『中央流沙』(ちゅうおうりゅうさ)は、松本清張の長編小説。『社会新報』に連載され(1965年10月号 - 1966年11月号、連載時の挿絵は田代光)、1968年9月に河出書房新社から単行本が刊行された。
過去3度テレビドラマ化されている。
あらすじ
農林水産省の課長補佐・倉橋豊は収賄の疑いで警視庁から事情聴取を受けていた。上司の岡村局長は、農水省の幹部に顔の利く実力者・西秀太郎の示唆を受け、倉橋に北海道への出張を命じた。札幌で不安に怯える倉橋に、西からの連絡が来て、今度は作並温泉に行くようにとの指示が出る。
濃霧に埋まった早朝の作並温泉、旅館近くの断崖下に、倉橋が墜落しているのが発見され、まもなく死亡した。農水省の山田事務官は、岡村局長の指示を受け、作並温泉に遺体の受け取りに赴くが、倉橋の死には政治的な匂いが感じられた…。
主な登場人物
- 山田喜一郎
- 農水省総務課事務官。ノンキャリア組で出世とは無縁。
- 岡村福夫
- 農水省食糧管理局長。キャリア組。所構わず部下を叱り飛ばし、省内で畏怖されている。大臣とは気安く話す。
- 西秀太郎
- 農水省のどの局長ともフリーパスで会うボス的存在。業者にも顔が利く。
- 倉橋豊
- 農水省食品課課長補佐。上司の指示に忠実に従っていたが、収賄の疑いで警視庁に連行される。
- 倉橋節子
- 倉橋豊の妻。夫の死を知り、悲しみに暮れていたが…。
- 堀田よし子
- 西秀太郎の愛人。
- 川辺
- 新聞記者。倉橋の死に疑惑を持ち、熱心に調査するが…。
書誌情報
- 『中央流沙』〈河出書房新社〉(1968年9月)
- 文庫版『中央流沙』〈中公文庫〉(1974年5月)
- 『松本清張全集 45』(文藝春秋〉(1983年2月)
- 文庫版『中央流沙』〈講談社文庫〉(1983年3月)
- 文庫版『中央流沙』〈光文社文庫 松本清張プレミアム・ミステリー〉(2019年2月)
テレビドラマ
1975年版
「松本清張シリーズ・中央流沙」は1975年10月25日、NHKの「土曜ドラマ」枠(20:00-21:10)にて放映。視聴率16.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)[1]。プラハ国際テレビ祭金賞受賞作品。原作の松本清張が出演した。DVD化されている。
- キャスト
- ほか
- スタッフ
NHK 土曜ドラマ |
前番組 |
番組名 |
次番組 |
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松本清張シリーズ 中央流沙 (1975.10.25)
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※ 特記がない限りは21時放送、「*」…20時放送。「★」…22時放送。 |
第1次(1975年 - 1984年) |
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1975年 - 1979年 | |
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1980年 - 1984年 | |
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第2次(1988年 - 1998年) |
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1988年 - 1989年 | |
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1990年 - 1994年 | |
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1995年 - 1998年 | |
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第3次(2005年 - 2011年) |
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2005年 - 2009年 | |
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2010年 - 2011年 | |
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第4次(2013年 - ) |
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土曜ドラマスペシャル(2011年 - 2013年、2017年 - 2019年) |
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カテゴリ |
1998年版
「松本清張スペシャル・中央流沙」。1998年8月4日、日本テレビ系列の「火曜サスペンス劇場」枠(21:03-22:54)にて放映。視聴率18.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)[1]。
- キャスト
- スタッフ
2009年版
「松本清張生誕100年スペシャル 中央流沙」。2009年12月14日の21:00 - 22:54(JST)に、TBS系列にて放映されたスペシャルドラマ。TBSと毎日放送の共同制作。倉橋節子を主人公とし、収賄の疑いで事情聴取を受ける夫が、急にベトナムへの転勤を命じられ、中国・桂林で死体となって発見される、というストーリー。和央ようかのテレビドラマ初出演・初主演作。視聴率は13.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
- キャスト
ほか
- スタッフ
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出典
- ^ a b 林悦子『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』(2001年、ワイズ出版)
外部リンク