輔仁大学
輔仁大学(ほじんだいがく、英語: Fu Jen Catholic University、公用語表記: 輔仁大學)は、新北市新荘区中正路510号に本部を置く台湾の教皇庁立大学。1925年創立、1927年大学設置。 大学の略称は輔大、別称は輔仁カトリック大学(天主教輔仁大學)[1]。輔仁学派および、マスメディア内での学閥が知られている。 概観大学全体ローマ教皇庁直属のカトリック大学であり、カトリック修道会神言会、イエズス会および台湾司教団が合同で学校の開設、現在は輔仁大学学校財団法人が経営する大学である。語学教育に定評があり[2]、台湾で最難関校の私立大として知られ、また最も西洋化している大学であると言われている[3]。 台湾や中国語圏における初のローマ・カトリック系大学、台湾とバチカン市国の関係における第二トラック外交の非国家主体であり[4][5][6]、特別な国際的影響力を持っています。聖座との関わりが深く、多くの枢機卿と大司教が学長・理事長、駐台北教皇大使は毎年恒例の大学入学式に出席する[7]。2017年現在、12学部を擁している、総学生数 27,000人以上、海外からの留学生延べ受入数は2,000人以上である[8]。日本の上智大学・南山大学等との姉妹関係があるほか、各国のイエズス会系校・神言会系校と提携関係がある、更にはスタンフォード大学・オックスフォード大学とのパートナーシップを持っている[9][10]。 卒業生には林全(第28代行政院長、首相に相当する)、蔡清遊・羅昌発・林俊益・姚立明の4人の司法官大法官(最高裁判所判事に相当する)や、魏立人(ハーバード大学教授)、郝慰民(2007年にIPCCの一員としてノーベル平和賞を受賞)がいる。また、スティーブ・チャン(トレンドマイクロの創設者)・呉明益(作家、マン・ブッカー国際賞候補)・ジョリン・ツァイ(歌手)・ニッキー・ウー(俳優)が多くの有名人やそのほか10数人の人の各国国立科学アカデミーのフェローとアメリカ大学の教授を輩出している。 建学の精神(校訓・理念・学是)
教育および研究台湾教会の最高学府とされ、代表的な研究領域は人文学、マスコミュニケーション、織物設計、法学、商学、工学、体育、教育学と臨床医学であり、特に言語学と織物設計においては台湾有数のレベルである。また管理学部はAACSB認証を受けている(台湾初)[14]。文学部はA&HCIジャーナルを発行している(台湾唯一)[15]。 教育レベルは、『QS世界大学ランキング』では上智大学とほぼ同等の評価を受けている[16]。同誌の神学分野は世界トップ100位(アジア3位、台湾1位)、医学はトップ500位[17]となっている。さらに、『タイムズ・ハイアー・エデュケーション』では総合ランキング台湾10位[18]、同誌のインパクトランキングでは世界トップ300位(台湾5位)[19]。輔大と台北大学はQSベスト学生都市ランキングによる新北市の代表的な大学[20]となり、また、日本台湾交流協会は輔大を台湾の7名門大学の1校に選定した[21]。 輔大の国際的プログラム「MGEM」は、2019年フィナンシャル・タイムズによって世界31位(台湾1位)にランク付けされている[22]。 本学における全国初の組織
沿革略歴輔仁大学の正式の前身は1925年に、北京でアメリカのベネディクト会員により大学予科を創設された、当時の名前は「北京公教大学附属輔仁社」。1927年に正式な学校の設立が中華民国北洋政府によって認可され、「私立北京輔仁大学」として発足した。1929年、国民政府が全国を統一してから、教育部(日本の文部科学省にあたる)で本格的な計画を始めた。中華人民共和国建国後、1952年体制の改革で、北京5大学に統合された。現在中国大陸にある旧輔仁大学の住所は「北京師範大学 北キャンパス」および「北京輔大同窓会」である。中国大陸時代の著名な卒業生に、王光美(劉少奇夫人)、劉達(清華大学の学長)、トウ昌黎(物理学者)がいる。 台湾省政府は1948年に台北の円山地域近くの土地を寄付して、輔仁大学が台湾に移転するための大学の敷地として使用することを約束したが、神言会のローマ本部はすぐにすべての活動の停止を命じた[23]。翌年、輔大のアメリカ代表ラルフ・タイケン(Rev. Ralph Thyken, S.V.D.)、新しい名古屋カトリック大学(現在の南山大学)の設立の準備のために訪日した[24]。聖座が正式に台湾での再建を命じるまで、輔大の歴史は約10年間中断された。 1959年にカトリック修道会神言会、イエズス会および中国司教団が合同で学校の復興に取り組み、1960年教育部の許可の下に台湾の台北県(現在の新北市)で復興。1961年哲学大学部学生募集を始め、1962年まで3学部10学科設立され、本格的に学生募集を始める。 輔仁大学は学校創立100周年を迎え、台湾で復興してからの60年間、国内と海外をあわせて約22万人の同窓生がいる。大学に隣接して、輔仁大学附属病院と輔大診療所がある。 大学名の変遷
輔仁社・北京公教大学の沿革
輔仁大学(北京・北平)の沿革
輔仁大学(台北・新北)の沿革
