国道3号
国道3号(こくどう3ごう)は、福岡県北九州市門司区から福岡市を経て、福岡県南部・熊本県西部を縦貫し、熊本市を経て九州西岸部を南下し、鹿児島県鹿児島市に至る一般国道である。 概要九州を南北に縦貫する幹線道路の一つで、政令指定都市である北九州市・門司を起点に、九州山地を西まわりで迂回して有明海と八代海沿岸に沿って南下し、福岡・熊本・鹿児島の各県の県庁所在地である福岡市・熊本市・鹿児島市とを結ぶ、延長約519 キロメートル (km) の一般国道の路線である。主な通過地は、福岡県宗像市、福津市、古賀市、福岡市、春日市、大野城市、太宰府市、筑紫野市、佐賀県鳥栖市、福岡県久留米市、八女市、熊本県山鹿市、熊本市、宇土市、宇城市、八代市、水俣市、鹿児島県出水市、阿久根市、薩摩川内市、いちき串木野市、日置市、鹿児島市である。 国道3号の路線の一部を構成する高規格幹線道路は、熊本県八代市から鹿児島県鹿児島市までの区間を結ぶ予定の南九州西回り自動車道が自動車専用道路のバイパスとして建設中である。2019年現在、八代市から水俣市まで、出水市から阿久根市までおよび、薩摩川内市から鹿児島市までの区間が開通している。事業区間としては八代日奈久道路、日奈久芦北道路、芦北出水道路、出水阿久根道路、阿久根川内道路、川内隈之城道路、川内道路、鹿児島道路がある。 また地域高規格道路は、福岡県北九州市の黒崎バイパス、熊本県熊本市および合志市を通る熊本環状道路熊本北バイパス、鹿児島県鹿児島市の鹿児島ICから同市鹿児島港までを結ぶ予定の鹿児島東西幹線道路がある。また、鹿児島東西幹線道路の新武岡トンネルの本線部とランプ部の結合個所の掘削断面積は日本一となっている[1]。 道路管理者は、北九州市内の一部の約11 km区間を除いたほぼ全線が、国土交通省所管の指定区間(直轄国道)である。九州東岸部の大分市・宮崎市を経て北九州市と鹿児島市を結ぶ国道10号と並ぶ九州の大幹線であり、特に福岡県においては、同県南北を結ぶ交通の要衝となっており、県内を走る国道の中では最も交通量が多い。 路線データ一般国道の路線を指定する政令[2][注釈 1] に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
歴史現在の国道3号に相当する道は、長崎街道の一部、唐津街道、薩摩街道である。国道3号と長崎街道が同じルートであるのは小倉八幡間だけで、そこから長崎街道は、遠賀川に沿って進み冷水峠を越えて筑紫野へ、鳥栖から長崎方面へ向かうという、今日の国道200号と国道34号に相当するルートをとっていた。八幡から福岡市へ向かう道が唐津街道である。薩摩街道は鳥栖付近で長崎街道から分岐し、現在の3号と同じルートをとっていた。 年表
バイパスとして建設された現道区間旧道区間が国道3号の指定から外れ、公的にはバイパスではなくなった後も通称としてバイパスの名称が残っていることが多い。 福岡県内
現在、北九州市小倉北区から筑紫野市にかけての区間はほとんどがバイパスによって構成されている。歩行者・自転車の通行が禁止されている区間が多数存在する。 熊本県内
鹿児島県内
かつてのバイパス
路線状況本路線と同じく北九州市と鹿児島市を福岡市・熊本市経由で結ぶJR九州鹿児島本線・肥薩おれんじ鉄道(元鹿児島本線)・九州新幹線とは多くの区間で並行しているが、福岡県久留米市から熊本県熊本市北区植木町までの間では鹿児島本線・九州新幹線に比べ内陸寄りの八女市・山鹿市などを経由しており、同区間では国道209号・国道208号が鹿児島本線と並行する。また鹿児島県出水市では肥薩おれんじ鉄道よりも海側を直線状に通り、鹿児島市内では鹿児島本線よりも北側を通る。 福岡県から熊本県八代市にかけて九州自動車道と並走している。また、八代市 - 鹿児島県にかけて国交大臣指定に基づく高規格幹線道路 (B路線)として南九州西回り自動車道が建設中であり、一部区間は開通済みである。この路線は国道3号のバイパスとして位置づけられる自動車専用道路である。 福岡県・佐賀県北九州市内は市街地を走るため信号機も多く、門司駅前、小倉北区富野口・三萩野・清水(きよみず)交差点、八幡西区陣山・黒崎・陣原・則松周辺などは渋滞も激しい。門司区から小倉北区にかけての区間は並行する国道199号がバイパスの役割を果たしている。また1960年代に開通した戸畑バイパスは丘陵地を迂回するルートのため大きくカーブしており、勾配も急である。さらに黒崎地区における渋滞緩和を図るため自動車専用道路である黒崎バイパスの整備が進められ、2023年(令和5年)3月18日に全線開通、戸畑バイパス終点先(春の町ランプ)および八幡西区樋口町(陣原ランプ)で本道と完全接続となっている。 