や、神戸新交通ポートアイランド線の開業と同時に開業した。開業とともに地下駐車場やタクシー乗り場が新設された。当駅ビルのデザイン案として、当初はイギリスのリバティ百貨店を模した異人館風のデザインも検討されていた。2018年3月、耐震改修促進法の改正を受け三宮ターミナルビルの耐震性能が不足していることが判明したため、閉業した。 2020年9月24日、神戸市は新型コロナウィルス感染症の流行の影響でJR西日本の計画再検討に時間がかかっており、2020年度に予定されていた都市計画決定が2021年度にずれ込む見通しであることを発表した。旧ビルの解体工事は予定通り年内に完了する見込みであることから、新ビルの工事着工までの間、旧ビル跡地は暫定的活用を検討する方針が示された[33]。 2022年3月30日、JR西日本、都市再生機構、神戸市の三者は新駅ビルの開発計画概要を公表し、2023年度に着工、2029年度に開業予定であることが明らかとなった[34]。新駅ビルは地上32階地下2階建てで地下1階から10階に商業施設、12階から17階はオフィス、18階から32階はホテル(客室数約250室)、最上階にはレストランが入る計画である[35]。 リニューアル構想当地区は神戸市の都心・三宮の再整備プロジェクトの中心とされており、これまで市、鉄道各社、有権者を交えた再開発の検討が行われている。市が発表した「神戸三宮「えき≈まち空間」基本計画」では[36]、「三宮クロススクエア」として三ノ宮駅周辺のフラワーロード、中央幹線への一般車両乗り入れを無くし歩行者専用空間に改造するとされており[37]、新駅ビルも同構想を前提とした建て替えが検討されている。2011年1月、神戸の玄関口である当駅リニューアルと三宮ターミナルビルの建て替えをJR西日本が検討していると報じられた。同リニューアルは近年、近隣の主要ターミナル駅においては京都駅ビル(1997年9月11日開業)や大幅な増築がなされた大阪駅(2011年5月4日開業、総事業費約2,100億円)などの大規模なリニューアルが相次いでいることを背景に、神戸市側からJRに検討を要請しているものである[38]。 その後、自動改札機やトイレの新設、店舗の改良、構内レイアウトの変更など駅コンコースの改良工事が2011年4月より2012年度末を工期予定として実施する[39]。と発表され、途中駅ナカショッピングゾーンの開業など追加工事も含め2014年5月に構内改良工事が完了した。その後2016年には構内耐震工事と合わせて美装化工事が2018年3月まで行われた。 一方、新駅ビルに関しては、2013年にJR西日本が三宮ターミナルビルを高さ160メートル前後の超高層複合ビルに建て替える方針を固め、2021年度の完成を目指す[40]との報道がなされたが、その後同年3月のJR西日本の中期経営計画には「三ノ宮駅の開発の検討」とされ具体的な計画は発表されなかった[41]。2013年11月より、ジェイアール西日本ホテル開発により南側駅前広場で温泉掘削工事が開始され[20]、2015年8月上旬に深さ数千メートルの岩盤で温泉が湧き出ていることを確認している。温泉の用途は不明[42]であるが、新駅ビル内に活用されることが期待されている。2016年5月のJR西日本来島達夫新社長就任時の記者会見では、三ノ宮駅ビル早期具体化に意欲を示し、中期経営計画期間である残り2年で地元と歩調を合わせ、絵姿を出せればと述べている[43]。 また、リニューアルや建て替えに合わせて、現在の東口よりさらに東側、現在の神姫バス神戸三宮バスターミナルの位置に新たな東口を設置するよう市から請願書が送られている[要出典]。 駅名改称構想2015年秋に、神戸市が”三宮駅周辺の一体的空間づくりが望ましい”との判断から、先行して改称した阪急・阪神と同じ「神戸三宮」への改称の要望をJR西日本に申し入れた[44]。なお、改称がなされる場合は神戸市営地下鉄の駅名も統一する考えであるとしている[45]。ただし、JR西日本側からの動きは今のところない。 ダイヤ日中時間帯は1時間に16本(新快速・快速がそれぞれ4本、普通電車が8本)停車する。朝は姫路方面発大阪行き新快速・快速、夕方は大阪発姫路方面行き新快速が増発されるなど、本数が多くなる。 駅弁
利用状況2023年(令和4年)度の1日平均乗車人員は115,935人である[47]。JR西日本の駅では第4位(所属路線が一路線のみの駅では第1位)であり、兵庫県のJR駅では最多である。 近年の1日平均乗車人員は下表のとおりである。
駅周辺
当駅周辺は神戸市最大の繁華街、ビジネス街となっている。 →「三宮」も参照
バス路線→「三宮駅バスのりば」を参照
その他
隣の駅※特急列車については各列車記事を参照。 脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
|