西鉄バス西鉄バス(にしてつバス)とは、大手私鉄の西日本鉄道(西鉄)自動車事業本部および、同事業本部から分離独立した子会社各社が運行するバスである。 本項目では、西鉄自動車事業本部、及び同事業本部から分離独立した子会社が運行する一般路線バス事業を中心に、各社のバス事業全体に共通する事項について述べる。西鉄本体の一般路線バス事業の詳細については西日本鉄道#バス事業を、西鉄グループによる都市間高速バス事業の詳細については西鉄高速バスを参照。また資本参加により西鉄グループとなったものの一般に「西鉄バス」には含まれない日田バス・亀の井バスや、各種商品の販売・斡旋やビルの管理・メンテナンスなどを主たる事業とする株式会社スピナについては当該項目を参照。 なお「西鉄バス」という名称の法人は、過去においても現在も存在したことはない。 概要2017年度の西鉄バスグループ全体を通した年間輸送人員は約2億7000万人である。また年間総走行距離は約1億4000万kmである。一日平均1200台が稼働している。 2020年度末時点での乗合バス保有台数は、西鉄単体で1,822台(西鉄本社が所有し、子会社へリースされる車両を含めず)、グループ全体(本項で扱わない日田バス・亀の井バスを含む)で2,774台である[1]。グループ全体では保有数3,377台の小田急グループに次ぐ第2位、バス会社単体についても1,922台の神奈川中央交通(神奈中バス)に次ぐ第2位の保有台数である。 また、災害や事故が生じても通常通りの運行を続けることがインターネット上を中心に認知されている。2017年の平成29年7月九州北部豪雨では、福岡県朝倉市内の冠水した道路を走行するバスの車内から撮影された映像がインターネット上で拡散され、大きな反響を集めた。これに対して西鉄本社の広報課は「急な事態だったので、乗客の安全を第一に考えて道路が冠水していない場所までそのまま走行した。立往生するわけにはいかないので安全確保に努めた。」と回答している[2]。 経営体制かつては運行する路線のほぼすべてが西日本鉄道(西鉄)の直営だったが、1986年以降、路線バス業界全体に共通する厳しい経営状況を反映して、経営改善の一環として他の大手私鉄同様にバス事業は分社化された。これらの子会社は社名を「○○交通」とし、バス車両の塗装も西鉄本社とは異なる塗装としていた。当初は山間部や過疎地を中心とした不採算路線の「路線単位」での切り離しが主体であったが、子会社へ移管する路線を順次増やしていった。 2001年8月1日以降は、子会社の社名を各社とも「西鉄バス○○」に変更し、車両の塗装も西鉄本社とほぼ同一の塗装に合わせるなど、外見上は「西鉄バス」として一体化している。また、西鉄バス北九州のように営業局の独立という形での分社も実施され、2003年7月には福岡都市圏を除くすべての路線で営業所の分社化・管理委託化が実施された。 分社化にあたっては、車両や路線(営業所)を完全に子会社化する方式と並行して、一部の路線(営業所)において経営の主体(車両や路線の所有権)を西鉄本社に残しながら実際の運行に関わる部分(運転士の所属など)を子会社に委託する「管理委託制度」を実施している。これらの路線については西鉄本社が車両を保有し子会社にリースするという形を取るため、車両の塗装は細部も含めて西鉄仕様であり、運転士の名札が違うほかは外観上において西鉄本社の路線との区別は全くつかない。最近[いつ?]ではバスブランドのイメージ統一を図る観点及び地域密着の方針から、本社保有の車両は各路線の輸送実績や車両の使用年数などを見ながらグループ全体で融通する方法に変わりつつある。なお、西鉄創立の経緯、輸送人員、運行規模の大きさから本体並みの体制となっている西鉄バス北九州では、自社保有の新車が毎年投入されている。 いわゆる「西鉄バス」以外の会社では、日田バスでは「ひた号」を担当する「日田第二自動車営業所」、一般路線である甘木幹線を担当する「杷木第二自動車営業所」の管理委託を受けている。