不惑のスクラム
『不惑のスクラム』(ふわくのスクラム)は、安藤祐介による長編小説。2016年3月30日に角川書店(KADOKAWA)より刊行された。40歳以上の選手による「シニアラグビー」を題材に、社会の中でそれぞれ問題を抱えながらも週末にラガーマンとして集う年代も多様な大人たちが、仲間と心を通わせつつ自らの人生を見つめ直していく姿を描く[1][2]。2018年8月24日に角川文庫より文庫化された。 「ラグビーワールドカップ2019」の日本開催を翌年に控えた2018年9月に、NHK大阪放送局の制作により[3]NHK総合テレビの「土曜ドラマ」枠にてテレビドラマ化された[4][5]。 概要「ラグビーワールドカップ2015」に先立つ2014年1月、前作『テノヒラ幕府株式会社』の執筆に向けてベンチャー企業の社長を取材していた著者は、本作にも登場するニュー新橋ビル内の蕎麦店へと誘われて、仕事の話は差し置いて「それよりラグビーの話は書かないの?」「今度練習来いよ」と「シニアラグビー」への勧誘を受ける。以来約2年間にわたり、ラグビー経験もなくもとより「球技は超苦手」と語る著者は「鬼ごっこの味噌っカス」のような形で練習に参加し、試合後の飲み会(ファンクション)に参加する中で、体力も経験も異なるメンバーがラグビーが好きという一点のみで集うシンプルさ、休日に別の顔を持つという面白さに惹かれ、「来る者は拒まず」という懐の深さから「ここにもし過去に罪を犯した人間がいたら?」と本作の着想に至る[6]。「ラグビーワールドカップ2015」を経て、現実に即して作中の物語や描写に手を加えつつ、本作を完成させた[2]。 2016年3月の刊行後まもなくより多くの書店員から「共感した」「泣きながら読んだ」などと支持を得て、同年5月の重版出来時にはラグビー日本代表選手の大野均も賛辞を寄せている[2]。 あらすじ
6年前、通勤電車の中で痴漢と疑われ犯人扱いした男性客を蹴ってしまった丸川良平は、相手が打ち所悪く死亡したことで傷害致死罪により懲役6年の刑を受ける。妻へ離婚を申し出て、当時2歳だった娘とも別れる。 出所後の日雇いで食い繋ぎインターネットカフェで寝る日々に疲弊し、死に場所を求めて江戸川の河川敷に辿り着いた丸川の目前に、近くで練習していた中年男たちのラグビーチームのボールが転がってくる。高校時代にフルバックとして活躍した丸川が蹴り返したボールはきれいな弧を描き、立ち去ろうとした丸川は「一緒にラグビーやりませんか」と老ラガーマンの宇多津貞夫に呼び止められ、宇多津が23年前に創設した40歳以上のシニアラグビーチーム「大江戸ヤンチャーズ」に加わることとなる。 丸川がラグビーをやめ、家族と別れ、命を絶とうとするまでに至る秘密が次第に明かされる一方で、チームメイトたちがそれぞれ社会の中で抱える事情が次々に浮き彫りとなり、丸川の変化とともにチームメイトたちの人生にも新たな変化が訪れる[6][7]。 登場人物
書誌情報
テレビドラマ
NHK大阪放送局の制作により[3]、NHK総合の「土曜ドラマ」枠にて2018年9月1日から10月13日まで放送された。全7回。10代のころにラグビーのプレー経験がある高橋克典が主演を務めた[4][5]。 「不惑のスクラム」スペシャルがNHK総合にて2019年9月16日の13時51分から放送[8]。 原作から舞台は大阪に移され、チーム名も「大坂淀川ヤンチャーズ」である。 キャスト主要人物
その他
スタッフ
放送日程
関連商品脚注
関連項目
外部リンク
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