ニンテンドー3DS
ニンテンドー3DS(ニンテンドー スリーディーエス、略称:3DS)は、任天堂がかつて製造していた携帯型ゲーム機。 概要ニンテンドーDSシリーズ[注 3]の後継機として開発され、機能面ではニンテンドーDSiとの互換性を保ちつつも、性能面では裸眼3D対応、アナログスティック搭載等の大幅に強化されたニンテンドーDSの次世代携帯型ゲーム機である。 ソフト面では、3DS専用ソフトのほか、ニンテンドーDSやニンテンドーDSi用のソフト(一部除く)を使用できる後方互換性を有しているが、DSと同様に画面を外部出力する機能は存在しない。 本機は専用眼鏡不要で上画面で二つの画面を同時に投影し、3D立体映像の視聴に対応した数少ないハードの一つである。尚、同社で3D立体映像に対応した製品は、ファミコン3Dシステム、バーチャルボーイ以来となる。 「ニンテンドー3DSシリーズ」の第一弾となった初代ニンテンドー3DSは、日本では2011年2月26日に発売された。その後、シリーズはNintendo Switch Liteが発売される2019年までの約9年間に渡り展開され、2020年9月16日に全シリーズの生産を終了した[7]。2023年3月28日にニンテンドー3DSシリーズ向けのニンテンドーeショップがサービス終了した。また、2024年4月9日にニンテンドー3DSシリーズ向けのオンラインプレイサービス(インターネット関連)が終了した[8]。 オンライン関連が終了する事により、インターネットを利用する協力プレイやポケモン・妖怪ウォッチ等での交換はできなくなるが、ローカル通信と赤外線通信はインターネットを経由しないので、3DS2台ですれ違い通信や交換は可能である。 amiibo・amiiboカード・妖怪ウォッチのドリーム・トレジャーメダル・スナックワールドのジャラなど、NFCチップが搭載されている連動玩具は無線通信機能がONでないと使えず、旧式3DSの場合はNFCカードリーダーが別途必須となる[注 4]。 沿革
販売台数
ハードウェア2画面で下画面がタッチパネル(抵抗膜方式)であること、加えてマイクとカメラの搭載という前世代機の特徴を引き継いでいる。
互換機能ニンテンドーDSシリーズ用ソフト[注 10]およびDS用ソフト・DS・DSi両対応ソフト、DSi用ソフトをプレイできる後方互換機能を搭載している。これに加えてDSi・DSi LL専用のニンテンドーDSiウェアもそのままプレイできる。これは前世代機であるDS・DS Lite・DSiが採用していたARM9 + ARM7およびソフトのフラッシュメモリを搭載しているためである。 カメラ機能を使用したDSi対応・DSiウェアのソフトも利用可能で、3DSのカメラはDS用に切り替わって解像度などはそのまま利用できる[注 11]。なお、保存された写真を使用するDSi対応・DSiウェアのソフトでは、本体保存メモリに保存された写真を利用する。 DS・DSi用ソフト(DSiウェア・DSダウンロードプレイ・Wi-Fiコネクション設定を含む)を表示させると、両機種の解像度の相違[注 12]のため、映像が拡大され多少ぼやけて表示される。STARTまたはSELECTボタンを押しながらこれらのソフトを起動すると、画面サイズは小さくなるが、本来の解像度で表示させることができる[注 13]。また、3DSの上画面はDSよりワイド[注 14]になっているため、DSのソフトを表示している時の上画面は左右に黒い帯が付く。 DS用ソフトの起動中は、3DSの機能が使用できない(ニンテンドー2DS、Newニンテンドー2DS LLと同様、思い出きろく帳は記録されるが、7日分に限られる)。また、HOMEボタンを押すと、ソフトをスリープ状態にしてHOMEメニューに戻るかを尋ねる画面が表示される。この画面上では、輝度調整や省エネモード切替ができ(後述)、調整後「キャンセル」を選ぶかHOMEボタンを押すとプレイ画面に復帰する。「OK」を選ぶとHOMEメニューに戻るが、その際にソフトは終了され、セーブしていないプレイデータは失われる。 なお、これまでのゲームボーイ(以下GB)、ゲームボーイカラー(以下GBC)、ゲームボーイアドバンスタイトルとの互換機能はないが、GBとGBC、GBA(アンバサダーのみ)タイトルの一部については、バーチャルコンソールで遊ぶことができる。 ただし、GBA連動やDS振動カートリッジや拡張機器など、GBAスロットに差す外部周辺機器は使用できない(ニンテンドーDSi・ニンテンドーDSi LLと同様)。ダブルスロットの影響でプレイすらできない作品は以下の通りである。
仕様
内蔵機能