亀の井バスでは「とよのくに号」を担当する「別府第二自動車営業所」の管理委託を受けている。また、タクシー会社である北九西鉄タクシーは高速バス、宗像西鉄タクシー、福岡西鉄タクシー、久留米西鉄タクシーもコミュニティバスなどの一部路線を担当している。 なお、地域子会社の設立と高速バス・貸切バスの専業子会社を設立した一方で、福岡市および近郊での路線は西日本鉄道本体の直接運営で維持されている。大手私鉄に属する鉄道事業者本体でのバス事業の直営が残っているのは2009年4月1日以降、大手私鉄全社で唯一[注釈 1]となっている。 運営会社主な運行路線については各社の記事を参照のこと。 以下は現存しない子会社。
分離・再編の歴史
これにより、福岡市近郊以外の路線バスや営業所が直営化されるのは初めてである。 営業区域西鉄グループ全体で、福岡県60市町村中49市町村と佐賀県東部に一般路線を有し、熊本県・大分県の一部市町にも一般路線を有する。かつては福岡県豊築地域や熊本県山鹿市、山口県下関市などにも一般路線があったが、路線縮小が進んだことで撤退している。 下記は上記西鉄グループの一般路線が通っている市町村の一覧。高速バスのみ運行している市町村は含まない。
ここに挙げていない地域でも、他の事業者やコミュニティバスによる運行が主体で、西鉄バスによる一般路線の運行が少ない地域もある。例えば、八女市で運行されている西鉄バスは久留米市〜八女市を結ぶもののみで、市内の各地域を結ぶ路線は堀川バスにより運行されている。また、小郡市でも小郡市〜鳥栖市を結ぶ路線が運行されているが、他の路線バスは全て西鉄が受託している小郡市コミュニティバスである。
旧来より鳥栖、神埼、三養基地域では佐賀県内を主体とする事業者による運行が少なく、現在でも西鉄による運行が中心となっている。
旧前津江村地域の3停留所のみ。かつては日田市街や中津市にも路線があったが撤退。 主なバスターミナル主なもののみを掲載する。ただし、西鉄が管理運営していない施設を含む。小規模なバスターミナルについては各社の記事を参照のこと。
営業所西鉄本社(自動車事業本部)および西鉄バス北九州では、バス営業所を「○○自動車営業所」と呼称する(東京都交通局などと同様の呼称で、両社局ともに存在する「○○電車営業所」と区別している)。かつては自動車営業所の下部に「○○営業区」「○○車庫」という組織も存在したが、現在では原則として「自動車営業所」に統一されている。完全に分社化された子会社の営業所については「○○本社」「○○支社」となり西鉄本社の手を離れているが、管理委託された路線と車両を受け持っている営業所については名目上、西鉄本社側も「○○第二自動車営業所」の名称で営業所組織を残している。なお、西鉄バス北九州の営業所が西鉄本社同様「自動車営業所」を名乗るのは、西鉄バス北九州がかつて西鉄の母体となった「九州電気軌道」の流れを汲んだ「西鉄北九州営業局」の分離による設立されたという経緯によるものである。 西鉄本体の福岡高速自動車営業所、西鉄バス北九州の北九州高速自動車営業所は、2019年4月に西鉄高速バスの会社解散・吸収分割により、それまで同社が運行していた路線を継承する形でそれぞれ新設されたものである。なお、福岡高速自動車営業所という名称の営業所は、1990年代にも福岡市中央区那の津に存在し、福岡発着の夜行高速バスなどが所属していた。また、北九州高速自動車営業所もかつて西鉄本体の営業所として存在した。両営業所とも西鉄本体の営業所が西鉄高速バスへの分社に伴い廃止され、後年の同社解散に伴い再開設された形となる。ただし、西鉄本体から西鉄高速バスへ管理委託されていた路線に関しては、路線運営と車両の所属先はあくまで西鉄本体であるため、名義上は「福岡高速自動車営業所」「北九州高速自動車営業所」という名称を使用していた。 以下の表に記載する営業所略号は、その漢字[注釈 2]1文字または2文字[注釈 3]を○の中に記入して車体に表示する(大阪シティバスと同様の方法)。他社への管理委託の営業所は省略する。 現営業所の表記は、公式サイト「会社概要」の記述に基づく(宇美自動車営業所桜丘車庫、アイランドシティ自動車営業所舞の里車庫、アイランドシティ自動車営業所香椎浜車庫、竹下自動車営業所雑餉隈車庫、土井自動車営業所篠栗車庫は除く)。 自動車事業本部
