熊本桜町バスターミナル
熊本桜町バスターミナル(くまもとさくらまちバスターミナル)は、熊本県熊本市中央区桜町にある、日本最大級のバスターミナル。九州産業交通ホールディングス傘下の九州産交ランドマークが運営する。 1969年3月5日に熊本交通センター(くまもとこうつうセンター、都市計画法に基づく都市施設名称は『熊本都市計画自動車ターミナル熊本交通センターバスターミナル』[注 1])として開業し、熊本市の桜町一帯の再開発事業に伴い2015年9月30日を以って一旦閉鎖、2019年9月11日に「熊本桜町バスターミナル」として再開業した[1]。また、同年9月14日に当バスターミナルを中核とした複合商業施設「SAKURA MACHI Kumamoto(サクラマチ クマモト) 」が誕生した。 本項目では旧・熊本交通センター時代、並びに2015年から2019年の間に近傍に設置されていた仮バスターミナルを含めた状況についても記す。 概要熊本市中央区にあるバスターミナルで、熊本県内の路線バス、県外を結ぶ高速バスの拠点となっている。路線バスを含めると、バース数、路線数、乗降客数はいずれも日本最大である(高速バス単体の場合はバスタ新宿、西鉄天神高速バスターミナルに次ぐ第3位)[2]。九州産交バスとその子会社である産交バスをはじめ、熊本電鉄バス(熊本電気鉄道)、熊本バス、熊本都市バスの路線バスが発着し、熊本都市圏のバス路線網はこのバスターミナルを中心として放射状に広がっている。他県と熊本市を結ぶ高速バスも乗り入れている。 JR熊本駅が中心市街地より西側に位置していることもあり、熊本市はバスの交通結節点と鉄道の交通結節点が異なった場所にある。熊本駅とは熊本市電やバスなどで相互間の移動が可能である。当バスターミナルを発着する一部の高速バスは熊本駅も経由する。熊本駅と異なり、市内中心部に立地しているため下通や上通といった繁華街や熊本城から近い場所にある。熊本市電の最寄り電停は辛島町電停または西辛島町電停および花畑町電停である。 施設構造敷地全体が商業施設、ホール、ホテル、分譲マンション、バンケット、シネマコンプレックスなどの複合施設「SAKURA MACHI Kumamoto」(商業棟は地上5階/地下1階建、住宅・ホテル棟は地上15階建)となっており、その1階部分(一部機能は2階)の中央約3分の1のエリアがバスターミナルとなる[3]。 バスターミナルの構造としては、ターミナルエリア全体のバス通行帯を囲むように島式ホームを含む3面29バースのプラットホームが設けられており、バスは熊本城側(県北東部・熊本市役所方面)と辛島公園側(県南西部・熊本駅方面)の2方向から出入りする。規模は旧・熊本交通センター時代に比べ若干縮小された。旧・熊本交通センター時代と同様、運行事業者にかかわらず同一方面の系統は同一ホームから出発する方式となっているが、案内上の系統の仕分けは旧・熊本交通センター時代から変更されている。のりばは自動ドアによるホームドアで仕切られており、待合時の安全確保と排気ガスから守る環境保全に一役買っている。バス通路に平面横断エリアはなく、全面横断禁止となっているため、島式ホームである青ホームに行くにはエスカレーター、エレベーターまたは階段を利用してSAKURA MACHI Kumamotoの2階コンコースまたは地下1階連絡通路を経由する必要がある(中央エレベーターのみ対応しており、それ以外のエレベーターで1階におりても青ホームには着かない)[4]。青ホームの上層部に当たる2階サクラマチスクエア内には、定期券・各種乗車券発券窓口をはじめ、発着案内・小荷物受付などの窓口を備えた産交バスサービスセンター・高速バス予約センターなどが入る総合案内所が設けられている。 のりば2019年10月現在。のりばは1階、案内所は2階に設けられている。ホームは方面別に赤・青・緑の3面に分けられており、各種標識や点字ブロックなどはホームの色に揃えられている[5]。また、各バースには接近情報モニターが設置されている。
なお、9-13番、22-23番、27-29番は降車専用ホームとなっている。 一般路線バスののりば運行会社の表記は下記の通り。
都市間(高速)バスののりば「ひのくに号(スーパーノンストップ便以外の系統)」「きりしま号(鹿児島県側運行事業者便)」「あまくさ号」「大江戸温泉物語・天草ホテル亀屋送迎」は、桜町バスターミナルが始発・終着となる(他は西部車庫または熊本駅前が起終点。なお、「あまくさ号」は熊本駅前経由、大江戸温泉物語・天草ホテル亀屋送迎は熊本駅西口経由)。
周辺施設
歴史1969年(昭和44年)以前1969年の熊本交通センター開設以前は、それぞれのバス会社で発着場所が異なっていた。
