SUGOCA
SUGOCA(スゴカ)は、九州旅客鉄道(JR九州)が2009年3月1日から導入したサイバネ規格のICカード乗車券である。 本ページでは、SUGOCAのオートチャージ機能に対応したJR九州のクレジットカードである『JQ CARD』及び共通ポイントサービスである『JRキューポ』(旧SUGOCAポイント)についても記す。 概要JR九州が2009年3月1日に導入した在来線用ICカード乗車券で、JRのICカード乗車券としてはSuica(東日本旅客鉄道:JR東日本)、ICOCA(西日本旅客鉄道:JR西日本)、TOICA(東海旅客鉄道:JR東海)、Kitaca(北海道旅客鉄道:JR北海道)に次いで5番目であり、JRにおける全国相互対象のICカードでは(2012年にICOCAを導入した四国旅客鉄道を除けば)最後発である。 SUGOCAとはSmart Urban GOing CArd の略称を「凄い」を意味する肥筑方言「凄か」にかけた名称である。CMなどでは「スッ!とゴー!でSUGOCA」といった表現も使われている。 発行枚数は導入約1ヶ月後の2009年4月5日に10万枚、2009年11月11日に20万枚[1]、2011年3月23日に50万枚を突破し[2]、2013年7月29日には100万枚を突破した[3]。2019年3月1日時点では279万枚発行されている[4]。 カードの裏面の右下に記載の番号は「JK」で始まる17桁の英数字であるが、この「JK」はJR九州の英語表記「JR Kyushu」の頭文字を採ったものである。 キャラクターロドニー・グリーンブラットのイラストによる「カエルくんと時計くんの組み合わせ」を採用している。ロゴは黒色で、「SUGOCA」のOの右側と続くCの色を白色に反転させ、「IC」カードであることを表している。ちなみに、ロドニー・グリーンブラットはかつてJR九州の特急回数券「2枚きっぷ・4枚きっぷ」のイメージキャラクターを務めていたPUFFYのCDジャケットのデザインも手がけていた。カードに描かれているカエルくんと、ポスターやグッズなどに描かれているカエルくんとでは、絵のタッチが微妙に異なっている。 種類SUGOCA乗車券およびSUGOCA定期券は、新規購入時には500円のデポジット(預託金)が必要で、払い戻し時に返却される。SUGOCA乗車券の新規発売額は2000円(うち500円がデポジット)。鉄道乗車及び電子マネーでのストアードフェア(SF)に利用できる残額の、チャージできる上限は20,000円である。
サービス・機能ICカード乗車券利用可能エリアJR九州JR九州の利用可能エリアは下記の通り[14]。2009年3月1日に福岡県・佐賀県内を中心とする124駅[注 2] で導入され、2012年12月1日以降に長崎、大分、熊本、鹿児島の利用可能エリアが拡大された。 JR九州線の利用可能エリアは「福岡・佐賀・大分・熊本エリア」「長崎エリア」「宮崎エリア」「鹿児島エリア」の4つに分けられており[14]、各エリアをまたがっての利用は出来ない。また、九州新幹線及び西九州新幹線でも乗車券としては使用できない。 福岡エリアでの自動改札機の更新に合わせ、一部の駅でICカード専用改札機が導入されている。ICカード専用改札機はピンク色に塗装されている。
自動改札機での利用自動改札機の乗車券投入口の上にある読み取り部にSUGOCAをタッチすることで利用できる。ICカード専用の簡易式カードリーダーが設置されている場合、同様に読み取り部にタッチすることで入場・出場処理を行うようになっており、入場時には「入場」と表示されている読み取り部に、出場時には「出場」と表示されている読み取り部にタッチする。無人駅でもSUGOCAの利用が可能な駅では簡易式カードリーダーが設置されている。 乗車時に初乗り運賃を前引きせず、降車駅で乗車した区間の運賃が一括して精算される。SF残額が乗車駅からの初乗り運賃に満たなくても入場できるが、SF残額が10円未満の場合は入場できない。 運賃計算の特例SUGOCA利用可能エリアでSUGOCAのカード残額を利用して乗車した場合、乗車経路にかかわらず最も安い運賃で精算される[15]。ただし、SUGOCA利用可能エリア内でSUGOCAのカード残額を利用して乗車した場合は実乗車距離または最短距離が101kmを超える乗車となっても途中下車は出来ない。 次の区間はSUGOCAの利用可能エリアではない(区間内でSUGOCAを利用しての入出場は出来ない)が、SUGOCAの「運賃計算の特例に使用する路線」として運賃計算上の『最短経路』に組み込める区間であり、福岡・佐賀・大分・熊本エリア内の駅からSUGOCAのカード残額を利用して乗車した場合にこの区間を通過することのみが可能である[15]。