西鉄バス北九州2008年に有人事業所の名称を再び「自動車営業所」に統一。
西鉄バス筑豊筑豊全域と近接地域を担当。
西鉄バス宗像
西鉄バス二日市
西鉄バス久留米
西鉄バス大牟田
西鉄バス佐賀
西鉄観光バス西鉄観光バスでは営業所表記を車両に記入していない。
日田バス日田バスは分離子会社ではなく、本項の対象外であるが、2016年11月1日より一般路線の管理受託運行を開始したため、ここに記載する。
廃止された営業所
営業所表示ステッカー
1980年代半ばから1990年代までは、車両の前面や側面に所属営業所を示すイラスト入りのステッカーを貼っていたことがある。ステッカーは営業所の担当路線沿線の名物が主に描かれ、その中身は自然の風景や動植物イラストなど、多岐にわたっていた。その後、バスカードが利用できることを示すステッカーが貼られ、入れ替わりに営業所表示ステッカーは削除された。 なお、比較的近年に開設された百道浜自動車営業所などにはステッカーそのものが存在しない。
(営業所名は当時)
運賃・乗車券類乗継割引制度ICカードnimocaで運賃を支払い、同一バス停において60分以内にバスを乗り継ぐ場合に、運賃の割引が行われる。 2000年8月1日にバスカード・よかネットカードを対象として導入されたが、nimoca導入に伴い、導入完了営業所からnimocaも順次対象となった。2010年3月31日をもってバスカード・よかネットカードの利用が終了したことから、現在はnimocaのみが対象である。 なお、乗り継ぎ割引制度導入と前後して、多くの長距離路線で系統分割が実施された。
福祉割引制度
企画乗車券一日乗車券下記は一日乗車券(指定日当日、もしくは連続した複数の数日間の日数に限り西鉄バスの指定区間が自由に乗降可)
下記は発売終了
乗り放題定期券下記は乗り放題定期券(指定された期間に限り西鉄バスの指定区間が自由に乗降可)
下記は発売終了
サービス「にしてつ時刻表」(PC版・携帯版)では、バス接近案内サービス「にしてつバスナビ」を行っている。天神郵便局前・蔵本・薬院駅・香椎参道・みどりが丘団地入口・六本松など一部のバス停には、にしてつバスナビの状況を表示するモニターが設置されている。またこれとは別に、テレビ西日本が西鉄からの情報提供を受け、地上デジタル放送でブロードバンドサービス「バスナビTV」を放映している。 経営合理化策1988年以降、西鉄のバス事業は赤字基調で推移しており、鉄道事業の営業利益で穴埋めすることで運輸部門全体として黒字を確保してきた[9]。しかしその後、モータリゼーションのさらなる進行、原油価格の高騰、リーマン・ショックによる世界不況の影響などで赤字路線バスの維持が困難となった。 また、2009年に行われた高速道路のETC割引制度によってバス事業の中で堅調な収益を確保してきた高速バスの業績が著しく低下した。そのため、2009年9月28日のダイヤ改正を皮切りに、順次、減便・路線廃止が相次いでいる。さらに2010年度には、バス事業の大幅縮小、一般路線の廃止・減便の実施、運転士の採用停止、バス車両の譲渡・廃車、営業所の削減を行うとしている。この現象は、当初は福岡都心部を管轄する西鉄本体で顕著であったが、2010年度からはグループ会社でも合理化に踏み切ることとなる。 