国道106号
国道106号(こくどう106ごう)は、岩手県宮古市から盛岡市に至る一般国道である。本道路のバイパスとして順次整備が進められている地域高規格道路の宮古盛岡横断道路についても本項で述べる。 概要古くから宮古街道[2]または閉伊街道[3]と呼ばれてきた道路を踏襲している。同じ二地点を結ぶJR東日本山田線とは盛岡駅 - 区界駅間を除く区界駅以東の区間で閉伊川に沿って併走している。区界駅以西の区間は簗川に沿って進む。 かつては川沿いにカーブの多い線形だったが、昭和40年代後半から道路改良が行われトンネルを多用した直線的な区間が増えたことで、東日本大震災発生前である2004年(平成16年)当時の盛岡市から宮古市への標準的な所要時間は道路時刻表によれば1時間44分であった[4]。 宮古盛岡横断道路は内陸と三陸沿岸を結ぶ横断軸の1つとして東日本大震災の復興支援道路に位置付けられて重点的な整備がなされた[5][6]結果、東日本大震災発生から10年後の2021年(令和3年)3月に宮古盛岡横断道路のうち、復興支援道路として事業がすすめられた区間が全線開通し、宮古市から盛岡市への所要時間は1時間27分に短縮された[7]。 路線データ一般国道の路線を指定する政令[8][注釈 1]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
宮古盛岡横断道路宮古盛岡横断道路(みやこもりおかおうだんどうろ)は、宮古市から盛岡市に至る延長約100 kmの地域高規格道路である[11][12]。線形不良による交通隘路区間の解消、三次医療施設へのアクセス向上、沿岸地域の産業・経済の復興支援等を目的として事業が進められている[13] 。1994年(平成6年)12月16日に計画路線の指定を受け、うち18 kmが宮古西道路、達曽部道路、簗川道路、都南川目道路として事業化されてきた[11]が、東日本大震災の復興支援道路として[5]2011年(平成23年)11月21日に[14]優先整備区間[15]48 km(宮古箱石道路(宮古 - 箱石)、平津戸松草道路(平津戸・岩井 - 松草)、区界道路(区界 - 簗川))が新規事業化され[11][13]、2020年(令和2年)4月には田鎖蟇目道路が[16]、2021年(令和3年)4月には箱石達曽部道路がそれぞれ新規事業化された[17]。このうち宮古西道路、田鎖蟇目道路、箱石達曽部道路、平津戸松草道路平津戸工区、区界道路、都南川目道路は自動車専用道路、その他は一般道路である。なお、2011年(平成23年)年度末の供用状況は、1999年(平成11年)11月16日に供用を開始[15]した達曽部道路1.4 kmのみであった[11]。また、都南川目道路は国の直轄権限代行事業として事業が行われた[18]。 歴史ここでは宮古盛岡横断道路として行われた改良事業についても紹介する。
開通予定年度路線状況宮古バイパス宮古(みやこ)バイパスは、宮古市の築地交差点から同市上鼻(かんぱな)2丁目(北緯39.632536度0分0秒 東経141.915327度0分0秒 / 北緯39.63254度 東経141.91533度)に至るバイパス道路である。1984年(昭和59年)に全線で供用を開始した[29]。旧道は国道指定解除された結果、岩手県道40号宮古岩泉線の一部および宮古市道となっている。 宮古箱石道路宮古箱石道路(みやこはこいしどうろ)は宮古盛岡横断道路を構成する道路で、宮古市藤原から同市箱石に至る区間である(岩手県施行区間を除き33 km)[30]。このうち起点側の宮古市藤原から同市根市までは宮古西道路として岩手県と国土交通省により自動車専用道路が整備されており(後述)、残る区間については復興支援道路として国土交通省が岩手県から権限代行を受けて下記の線形不良区間3箇所(計16 km)について一般道の規格(第3種第2級)でバイパス整備が行われているが、本線部分は自動車専用道路規格(第1種第3級)を担保とした設計[31]となる予定。2013年(平成25年)に着工され、2021年(令和3年)3月28日に全通した。
宮古西道路宮古西道路(みやこにしどうろ)は宮古箱石道路を構成する道路で、宮古市藤原[30]から同市根市[32]に至る自動車専用道路である[33]。宮古市街地から閉伊川を挟んだ右岸(南)側を主に通過する。宮古市藤原(宮古港IC)から三陸沿岸道路と接続する宮古中央ICまでの区間(4.0 km)は国が直轄施行し2020年(令和2年)7月12日に開通した[26]。宮古中央ICから宮古根市ICまでの区間(3.4 km)は岩手県が施行し、2019年(平成31年)3月30日に開通した[23][32]。
