岩松 了(いわまつ りょう、1952年3月26日 - )は、日本の劇作家で、演出家、俳優としても活動している[注 1][1]。長崎県東彼杵郡川棚町出身[2]。長崎県立川棚高等学校卒業、東京外国語大学外国語学部ロシア語学科中退[注 2][3]。その作風から、日本のチェーホフと称されている[4][5]。
概説
東京外国語大学演劇部[注 3]やオンシアター自由劇場[注 4]で演劇を始め、大学中退後は劇団東京乾電池[注 5]で活動する[3]。1986年に、10年近い無自覚な演劇生活を振り返り、一本好き勝手に書いて演劇は辞めると決意して発表した戯曲『お茶と説教:無関心の道徳的価値をめぐって』が高い評価を得る[注 6][7]。1989年に発表した『蒲団と達磨』で岸田国士戯曲賞を受賞し、劇作家としての地位を確立した[7]。
1993年に『こわれゆく男』と『鳩を飼う姉妹』で紀伊國屋演劇賞個人賞、1998年に『テレビ・デイズ』で読売文学賞、2018年に『薄い桃色のかたまり』で鶴屋南北戯曲賞を受賞した[9]。また、1998年に劇映画『東京日和』で日本アカデミー賞優秀脚本賞、2018年には兵庫県文化賞も受賞している[注 7]。
作家等としての活動
演劇
- 『まことむすびの事件』、1986年3月、共同演出[注 8][6]。
- 『お茶と説教:無関心の道徳的価値をめぐって』、1986年10月、作・演出[注 9]。
- 『台所の灯:人とその一般性の徴候に寄せて』、1987年5月、作・演出[注 9]。
- 『恋愛御法度:無駄と正直の劇的発作をめぐって』、1987年10月、作・演出[注 9]。
- 『蒲団と達磨』、1988年、作・演出[注 10]。第33回岸田国士戯曲賞受賞作品。
- 『お父さんの海水浴』、1989年、作・演出[注 10]。
- 『隣の男』、1990年、作・演出[6]。
- 『食卓で会いましょう』、1990年、作・演出[6]。
- 『サラダボール』、1990年、作[6]。
- 『陥没』、1990年7月、作・演出[12]。
- 『お父さんのお父さん』、1990年11月、作・演出[注 10][11]。
- 『鉢植を持つ男』、1991年、作・演出[6]。
- 『スターマン』、1991年、作・演出[6]。
- 『恋愛日記・増補版』、1991年6月、共作[注 11][13]。
- 『市ヶ尾の坂』、1992年、作・演出[6]。
- 『アイスクリームマン』、1992年5月、作・演出[注 12][14]。
- 『こわれゆく男』、1993年、作・演出[6]。紀伊国屋演劇賞個人賞受賞作品。
- 『鳩を飼う姉妹』、1993年、作[6]。紀伊国屋演劇賞個人賞受賞作品。
- 『月光のつゝしみ』、1994年、作・演出[6]。
- 『ベンチャーズの夜』、1994年、作・演出[6]。
- 『恋する妊婦』、1994年、作・演出[6]。
- 『赤い階段の家』、1995年、作[6]。
- 『浮雲』、1995年、作・演出[6]。
- 『センター街』、1995年、作・演出[6]。
- 『続ジョン・シルバー』、1995年、演出[6]。
- 『四人姉妹』、1996年6月、作[15]。
- 『テレビ・デイズ」1996年、作・演出。
- 『出発』、1996年、演出[6]。
- 『うたかた日記』、1996年、作[6]。
- 虹を渡る女(1998年、作・演出)
- 水の戯れ(1998年、作・演出)
- 悪戯(2000年、作・演出)
- 隠れる女(2000年、作・演出)
- 夏ホテル(2001年、作・演出)
- 嵐が丘(2002年、脚本・演出)
- 「三人姉妹」を追放されしトゥーゼンバフの物語(2002年、作・演出)
- 月光のつ丶しみ(2002年、作・演出)
- ワニを素手でつかまえる方法(2003年、作・演出)
- シブヤから遠く離れて(2004年、作)
- 隣りの男(2005年、作・演出)
- マテリアル・ママ(2006年、作・演出)
- 船上のピクニック(2007年、作)
- シェイクスピア・ソナタ(2007年、作・演出)
- 死ぬまでの短い時間(2007年、作・演出)
- 恋する妊婦(2008年、作・演出)
- 箱の中の女(2008年、作・演出)
- マレーヒルの幻影(2009年、作・演出)
- シダの群れ(2010年、作・演出)
- 国民傘(2011年、作・演出)
- ルート99(2011年、作)
- アイドル、かくの如し(2011年、作・演出・出演)
- カスケード(2012年、作・演出)
- シダの群れ 純情巡礼編(2012年、作・演出)
- 泡(2013年、作・演出)
- 不道徳教室(2013年、作・演出)
- シダの群れ3 港の女歌手編(2013年、作・演出)
- 宅悦とお岩(2014年、作・演出)
- ジュリエット通り(2014年、作・演出)
- 結びの庭(2015年、作・演出・出演)
- 青い瞳(2015年、作・演出)
- 家庭内失踪(2016年、作・演出) - 望月[16]
- 薄い桃色のかたまり(2017年、作・演出) ※第21回鶴屋南北戯曲賞受賞[17]
- 『三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?』、2018年1月、作・演出[18]。
- 『空ばかり見ていた』、2019年3月、作・演出[注 13][20]。
- 『二度目の夏』、2019年7月、作・演出・出演[21]。
- 『そして春になった』、2020年12月、作・演出[22]。
- 『いのち知らず』、2021年10月、作・演出・出演[23]。