HOMEメニューニンテンドー3DSを起動すると、HOMEメニューが表示され、3DSに内蔵されている機能や追加したソフトのアイコンが一覧表示される。ソフトアイコンの表示スペースは300個分まで用意されている。ただしニンテンドーDSiウェアは本体保存メモリが残っていても最大で40種類までしか追加できない。 1画面に表示されるソフトアイコンの数は、下画面の左上にある「表示数変更」のアイコンをタッチすることで、縦1・横3 - 縦6・横10の6段階に変更することができる。ソフトアイコンの並べ替えは、タッチペンによって自由にできる。ソフトの削除は本体設定内の「データ管理」の項目からできる。 本体バージョン『Ver.4.0.0-7J』(2012年4月25日配信開始分)以降では、フォルダ機能が追加され、ソフトアイコンをフォルダ内で整理できるようになった。フォルダは最大57個まで作成可能で、1つのフォルダにはソフトアイコンを60個まで収納可能。フォルダアイコンには任意で付けたフォルダ名の最初の一文字が表示される。当初は、「本体設定」「eショップ」「カードソフト」のアイコンはフォルダーに収納できなかったが、「本体設定」「eショップ」については、後の更新で可能となった。 上画面にはソフトアイコンに対応したグラフィックが表示され、マイクに反応がある(息を吹きかけたり声をかける)と勢い良く回転したり、浮いたりする。上部には、通信状況、その日の歩数 / ゲームコインの枚数(交互に表示)、日付と時刻、バッテリー残量が表示されている。 基本的に本体のHOMEボタンを押せば、プレイ中のソフトを中断したまま、このメニューに戻ることができる。ただしDS用ソフト、DSiウェア、およびバーチャルコンソールのゲームボーイアドバンスソフトのプレイ時は例外で、一度ゲームを終了しないとHOMEメニューに戻ることはできない(前述の通り、HOMEボタンを押すとHOMEメニューに戻るかを尋ねる画面が表示される)。 ソフトアイコン購入時は以下の機能がソフトアイコンとして表示されている。これら13種類の削除は不可能。一部の機能を除いてソフトの取扱説明書が内蔵されており、HOMEメニュー内から「説明書」を選ぶことで、そのソフトの説明を見ることができる。
ソフトアイコン以外以下の機能はソフトアイコンとは別に、HOMEメニューに設置されており、HOMEメニューが表示されている間であれば、いつでも利用することができる。
追加ソフト・機能本体に内蔵されているソフト以外にも、新しく無料のソフトが不定期に追加された。同梱のSDカードにいくつかが内蔵されている。新しい機能はニンテンドーeショップからダウンロードする。
システム更新バッジとれ~るセンターの全バッジのデータについてもOSに保存されていたため、2017年でOSのメモリ量を超過するリスクを考慮してバッジ追加は終了した。その後、2023年をもって3DSシリーズのOSの更新は終了した。 →「ニンテンドー3DSシリーズのシステムアップデート」を参照
本体以下の記述は、特記事項のない限りは日本国内での発売日。 2011年2月26日発売時の本体カラーは2種類。型番はCTR-001。 付属品[44]は以下の通り。
カラーバリエーション
ミスティピンクとアイスホワイトには、『スーパーマリオ 3Dランド』を同梱した「スーパーマリオ 3Dランド パック」や、コスモブラックとフレアレッドには、『モンスターハンター3G』を同梱した「モンスターハンター3G はじめてハンターパック」が発売されており、「スーパーマリオ 3Dランド パック」にはセット特典として、バーチャルコンソールの『スーパーマリオブラザーズ』がSDメモリーカードにプリインストールされている。
開発支援機器本項目にて述べる機器やツールは一般向けには販売が行われておらず、ゲーム開発会社、流通、出版社などの業務上必要と認められた一部の会社に販売された「開発・検証機」となる。
周辺機器
モデルニンテンドー3DS LL
Electronic Entertainment Expo 2012(以降E3)が開催される数日前に、日経が「任天堂、新型Wii多機能に カーナビ・電子書籍 スマホに対抗」の見出し記事を掲載し、Wii Uにカーナビ・電子書籍などの機能を搭載するという情報と、ニンテンドー3DS LLの情報をE3で発表するかのように報道した[59]。 これを受けて任天堂は、「(日経にあるE3でWii U関連の情報とニンテンドー3DS LLの情報を発表は)当社が発表したわけではなく、数多くの間違いが含まれた日経の全くの憶測記事である」旨のニュースリリースを発表する[60][61]。 任天堂は「日経記事にはWii U関連の情報を含めて多くの間違いがあり、憶測である」と発表しただけであり、ニンテンドー3DS LLの発表自体を否定したわけではないが、ゲームのニュースを配信しているインサイドなどのインターネットメディアは、日経が発表した記事の「ニンテンドー3DS LL」の部分のみを抽出し記事にしたため[62]、任天堂のニュースリリースを見た一部のネットユーザーに「ニンテンドー3DS LLは発売されないのではないか?」との誤解を生じさせた。 