2010年1月19日のプレス発表[10]によると、2010年3月1日に高速3路線の廃止と9路線の減便、3月27日に一般48路線の減便、4月1日には2008年度中に自治体に申し入れた一般3路線の廃止と12路線の一部廃止を実施し、秋以降他の39路線についても、自治体の同意を得た上で廃止するとしている。更には、これまで実施してきた「駅から・駅まで100円バス」のうち井尻駅・西鉄二日市駅・西鉄久留米駅・姪浜駅分を2010年3月27日で終了した。報道記者への会見で西鉄幹部は、一連の合理化によって鉄道部門などの黒字に頼る体質を改め[11]、3年後にはバス部門の単独黒字化を目指す[12]とした。 また2009年秋から、不要になった方向幕や旧社章などのバス車両部品をバスファン向けに販売するイベントを自動車営業所などで実施し、わずかながらも収益を得るようにしている。 しかしながら、2019年末から流行している新型コロナウイルス感染症の影響でバス事業の利用は大幅に減少しており、西鉄は収支改善策の一つとして、2021年7月1日に商品・サービスの改廃を実施した[13]。100円運賃サービスや1日フリー乗車券、ひるパスなどが対象。「福岡都心100円エリア」及び「駅から・駅まで100円バス」は150円に値上げし、名称も「福岡都心150円均一運賃エリア」「駅から・駅まで150円均一運賃エリア」へと改称した。また、1日フリー乗車券などの価格改定、ひるパスの販売終了なども行われた。 同時に新サービスとして、グランドパス65の昼間時間帯の割引率を高めた「おひるのグランドパス65」を発売[14][15]した(2021年6月1日販売開始、7月1日利用開始)。また、2021年7月1日から2022年3月31日まで試行期間として「おとなりポイント」を開始した[16]。「おとなりポイント」は、福岡都心フリーエリア内で1バス停間のバス利用に対してnimocaポイント50ポイントを後日付与するサービス。2バス停間以上の利用・降車できない区間があり普通系統以外の場合、1バス停間利用でも都市高速を経由する場合などはポイントは付与されない。 事故多発問題2001年には西鉄バスによる事故が多発し、バス側に責任がある事故は同年1月から7月まで80件弱、重大事故も7月12日の時点で12件に達した。このため同年7月13日には九州運輸局から指導を受けた。後の調査により事故多発の背景には、合理化による若手へのシフトや運転士の過労があることが判明した。こうした状況を受け、西鉄バスはOB運転士の採用や、深夜・早朝・臨時便を中心とした本数削減を実施した[17][18]。 主な路線詳細は各営業所記事(各リンク先)を参照。 高速バス路線以下は現行路線。
夜行
昼行
福岡県内路線
その他路線バス現行路線
過去の路線
コミュニティバス以下のコミュニティバスを受託運行している。
路線バスの都市高速路線福岡地区では、都市高速道路である福岡高速道路を経由する一般路線バスを多数運行している。初めて都市高速経由を採用したのは1980年代で、福岡市東区から都市高速道路が開通したのを機に、赤間営業所の路線である赤間急行を皮切りに、和白営業所(現・アイランドシティ営業所)[注釈 9]、香椎浜営業所[注釈 10]、土井営業所[注釈 11]と、東区や宗像市に所在する営業所の一般路線に都市高速経由を運行したのが始まりである。都市高速経由向けに新設された路線以外では[注釈 12]、既存の一般道経由の路線に都市高速経由を加え、一般道経由と区別するために都市高速経由は行先番号の後ろにアルファベット表記を採用していた[注釈 13]。 福岡市内と市内近郊まで都市高速が開通している現在では、西日本鉄道直営のうち片江営業所[注釈 14]を除く全営業所と、西鉄バス宗像、西鉄バス二日市甘木支社が都市高速経由の一般路線を受け持つ。アルファベット表記から3桁の行先番号で都市高速経由を示す路線が増えたが、必ずしもアルファベット表記や3桁の行先番号が全て都市高速経由とは限らない。