なお、唐津線久保田駅- 唐津駅間はこの中に含まれておらず、SUGOCAのカード残額を利用してこの区間を乗車することができない[15]。 また、福岡市地下鉄を挟んで、筑肥線・唐津線の下山門駅 - 西唐津駅間と博多駅以遠のJR九州線を乗り継ぐ場合、通過連絡運輸を適用して、JR部分については両側の営業キロなどを通算して運賃を算出する。博多駅では途中出場することとなるが、博多駅出場時に乗車駅から博多駅までの正規運賃を一旦引き落とし、博多駅から再入場し降車駅で下車する際に全区間の通過連絡運輸適用運賃との差額を引き落とすようにしている[16](時間制限はなく、当日中であれば適用される)。 かつては折尾駅で本駅舎(鹿児島本線・若松線)と鷹見口(福北ゆたか線)の間で乗り換える場合、自動改札ではなく、係員がいる窓口でその旨告知して指示に従う必要があった。これは、出場時に自動改札機にタッチすると下車扱いとなり、乗車駅から折尾駅までの運賃が一旦精算されるために本来の運賃である最終目的地までの通し運賃と差異が生じるためであった[15]。2022年3月のダイヤ改正に伴い、福北ゆたか線の乗り場が移設し、改札口も統合する形になったため、上記の特例が消滅した。 他社ICカードとの相互利用→詳細は「交通系ICカード全国相互利用サービス」を参照 (新幹線乗車サービスも当該記事参照) 他のICカード乗車券との相互利用については、JR九州と導入当初からSuicaを導入しているJR東日本、nimocaを導入している西日本鉄道(西鉄)、はやかけんを導入している福岡市交通局の4事業者で準備作業が進められ、JRグループ2010年春のダイヤ改正に合わせて、2010年3月13日より乗車券機能・電子マネー機能ともに相互利用を開始した[17]。 またこれに加えて2011年3月5日からはICOCA・TOICAとの乗車券機能および電子マネーの相互利用が開始された[18](この時点でICOCA・TOICAで筑肥線・唐津線での利用は不可、2013年に利用開始)。これに合わせて、同月12日より博多駅・小倉駅でも新幹線IC乗継サービスが利用可能になった。 2013年3月23日にSUGOCAを含む日本全国のIC乗車カード10種の相互利用を開始し[19]、すでに相互利用を開始しているSuica、ICOCA、TOICA、はやかけん、nimocaに加え、Kitaca(JR北海道)、PASMO(関東の民鉄・バスなど)、manaca(主に中京の民鉄・バスなど)、PiTaPa(主に関西の民鉄・バスなど)が新たに相互利用可能となった(一部に対象外の事業者あり。電子マネーはPiTaPaを除く。)。 相互利用により、これらのICカードの各エリアでもSUGOCAの利用が可能である。各エリア内でのチャージはそれぞれのカード対応の自動券売機、自動精算機、簡易入金機で可能である。また、各ICカードと完全互換仕様で別名で発行されるICカードも使用可能である。 なお、2023年4月1日以降、下関駅でSUGOCAエリアとICOCAエリアが接しているが、両エリアを連続してのIC乗車券利用は出来ない。また、両エリアに跨がるIC定期券を利用する場合も改札機での乗り越し精算が出来ない[20]。 新幹線IC乗継サービス新幹線・在来線乗換口でのIC乗継サービスは交通系ICカード全国相互利用サービス共通の対応となり、東海道・山陽新幹線ではSUGOCAエリアの小倉・博多の両駅、ならびに首都圏のSuicaエリア(東京 - 熱海)、東海地区のTOICAエリア(熱海 - 米原)、関西・山陽地区のICOCAエリア(米原 - 新下関)の各駅で、東北・上越・北陸・北海道・山形・秋田新幹線ではSuicaの首都圏エリア(東京 - 那須塩原、大宮 - 高崎)、仙台エリア(郡山 - 一ノ関、福島-山形)、新潟エリア(長岡 - 新潟)、盛岡エリア(北上 - 盛岡)、青森エリア(新青森駅のみ)、秋田エリア(秋田駅のみ)、函館Kitacaエリア(新函館北斗駅のみ)と北陸地区のICOCAエリア(富山 - 敦賀)の各駅で、九州新幹線ではSUGOCAの福岡・佐賀・大分・熊本エリア(博多 - 熊本)と鹿児島エリア(川内 - 鹿児島中央)の各駅で利用可能。 また、SUGOCA長崎エリアの諫早駅、長崎駅にも新幹線・在来線乗換口が設置されているが、西九州新幹線の自動改札機はICカードに対応していないため、IC乗継サービスは利用できない。 