田鎖蟇目道路田鎖蟇目道路(たくさりひきめどうろ)は宮古盛岡横断道路を構成する道路で、宮古市田鎖から蟇目に至る延長7.2 kmの区間である[16]。2023年(令和5年)12月2日に着工[35]。
箱石達曽部道路
達曽部道路達曽部道路(たっそべどうろ)は宮古盛岡横断道路を構成する道路で、宮古市(開通時は下閉伊郡川井村)川内を起終点とする、延長1.4 kmの区間である。一般道路の規格である第3種第1級(設計速度80 km/h)で、完成2車線で建設された[33]。1994年(平成6年度)に着工し、1999年(平成11年)11月16日に開通した[39]。
平津戸松草道路平津戸松草道路(ひらつとまつくさどうろ)は宮古盛岡横断道路を構成する道路で、宮古市平津戸から同市区界に至る区間である。復興支援道路として国土交通省が岩手県から権限代行を受けて下記の線形不良区間2箇所(計7 km)について、平津戸工区は自動車専用道路の規格(第1種第3級)、岩井・松草工区は一般道の規格(第3種第2級)でバイパス整備が行われている[40]。2014年(平成26年)に着工された。平津戸工区には宮古市側では最長となる延長3,159 mの(仮称)平津戸トンネルが含まれているが、2018年(平成30年)5月30日に貫通している[41]。
区界道路区界道路(くざかいどうろ)は宮古盛岡横断道路を構成する道路で、宮古市区界から盛岡市簗川に至る区間である。復興支援道路として国土交通省が岩手県から権限代行を受けて区界峠を回避する自動車専用道路(第1種第3級)として整備が行われている[42]。全長は約8 kmでこのうち2018年(平成30年)1月11日に貫通式があった新区界トンネル(全長4,998 m、事業費約250億円)は、岩手県内のトンネルで最長、東北では3番目の長さとなる[43]。トンネル長が5,000 mをわずかに下回った理由は道路法第46条第3項に基づき5,000 m以上の道路トンネルに適用される危険物積載車両の通行制限適用を回避するためである[44]。 整備により同路線で最大の難所とされる区界峠を回避できるようになる。2014年(平成26年)に着工され、2020年(令和2年)12月5日に開通[27]。総事業費は約370億円[45]。
簗川道路簗川道路(やながわどうろ)は宮古盛岡横断道路を構成する道路で、道路規格は第3種第1級の一般道路。道路の線形改良や狭小区間の解消を主目的としているが、現道は付近を流れる簗川に建設中の簗川ダムによって水没するため、付替道路としても建設された[46]。当初は2007年度(平成19年度)の完成計画となっていた[46]が、2012年3月に2013年度末の供用開始予定を発表し[47]、2013年(平成25年)3月10日に全線で供用を開始した[48][49]。区界道路・都南川目道路の開通により、起点で区界道路と、終点近くの川目ICで都南川目道路と接続していて、川目IC-終点間はランプウェイになっている[42][18]。また、簗川ダム水没エリアは2014年1月頃に封鎖され、通れなくなっているほか、水没しない旧道部分は2014年3月31日までに市道に格下げされた[50]。
都南川目道路都南川目道路(となんかわめどうろ)は宮古盛岡横断道路を構成する道路。現道は盛岡市街地に向かうが、本道路は盛岡市街地南方の盛岡市手代森で国道396号および岩手県道36号上米内湯沢線と接続している[18]。県道36号を西に向かうと国道4号や東北自動車道盛岡南ICと接続する。当初は完成4車線の計画のもと、暫定2車線で供用を開始することとなっていたが、完成2車線に改められた[33]。
重複区間
道路施設道の駅インターチェンジなど
車線・最高速度
トンネルと橋
(出典:「宮古盛岡横断道路地図(一括) 」 (岩手県ホームページ[52])より 地理通過する自治体交差する道路接続路線図
直轄指定区間編入の要望国道106号は宮古 - 盛岡 - 秋田の横断軸の一部であり、三陸沿岸地域の早期復興に「復興支援道路」として位置づけられている。その一層の強化を図るために、岩手県は国道106号を指定区間に編入し、国道46号等と併せて国で一体的に管理すること国に対し要望している[53]。 脚注注釈出典
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