LED方向表示になってからは行先番号や文字(急行、臨時など)の上・横に「都市高」と表示される。ただし、種別(快速、急行、特快など)がある場合は、種別が優先される。 北九州地区でも北九州高速道路を経由する一般路線バスがある。また、九州大学伊都キャンパス発着のエコルライナー系統は西九州自動車道・福岡前原有料道路を経由する。 車両はETCを装備していること以外では通常の路線バスと変わりはなく、シートベルトも取り付けられていないほか、立席での乗車も可能である。運行速度は車両の仕様上、最高60 km/hとなっている。そのため福岡高速道路2号線・4号線・5号線や福岡前原有料道路今宿IC以東などの最高速度が80 km/hの区間でも60 km/hで運行する。都市高速対応車両には「運行速度60 km/h以下」との丸いステッカーが正面・背面に貼り付けられている。これは、太宰府ライナー「旅人」で使用されている高速車両でも適用されており、一般の高速車両が80 km/hで走行できる区間であっても「旅人」専用車は最高速度60 km/hまでしか走行できない。また、「旅人」で使われている高速用車両には車両の性質上シートベルトが標準装備され着席の場合は着用しなければならないが、満席対応のための補助席が用意されていない代わりに吊り革・手すりが取り付けられており、一般路線車両と同様に立席での乗車も認められている。なお2012年度以降はABSが備え付けられていない車両が都市高速を走ることはなくなった。またETCがなかった時代は回数券を使用していた[注釈 15]。 同じ区間を運行する路線でも、経由地によって運賃が異なる場合もある。たとえば、野方 - 天神は橋本を経由する2(2-3)・203・204・208・503・504と拾六町団地を経由する205・505・525番は共に500円だが、宮の前団地を経由する206番・526番は560円となる。
車両メーカー→「西日本車体工業」も参照
傘下に西日本車体工業(西工)を有していたことから、ほぼすべての車体が同社で設計および製造されてきた。西工で生産できない形態の車両については西工以外の車体の車両も導入されることがあったが、その数はごく少数に留まっていた。シャーシ(エンジン・車軸などの部品)はかつては大型4メーカーのシャーシが満遍なく導入されていた。このため車体の外観からはエンジンおよびシャシーメーカーは判別できないため、後述されるように車両番号(社番)の最上桁がエンジンおよびシャーシメーカーを示す伝統が現在も続いている。 ただし、マイクロバスについては、1966年以降は西工が製作した車体が登場しており、その間に導入した車両は全て西工が製作していたが、一足早く2001年をもって西工がマイクロバスの製造から撤退したため、それ以降から純正車体のマイクロバスを導入するようになっている。 2003年4月以降は、日産ディーゼル工業(現:UDトラックス)が西工に車体を統一したため、それ以降は日産ディーゼル車の導入比率が高くなり、それ以外の3メーカーの導入は少なくなった。その結果、現在では分離子会社を含む保有車両数の約2,800台のうち半数以上がUD車となっている。高速車については2005年まで三菱ふそう車が年間10 - 20台程度導入された。中型路線車では2009年まで西工ボディを架装したいすゞ車が導入された。日野車は西工架装を全面的に中止したことにより2004年以降は導入が途絶えていた。 2006年以降、三菱純正車体の夜行高速車を導入開始し、2008年以降は純正ボディの日野車が導入された。その後、2010年に西工が解散し、現在は各メーカーの純正ボディの車両が導入されている。 輸入車は、貸切車として1983年にバンホール・アストロメガとネオプラン・スカイライナー(ダブルデッカー)を各1台、1991年と1993年にメルセデス・ベンツO303(スーパーハイデッカー)を1台ずつ輸入したことがあるが、いずれも現存しない。