電子マネー電子マネーとしての利用エリアについては、先行していた西日本鉄道の「nimoca」が自社系の商業施設から導入していたため、SUGOCAスタート時にエリア内にあるJR九州系の商業施設[21] を中心にビックカメラ天神1号館・天神2号館、洋服の青山、ベスト電器福岡本店・小倉本店などで先行導入した。また、JR関連の鉄道路線が存在しない沖縄県においても、JR九州沖縄支店等で専用デザインのSUGOCAが販売されており、沖縄県内における電子マネーとしての利用可能店舗の拡大も順次進められている。 前述の交通系ICカード全国相互利用サービスの開始に伴い、全国の交通系ICカード相互利用各社の加盟店等(ポストペイ方式のPiTaPa加盟店を除く)でも、決済手段としてSUGOCAの利用が可能である。なお、九州地区では、導入の経緯により、電子マネーではSUGOCA・nimoca・ICOCA・Suicaの加盟店が混在している。 なお、2023年8月28日に運行を開始した日田彦山線BRTでは、2024年3月31日までの実証実験として、BRT区間内の乗降に限りモバイル端末を用いたSUGOCA電子マネーでの精算に対応し、PiTaPaを除く交通系ICカード相互利用にも対応する[22]。SUGOCAエリア外の久大本線に並行する夜明駅 - 日田駅間でもBRT乗車時にはSUGOCAが利用可能(列車にはSUGOCA決済で乗車できない)。 SUGOCAが利用可能な店舗・施設等については、公式サイトの「SUGOCAでお買い物」を参照のこと。 また、2014年7月22日からはWii Uの支払い決済に、他の交通系電子マネーと共に利用可能となった[23]。このサービスは2022年1月18日9時をもって終了した。 オートチャージ記名式SUGOCAおよび記名式mono SUGOCAを利用している場合にはオートチャージが利用できる。引き去り対象となるカードはJR九州で取り扱っている「JQ CARD」および「JQ SUGOCA」をはじめとしたクレジットカード機能付きSUGOCAのみで、その他の一般クレジットカードには対応していない。オートチャージはSUGOCAエリアでのみ有効で、相互利用の他社エリアでは使えない。事前に書類で申し込んだ上で、承認後に「オートチャージ設定機能付き自動券売機」で設定を行う必要がある。 SUGOCAで乗車券を購入SUGOCAを含む相互利用各社のICカードの入金残額を利用し、SUGOCA対応自動券売機で普通乗車券・回数券・特急券等が購入できる[24]。自動券売機で利用する場合は、ICカードを自動券売機のホルダーもしくはカード挿入口に入れて使う。 なお、SUGOCA自体を入場券としては使えないため、入場券をSUGOCA対応自動券売機で購入する必要がある。 SUGOCAポイント / JRキューポ2010年2月1日から鉄道乗車と電子マネー利用の双方でポイントサービス『SUGOCAポイント』が導入された。これはJR系ICカード乗車券としては初めて、クレジットカード不要で鉄道乗車の際に一律にポイントが付与されるサービスの導入となった[25]。 2021年7月時点におけるSUGOCAポイントの付与の条件や、ポイント交換等に関する詳細は以下の通り[26]。
2016年11月、『SUGOCAポイント』を、JQ CARDのポイントサービス『JQポイント』及びインターネット列車予約向けに付与されていたポイントサービス『eレールポイント』と統合した新たなポイントサービス『JRキューポ』に変更することを発表[27]、2017年7月7日からサービスを開始した[28]。ポイント加算ルールはこれまでの各サービスに準ずる。交換先は、事前にJRキューポのマイページから登録した記名式SUGOCAへのSFチャージの他、提携しているGポイント、Ponta、Tポイントへの交換、及び各JQ CARD / JQ SUGOCAで個別に対応する他社ポイント(エポスポイント等)もしくは航空会社マイルへの相互交換に対応する。2018年12月11日からは、相互交換対象では無いNTTグループカードからのJRキューポへのポイント交換が可能になる[29]。 SUGOCAへのポイントチャージは、主要駅に設置のポイントチャージ機能付自動券売機で、それ以外の特典への交換はJRキューポのマイページから行う。 2021年4月20日、SUGOCAでの鉄道利用時における『JRキューポ』の付与(乗車ポイントサービス及び特急券ポイントサービス)を2021年6月30日限りで終了することを発表した[30]。なお、ショッピングポイント及び筑肥線・唐津線と福岡市地下鉄に跨がる乗車時のポイント付与は継続される。 歴史(新幹線関連は別途掲載)