またインサイドは先述の記事の他にも、E3終了後に任天堂の宮本茂が海外サイトのインタビューを翻訳したとされる記事を掲載し、その見出しは「任天堂宮本氏『ニンテンドー3DS LLは今後発売しない』」となっている[63]。しかし、記事内容は一行目から「ニンテンドー3DS LLは今後も発売されない可能性を示唆」となっており、あくまでも可能性の話として書かれている(※6月22日夜に該当記事削除、その後再度掲載し、訂正の文字が書き足されている)。なお、そのインタビューで宮本は3DS LLは今後発売しないとは言っておらず、今後も発売しない可能性を示唆してはいない[64]。 その後、2012年6月22日にNintendo Direct 2012.6.22で『ニンテンドー3DS LL』の発売発表。同年7月28日に発売された。 2012年12月1日に中国(神游科技での発売)で3DS XLのみ発売。 3DS LLの仕様通常の3DSからの変更点は以下の通り。
3DS LL本体2012年7月28日発売時の本体カラーは3種類。型番はSPR-001。希望小売価格は18,900円(税込)。ACアダプタ(DSiシリーズや3DSと共用)、専用充電台は別売。同時にパッケージソフトのダウンロード版の販売(詳細は上述)が開始された。ホワイトは最後まで生産されていた。2015年末頃に全色生産終了。 付属品は以下の通り。
また本体のカラーバリエーションは以下の通り。
また、ブラックと付属のSDカード内に『モンスターハンター3G』のダウンロード版をプリインストールした「ニンテンドー3DS LL モンスターハンター3G パック」が2012年11月1日より期間限定で販売された。
開発支援機器
3DS LL周辺機器
ニンテンドー2DS→詳細は「ニンテンドー2DS」を参照
ニンテンドー3DSから裸眼立体視(3D映像)機能と、折り畳み機能を廃止、ステレオスピーカーをモノラルにした下位モデル。現地の経済事情に合わせた廉価モデルと位置付け、3D立体視の機能はなし、モノラル音声(ヘッドフォン使用時はサラウンド・ステレオ)。型番はFTR-001。
Newニンテンドー3DS→詳細は「Newニンテンドー3DS」を参照
2014年8月29日に3DSのバリエーションモデルとして発表された[66]。型番はKTR-001。 従来の3DSと比べてCPU性能が上がり、ボタンや新しい機能の追加、配置変更などされているが、あくまで3DSシリーズの新モデルであり次世代携帯機ではなく、今までの3DS用ソフトの動作が快適になったり、グラフィックが綺麗になったりすることはない。しかしNewニンテンドー3DSでプレイすると動作が快適になる、グラフィックが綺麗になるソフトを開発することは可能であり、さらにその性能を生かした専用ソフトも発売されている。また、以前の3DS・2DSではプレイできない「Newニンテンドー3DS専用ソフト[注 20]」であった。フラッシュメモリが搭載できなくなり、代わりにmicroSDメモリーカードスロットのみとなった。「Newニンテンドー3DS」と通常の3DSのOSは機能面で違いがあり、「Newニンテンドー3DS」「Newニンテンドー3DS」「Newニンテンドー2DSLL」は形式上New 3DSのOSと機能面で同一である。 なお、Newニンテンドー3DSからはインターネットブラウザーのフィルタリングが初めから有効の設定になっており、フィルタリング解除にはクレジットカード認証と手数料30円が必要となった。これは子供が勝手にフィルタリングの設定を解除してしまわないようにするための処置である。
Newニンテンドー3DS LL→詳細は「Newニンテンドー3DS」を参照
Newニンテンドー2DS LL→詳細は「Newニンテンドー2DS LL」を参照
ソフトウェア→詳細は「ニンテンドー3DSのゲームタイトル一覧」および「ニンテンドー3DS版バーチャルコンソールのゲームタイトル一覧」を参照
2012年7月28日から任天堂タイトルについては、原則としてパッケージ版とダウンロード版が用意される。かつてダウンロード版はクラブニンテンドーのポイントが優遇された[67]。なお、主なニンテンドー3DS用ソフトは、2014年10月11日から発売されたNewニンテンドー3DSにも対応しているが、一部ソフトは非対応。
3DSのミリオンセラー作品の数は26本(2018年4月現在)[28][70][71]。(日本で500万本以上を販売したソフト)下記のタイトルは基本的には400万本、300万本。
ゲーム以外
CM発売時のイメージキャラクターには嵐を起用。 関連サービス
