声帯
声帯(せいたい、英: Vocal cords あるいは Vocal folds)は、脊椎動物の喉頭の上部(前部)に位置する器官。発声を司る。 鳥類には声帯はなく、さらに肺に近い部位に位置する鳴管が発声器官となっている。 開閉する左右1対の襞(ひだ、英: folds)の間の隙間(声門裂)に、肺から排出される空気を通過させ、振動を引き起こすことで音(声)を発する。 ヒトの場合、声帯の運動を支配するのは、第X脳神経である迷走神経の分枝、反回神経である。反回神経は、右側では右鎖骨下動脈の下、左側では大動脈の下で分枝し、迷走神経本幹とは逆に上行し(このために反回神経と呼ばれる)、喉頭に入る。 声帯に関する疾患
モデル声帯の運動は発声を始めとした様々な現象に関わる。ゆえに様々な声帯モデルが提唱されている。 組織モデル声帯は様々な異方性組織(例: 粘膜・靭帯・筋)からなる複雑な器官である。声帯を物理的に理解したり医学的に介入する上で有用な組織構造のモデルが様々提唱されている。 Cover-BodyモデルCover-Bodyモデルでは組織弾性に基づく表層・深層構造で声帯を表現する。表層は粘膜などのモデルであって柔らかく変動し、深層は筋肉などのモデルであってより堅い組織と捉えられる。 運動モデル声帯運動は発声を左右する。声帯運動のモデルは声帯表面(空気との接触面)を扱うものと、内部組織を含めた声帯全体を扱うものに大別される。 2質量モデル2質量モデル(英: two-mass model)は喉側/肺側に2分割された声帯表面を「バネで結合された2つの質量-バネ-ダンパ系」で表現したモデルである[1]。 声帯はスライドして開閉する板のようには振舞わず、むしろ喉側と肺側が異なる位相を持ちながら開閉することがよく知られている。これを取り入れて声帯表面を二分割し、それぞれを質点として繋いだものが2質量モデルである[2]。 このモデルにおいて質量 の質点 は次の力を受ける。
この声帯モデルを声門空気系のモデルと組み合わせてシミュレーションした結果、2質量モデルは声帯の自励振動を良く説明することがわかった(c.f. 1質量モデル)。 2質量モデルは石坂&松平によってその基礎が提唱され[3]、石坂&フラナガンにより完成された[4][5]。 本モデルは声帯表面を質点-バネ-ダンパ系で模して声門体積流と垂直な動きを想定しているが、Cover-Body-筋構造を考慮した3次元シミュレーションではむしろ平行方向(剪断方向)の運動が主であるとの指摘もある[6]。 脚注
参考文献
関連項目 |