1994年から4人組バンド「カーラズ・フラワーズ」(Kara's Flowers)として活動していたが、5人編成になった2001年からバンド名を「マルーン5」(Maroon5)に改名。2002年(日本盤は2003年)リリースの、1stアルバム『ソングス・アバウト・ジェーン』(Songs About Jane)はロング・セラーとなり、『第47回グラミー賞』最優秀新人賞など数々の賞を受賞し[12]、一躍有名になった。2012年から2017年時点にかけてさらに2人がメンバーとして加入し、7人編成となっている。
ドラムス担当のライアンは、野球少年の頃に腕に怪我を負ったことがあったが、2003年後半からツアーが続く生活の中で腕に痛みが生じるようになり、2004年早期にライヴ活動から離脱した[20]。彼は検査を受けたが、「医師にも対処できず、手術をするほどのものでもなく、痛みがひくのをひたすら待つしかない」と『マルーン5 ライヴ!』(Live – Friday the 13th)収録のインタビュー映像で語っていた。バンドはサポート・ドラマーを雇う形でツアーを続行した。ライアンは演奏はできないもののツアーには同行していた[21]。初来日公演である2004年9月29日の東京公演ではアンコールでステージに登場し、アダムがドラムを演奏する中AC/DCの「地獄のハイウェイ」(Highway to Hell)を熱唱した[22]。また『マルーン5 ライヴ!』のDVDには、2005年5月13日のライブのステージ袖で「ハーダー・トゥ・ブリーズ」のコーラスをするライアンの姿が収められている。しかし、ライアンは2006年9月に脱退を表明し、サポート・ドラマーだったマット・フリン(Matt Flynn)が正規メンバーになった[23]。
2005年 - 2009年:『イット・ウォント・ビー・スーン・ビフォー・ロング』
ジェイムズが2005年7月に2ndアルバム制作に取り掛かっていることを話した[24]。2006年にスライ&ザ・ファミリー・ストーンのトリビュート・アルバム『ディファレント・ストロークス・バイ・ディファレント・フォークス』(Different Strokes By Different Folks)で「エヴリデイ・ピープル」(Everyday People)をカバーした。アルバム制作ではマイク・エリゾンド、マーク“スパイク”ステント(Mark "Spike" Stent)、Mark Endert、エリック・ヴァレンタイン(Eric Valentine)がプロデューサーとして参加しており、アダムは「前作のゆったりしたJazzyなサウンドと対照的なことをやりたかった」と述べている[25]。
2007年3月27日にアルバムからの1stシングル「メイクス・ミー・ワンダー」(Makes Me Wonder)をアメリカでリリースし、Billboard Hot 100で84位からスタートし、4週目には前週の64位からジャンプアップで1位を獲得し、バンド初の全米No.1獲得シングルとなった[26]。これは、2002年にケリー・クラークソンが「ア・モーメント・ライク・ディス」(A Moment Like This)で打ち立てた52位から1位となる当時の記録を塗り替えた[27](その後、2008年にT.I.の「ホワットエヴァー・ユー・ライク」と[28]、「マイアヒ・ライフ」に更新されている[29])。
アメリカで5月22日(日本盤は5月16日)にリリースした2ndアルバム『イット・ウォント・ビー・スーン・ビフォー・ロング』(It Won't Be Soon Before Long)は、Billboard 200初登場1位を獲得した(発売1週目の売り上げ43万枚の内、およそ10万2,000件はデジタル・セールスであり、リンキン・パークが『ミニッツ・トゥ・ミッドナイト』で打ち立てた8万4,000件の記録を塗り替え、当時の週間デジタル・セールスの最高記録を作った)。アメリカのiTunes Storeでは2007年の年間ダウンロード・アルバム・チャート1位になっている。アルバム収録曲の中で「グッドナイト・グッドナイト」(Goodnight Goodnight)はアメリカのTVドラマ『CSI:ニューヨーク』第5シーズン第2話「死者の書」(Page Turner)にメンバーが出演し、ドラマの中で披露している。また、「イフ・アイ・ネヴァー・シー・ユア・フェイス・アゲイン」(If I Never See Your Face Again)はリアーナとデュエットしたバージョンもリリースしている。6月には2度目の日本公演を東京・大阪のZeppで開催し、ライヴの合間にはテレビ番組やインターネットのYahoo!ライブトークに出演した[30]。8月からはアルバム収録曲の「ウォント・ゴー・ホーム・ウィズアウト・ユー」(Won't Go Home Without You)がトヨタ自動車「ヴィッツ」CMソングに起用された[31]。11月21日にはCDシングル「ウォント・ゴー・ホーム・ウィズアウト・ユー」をリリース、カップリングにはジョン・レノンとオノ・ヨーコによる「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)」のカバーを収録している。2008年3月に再び日本公演を開催し、日本武道館の追加公演を含む5公演を行った[32]。12月には、リミックス・アルバム『ベスト・リミックス: コール・アンド・レスポンス』(Call And Response: The Remix Album)をリリースした。