北九州市を抜けて福岡市北部にかけての区間は、旧規格バイパスとして整備されており、北九州市門司区の起点から佐賀県鳥栖市までは(門司区の一部区間を除き)ほぼ片側2車線あるいは3車線化されている。基山町から鳥栖市にかけて、4車線化が徐々に進められており、国道500号交点である姫方町交差点まではおおむね完了している。以前は国道34号の起点である鳥栖市永吉町Y字路は国道3号としての直進通行帯が上下とも1車線に減少していたが、2020年(令和2年)9月2日に下り線が2車線化し[13]、上り線も2022年(令和4年)3月9日に2車線化した[14]。 一方、佐賀県鳥栖市から福岡県八女市方面にかけては大部分が2車線である上、市街地道路であるため慢性的に渋滞している(特に鳥栖市姫方町・国道500号交点は久留米・熊本方面が車線減少となるので鳥栖市内でも有数の渋滞地点)。久留米市に国道3号のバイパスは無く、市街地を縦断する関係上路線バスの停留所が多く設置されているが、停車帯が未整備の箇所も多い。特に久留米市国分町の苅原交差点は国道210号・国道322号・九州自動車道 久留米IC方面からの市道の交点でもあり、渋滞が多く発生することで知られ、道路情報掲示板に同交差点の渋滞情報がたびたび表示される。迂回路として利用可能な県道や市道も不充分であり、筑紫野市から久留米市にかけては鳥栖筑紫野道路(福岡県道・佐賀県道17号久留米基山筑紫野線)が並走しているが、国道3号と直接接続しているのは筑紫野バイパス終点付近のみであり、短距離の利用には不向きである。久留米市中心部を迂回する環状線として、鳥栖久留米道路および都市計画道路東合川野伏間線(県道および市道)が4車線で計画されている。 八女市立花町から南は山越えのルートになる。八女市立花町から熊本県境(小栗峠)にかけては片側1車線の急カーブ(追越禁止や対向車線はみ出し禁止区間)が連続しているため、長距離大型トレーラー・トラックが(速度超過やブレーキ故障等で)カーブを曲がりきれずに対向車と正面衝突したり、沿道の民家へ突っ込む事故が近年多発しており、そのたびに片側1車線の当該区間は全面通行止になることが多い。 熊本県舞尾(もうの)交差点から東に300 mの地点の交差点は、かつて直角に2本交わり、国道3号を山鹿市方面から通過するには右折しすぐに左折する必要があり、大型トレーラーなどによる事故が頻発していた。現在はバイパスが作られ国道の指定から外されており、交差点の整備も行われ、解消している。四方寄交差点(熊本市北区四方寄町)以北は2車線区間で、熊本市中心部に向かう交通が多く、渋滞が起こりやすい。特に国道208号と接続する、舞尾交差点(熊本市北区植木町)は渋滞が頻発する。渋滞解消に向け、植木バイパス、熊本北バイパスが整備中。 熊本市内では、西日本最大のアーケード街の下通や、中心市街地の通町筋付近を通り、水道町交差点を片側2 - 3車線で南北に貫いているものの、平日の朝夕を中心に交通量が非常に多く、慢性的な渋滞が発生している。 鹿児島県鹿児島県内に入ると、出水市で国道328号と分岐するが、悪天候時を除くとこちらの方が鹿児島市まで早着できる場合がある。ただし紫尾山を越えるため勾配が厳しい。一方、3号を南下していく場合は牛ノ浜駅近辺より上川内駅近辺(高城川まで)までは海岸沿いの2車線対面通行となる。東シナ海の景色が美しい。薩摩川内市内(高城川以南)では、木場茶屋交差点まで4車線に広がる。 薩摩川内市からいちき串木野市、日置市を過ぎて鹿児島市に入り、小山田交差点で国道328号と合流し、肥田橋交差点までは再び単調な2車線対面通行となる。当交差点までは渋滞が激しい。その後、九州自動車道鹿児島北ICをくぐり、終点へ向かう。なお、鹿児島市内における甲突川沿いの区間は増水等に注意が必要である。 バイパス高規格道路八代JCTから鹿児島ICまでを結ぶ国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)として建設される南九州西回り自動車道関連については当該記事を参照。 地域高規格道路については以下の通り。詳細は各記事を参照。 一般のバイパス現道となっている区間については#歴史を参照。
通称重複区間
道路施設橋梁
トンネル
道の駅地理通過する自治体交差する道路E3A 南九州西回り自動車道のインターチェンジについてはこちらを参照。
交差する鉄道
主な峠
ギャラリー脚注注釈
出典
関連項目外部リンク |