熊本交通センター1967年(昭和42年)3月に市内水前寺地区に移転した熊本県庁の跡地を利用して、1969年(昭和44年)3月5日に開業した。当初、九州産業交通が主に出資する「株式会社熊本交通センター」が運営していた。 同センターには上記4社局(九州産業交通(のちの九州産交バス・産交バス)・熊本市営バス・熊本電鉄バス・熊本バス)が一斉に乗り入れを開始。当初、その中で熊本バスは新市街に独自のターミナルを所有していたため、開業当時はごく一部の路線しか乗り入れていなかったが、のちに全路線が同センター始発着として乗り入れるようになる。2009年4月からは、熊本市営バス路線の順次民間移譲を目的に県内事業者3社が共同出資して発足した熊本都市バスが新たに乗り入れるようになった。2015年3月に熊本市営バス路線の熊本都市バスへ全路線移譲完了と共に熊本市交通局はバス事業から撤退した。 1973年(昭和48年)1月20日から同年10月19日まで大幅リニューアル工事が行なわれ、同年10月20日の岩田屋伊勢丹ショッピングセンター(後の県民百貨店)開業とあわせてリニューアルオープンした。またこの時、ホームにカラーペイントが施された(1番乗り場:オレンジ、2番乗り場:ブルー、3番乗り場:ブルー、4番乗り場:イエロー、5番乗り場:グリーン、6番乗り場:グリーン)。かつては、当センター開設当初から各プラットホーム毎には事業者別に分かれており、それぞれの事業者に応じてのりばを設けていたが、1994年に施設大規模改修工事がおこなわれ、これを機に事業者関係なく行き先別にのりばが変更された。これに併せ、過去には事業者毎に独自で設けられていたバスの系統番号も、全社を通して行き先別系統が割り当てられ、全社方向幕が一新された。 2000年(平成12年)3月に九州産交の経営再建のため、熊本交通センター株式のうち熊本市・西日本鉄道(西鉄)などの保有株分を九州産交がすべて買い取り吸収合併した。2006年(平成18年)4月以降は、エイチ・アイ・エス傘下となった九州産業交通ホールディングスの子会社「九州産交ランドマーク」による運営となった。 ターミナルビルターミナルビル正面玄関の県民百貨店側には、高い屋根を備えた「センターコート」と呼ばれるイベントスペースがある。広さ44㎡ で、天候に関係なくさまざまなイベントが行われていた。 ビル1階には、切符売り場、待合室、売店、喫茶店、ファミリーマート、プレイガイドがあった。3階以上は「熊本交通センターホテル」があった。 ターミナルビル及びバスターミナルの地下はバスターミナルのホーム間を移動するための通路を兼ねた「熊本交通センタープラザ」と呼ばれる地下街があった。ターミナルビル内にあるエレベーターは、これらの施設に直結しており、一般客とホテルの宿泊客が共用していた。また地階から2階までを結ぶエスカレーターがターミナルビル内とセンターコート側に設置されていた。 バスターミナル構内4面36バース(乗車28・降車8)のプラットホームを持ち、規模は日本最大、開業当初は「東洋一」だった。1日の発着便数は約5,700便で九州一であった。発着枠はすでに限界に近づきつつあると言われており、特に高速バスなどにおいて、複数のバスがひとつのバースで重なるようにして停車して客待ちする光景が見られた。 利用状況
併設施設
その他1994年に公開された映画『ゴジラvsスペースゴジラ』では、劇中に熊本交通センターが登場し、ゴジラと共に映っているシーンがある。 再開発によるリニューアル2000年代に入ると、熊本交通センターを含む桜町一帯の再開発構想が持ち上がっていたが、紆余曲折を経て、2012年に再開発計画を発表[8][9][10]。伝統と歴史を継承する新たな交流拠点「熊本・新城下まち」をコンセプトに、延べ床面積は13ないし14万平方メートルの規模となること、バスターミナルは従来通り地平部に設置されるが、従来のものよりもコンパクト化され、乗換の際の移動距離を短くし、バリアフリーにも対応した設備となることが明らかにされた。 再開発に向け、県民百貨店は2015年2月末に、交通センタープラザ・センターボウルは同年3月末に、交通センターホテル・センター駐車場は同年6月末にといった併設の店舗は順次営業を終了し、同年9月末日を以って当センター(バスターミナル・旅行センター)は閉鎖された。その後、順次解体工事に取り掛かり、解体工事終了後新施設の建設が始まった。 なお、バスターミナルに関しては既存のバスターミナル閉鎖から新施設完成までの間、東側の市道(通称:シンボルプロムナード NHK熊本放送局~花畑広場)230メートルの地点に23箇所の乗降場所を設けた仮バスターミナルが設置された(詳細後述[11][12])。 2016年4月の熊本地震で耐震性を中心に設計の見直しが行われて完成予定が遅れ、さらに完成間近の2019年6月26日[13][14]と7月8日[15]に2度の火災が発生し、工事を一旦中断した時期もあったが、その後は安全性が確認され、開業には支障がないと判断されたため、これらの復旧を含めた工事は再開し[16]、同年9月10日には無事竣工を迎えた。 新施設完成後はバスターミナルの名称が「熊本桜町バスターミナル」に改められた[17][18]。理由として、熊本県民からは長らく「(熊本)交通センター」は熊本県内最大のバスターミナルとして親しまれている一方で、県外や外国人旅行客などからはバスターミナルであるという認識が低く、その煩わしさを解消するため、地区名である「桜町」と「バスターミナル」を組み合わせる事でより分かりやすくするためとしている[19]。