2009年 - 2011年:『ハンズ・オール・オーヴァー』
2009年頃からスイスで3rdアルバムのレコーディング開始。プロデューサーにはアダムが長年一緒に制作したいと願っていたロバート・ジョン“マット”ラング(Robert John "Mutt" Lange)を迎えた。2010年6月22日にアルバムからの先行シングル「ミザリー」(Misery)を配信リリース。Billboard Hot 100最高14位にチャートインした[26]。アルバム発売に先駆けてメンバーはプロモーション活動のために来日し[33]、アルバム『ハンズ・オール・オーヴァー』(Hands All Over)は日本では9月15日(アメリカでは9月21日)にリリースとなり、日本独自企画のCDシングル「コンパクト・ベスト マルーン5」も同時リリースした。シングル収録曲の「ウォント・ゴー・ホーム・ウィズアウト・ユー」はアサヒビール「アサヒスタイルフリー」CMソングに起用された。アルバム収録曲「アウト・オブ・グッバイズ」(Out Of Goodbyes)にはレディ・アンテベラムが参加している。アルバムはオリコンアルバムチャート初登場3位、Billboard 200初登場2位を記録した。また、全国のCDショップ店員の投票で選ばれる『第3回CDショップ大賞』洋楽賞を受賞した[34]。
2011年、東日本大震災で被災された方々へバンドを代表してアダムがメッセージを寄せた[35]。5月には日本公演を開催し、日本武道館の追加公演を含む5公演が行われた。6月21日、4月に放送開始されたばかりであるオランダ発のタレントオーディション番組『ザ・ヴォイス』アメリカ版で、アダムとクリスティーナ・アギレラが番組審査員として共演。そこでコラボレーション曲「ムーブス・ライク・ジャガー」(Moves Like Jagger feat. Christina Aguilera)を初披露し、直後にリリースした。シングルはBillboard Hot 100初登場8位を記録し、2007年発表の「メイクス・ミー・ワンダー」以来のチャートTOP10入りとなった。その後、リリースから3ヵ月後の9月にBillboard Hot 100で1位となり[26]、18ヶ国でチャート1位を獲得した[36]。また、『ハンズ・オール・オーヴァー』にボーナス・トラックとしても追加収録し、日本ではさらにリミックス・バージョン1曲を加えた『ハンズ・オール・オーヴァー+2』として再発売した(『オーヴァーエクスポーズド』ボーナス・トラックにも収録している)。
2011年 - 2013年:『オーヴァーエクスポーズド』
2011年から4thアルバムの制作に取り掛かっていたが、2012年3月にキーボードのジェシーが音楽的追求と休暇に時間を費やすため、バンドから一時離脱することを発表した。臨時メンバーとしてツアーミュージシャンのPJ・モートン(PJ Morton)を加えてアルバム制作を続行した。2012年4月、ウィズ・カリファをフィーチャーしたアルバムからの先行シングル「ペイフォン feat.ウィズ・カリファ」(Payphone feat. Wiz Khalifa)を配信リリース。Billboard Hot 100初登場3位となり、最高2位を記録した[26]。全英シングルチャートでは、バンド初の全英No.1獲得曲となった[37]。また、「ワン・モア・ナイト」(One More Night)がBillboard Hot 100で9週連続1位を獲得した[26][38]。日本盤が6月20日(アメリカは6月26日)に発売された4thアルバム『オーヴァーエクスポーズド』(Overexposed)は、オリコンアルバムチャート最高5位を記録。Billboard 200、全英アルバムチャートではともに初登場2位を記録した。また、国際レコード・ビデオ製作者連盟(IFPI)が発表した「2012年の世界的ベストセラーアルバム」第10位となり[39]、『iTunes Best of 2012』Pop ベストアルバム部門も受賞した[40]。10月2日には、日本武道館で一夜限りの日本公演を開催した。
2014年にイギリスでダウンロード専用チャート発足10年を記念して発表された「この10年で最もダウンロードされたシングル・トップ100」では、2011年にクリスティーナ・アギレラをフィーチャーしてリリースした「ムーブス・ライク・ジャガー」(Moves Like Jagger feat. Christina Aguilera)が第3位にランクインされている[42]。
^Elberse, Anita (2013). Blockbusters: Why Big Hits – and Big Risks – are the Future of the Entertainment Business. London: Faber & Faber. p. 49. ISBN978-0-571-28134-3