2011年には高速バス用にヒュンダイ・ユニバースを試験的に導入したものの、その後の導入はない。連節バスでも輸入車を導入している(後述)。 2024年現在では全体的には国産4メーカーが均等に割り当てられているが、高速車の新規導入比率としては、いすゞ車のシェアが最も多くなってきており、次いで三菱車となっている。 車種・仕様大型車・中型車・中型ロング車・小型車・連節バスが導入されている。一部を除き前降り中乗り方式で、中扉は基本的に西工架装車両が4枚折戸、その他は引戸となっている。 1976年からは一般路線バスの冷房化を開始し、1982年には長崎自動車とほぼ同時期に、全国に先駆けて全車冷房化を実施した。一般路線バスの冷房化の開始は同社より数年遅かったものの、冷房車率の100%達成は同社より数日遅れた程度である。
運行システム
車両塗装一般路線車は、1975年以降に採用された旧塗装の車両が多い。やや灰色がかった白色にワインレッド色の帯を巻く(車両によってはラッピングに合わせ、帯色を異なる色にしている)。1997年に動輪形の社紋から「Nishitetsu」ロゴに変更したことでデザインが若干変更されている。 西鉄創業100周年記念事業の一環として、2008年6月以降の一般路線バスの新車は「スマートループ(SMART LOOP)」と呼ばれる新塗装への変更を進めている。側面塗装は白地に前方から「環境性」(Terra-consious)を表す緑色、「安全性」(Safety)を表す青色、「快適性」(Amenity)を表すベージュ色、「対話性」(Relationship)を表すピンク色、「機動性」(Mobility)を表すオレンジ色の5色の縦縞模様で、前方の帯ほど太くなっている。前面・後部は白地に緑色・青色・ベージュ色の縦縞である。それ以前の導入車両にも塗り替えられたものがある。 新塗装車は、車体後方の乗車口および前方の降車口に漢字・英語・ハングルで「入口」「出口」の多言語表記がされている。旧塗装車の一部にもこのような表記のステッカーが貼られているが、早良営業所所属の試験塗装車[注釈 20]は日本語表記のみである。また新塗装で製造された日産ディーゼル製の車両は、後部にハイマウントストップランプを設置しているほか、車内についても「動くリビングルーム」をコンセプトに座席の色や形状の改良、照明の配置変更がされている。これらリニューアル事業における内外装のデザインは、福岡市のデザイナー集団「ダーウィンLLP」の松岡恭子らがプロジェクトメンバーとして関わっている。 新塗装の新車は2008年6月9日から営業運行を開始した。今後10年をかけて、グループ内に在籍する在来塗装の一般路線車を、新塗装の車両に順次置き換える予定としている[20]。 2013年に運行開始した「渡辺通幹線バス」には「スマートループ」の5色の縦縞模様をすべてピンクにした専用車両が投入された[21]。 北九州市内の電車代替路線([1]系統:砂津 - 小倉駅前 - 大蔵 - 黒崎バスセンター - 折尾駅間)では白地に明るい青緑色の塗装(電車代替色)の専用車両が使用され、スマートループ色導入後は専用色での導入は見られなくなっているが、現在でも専用色のバスが多数運行されている。ただし電車代替色の車両でも、運用の都合などにより他路線[注釈 21]で運行されることもある。またかつては、市内急行用や空港連絡・高速バスでも路線ごとに専用塗装を採用していることが多かった。現在は昼行高速バスでは創立110周年を機に2018年12月より「HARMONY(ハーモニー)」と呼ばれる新塗装が導入され、夜行高速バスでは当初「どんたく号」および「はかた号」に導入された岡本太郎デザインの「白夜行」と呼ばれる塗装に統一されている。 側面や後方の社名表記は本社直轄は「にしてつ(VI導入前は斜字ではない「NNR にしてつ」表記)」、子会社はそれに加え側面後部に黒文字(北九州のみ青文字または青紫文字)で「西鉄バス○○」の表記がある。