基礎データ所在地組織2017年現在で計12学部を有し、修士課程42コース、博士課程11コース、夜間部では14学科および Post Bachelor コース(法律学科)があり、学生数は計2万人である。 台湾司教団系
神言会系
イエズス会系
大学関係者歴代理事長
歴代学長
主な出身者→「輔仁大学の人物一覧」も参照
輔仁大学の卒業生は世界中におり、主要な専門分野に有名人がいる。 台湾の金融、オプトエレクトロニクス、テキスタイル業界のパイオニアであるだけでなく、文学、政治、法律、コミュニケーション、芸能界、プロ野球やプロバスケットボールの分野でも重要な位置を占める。政界には、中華民国の行政院長と行政院副院長が3人、最高裁判所判事が3人、国防部長と国防部副部長が2人、多くの外交官、立法委員(国会議員)、市長、県知事、ファーストレディがいる。学術界では、ハーバード大学、エール大学、テキサスA&M大学、清華大学、台湾大学、日本の南山大学など、国内外のトップ大学の学長、副学長、教授などが含まれる。 財界には、世界屈指のトップ100大財閥の霖園グループの蔡氏家族、および新光グループの呉氏家族、両方の豪族に数人の輔仁大学出身者がいる。台新国際銀行会長の呉東亮、新光保険CEOの呉東賢、国泰不動産開発CEOの蔡辰鴻、台湾中華オリンピック委員会会長の蔡辰威など。また、世界的に有名な企業としては、トレンドマイクロの創設者スティーブ・チャン、エイサーの共同創設者葉紫華、エイサー取締役の施宣輝、Motechの共同創設者鄭福田と左元淮、フランツ・コレクションの創設者陳立恆、 そして、「台湾のイケア」特力グループの共同創設者何湯雄が含まれる。輔大経済学科卒業生の中で、羅崑泉は世界第3位の医療機器会社Johnson Health Techを設立し、チャールズ・CY・チェンは世界第11位の海運会社であるWan Hai Linesの陳氏家族の出身であり、Epistarオプトエレクトロニクスの会長である。 キャンパスと図書館輔仁大学のキャンパス(附属病院を含む)は40万㎡で、面積の大きさはバチカン市国や大阪大学豊中キャンパスに近い[27][28][29]。
対外関係国際的な影響力バチカン市国と神言会の権威に依存していた輔仁大学は、日中戦争中に大日本帝国に引き継がれ、支配されなかった北京で唯一の大学だった。冷戦の白色テロの時代、輔大は中国国民党政権が学務に干渉するのを防ぎ、バチカン国務省の深刻な懸念の下で学生の言論の自由を保護することができた[30]。 輔仁大学は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)傘下の国際カトリック大学連盟(IFCU)に属している。 アルバニア決議が1971年に発効した後、輔大は台湾で唯一、ユネスコに長い間参加し続けてきた大学である。公式の聖座と台湾の関係において、大学は両国間の実質的な交流を繰り返し促進してきた[31]。輔大の学長の任命と解任は、聖座国務長官による問合せの問題であり、中華民国(台湾)の国連加盟国資格と比較された[32]。大学の内部再編の問題はまた、両国の教育省と台湾駐在バチカン大使の介入に影響を及ぼした[33]。 輔仁大学の学長または理事長は、常に中華民国総統に同行して聖座を訪問した。2005年、大学の介入により、中華民国総統の席は、米国副大統領ディック・チェイニーとドイツの首相アンゲラ・メルケルの前に、各国首脳の第1の列に配置された[34]。2013年、大学はさらに、輔大出身者創設の企業フランツ・コレクションの製品を公式の国家の贈り物として指定し、名誉教皇ベネディクト16世と第266代ローマ教皇フランシスコに贈られた[35]。 2011年から2015年の間に、アジア太平洋大学交流機構(UMAP)国際事務局は輔仁大学に移され、現在、UMAP台湾国内委員会事務局はまだ輔大にある[36]。 姉妹校現在までに、全世界の376校の大学と姉妹校となっており、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアにまで及ぶ。「輔仁大学エリート留学奨学金」を設け、学生の海外学習やダブル学位取得を支援している[37]。
日本との関係カトリックの精神に基づく大学ということもあり、日本の姉妹校関係を締結している大学の多くもカトリック系の大学となっている。なかでも、日本のカトリック系女子大学(聖心女子大学、藤女子大学など)の姉妹校は多く、日本人交換留学生も女子学生が大半である。また、日本語学科は台湾人・日本人教員ともに東北大学出身者が多い。2011年3月現在、学生交換協定を締結している主な日本の大学は次のとおり。 2020年東京オリンピック輔仁大学は2020年東京オリンピックに8人の選手を派遣し、合計4人が台湾選手団の3つのメダルを獲得した。 これには台湾のオリンピック史上6番目の金メダルが含まれている。 附属学校
脚注
参考文献
関連項目外部リンク
座標: 北緯25度2分9秒 東経121度25分59秒 / 北緯25.03583度 東経121.43306度
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