- 『明後日「青空は後悔の証し」]、2022年5月、作・演出[24]。
- 『クランク・イン!』、2022年10月、作・演出[25]。
- 『カモメよ、そこから銀座は見えるか?』、2023年6月、作・演出・出演[26]。
- 『峠の我が家』、2024年10月、作・演出・出演[27]。
ラジオ・ドラマ
- 『晴れた日に風の語ったこと』NHK東京〈ラジオ劇場〉、1982年3月27日、脚本[28]。
- 『カラマーゾフの森』NHK東京〈青春アドベンチャー〉、2002年、脚本[注 14][29][30]。
テレビ・ドラマ
映画
ビデオ・ドラマ
演者等としての活動
映画
テレビ・ドラマ
ラジオ・ドラマ
配信ドラマ
CM
著作等
著書
関連書誌
関連映像
- 『異常の人々:伝説の虹の三兄弟』、日本ソフトシステム、VHS、JSVO22117[注 37]。
- 『異常の人々:伝説の虹の三兄弟』、ジーダス、DVD-Video、JDXO25430。
脚註
註釈
- ^ 職業を問われた際には、劇作家と答えている[1]。
- ^ 長崎県立川棚高等学校卒業後、1浪して東京外国語大学に入学するも、2度の留年を経た在学満4年で「除籍」となった[3]。
- ^ 東京外国語大学演劇部入部後、2人芝居の一方に選ばれたのが初舞台で、相手役は田丸美寿々だった[3]。
- ^ 東京外国語大学演劇部入部直後の1971年にオンシアター自由劇場にも入団したが、同大学を「除籍」になる直前の1973年に退団した[6]。
- ^ オンシアター自由劇場時代の知人から、外語大のインテリだから演出ぐらいできるだろうと誘われ、参加したのが劇団東京乾電池だった[3]。劇団東京乾電池に在籍した期間は、1978年から1992年までだった[6]。
- ^ 『お茶と説教:無関心の道徳的価値をめぐって』は、岩松了の劇作家デビュー作で、僅か一週間で書き上げたという[4][7]。初演は1986年10月だった[8]。
- ^ 兵庫県文化賞の受賞は、多年にわたり兵庫県立ピッコロ劇団の代表を務めたことに由る[10]。
- ^ 『まことむすびの事件』は、柄本明と共同で演出を担った。
- ^ a b c 『お茶と説教:無関心の道徳的価値をめぐって』、『台所の灯:人とその一般性の徴候に寄せて』及び『恋愛御法度:無駄と正直の劇的発作をめぐって』は、同じ町内を舞台とした物語であったため、後に町内シリーズ三部作と称されるようになった。
- ^ a b c お父さんシリーズの一作[11]。
- ^ 竹内銃一郎が1986年に発表した『恋愛日記』を岩松了が加筆し「増補版」とした[13]。
- ^ 『アイスクリームマン』を最後に劇団東京乾電池を退団した[6]。
- ^ 『空ばかり見ていた』は、日に5箱も吸っていた煙草をやめてから初めて書いた作品である[19]。
- ^ a b 『カラマーゾフの森』では、全10話のうち数話の脚本を担当したほか、俳優として出演もしている[29][30]。
- ^ 『刑事ヨロシク』は全10回の連続ドラマで、そのうち第7回の脚本を担った。
- ^ 『AカップCカップ』は全20回の連続ドラマで、そのうち数回の脚本を担った。
- ^ 『サラリーマン教室』は全1回の単発ドラマだった。
- ^ 『妻をめとらば』は全6回の連続ドラマで、そのすべての回で脚本を担った。
- ^ 『渋谷・青春坂・ラブホテル』は全1回の単発ドラマだった。
- ^ 『奇妙な出来事』は全20回の連続ドラマで、そのうち第18回の監督並びに脚本を担った。
- ^ 『仙台七夕 幻の女』は全1回の単発ドラマだった。
- ^ 『La cuisine』は全24回の連続ドラマで、そのうち第10回の監督を担った。
- ^ 『いつか見た空』は全16回の連続ドラマで、そのすべての回で作を担った。
- ^ 『恋のためらい』は全11回の連続ドラマで、そのすべての回で脚本を担った。
- ^ 『日曜日は終わらない』は全1回の単発ドラマだった。
- ^ 『死者からの手紙』は全1回の単発ドラマだった。
- ^ 『私立探偵 濱マイク』は全12回の連続ドラマで、そのうち第7回の監督並びに脚本を担った。
- ^ 『ビタミンF』は全6回のオムニバス・ドラマで、そのうち第5回の脚本を担った。
- ^ 『そして明日から』は全1回の単発ドラマだった。
- ^ 『社長をだせ! 〜実録・クレーマーとの死闘を制した女』は全1回の単発ドラマだった。
- ^ 『ママ!アイラブユー』は連続ドラマで、そのうち約半数の回で脚本を担った。
- ^ a b 『時効警察』は全9回の連続ドラマで、その全回に出演したほか、第3回の監督並びに脚本と第7回の脚本を担った。
- ^ 『HOT STAFF 快感SEXクリニック』の脚本は、加藤千恵と共同で担った[32]。
- ^ 『バカヤロー! 2 幸せになりたい。』は全4話のオムニバスで、第3話「新しさについていけない」の監督を担った[33]。
- ^ 『バカヤロー! V エッチで悪いか』は全2話のオムニバスで、第1話「真夜中のブレックファースト」の監督を担った。
- ^ 米国映画『Iké Boys』は、日本国内では『Iké Boys イケボーイズ』の邦題で2024年に公開された[39]。
- ^ 1992年に上演された『市ヶ尾の坂‐伝説の虹の三兄弟‐』の映像をもとに、周防正行が再編集したドキュメンタリ。
出典
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