影響早期の値下げ発売時の25000円(税込)という本体の希望小売価格は、同社の携帯ゲーム機史上最も高額で2009年に値下げされた同社の据置型ゲーム機であるWiiよりも高かった[注 21]。 しかし任天堂は2011年7月28日に価格改定を発表した。発売から半年も経っていないにもかかわらず異例の値下げに踏み切った理由としては、「発売前と状況が大きく変わり、このままでは満足な普及ができず、多くのユーザーに3DSを楽しんでいただけないため」[76]としており、「値下げ後の価格だと本体だけでは赤字になるが、ハードの未来を考えると今手を打つしかない」[77] ともしている。一部では発売時点の製造コストが約103米ドルという試算があったが[78]、値下げによりコストが売価を上回る「逆ざや」となっていた。 任天堂はこの大幅値下げによる不公平を少なくするために、大幅値下げ前に購入した顧客に対しては、岩田社長名で謝罪するとともに2011年8月10日までの特典として「アンバサダー・プログラム」を実施することを発表した[76]。このプログラムへの参加者には、バーチャルコンソールにおけるファミリーコンピュータ(FC)用ソフト10タイトル、ゲームボーイアドバンス(GBA)用ソフト10タイトル、計20タイトルが無料で提供される。また、このアンバサダー・プログラムの権利は、ニンテンドーeショップの履歴(現在ではニンテンドーネットワークID)を削除すると消えてしまうが、3DS本体の引っ越しを行うことで、別の3DSに移すことは可能。 8月10日23時59分までに3DS本体をインターネットに接続し、ニンテンドーeショップに一度アクセス(要本体更新)すると参加扱いになる[76]。ソフトはeショップの購入履歴にカウントされた扱いになっており、「購入履歴より再受信」することでダウンロードできる。また「アンバサダー・プログラム登録証」のソフトを受信することにより、アンバサダー・プログラムについての新規情報を受け取ることが可能。 FC用ソフト10タイトルは先行配信版という扱いであり、正式版に搭載されている「まるごとバックアップ機能」は使えないが、正式版配信後には無料でアップデートすることができる。正式版は2011年12月22日の『ゼルダの伝説1』を皮切りに配信開始され、2012年9月19日配信の『レッキングクルー』で10タイトルすべてが正式版にアップデート可能となった。 一方、GBA用ソフト10タイトルは今回限りの配信であり、3DS用ソフトとして将来的にも販売の予定はないとしている[76][注 22]。またネイティブで実行している為か、いくつかの制限があり、「まるごとバックアップ機能」や「中断機能」に対応していないほか、起動中は本体を閉じてもスリープ状態にならず、「すれちがい通信」や「いつの間に通信」も発生しなくなる。 発表当初はFC用ソフト・GBA用ソフトともに5タイトルずつ、計10タイトルの発表だったが[79]、FC用ソフトは8月30日までに[80]、GBA用ソフトは12月15日までに[81]、配信全タイトルが明らかになった。 対象の20タイトルは以下の通り(配信日前日に発表されたタイトルには『*』を付記)。
健康面6歳以下の子供は視覚が発達の途中の段階であり、3D表示の映像を長時間見ると目の成長に悪影響を与える可能性があるとして、任天堂は3D表示での長時間プレイを控えるようにと呼びかけている[82][83]。そのため、社団法人電子情報技術産業協会と、独立行政法人産業技術総合研究所、3Dコンソーシアムが作成したガイドラインに従い、6歳以下の子供に対する利用制限を促すことを決定した。この制限は、同協会・研究所が設置した「快適3D基盤研究推進委員会」により、ISO(国際標準化機構)に国際標準として提案する予定である。なお、ペアレンタルコントロール機能で3Dの表示を制限することができる。 だが、こういった懸念を疑問視する声も挙がっており[84]、アメリカ検眼協会によれば過剰な使用を控える限り害はなく、かえって視覚異常の早期発見に役立つという[85][86]。 訴訟3DSに用いられている裸眼立体視技術が特許侵害であるとして、2011年7月、元ソニーの技術者富田誠次郎が率いるTomita Technologies USA LLCがアメリカニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に訴訟を提起した[87][88]。特許侵害が認定され、2013年3月には陪審団が3020万ドルの損害賠償の支払いを求める評決を下したが、2013年8月にニューヨーク連邦地裁は賠償額を1510万ドルに半減した[89]。さらに2013年12月11日、ニューヨーク連邦地裁は賠償額の算出法を変更し、3DSの卸売価格の1.82%をロイヤリティとして支払うよう任天堂に命じた[90]。 しかし、連邦巡回控訴裁(CAFC)は2014年12月、特許の請求項の解釈が適切ではなかったとして一審判決を破棄し、連邦地裁への差戻しを命じた[91][92]。その後の差戻し審においてニューヨーク連邦地裁は2016年4月、3DSによる特許侵害がなかったとする判断を下した[93]。 脚注注釈
出典
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