2世代前の塗色および分社化前の貸切バスには英文社名と当時の西鉄の表記「Nishi Nippon RR CO 西テツ(末期は西鉄表記)」が記載されていた。主要なバス営業所やバスターミナルの表記は「西鉄バス」「西テツバス」と分かれていた。 子会社の車両は、当初は各社が独自の塗装を行ってきたが、現在ではバス車両後部に書かれている社名表記が各社の社名になっている点と、コーポレートアイデンティティ(CI)ロゴが西鉄本社とわずかに違う点でしか見分けがつかないようになった[注釈 22]。また、子会社が受託するコミュニティバスの独自塗装も存在する。 かつて急行・快速便車両には専用塗装が施されていた。一般路線車をベースにしたタイプと写真のようなトップドア車がそれぞれ存在した。一般路線車ベースの車両でもフロントバンパーの違いや着席定員を増やした座席配置、ハイバックシートを搭載するなど、車内設備にも相違が見られた。一般路線色とは異なり、アイボリーに赤と濃い青のラインが入ったもので1990年代前半まで導入されていた。1990年代以降は塗装変更で一般路線塗装になったものもあった。この塗装は赤間急行福岡線用の車両で2012年まで見られた。
車両番号車両には4桁の社内番号が付与されている。これは西鉄の営業区域が複数の運輸支局管轄区域に跨っており、ナンバープレートで管理した場合には転属時の車両管理に不都合をきたすためである。 番号は1xxxと2xxxはいすゞ、3xxxと4xxxは三菱ふそう、5xxxと6xxxと9xxxは日産ディーゼル・UDトラックス、7xxxと8xxxは日野の車両に割り当てられている。ナンバープレートと同様、末尾42 は「死に」、末尾49は「死苦」「轢く」に通じる(忌み番)として使用されない。 近年は[いつ?]グループ子会社でも、番号が付与されていなかった車両には順次番号付与が行われ一括管理されている模様で、この際には該当する年式の番号に組み入れるため、末尾42・49が使用されることもある。車体前後(大半の路線車は両側面の後端部にも)にマーキングされているが、バスジャック事件以降は車体天井にも上空から認識できるようにマーキングされている。 なお、9xxxはかつては小型車用の番号であったが、2003年末からは日産ディーゼル車に対して割り振られるようになった。同社が2001年以降日産ディーゼルを中心に導入するようになったが、車両の使用期間が延びたことで日産ディーゼル車に対して番号の重複が多数発生するため、9xxxを割り振るようになった。他メーカーの車両でも番号の重複が発生したが、これに対しては現役車両の番号を一部飛ばすことで対処している。 2011年に導入されたヒュンダイ車は、日産ディーゼル車に割り当てられていた6xxxを使用する(6501・6502)。 0xxxは現在、一部の小型車、「はかた号」専用車、「FUKUOKA OPEN TOP BUS」専用車に割り振られている。連節バスもシャーシメーカーにかかわらず0xxxが割り振られている。過去には先述の輸入貸切車や、小型のマツダ・パークウェイなどに割り振られることがあった。 行先表示1984年に福岡地区において行き先方面別に色が違うカラー方向幕を採用し、続いて北九州・久留米・大牟田地区にも導入した。 LED行先表示器の採用は、2003年12月より桧原営業所の15台で試験運行を開始し、2004年12月より大型車への本格採用が決定した。方向幕では行き先方面別に色が違うカラー幕を使用していたが、LEDでカラー表示をすると色によっては前照灯や尾灯、方向指示器などと紛らわしいとして、道路運送車両法第3章および道路運送車両の保安基準(昭和26年7月28日運輸省令第67号)第42条に抵触する可能性があるため、前面のLEDを運転席側にオフセット設置し、空いたスペースに色だけの幕を表示するようにした。