今後の予定
JQ CARDJQ CARD(ジェイキュー・カード)は、JR九州が取り扱うクレジットカードである。 カード概要JR九州では、それまでアミュプラザ小倉などで発行していた「AMU CARD」(クレジット機能付き)など、商業施設単位でクレジットカードを発行してきたが、SUGOCA発行(とオートチャージ機能の導入)に併せて自社扱いのクレジットカードブランドの統合を行ったものであり、他のJR九州系クレジットカードは新規申し込みを終了した。 クレディセゾン(セゾンカード)やエポスカードなど外部のクレジットカード会社との提携カードとして発行され、カード発行はそれぞれのクレジット会社が行う(JR九州の直接発行[52] およびカード事業子会社[53] を設置しての発行ではない)。以下の種類がある[54]。 2022年6月25日から九州新幹線内でのエクスプレス予約サービス開始に伴い、2022年6月10日からJQ CARDエクスプレスの発行も開始された。詳細は後述[55]。 「SUGOCA定期券」には後述の通りJQ CARDとSUGOCAの一体型カード『JQ SUGOCA』に定期券機能が搭載されていないためJQ CARDでオートチャージするよう呼びかけている[56]。
独自のポイントシステムとして「JQポイント」が設定されており、利用額に応じてポイントが付与され、貯まったポイントはJR九州旅行券やJR九州の各商業施設のお買物券に代えることが出来るほか、オートチャージ対応のカードはSUGOCA電子マネーとしてチャージすることも出来る。なお、各クレジットカードのポイントプログラム(永久不滅ポイント・スマイルポイントプログラム・エポスポイント)は付与されないが、貯まったJQポイントの各ポイントプログラムのポイントへの交換はJQ CARD(MUFGカード)以外は可能である。なお、2017年7月に前述の通り「SUGOCAポイント」「eレールポイント」と統合して名称を「JRキューポ」に変更した[27]。 JQ SUGOCA2012年9月19日に、JQ CARDとSUGOCAの一体型カード『JQ SUGOCA』を2013年春に発行する予定であることがJR九州から発表された[61]。2013年3月15日(ALL IN ONE JQ SUGOCAは同月1日開始、JMB JQ SUGOCAは同年9月20日開始)に募集開始となった。「ALL IN ONE JQ SUGOCA」「WAZZE JQ SUGOCA」「Melody plus JQ SUGOCA」「なんでん JQ SUGOCA」以外はアミュプラザのサービスカウンターで会員募集を受け付ける。 SUGOCAとJR九州のクレジットカードであるJQ CARDが一体化した『JQ SUGOCA』と、JQ SUGOCAに他社(金融機関・小売店・航空会社)との提携機能が加わった『JQ SUGOCA提携カード』が発行される。 いずれもオートチャージに対応すると共に、一部カードはJR九州・他社とのポイント相互交換にも対応する。 『JQ SUGOCA』はクレディセゾン・三菱UFJニコス・エポスカードとの提携カードである通常のJQ CARDと異なり、VISAおよびMasterブランドはイオン銀行(プロセシングはイオンクレジットサービス(後にイオンフィナンシャルサービスへ統合)、JCBブランドはジェーシービーによる発行となり、国際ブランド以外の提携機能はない。但し、イオン銀行発行分のみ2024年4月現在はイオンカードの特典の一部(イオングループ店舗でのお客さま感謝デー(20日と30日、10日のイオン九州限定お10くデー含む)利用割引)が付与されている。『JQ SUGOCA JCB エクスプレス』は、『JQ SUGOCA JCB』にエクスプレス予約サービス対応を付加したもの[55]。 2022年6月25日に予定されている九州新幹線のエクスプレス予約への参加時に、同予約の会員カードとしても機能するカードを発行するかどうかについては、2022年3月時点では発表されていなかったが、2022年5月27日にJCBから2種発行予定があることが発表された[55]。 『JQ SUGOCA』はJR東日本の『VIEW Suicaカード』あるいは西日本鉄道の『クレジットnimoca』などとは異なり定期券機能は搭載されていない。 『JQ SUGOCA提携カード』は以下のカードが発行されており、カードごとに発行元が異なる。
脚注注釈出典
関連項目
外部リンク |