郡(Arrondissement、アロンディスマン)とはフランスにおける行政区画である。100ある県をさらに細分化した行政区画で332ある。
郡には郡庁(sous-préfecture)が置かれ、郡庁所在地(sous-préfecture)と呼ばれる。郡に県庁所在地が含まれる場合は県庁が郡庁の役割を兼ねる。
郡はさらに小郡(canton)とコミューン(commune)に区分けされる。
郡を示すフランス語のarrondissement(アロンディスマン)の用法としては他に、パリとリヨン、マルセイユの3都市に設置されている区(arrondissement)も同じ語を用いる。しかしながら、本項目における郡とは全く異なるものである。両者を区別する必要がある場合、区はarrondissement municipal(アロンディスマン・ミュニシパル)と呼ばれる。
役割と統治
郡の統治は県知事(préfet)を補佐する郡長(フランス語: sous-préfet)の役割である。
郡は地域圏、県、コミューン等と異なり、公法上の法人としての地位を有さない。加えて、これら他の行政区画と異なり公選職ではなく、大統領に任命された郡長により運営される。
歴史
郡の概念の導入はアンシャン・レジーム期にも行政改革の一環として数回提案されている。特にブルターニュ行政区(Généralité)の地方行政長官(intendant)、カズ・ド・ラ・ボヴ(Caze de La Bove)は1775年のブルターニュの経済担当副長官回想(Mémoire concernant les subdélégués de l'intendance de Bretagne)で郡制度の導入を提起している。
郡制度はフランス革命後、フランス革命暦8年、西暦1800年2月17日のプリュヴィオーズ28日法(Loi du 28 pluviôse)によってそれまでのディストリクト(district)を廃して導入された。第三共和政などの時代には、郡は議会選挙における役割を与えられる事もあった。議会は1926年に106の郡を廃止する法案を可決した。議員達は財政支出を削減するためだと主張したが、選挙操作の結果と見る政治評論家もいた。
統計
ほとんどの県には3つか4つ程度の郡しか設置されていない。過去のモゼル県には9つの郡が設置されている一方で、パリ県とテリトワール・ド・ベルフォール県にはそれぞれ1県1郡となっている。
郡の一覧
本節の参考資料[1]
フランス本土
海外県
脚注
関連項目