中型車については別に前面窓上部に色だけの幕を設置している(日産ディーゼルの旧スペースランナーは大型と同様)。2005年以降の新車はすべてLED表示で、福岡地区も既存車への装着改造が定期運用離脱車などを除き完了した。西鉄バス北九州では全営業所でLED表示に変更が完了した。その後2008年頃から、西鉄バス久留米・西鉄バス二日市を皮切りに、地方子会社へ福岡からの転属車がLED改造を受けたまま移動し、現在は一般路線をもつ全ての子会社に最低1台以上はLED車が所属している。その他の子会社でも徐々に自社改造が行われている。 LED表示車の色幕は、郊外方面行は従来のカラー方向幕と同色の幕、都心方面行は黒幕で運行している。都心まで出ず、郊外の拠点駅などが終点の場合は白幕を掲示するが、久留米地区では両方向ともにカラー方向幕の表示を行っている。なお、「回送」「貸切」「臨時」などを表示する際、北九州地区は白幕、その他の地区は黒幕を掲示している。 2005年8月には、福岡・北九州地区で使用する全車両へのLED行先表示器装着を2006年度末までに行うことが発表されたが、2008年初頭になってから西鉄本体が保有する一般路線車両については終了した。ただし子会社の車両(本体からの管理委託車両も含む)には方向幕のままの車両が残る。西鉄バス久留米でも2012年半ばに本体からの管理委託車両のLED化が完了し、自社保有車両でもLED化が進んでいる。
行先番号行先番号は基本的に3番・11番・113番など3桁までの数字で構成されるが、6-1番・54-1番のように枝番が付いたり、21A・23B・29Nのようにアルファベットが付く場合(この場合「番」を付けずに案内されることが多い)、区1番(「くのいちばん」)・区2番、外環1番(「そとかんいちばん」)のようにその他の文字が付く場合などがあるが、路線の改廃などで欠番が生じていることが多い。この行先番号の法則は地域ごとに違っているため、鳥栖市内線には行先番号0番が存在したことがあったり、行先番号を持たない系統(一部の急行系統や能古島内線など)や、行先番号が路線開設後になくなった系統(杷木支線、浮羽支線)も存在する。 福岡市内と久留米市内、大牟田市内では、市街地の特定の方面・経路を走るバスについて、始発地に関係なく途中で行先番号を統一している。この場合は運行中に行先番号を変更することになるため、変更停留所到着前に車内放送でも案内される。これは同じ経路を通るのにもかかわらず始発地の違いによってバラバラになっていた行先番号を、市街地の特定区間だけ統一することによって利便性を高めることを目的としたものである。 これにより、例えば、大牟田駅前→文化会館前→大牟田営業所と運転するバスの行先番号の統一を行うことで、その経路を通るバスが1,2,4,7,10,18,25,55,57番から、1番のみとなった。この例の場合、バスは大牟田駅前に到着する前に行先番号を変更している。個々のバスについて見た場合、例えば桜並木駅発百道ランプ経由福岡タワー行きは、桜並木駅→博多駅前到着前は44番、博多駅前→渡辺通一丁目到着前は307番、さらに渡辺通一丁目→福岡タワー間ではW2番として運行している。 廃車車両の譲渡分離子会社以外の西鉄グループバス事業者である日田バスや亀の井バスに譲渡された車両もある。西鉄グループ以外では、大分バス(西鉄出資以前)に路線車が譲渡された例があるほか、同社の分離子会社である大野竹田バスに路線車が譲渡された。また、西肥自動車・昭和自動車・壱岐交通・熊本電気鉄道などへの譲渡例もある。 また一部の分離子会社では、グループ外の他社からの移籍車両を少数保有している。移籍車両は大半が貸切車である。 脚注注釈
出典
関連項目
外部リンク
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