これによって、約半世紀以上にわたって使われ続けた「熊本交通センター」の名称は新バスターミナル供用開始と共に姿を消した。また、商業施設の名称は「SAKURA MACHI Kumamoto(サクラマチ クマモト)」[20]に決まった[21]。 2019年9月11日にバスターミナルを先行開業し「熊本桜町バスターミナル」として運用開始。同年9月14日午前10時より「SAKURA MACHI Kumamoto」としてセレモニーと共に全面開業した[22][23]した。なお、SAKURA MACHI Kumamotoのオープンに併せ、この日は熊本県内のバス・電車が全路線終日無料(空港リムジン・県外向け都市間バスならびにJRや一部運行事業者の路線は対象外)で運行された[24][25][26]。当日は当バスターミナル利用者を含め、目標15万人を大幅に超える25万人がSAKURA MACHI Kumamotoを訪れ、多くの来館者で賑わった。一方で、「バス無料の日」の影響による大幅な渋滞等はなかったものの、普段バスを利用しない乗客などでどのバスにも満員状態となり乗降に普段以上の時間を費やしたため一般路線バスでは遅延が多く発生したほか、快速「あまくさ号」や快速「たかもり号」も無料の対象路線だったため、当バスターミナルでは事前に整理券を配布したり、続行便を多数出したり等の対応をおこなったにもかかわらず、始発便から最終便まで全て満席状態となり、希望する便に乗車できないなど一部の乗客に影響が出るほどの大盛況ぶりであった[27]。 仮バスターミナル前述の桜町一帯再開発事業に伴い従前のバスターミナル閉鎖に併せ、2015年10月1日よりこれまで市道として使われていた市民会館シアーズホーム夢ホール前交差点から辛島公園前交差点までの約220メートルの区間(県外高速・特急バスや空港リムジンバスは電車通り沿い)に仮バスターミナルが設置されていた[28][29]。このため市道としては2015年9月6日に廃止され、一般車の通行が出来なくなった。 各乗降場には簡易屋根を設け、(仮称)花畑広場(旧産文会館跡地)の一角に定期券・各乗車券等の発券窓口・産交バスサービスセンターを含む総合案内所を備えた待合施設が、NTT西日本熊本支店前には待合スペースがそれぞれ設けられていた。再開発事業主体である九州産交グループが熊本市から一帯の敷地を有償で借り受けて整備されていたもので、新施設が完成する前日の2019年9月10日まで約4年間運用され、「熊本桜町バスターミナル」として新施設に移転後、バスターミナルとしての役割を終えた。その後、仮バスターミナルとして使用されていた旧市道の区間は隣接の花畑広場と共に「桜町・花畑地区オープンスペース整備事業」に向けた整備のための工事が進められ、旧市道部分はシンボルプロムナードとして遊歩道化され、2021年11月初旬に全ての整備が完了し、同月13日から供用が開始され[30][31]、供用後初のイベントとして翌2022年3月19日から同年5月22日までの期間において「第38回全国都市緑化くまもとフェア くまもと花と緑の博覧会」の会場の1つ(街なかエリア)として活用された[32]。なお、かつての降車スペース・転回場として使用されていた箇所(花畑公園横 元は熊本石油本社があった位置)はコインパーキング(有料駐車場)となっている。 熊本桜町バスターミナル開業に伴う案内番号変更熊本桜町バスターミナルの開業に合わせ、熊本都市圏を走る全路線バスの「バス案内番号」(系統番号)が変更された[33]。 再開業前の2019年9月10日まで使用されていた案内番号は「漢字1文字+数字」によるもので、1996年4月1日に導入されたものである。これは、熊本交通センターを基準とした方角(「東」「西」など)または地名の頭文字となる漢字(「駅」「県」「子」など)に数字を組み合わせたものとしていた。 しかし、この案内番号は観光客には複雑で分かり難いものとなっていた。例として、同じ路線でも往路と復路で案内番号が全く異なっていたり、東系統には東が付く停留所を通らない路線があったり、駅系統は熊本駅前由来であるが上熊本駅前も南熊本駅前も通るなど、法則性が見えない例も見られた[34]。 2019年7月26日、熊本県バス協会は同年9月11日の始発便より「新バス案内番号」の運用を開始すると発表した。新案内番号は、ラグビーワールドカップなどの国際スポーツ大会の開催を控え、来熊する観光客にも分かりやすい案内番号を採用すること目的とすると同時に、地元住民にもより分かりやすく覚えやすい数字の付与ルールを採用し、途中の経由地やルートの識別性を向上させた[35]。 新案内番号は「アルファベット1文字+数字2文字」による。アルファベット部分は以下の法則に基づいて制定されている[36]。
数字部分は、1桁目で主要経由地を、2桁目で行先や主要経由地以降に通過する分岐を示す。 脚注注釈出典
関連項目外部リンク
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