ヴェルメンティーノ (Vermentino) は果皮の色の薄いワイン用ブドウ品種であり、おもにイタリアワイン でみられる。サルデーニャ島 およびリグーリア州 で広汎に栽培されており、ピガート (Pigato) の名はおもにリグーリアとコルシカ島 の一部で用いられているほか、ピエモンテ州ではファヴォリタ (Favorita) の名称で知られ、ラングドック=ルシヨン でも生産が増加している[ 1] 。葉は深緑色の五角形である。果実は琥珀のような黄色で錐状の果房を成す。このブドウの樹は、より強い反射光の恩恵を受けることができる海に面した傾斜地でよく栽培されている。ブドウ国際品種目録 (英語版 ) (VIVC) では現在、この品種の原産地はイタリアとされている[ 2] 。
ヴェルメンティーノで作られるワインでもっとも有名なものは、おそらくサルデーニャ島北部のオルビア=テンピオ県 で生産されているDOCG ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ (Vermentino di Gallura) とヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ・スペリオーレ (Vermentino di Gallura Speriore) だろう。ガッルーラ のこの地区では、ヴェルメンティーノは14世紀からしばしばアラテラウ (Arratelau) の名で栽培されてきたという[ 3] 。同島の他地域では、このブドウは甘口やスパークリングなど、さまざまな種類のワインに使用されている。
発祥
ヴェルメンティーノの発祥については諸説あり、ようやく近年になってからDNA型鑑定 によってそれまでの仮説を覆しヴェルメンティーノがリグーリア州 のピガート (Pigato) およびピエモンテ州 のファヴォリタ (英語版 ) (Favorita) と同一種であることが確認された。プロヴァンス 地方東部、ニース 周辺の品種であるロッロ (イタリア語版 ) (Rollo) とも同一種であるかは明らかになっていない。同地域ではこの品種とヴェルメンティーノは両方ともロール (Rolle) という別名で通っている[ 1] [ 2] [ 4] 。
生産地域およびワイン
コッリ・ディ・ルーニDOCのヴェルメンティーノのワイン
イタリアのD.O.C. 認定ワインとなっているものは以下の通りである:
フランスのAOC ワインとなっているものは以下の通りである:
パトリモニオ (Patrimonio) :コルシカ島北部のサン=フロラン湾に位置し、島内で初のAOCを獲得した (1968年) 。白ワインはヴェルメンティーノ100%である。
コート・デュ・ルシヨン (Côtes du Roussillon) など、ラングドック=ルシヨン においては、近年ヴェルメンティーノの使用が許可されたAOCワインが数多くある[ 1] 。
ベレ (Bellet) :プロヴァンスのニース近辺では白ワインにこのブドウが使用される。
このブドウはスペインでもアンダルシア州 のウエルバ県 [ 5] 、グラナダ県 [ 6] 、アルメリア県 [ 7] で少量ながら栽培されている。
アメリカ合衆国では、カリフォルニア州、バージニア州、ノースカロライナ州での栽培がみられる:
カリフォルニア州においてヴェルメンティーノを栽培・醸造しているのは、アデレーダ・ディストリクトAVA (Adelaida District AVA) のタブラス・クリーク・ヴィンヤード[ 8] およびサンタイネス・バレーAVA (Santa Ynez Valley AVA) のブリック・バーン・ワイン・エステート [ 9] 、 ロス・カーネロスAVA (Los Carneros AVA) のマホニー・ヴィンヤード[ 10] などである。
ノースカロライナ州 で栽培・醸造しているのは、スワン・クリークAVA (Swan Creek AVA)のラッファルディーニ・ヴィンヤード[ 11] などである。
オーストラリアでは、ヴェルメンティーノはヨーロッパの産地と同じく海岸に面した南オーストラリア州 のマクラーレン・ヴァレー[ 12] [ 13] や、イタリア系農場主がタバコに代わる産業として1970年代からブドウ栽培を始めた[ 14] ビクトリア州 のキング・ヴァレーで生産が盛んである[ 15] 。
別名および他品種との混同
ヴェルメンティーノは以下の別名でも知られている[ 2] :
アゴステンガ (Agostenga) 、アゴステンガ・ブラン (Agostenga blanc) 、ブルスティアーノ (Brustiano) 、ブルスティアーノ・ディ・コルシカ (Brustiano di Corsica) 、カルブ (Carbes) 、カルベッソ (Carbesso) 、ファヴォリタ (Favorita) 、ファヴォリタ・ビアンカ (Favorita bianca) 、ファヴォリタ・ビアンカ・ディ・コネリアーノ (Favorita Bianca di Conegliano) 、ファヴォリタ・ダルバ (Favorita d'Alba) 、ファヴォリタ・ディ・アルバ (Favorita di Alba) 、ファヴォリタ・ディ・コネリアーノ (Favorita di Conegliano) 、フォルメンティーノ (Formentino) 、フォルマンタン (Fourmentin) 、ガルベッソ (Garbesso) 、グロス・クラレット (Grosse Clarette) 、マルヴァジア・ア・ボニファシオ (Malvasia a Bonifacio) 、マルヴァジア・グロッサ (Malvasia Grossa) 、マルヴァジエ (Malvasie) 、マルヴォワジー (Malvoisie) 、マルヴォワジー・ア・グロ・グラン (Malvoisie à Gros Grains) 、マルヴォワジー・コルス (Malvoisie Corse) 、マルヴォワジー・ド・コルス (Malvoisie de Corse) 、マルヴォワジー・プレコス・デスパーニュ (Malvoisie Précoce d'Espagne) 、ピッカボン (Piccabon) 、ピガ (Piga) 、ピガート (Pigato) 、ロール (Rolle) 、ロッセーゼ (Rossese) 、シビルコウスキ (Sibirkovski) 、ウヴァ・サパイオラ (Uva Sapaiola) 、ウヴァ・ヴェルメンティーノ (Uva Vermentino) 、ヴァランタン (Valentin) 、ヴァルレンティン (Varlentin) 、ヴァレザーナ・ビアンカ (Varresana bianca) 、ヴェネンティノ (Vennentino) 、ヴェルランタン (Verlantin) 、ヴェルメンティーニ (Vermentini) 、ヴェルメンティーノ・ビアンコ (Vermentino bianco) 、ヴェルメンティーノ・ピガート (Vermentino Pigato) 、ヴェルマンチヌ (Vermentinu)
ヴェルメンティーノと共通の別名をいくつか有するものの、コルシカのワイン用品種ブルスティアーノ・ビアンコ (英語版 ) はヴェルメンティーノとの類縁関係が認められていない。トスカーナ州のブドウ品種ヴェルメンティーノ・ネロ (英語版 ) は、果皮色変異体である可能性があるものの、厳密な類縁関係は未確認である[ 16] 。
関連項目
脚注
外部リンク
西アジア種群 ヨーロッパ・ブドウヴィニフェラ種 北米種群 アメリカ・ブドウラブルスカ種 東アジア種群 雑種
ヴィニフェラ×ラブラスカ系 交雑種 ヴィニフェラ×ラブラスカ×リンケクミー系 交雑種 ヴィニフェラ×ラブラスカ×エースティバリス系 交雑種 ヴィニフェラ×ダヴィディ系 交雑種 ヴィニフェラ×アムレンシス系 交雑種 三倍体 交雑種 四倍体 交雑種